第1609号(2000年3月6日)本号の内容



<1面>
一切の裏切りを許さず春闘を闘いぬけ
「雇用最優先春闘」を名目に春闘を放棄する
「連合」労働貴族を弾劾せよ

<4面〜5面>
「連合」式「救国」産報運動をうち砕け

<2面>
日出生台演習阻止に起つ
――2・3、1・30 九共闘
米艦の民間港寄港阻止に決起
――2・3小樽港、2・5鹿児島港
警察権力の腐敗と抗争を暴く (2)
犯罪者集団$_奈川県警


<6面>
JMIU指導部の歪曲を許さず春闘の爆発を
Topics 「日経連の主張と9割同じ」!?

<7面>
ロシア・プーチン政権のジレンマ

<8面>
『ターミノロジー』についての疑問 (下)
胸打つ若き黒田の苦悩
 ――「新しい人間の探求」を読んで

<3面>
万華鏡2000――情勢の断層を読む
裸の王様
真面目長屋政談
アブナイ奴
「仁儀なき戦い」
「胎動」も消えて
週間日誌<世界の動き・日本の動き>


「解放」最新号


  

一切の裏切りを許さず春闘を闘いぬけ
「雇用最優先春闘」を名目に春闘を放棄する「連合」労働貴族を弾劾せよ

 「連合」および「全労連」傘下の諸労働組合の内部において、労組指導部の支配・統制と闘争圧殺をはねのけつつ、今二〇〇〇年春闘の戦闘的推進のために奮闘しているすべてのたたかう労働者諸君!
 IMF・JC(金属労協)の「集中回答指定日」(三月十五日)を目前にして、今春闘はきわめて危機的な様相を呈しているといわなければならない。九年間におよぶ長期大不況の泥沼におちいっている日本経済は、今年になって東京株式市場の平均株価が一時期二万円の大台を突破したとか(二月上旬)、「在庫循環」の指標が――諸企業の「生産活動は緩やかな上昇傾向にある」(通産省発表)ことからして――いよいよ「積み増し局面」に突入したとかと称されているように、緩やかに景気が上向きつつあるかにみえる。だが、経済企画庁の発表によれば、九九年十―十二月期のGDP成長率のマイナス成長は確実とみられ、九九年度の実質国内総生産(GDP)の政府見通し=「〇・六%成長」の達成などはほぼ絶望的な状態である、という観測が大勢を占めつつある。(負債総額一千万円以上の今年一月の企業倒産件数は、前年同月比四三・七%増の一四四一件で三ヵ月連続で前年同月を上回った。)
 このような日本経済の現局面のなかで諸独占体の資本家どもは、「企業の再構築・体質改善(リストラ)の徹底に努めることが肝要である」(日経連『労問研報告』)などと傲然と言い放ちながら、自企業の生き残りをかけて賃金切り下げと過酷な労働強化と大量人員削減=首切りを労働者に強制しているのだ。日産の「ゴーン・リストラ」をはじめとする独占資本家どもの数々の悪行に、それは端的にしめされているではないか! 実際、リストラの名による大量首切りの進行のゆえに、総務庁が発表した昨九九年の労働力調査においてさえも、「完全失業率」はそれじたい史上最悪であった九八年を〇・六%も上回り、四・七%を記録しているのだ。この数値は、完全失業者数にして前年より実に三八万人も増加し、総数にして三一七万人にものぼるのである。(ちなみにいわゆる有効求人倍率も〇・四八倍に低迷している。)
 ところが、この独占ブルジョアジーの悪辣きわまりない攻撃をまえにしながら、鷲尾・笹森らの「連合」指導部は、早ばやと腰砕けになっているのだ。彼らは、日経連『労問研報告』にたいして・その「九割くらいが連合の主張と変わりない」などとうそぶき賛同しつつ、リストラの大攻勢に全面的に協力してさえいるではないか。事実、「連合」指導部は、「失業率を二%に減らす政策をうってくれるなら、一%のベアを遠慮してもいい」などというように、資本家どもの賃下げ・大量人員削減攻撃に総屈服しながら協力を誓ってさえいる、といわなければならない。
 各産別・各労組の内部でたたかう革命的・戦闘的労働者は、このような「連合」労働貴族どもの資本家どもへの総屈服を断固として弾劾し、かつまた「全労連」の日共系ダラ幹どもによる衆院選カンパニアへの春闘の流しこみ=議会主義的歪曲をのりこえ、今春闘を最後まで戦闘的にたたかいぬくのでなければならない。
Top

  

警察権力の腐敗と抗争を暴く (2)
犯罪者集団$_奈川県警

暴行、窃盗、ゆすり、痴漢、覚醒剤……そしてもみ消し

 昨年九月から神奈川県警の「不祥事」として、ブルジョア・マスコミに相次いで暴露されたものは、およそ次のようなものであった。
 まず九月二日に、厚木警察署警ら隊員の集団リンチ事件(九九年三月から七月)が、翌三日に、相模原南警察署員による証拠品の無断持ち出しという事件(九八年十一月)が大々的に暴露された。集団リンチ事件は、ピストルを眉間に突きつけたり、体毛をライターで燃やすというものであり、また、相模原南警察署員の証拠物持ち出し事件は、その証拠物たる暴力団員とのカラミ≠撮ったネガフィルムを使って女子大生を脅迫していたという、悪質極まりないものであった。
 その後もさらに暴力団への捜査員名簿の流出事件、警察署員の警察手帳の紛失事件の暴露がつづき、痴漢(加賀町警察署)、万引き(緑警察署)、暴行(川崎警察署・藤沢警察署)、買春(座間警察署)、セクハラ(県警捜査一課)などが、次々と暴露された。こうした神奈川県警の「不祥事」の連続的暴露によって、県警本部長・深山が、ついに、辞任に追いこまれたのである(九月十六日)。
 しかし、暴露はこれに止まらなかった。週刊誌などにおいて、九七年七月保土ヶ谷署管内での交通事故処理のサボタージュによる被害者の見殺しという事態が、その隠蔽工作とともに暴露され、同年十一月の戸部警察署取調べ室での容疑者の短銃による自殺℃膜盾ェ「警官が撃ち殺したのでは?」というかたちで暴露された。これらは、いずれも死者を出している重大事件であるが、事件当時の県警本部長は深山ではなく、その前任の石川重明(現警察庁官房長)なのである。
 そしてさらに深山の辞任表明の六日後に、九六年十二月の県警外事課の警部補による覚醒剤の使用と、この警部補が覚醒剤の使用を認める上申書を提出していたことが暴露された。これによって、この事件発生当時(九六年)の県警本部長・渡辺泉郎をはじめとする県警ぐるみの隠蔽工作の実態が、暴きだされたのである。
 このような「不祥事」が暴露され、その大半は犯罪そのものであり、しかもそのうち捜査資料を盗みだしての脅迫や、覚醒剤事件のもみ消しなどは、警察の職権乱用による極めて悪質なものである。このことをマスコミから警察の「組織犯罪」とまで書きたてられたことによって、さすがに警察庁も、あらためて刑事責任の追及にのりださざるをえなくなった。十月以降、厚木警察署警ら隊員のリンチ事件では、暴行をおこなったとされる元分隊長らが暴行罪で、また、相模原南警察署員の事件では元巡査長が窃盗罪で、それぞれ逮捕された(その後起訴)。そして、県警外事課警察官の覚醒剤事件では、元警部補が覚せい剤取締法違反で逮捕(十一月四日)され、犯人隠避罪や証拠湮滅罪などの容疑で元本部長・渡辺泉郎ら当時の県警幹部九人が、書類送検(十一月十四日)された(五人が起訴)のであった。
 それだけではない。これらの「不祥事」の責任をとらされるかたちで、多くの警察官僚が「辞任」し、また更迭された。警察庁によって深山本部長ら四名の県警幹部が懲戒処分(九月九日)とされ、「覚醒剤もみ消し」にかかわったとされる当時の県警幹部五人を含む二十三名が懲戒免職・停職・減給などの処分となった(十二月十日)のである。

ターゲットは警備・公安人脈

 このように神奈川県警の「不祥事」の暴露は、県警が組織ぐるみで「不祥事」の隠蔽工作をやっていたというその実態そのものが、ブルジョア・マスコミによっても大々的に暴露されたというところに特徴がある。それはいったいいかにしてか?
 神奈川県警の「不祥事」なるものの暴露の発端は、昨年八月の末に、時事通信社に送られてきた「神奈川県警の不祥事とその処分一覧」という「リスト」であった(シリーズ第一回・資料参照)。それは、「平成五年」の暴力団への捜査員名簿流出事件の暴露から、直近の「平成十一年七月」の厚木警察署警ら隊員による集団暴行事件まで、およそ十二件にわたる県警の「警察官の不祥事とその処分」を一覧表にしたものであり、その内容はこれを送りつけてきた者の正体を浮かびあがらせている。
 すなわち、この「一覧」を作成し送りつけた者は、県警本部や各警察署の十二件に及ぶ「不祥事」を、すべて掌握できる立場にいる。それどころか県警幹部が内部で秘かに「処分」し、ことを収めようとしたということまでもその「処分」の内容とともに知りうる立場にいることは明らかなのだ。したがってこのリークは、警察権力の内部、それも上層部からのものであることはまちがいない。
 しかもこの「リスト」は、「不祥事」のすべてではなく、特定の時期のものに限られており、特定の実体がかかわるものにしぼられている。ということは、「不祥事」のもみ消しをやったりした当時および現在の神奈川県警の幹部と、それを事実上承認した警察庁の特定の幹部の責任が問題となるように仕向けられているのだ。
 実際、神奈川県警の「不祥事」なるものの暴露は、実に的確であり巧妙である。暴露を仕掛けた者は、まずは厚木警察署警ら隊員の集団暴行事件をマスコミにリークした。そして、県警幹部が、自己保身から誤魔化しの記者会見をやったりすると、今度は別の「不祥事」を連続的にリークし、言い逃れできないように新たな「事実」をも暴露したのだ。そして追い詰められた県警幹部どもが、本部長・深山の辞任によって事態の収拾をはかろうとするや、「覚醒剤使用もみ消し」事件という大事件を暴露する、という具合なのである。このように、神奈川県警の「不祥事」を暴露した者は、明らかに県警幹部どもの記者会見や捜査の情況を掌握し、その出方を見計らいながら、的確なリークとマスコミ操作をやっている。こうして、神奈川県警の歴代の本部長・幹部どもの首を一気に吹き飛ばしたのである。

 一九八六年の日共国際部長(当時)緒方宅の電話盗聴事件における神奈川県警警備部の組織的関与の暴露ともみ消し工作。さらに、一九八九年のオウム真理教対策にかかわっていた弁護士・坂本堤一家殺害事件における神奈川県警の事件捜査の意図的遅延とその隠蔽。これらは、謀略的手段を駆使するところの警備・公安警察の人脈が神奈川県警内部につくられ脈々とうけ継がれていることの、ほんの一端があらわとなったものである。今回の「不祥事」暴露と刑事責任の追及、さらに処分によって、警備・公安人脈主導の神奈川県警のヒエラルヒーが打ち壊されることはまちがいない。だが、事態はそこにとどまりはしないし、暴露した者どもの狙いも、より深いところにあるにちがいないのだ。
(つづく)
Top

  

「仁儀なき戦い
「知りすぎたスパイ」の宿命

 二月九日、十二時二十分ごろ、神奈川県のJR東海道線真鶴駅ホーム上で、男女二人が三人組の男たちに刃物で刺されるという事件が起きた。目撃者の言によれば、伊東発東京行きの電車が真鶴駅到着直前に三人組が二人に襲いかかり、同駅ホーム上で刺したという。血まみれとなった二人が停車中の電車に飛びこんだが、襲撃者はなおもドアが閉まる直前まで、追いすがるように女の背中を刺していたという。
 男は右胸を刺され動脈切断で失血死、女も背中や腹を刺されて重傷。刃物を使っていることから、一見ヤクザの抗争であるかのように見えたこの事件の被害者は、なんと柿沼忠(四十八歳)と後藤あざみ(四十四歳)という青解派残党・千木良派の残存活動家。このことからマスコミは、「『革労協』オヤジ革命家の仁義なき内ゲバ」(『フォーカス』)「暴力団の抗争と何らかわらない。中年革命戦士哀れ」(『週刊文春』)とかと、ことさらに書きたてている。
 ところで、この事件よりまえの二月五日に、警察官むけの月刊誌『治安フォーラム』三月号が発行された。同誌に掲載された「泥沼化した革労協狭間派の抗争」と題する「論文」では、次のようなことが書かれていた。すなわち、現在の青解派両派の抗争をヤクザの抗争になぞらえて、対立の原因は病気で力の衰えた「親分(狭間嘉明)」を見限った「代貸(山田茂樹)」と古参連中の「跡目争い」「縄張り争い」にあり、「過激派は社会の敵と嫌われる暴力団と同じ」と結論づけているのだ。
 今回のヤクザまがいの刃物での襲撃事件は、あたかもこの主張を実証≠キるかのようであり、マスコミも「暴力団と同じ」とキャンペーンしている。これはあまりにできすぎではないか。今回の事件は、「革労協の内部抗争」などという単純なものではないようだ。
 じっさい、襲撃者は、多くの乗客が注視していることなど意に介さず凶行におよんでおり、刺したあと改札を通り、駅ロータリーにある交番の前をマスク姿の異様な風体のまま平然と歩いて立ち去っている。このような振る舞いからしても、襲撃者は、警察に逮捕されることなどないことを確信していると思われる。
 他方、襲われた柿沼と後藤はといえば、かつて一九七〇―八〇年代に権力の謀略を社会的に隠蔽するために青解派内につくられていた「軍」(謀略追認のためのアリバイ軍)の一員であった。つまり彼らは、謀略部隊が実行した殺人襲撃や「ゲリラ」を青解派が実行したかのように見せかけるために、「犯人」として「指名手配」に供されたイケニエ分子であった。その意味で、この二人は権力内謀略グループにとっては、謀略の実態を知りすぎたスパイとして、謀略の歴史とともに抹殺すべき対象であったといえる。
 となれば、襲撃者が何者であり、何を狙っているのかは、言うまでもないだろう。もはや、刃物まで使用することによって「左翼の内々ゲバ」という仮象をとることもせずに強行された今回の襲撃事件。その狙いは、「知り過ぎたスパイを消す」ということにある。
 飼い主に抹殺処分≠ウれる恐怖にさいなまれている青解両派を、一刻も早く楽にしてやるべきだろう。
Top

  

大リストラ=賃下げ・首切り攻撃粉砕!
「連合」式「救国」産報運動をうち砕け

 大リストラの嵐のなかで迎える今二〇〇〇年春闘を、「連合」や「全労連」の既成労組指導部は、たたかうまえから敗北へと導こうとしている。いや、この春闘をつうじて、日本労働運動を独占資本家どもに奉仕する「救国」産報運動そのものへと丸ごと変質させ、もはや労働組合運動とさえいえないようなものへとつくりかえようとしているのが、「連合」中央を牛耳る労働貴族どもなのだ。
 われわれは、このような既成労組指導部の腐敗と対決し、本二〇〇〇年春闘を戦闘的に高揚させるためにたたかわなければならない。それと同時に、そのただなかにおいて、こうした「連合」指導部・労働貴族の労働運動路線およびイデオロギーの反労働者的腐敗を完膚なきまでに暴きだすイデオロギー的=組織的闘いを強力かつ柔軟に展開しなければならない。
Top