第41回国際反戦集会海外アピール

第41回国際反戦集会実行委員会
(全学連/反戦青年委員会/革共同・革マル派)


〈ブッシュの戦争〉を阻止せよ!

 一つのウォーモンガーが中東とその周辺を蹂躙しはじめている――軍国主義帝国アメリカというモンガーが。RMA(軍事技術革命)によって軍事力をハイテク化し、全世界を制覇しうると観念しているブッシュ政権は、十七世紀のホッブズ気どりになって、自国を「リヴァイアサン」と妄想している。今日の世界を構成している主権国家の存在を無視したうえで、世界を「万人の万人にたいする闘争場」とみなし、もってアメリカ国家のユニラテラリズムを軍事的に貫徹しようとしている。
 じっさい、イラクの人民の頭上にバンカーバスター・MOAB・クラスター爆弾・劣化ウラン弾などの悪魔の兵器を撃ちこんだのは、このウォーモンガーなのである。全世界労働者人民による「イラク攻撃反対」のデモ津波が地球を四周したにもかかわらず、国連決議を無視して連合軍はイラクに先制攻撃をかけた。ブッシュ・ドクトリン(先制攻撃戦略)にもとづいて敢行されたイラク爆撃は、イラクの数多の兵士を民を殺戮しイラクの全国各地を破壊した。
 それだけではない。「戦争の大義」としてもちだされた「大量破壊兵器」は未だに発見されてはいない。サダム・フセインも息子であるウダイもクサイも「刈りとる」(ラムズフェルド)ことができていない。休戦協定を結ぶべき敵のすべては、サダムの軍隊とともに地下に潜ってしまった。ブッシュが五月一日に「戦闘終結宣言」を発する儀式をおこなったのだとはいえ、いまなお、いや今後ますます反米・反占領のゲリラ戦は激化していくにちがいない。

危機にたつイラク軍政

 米英主導の連合国軍が占領統治しているイラク全土において、いまイラク人民による反米・反占領のゲリラ戦が噴出している。
 反米ジハードへの決起を訴える檄文がイラク人民に配布され彼らを鼓舞している。「米軍は解放者ではない。聖戦(ジハード)の時だ!」――バグダッドでは、連合軍暫定当局(CPA)にたいして数千人の旧イラク軍兵士が反米デモを敢行した。地下に潜ったサダム親衛隊がイラク各地で占領軍にたいするゲリラ攻撃を勇猛果敢にしかけている。
 CPA代表のブレマーは、無能なORHAのガーナーを葬って、イラクの宗教各派、各民族・部族の代表に約束していた「国民議会」の設置を反古にし、「イラク暫定行政機構(IIA)」の発足を棚上げすることを傲然と宣言した(六月一日)。これは、連合軍によるイラク占領政策の破産をしめすとともに、米軍による占領統治を半永久化せざるをえないはめに追いこまれたことを意味する。見よ! 国防長官ラムズフェルドの焦燥を!
 じっさい米軍は、六月九日以降、イラク北部・西部のスンナ派三角地帯で、「ゲリラ掃討」の名のもとに「砂漠のサソリ作戦」を発令し、空爆と特殊部隊による攻撃を開始した。さらに、六月二十九日には「砂漠のガラガラヘビ」作戦をイラク全土において開始した。この凄惨なゲリラ掃討戦の強行は、イラク人民の反米・憎米感情をよりいっそうかきたてている。
 いま、イラク全土は日増しに〈パレスチナ化〉の様相を色濃くし、イラクが〈アフガン化〉するのも時間の問題である。
 そればかりではない。ヨルダンのアカバの「和平合意」(六月四日)の茶番は、シャロン政権によるパレスチナ攻撃と、ハマス・イスラム聖戦・アルアクサ殉教旅団による反撃によってもろくも潰えさった。とはいえ、六月二十九日には、ガザ北部からのイスラエル軍撤退を条件にして、三ヵ月の「休戦」という空約束がなされはした。
 占領イラクとイスラエルを拠点にしてアラブ・中洋諸国に「民主主義を輸出」しアメリカのいいなりの国家につくりかえる――このようなブッシュ政権の「中東民主化」の野望は、風前の灯火と化している。「イラクの大量破壊兵器にかんする報告書」が完全にデッチあげであり、CIA報告をブッシュ政権内タカ派がつぶしたことを、東部エスタブリッシュメントの意を受けた民主党が暴露しはじめた。これは、来年から始まる大統領選挙の前哨戦にほかならず、父ブッシュと同様にジュニアもまた、アメリカ経済のデフレ傾向の進行ともあいまって、同じ憂き目にあうであろうことを暗示している。
 イラク軍政を脅かすであろうイラン・シーア派を封じこめるために、アメリカ帝国主義は、ロシアの援助のもとで建設されているイラン原発の問題をめぐって、シーア派イランを主要打撃対象の一つに加えている。すなわち、イラン国内のCIAの手先を使って、「イラン民主化」運動を人為的につくりだしている。それとともに「悪の枢軸」の一角とみなす北朝鮮にたいしても、核開発問題について、日本帝国主義および韓国に、アメリカ権力者は制裁をたきつけてもいる。こうした状況のもとにおいて、アメリカ権力者は、イラク侵略のためにつくりだした「友邦同盟」の拡大強化に大童となっている。
 アメリカが「自国にとって悪」とみなした諸国を先制的に攻撃することを是認する諸国を中心にして、既存の国連とは別個に、「友邦同盟」を軸に第二国連をつくりだそうとしている。

ハーケンクロイツ同盟への飛躍

 銃声轟く戦場の地イラクに自国の地上部隊(自衛隊)をなんとしても送りこもうとしているのが、わが日本帝国主義の政府・支配階級だ。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(歩兵部隊をよこせ)」というブッシュ政権からの強い要求にこたえて、小泉政権はイラクを軍事占領する連合国軍の一角に馳せ参じようとしている。
 日米両権力者は日米首脳会談において「世界のなかの安保同盟」を相互に確認し合った(五月二十二日)。小泉はブレアなみに扱われブッシュとともにCIAからの情報報告を受けた。ここに米・英・日のハーケンクロイツ同盟は実質上結成されたというべきである。「全世界に死と暴力を輸出し続ける」と豪語するネオ・ヒトラー=ブッシュと心中する道を小泉は選びとった。まさしくこのゆえに小泉は、イラクへの地上部隊の派遣を誓約した。
 すでに、小泉政権は、日本国憲法第九条(戦争放棄と戦力不保持を謳った)そのものには手をつけることなく、武力攻撃法(国内弾圧をも可能とするもの)を強行的に制定した(六月六日)。しかも、日米軍事同盟を絶対的基礎として、小泉政権は、日本国憲法の改定をも射程に入れながら、戦争を遂行しうる「普通の国」に飛躍しようとしているのである。
 さらに、ブッシュ政権の先兵となった小泉政権は、「大量破壊兵器の拡散阻止」を大義名分にして北朝鮮にたいする「圧力」=制裁策動をいっそう強化している。彼らは「北朝鮮は暴力団と同じだ」(安倍官房副長官)となじり、民族排外主義を狂乱的に鼓吹している。これをもテコとして、日本の港に寄港する北朝鮮の船にたいしては「臨検」を強硬に実施しようとしている。あまつさえ、「テロ国家支援団体」とみなした在日朝鮮人団体にたいしては悪辣極まりない治安弾圧をしかけている。

暗黒の21世紀への転換

 一超軍国主義帝国アメリカが強行したイラク侵略戦争は「暗黒の二十一世紀」を約束しているものいがいの何ものでもない。
 われわれは、イラク侵略戦争の終結に際して、次のように宣言した。
「現代世界史の結節点的転換をなすのは、もちろん一九九一年〔ソ連邦崩壊〕であって、九一年以降のいわゆる新しい東西冷戦構造は、九九年の国連決議とは無関係に強行されたコソボ・ユーゴ空爆への過渡期にある世界の構造を端的にあらわしたものにほかならない。このユーゴ空爆を現代世界史の本質的な転換点であるとわれわれは規定した。この転換を背景にして、国連決議をぬきにして強行されたアフガニスタン空爆は、現代史の現実的転換として意義をもつ。さらに〇三年三月十九日には、国連決議の採択をソデにし、お仲間同盟=有志連合にもとづいてイラク侵略戦争は強行されたのであった。これが現代史の現実的転換の第二幕であるといえる。」(「ブッシュの戦争――イラク侵略戦争の意味と世界制覇の野望」本紙第一七七四号掲載)
 ブッシュが強行したイラク侵略戦争は、アメリカの軍事力が先進諸国の軍事力に比して二十年も先んじていることをしめした。このRMA(軍事技術革命)によって達成した「比類なき軍事力」を行使したイラク侵略戦争は、爆撃機にのったキリスト教≠ェ小火器のイスラームを攻撃するというイデオロギー的性格をもっている。ブッシュは自国の核軍事力を強化するために小型核兵器の製造とMDシステムの開発・配備に突進している。まさに二十一世紀の戦争は、圧倒的な軍事力の格差を背景にし、かつキリスト教対イスラーム教という宗教的・イデオロギー的対立にもとづくハイテク宗教戦争としての性格をもっている。
 「先制攻撃」戦略にもとづいて米英連合軍が強行したイラク空爆=占領は、直接には中東世界の「民主化」=西毒化の発端であるが、しかし同時に暗黒の二十一世紀を開くものにほかならない。
 フランス・ドイツ・ロシアそして中国の権力者たちはユニラテラリズムの軍事的貫徹に反対し、多国間の調整機関としての使命を果たしてきた国連を弥縫しようとしている。だが、これらの「古い欧州」(ラムズフェルドの烙印)は、一超アメリカの軍事力に太刀打ちできないがゆえに、当面はAU(アフリカ連合)やアジア諸国や南米諸国をアンチ・ハーケンクロイツ同盟のもとに結集しようとしている。
 一九九〇年代の新しい東西冷戦構造は、アメリカを先頭とするハーケンクロイツ同盟と、これに対抗する独仏露連合の二極を動因とする二十一世紀の初頭の世界に転換した。イラク侵略戦争に象徴されるように、二十一世紀は暗黒の世界となるであろう。もしも、今日まで続いている脱イデオロギー状況が打破されないならば、なかんずく先進国における労働者階級が体制内化している現状を打破しないならば、二十一世紀はウォーモンガー=アメリカの傲慢な振るまいを許すことになるであろう。だが、かかる事態をわれわれは絶対に許してはならない。

国際反戦闘争の炎を燃やせ!

 全世界の労働者人民よ! アメリカの暴虐に抗してたたかう全世界のムスリム人民よ! 現代の怪物たるアメリカによる世界制覇の野望をうち砕くために、今こそ断固として奮闘しよう!
 アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争を阻止するために地球を四周するほどの反戦のデモ津波が全世界の労働者人民によって組織された。けれども、この闘いは全世界的な高揚にもかかわらず、敗北を余儀なくされた。われわれがのりこえるべき現実はこれだ。
 日本の反対運動の指導部を今なお自称している日本共産党の指導部は、国連を無視して強行されたイラクの破壊、この破壊されたイラクの復興にかんして、「国連のもとでのイラク復興」を唱えている。しかも、侵略者米英を主体に加えたところの「国連主体の復興」を要求するとはどういうことなのだ。これこそは、ブッシュと同じように気がふれていることの証左でなくしてなんであろう。
 彼らは、ブッシュの戦争を「無法な戦争」と非難する。裏を返せば「国連憲章の原則」にもとづく戦争を彼らは肯定しているのだ。実際彼らは、日本帝国主義国家の暴力装置たる自衛隊の存続を認め、その自衛隊の有事における活用をも認めるにいたった。それは、「自衛のための戦争」については肯定するという態度にもとづく。それは彼らが「軍事力による平和」という帝国主義者と同様の思想≠ノ染まりきっていることを自己暴露するものいがいのなにものでもない。このことは資本主義の枠内での改革を自己目的化してきた彼らの基本路線の必然的帰結である。
 
 全世界の兄弟たちよ! わが日本の労働者・学生は、このような既成指導部の腐敗と闘いの歪曲をのりこえるために日夜たたかいぬいている。帝国主義ブルジョアジーに奉仕する「連合」指導部による闘争破壊に抗して、既成の労組のナショナルセンターの枠をこえて反戦の共同行動を創造している労働者と学生の団結を強化するために奮闘している。
 今日の先進国の労働者階級は、自国のブルジョア政府と資本家階級に屈服している。開戦前には、自国の戦争政策に反対したアメリカAFL―CIO指導部やイギリスの全英労評指導部も、開始された侵略戦争には断固賛成の立場をとった。これは裏切りの見本ではないか。
 既成労働運動指導部は、各国の支配階級の鼓吹するナショナリズムに呑み込まれ、下部労働者にも戦争を翼賛することを強制した。この屈辱的な事態を先進国の労働者階級はうち破るために奮闘すべきである。
 われわれは、アメリカのAFL―CIOスウィニー指導部の戦争翼賛を弾劾し、反戦闘争を職場深部からねばり強く創造しているアメリカのたたかう労働者と連帯してたたかう決意を表明する。
 われわれは、ヤンキー帝国主義をはじめとする各国帝国主義権力者どもの鼓吹する「テロ根絶」の悪辣なキャンペーンを断じて許さない。アメリカ帝国主義の暴虐に抗してたたかうムスリム人民の闘いに心からの連帯を表明する。イラク人民は、米英占領軍をたたきだすために反米・反占領闘争の炎を燃やせ!「反米・反シオニズム」の旗を高く掲げて対イスラエル抵抗闘争をたたかうパレスチナ人民よ! イスラミック・インター-ナショナリズムにもとづく闘争を組織せよ! アラブ人民は、アメリカ帝国主義に屈服する自国政府を弾劾し、たたかうイラク・パレスチナ人民を支援せよ!

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