すべての労働者・学生・市民の皆さん! とりわけ教育労働者の皆さん!
二月二十八日に広島県で、文部省のテコ入れを受けた県教育委員会による「日の丸・君が代完全実施」の強要の前に県立高校の校長が自殺に追いこまれるという許しがたい事態が生起しました。しかも小渕政権は、この校長自殺を活用して「日の丸・君が代の法制化」を即座にぶちあげ、今国会中にも、「ガイドライン関連法」にひきつづいて「国旗・国歌法」を制定するという方針を決定しました。「ガイドライン関連法」−「国旗・国歌法」−「組織的犯罪対策法」とつづく政府の攻撃は、まさにすべての労働者・市民を、新たな侵略戦争とそれを支えるネオファシズム体制のもとに編みこみ動員するための一大攻撃にほかなりません。
このような歴史的な攻撃がかけられているにもかかわらず、だが日教組本部は「法制化の論議には反対しない」などといってのけ、「日の丸・君が代」法制化に反対する闘争をなにひとつつくりだそうとしていません。いや彼らは、広島高教組やその他多くの教組の内部で、自民党や右派ジャーナリズムの攻撃にさらされながらもいまなお卒業式・入学式における「日の丸・君が代」強制とたたかっている戦闘的な組合員たちを見殺しにしているのです。そして全教本部もまた、「法制化」の水先案内人となった日本共産党に追随して、「法制化をめぐる議論じたいには意義がある」などとほざいているのです。いや彼らは、広島の事態は「絶対阻止」を掲げた広高教にも責任があるなどと、自民党や「産経」の反組合キャンペーンに塩を贈ってさえいるのです。
すべての教育労働者の皆さん。このような既成教組指導部の腐敗をのりこえて、「日の丸・君が代法制化反対」の闘いを、各教組の内側から、下から大きくつくりだしていこうではありませんか!
世羅高校校長を死に追いやった政府・文部省・県教委
広島県立世羅高校の石川校長が自殺に追いこまれたという事態は、あらゆる意味で、「教育正常化」の名による政府・文部省の平和・人権教育つぶしと「日の丸・君が代完全実施」のごり押しの必然的結果にほかなりません。
昨年夏に文部省から広島に送り込まれた辰野教育長は、「異常事態にある広島の教育界を正常化する」と称して、県教組・高教組にたいしてだけでなく、これらの教組や部落解放同盟にたいして「弱腰である」と見なした県校長会にたいしても、"悪代官"さながらの恫喝と脅迫を加えてきました。
卒業式や入学式の実施方法については、これまで校長会と高教組のあいだでいわゆる「協定」(@日の丸は正面ではなく三脚に立てる、A君が代は歌わない、など)が結ばれ、それにもとづいて県立高校の卒業・入学式がおこなわれてきたこと。−−このことを辰野教育長は、「学習指導要領に違反する」と槍玉にあげ、昨年一二月に「是正」を求める通達を全校長を召集して発しました。だがこれにたいして教組はもとより、多くの校長が"御前会議"をボイコットしたり「要望書」を出したりして抵抗するという事態に直面し慌てた辰野は、ついに今年の二月二十三日に「日の丸・君が代完全実施」の「職務命令」を出して、「違反すれば処分する」と恫喝するという挙に出たのです。
それだけではなく、自民党や右派財界人などは「広島県教育会議」などという右翼的民間団体を発足させ、県立高校の卒業式に自民党県議四十人がのりこんで監視するとか、PTA会長などに「卒業式についての実態調査表」なるものを配って報告させるとかの、様々な露骨な手段を使って教組と校長会に圧力をかけてきたのです。
世羅高校の石川校長は、二月二十五日の職員会議で「君が代斉唱はおこなわない」ことを確認し、「処分覚悟で『君が代』は実施しない」決意を教頭にもうちあけていたといわれています。
だがこれを知った県教委は、夜中に電話をかけたり早朝に校長宅にのりこんだりして、「実施しないなら降格だ」「辞職してもらう。辞表をもってこい」などとヤクザまがいの脅しをなんどもくりかえしたのです。校長が自殺した二月二十八日も、早朝から県教委指導主事が校長宅を訪れ、最後通牒的に「翻意」を求めました。石川校長は、その直後に首をつってみずからの命を断ったのです(この常軌を逸した自宅訪問を、県教委は破廉恥にも「励ましにいった」などと弁解して開き直っています!)。
明らかに石川校長は、政府・文部省・県教委と自民党などが一体となった凶暴なネオファシズム的「教育正常化」攻撃の標的とされて、死に追いやられたのです。
政府・文部省と自民党の文教族などは、このかん「産経」や『正論』などのタカ派ジャーナリズムを使って、広島の平和教育や人権教育(同和教育)を「偏向教育」としてセンセーショナルにとりあげ、このような「偏向教育」がおこなわれている「異常な広島の教育界」を「正常化」すると称してあらゆる攻撃を県教組・高教組にかけてきました。まさにその集約点こそが、今回の卒業式における「職務命令」という蛮刀をふりかざした総攻撃なのです。
「日の丸・君が代」反対闘争と平和・人権教育を
"根絶"するための総攻撃が開始された!
だが問題は、たんに広島だけの問題ではありません。日教組本部や全教本部の闘争放棄のゆえに「日の丸・君が代強制反対」闘争は全国で後退を余儀なくされてきたとはいえ、なお東京都高教や神奈川高教組をはじめとして、少なからぬ都道府県の闘う組合員たちが、上級機関の指導放棄をのりこえて創意工夫した反対闘争にとりくんでいます。いやそれだけでなく、多くの教育労働者たちが、日教組本部の「新しい平和教育」という名の反戦平和教育の解体に抗して、またそれと大同小異の「方法としての平和」論などを唱えはじめた全教本部の堕落に抗して、反戦平和教育の再構築のために奮闘しています。また現に生起している部落差別や民族差別の問題を素通りして「人権・共生・インクルーシブ」などの用語を抽象的に弄んでいるにすぎない日教組本部のダラ幹たちにたいしても、多くの組合員から鋭い批判が投げ与えられているのです。
このように既成指導部に抗して、いまなお「日の丸・君が代強制反対」闘争を粘り強くたたかい、反戦平和教育や反差別人権教育を進めている単組や組合員たちを、「偏向教育の推進者」として槍玉にあげ、その団結と実践を"根絶"するために狂奔しているのが、現在の小渕政権と文部省および自民党・自由党などのネオ国家主義者たちなのです。まさにその筆頭として、広島高教組がターゲットにされたのです。
すべての皆さん。だからこそ広島両教組にたいするこの攻撃は、同時にすべての闘う教育労働者にたいする攻撃にほかなりません。まさにそうであるがゆえに、東京高や神奈川高をはじめとするあらゆる単組のたたかう仲間たちに早晩、広島と同質の攻撃が加えられるであろうことは火を見るよりも明らかなのです。
じじつ、日の丸掲揚が八四%、君が代斉唱が三・九%といずれも「全国最低」の実施率にくいとめてきた東京の都立高校では、今年の卒業式に先だって、都教育長が「完全実施」の通達を出しました。この通達にもとづいて、小石川工業高校では、校長が文書で「職務命令」を発するという前代未聞の事態が生みだされました。しかもこれを合図に「産経」が卒業式を"取材"して「門出乱す卒業式−−教職員、〔君が代に〕起立拒む」などと悪宣伝をおこなったのです。また大山高校では、民主党都議で「自由主義史観研究会」メンバーの土屋某が卒業式にのりこんで「卒業式の実態を知って驚いた」などと吹いてまわっています。明らかに彼らネオ国家主義者や政府・文部省は、広島に続いて首都・東京におけるこのかんの闘いを叩きつぶすための攻撃を開始したのです。また埼玉・所沢高校をはじめとして、全国あらゆる都道府県で「日の丸・君が代完全実施」のゴリ押しとそれをテコとした組合つぶしが、現にいま吹き荒れているのです。
「日の丸・君が代の法制化」こそは、このような攻撃に「法的根拠」を与え、公権力を発動してより強権的に貫徹するためのものにほかなりません。
すべての労働者の〈闘う連帯〉で反撃しよう!
すべての教育労働者の皆さん!
文部省の下僕となった日教組本部や、日共官僚に追随するだけの全教本部を弾劾して、それぞれの単組・支部・分会で「日の丸・君が代法制化反対」の闘争を下から創意工夫してつくりだそうではありませんか! とりわけ、苛烈な攻撃にさらされながら日教組本部の支援サボタージュや全教本部の敵対によって孤立させられている広島高教組・県教組のたたかう仲間たちや、全国の最先頭で「日の丸・君が代」を阻止しているがゆえに敵の憎悪に満ちた攻撃にさらされている東京都高教などのたたかう仲間たちを支援し、共に連帯してたたかおうではありませんか! そしてまた、「国旗・国歌の法制化」を"提言"することによって政府・文部省の攻撃の恰好の水先案内人となった日本共産党中央と、それに追随し日共官僚がいうことをオウム返しにしているにすぎない全教本部の日共系ダラ幹にたいして、下から批判を集中しようではありませんか!
すべての労働者・学生・市民の皆さん!
政府・文部省の激烈な攻撃にさらされている教育労働者たちと連帯してたたかおう! そして、既成指導部の腐敗を弾劾し、「ガイドライン関連法制定阻止! 日の丸・君が代法制化阻止!」の一大闘争をすべての戦線で巻き起こそうではありませんか!
|