第1617号(2000年5月1日)本号の内容
<1面>
4・29国会包囲闘争に起て!
<4面〜5面>
白井朗を完全捕捉、自己批判をかちとる
自白する元ブクロ派政治局員
<2面>
「NLP反対!」 防衛庁前座り込みを貫徹 4・13
関西反戦集会弾圧事件 国賠控訴審で勝訴
中核派が自称「警察応援団」を招待
警察権力の腐敗と抗争を暴く(6)
追い落としのために「不祥事」をリーク
<6面>
JR東・大塚新経営陣の労組破壊攻撃を打ち砕け
NTT労働貴族の〈賃下げ〉妥結弾劾
7面:わが党員は労働組合の内部でいかに闘うべきか
Topics これが「雇用延長」!?
<8面>
シリーズわが革命的反戦闘争の歴史(28)
72年3―4月沖縄全軍労無期限スト(下)
<3面>
万華鏡2000――情勢の断層を読む
エゴロジストの論理
「ユダヤ商法」
葬送の狂演
「陽春の中の厳冬」
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号
4・29国会包囲闘争に起て! 憲法改悪阻止!「教育基本法」改悪反対! 森政権の一大反動攻撃を粉砕せよ 小渕に代ってタナボタで首相の座についた森喜朗の<自公保>連立政権は、発足後わずか十日目にして重大な難局に直面し無能ぶりをさらけだしている。四月十四日、ハイテク銘柄の多いアメリカの店頭株式市場(ナスダック)およびニューヨーク株式市場の株価が史上最大の下げ幅の暴落を記録した。このITバブルの崩壊≠ノ連動して、翌週には日本・アジア・欧州の株価が一斉に急落したのであった。 ところが、折りから開催されたG7(先進七ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議)では、共同声明においてこのNY株急落には一言も言及しなかった。とはいえ、表面上で「アメリカ経済の強さ」を空疎に強調したのだとしても、G7の権力者どもは、アメリカのバブル経済の一挙的崩壊・ドル暴落をくいとめるために、アメリカへの資金循環構造を維持することを眼目にして、再び日本にたいするゼロ金利の維持と景気対策の続行を求めたのである。まさに日本の政府・通貨当局は、常日頃からアメリカ金融独占体の対日攻勢(日本市場ののっとり)に苛だち嫌米・忌米∴モ識をかきたてられているにもかかわらず、このG7ではアメリカのバブル経済のクラッシュ(ハードランディング)をくいとめることを第一義とする対応策に協調姿勢をとることを国際公約させられたのだ。景気対策のための財政支出の続行によって財政赤字がますます拡大するにもかかわらず。というのも、アメリカ・バブル経済の一挙的崩壊が露わとなるならば、必然的にドル暴落―国際金融恐慌の勃発へと連動し、「集中治療室(ICU)から一般病棟に移った」ばかりの段階と日銀当局者じしんが見なしている日本帝国主義経済が 再び大不況の泥沼につきおとされるのは確かであるからだ。 日本の政府・支配階級にとっては、日本経済を再び泥沼的危機にひきずりこみかねない事態の勃発に象徴される内憂外患の深まりこそは、小沢一郎流に言えば「時代閉塞状況」にちがいない。まさに、このままでは二十一世紀には日本帝国主義国家が三流国≠ノ落ちぶれかねないという焦燥感をばねにして、ネオ国家主義者主導の森<自公保>連立政権は、危機のりきりの強硬策にうって出ようとしているのだ。中国(北朝鮮)の封じこめを狙っての日米共同の戦争遂行体制づくり、国内における強権的=軍事的支配体制の再強化と教育のネオ・ファシズム的再編、長期不況にあえぐ独占資本の救済策=リストラ促進策の遂行、社会保障諸制度の大改悪。これらの諸攻撃に突進しているのが森政権なのである。 ところが、きたる総選挙に際しては経済的失政と警察不祥事≠ノたいする労働者人民の反発に期待して反自民票のおこぼれにあずかることができるかもしれないという目先の展望≠ノ小躍りしているのが、日共・不破指導部なのである。われわれは、総選挙に埋没し一切の闘いを議会主義的に歪曲する社共既成指導部をのりこえて、反戦・反安保、憲法改悪阻止、教育のネオ・ファシズム的再編反対、会社分割法=リストラ促進法制定反対の闘いを強力に推進するのでなければならない。すべての労働者・学生は4・29労学統一行動に総決起せよ。 |
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警察権力の腐敗と抗争を暴く(6) 追い落としのために「不祥事」をリーク 警察官僚どもの激烈な抗争 昨年九月以降の神奈川県警を発端にした一連の「警察不祥事の暴露」は、こんにち権力内抗争の手段としての様相をより一層あらわにしつつある。 新潟県警による「交通違反もみ消し摘発」劇――「反自自公」の急先鋒であった自民党加藤派代議士・白川勝彦を狙い撃ちにした暴露。それは、「自自公」連立政権を支えてきた自民党政治エリート主流と公明党による、加藤派つぶしのための政治的な暴露以外のなにものでもない。いやそもそも、このかんの「警察不祥事」の暴露は、政治エリート間の抗争とも結びついた警察官僚どもの抗争とからみ、特定の警察官僚を追い落とすためにこそなされたといっても過言ではないのだ。 本年一月における当時の警察庁長官・関口の神奈川県警不祥事の責任をとらされての辞任と、これにともなう警察庁の人事移動こそは、一連の「不祥事暴露」の背後に隠された警察権力の実体的再編とそれをめぐる権力者内部の暗闇の構図を如実に示すものにほかならない。 警察庁長官への道を断たれた官房長・石川重明 第十七代警察庁長官であった関口祐弘は、天下周知の神奈川県警をはじめとする「警察不祥事」の責任をとらされて、辞任に追いこまれた(一月六日)。そして五日後の十一日に警察庁次長であった田中節夫が新たな長官に就任した。次長であった田中が長官に就任したのは、警察庁人事としては普通≠フことではある。ところが、この田中の後の次長人事は、極めて異例のものとなったのである。 従来の警察庁の人事の慣行からするならば、警察庁の次長ポストには、同庁のナンバー3のポストである警察庁官房長が順送りで就くのが常であるが、警察庁官房長・石川重明は留任となり、この石川を飛び越して、大阪府警本部長であった佐藤英彦が次長に就任したのだ。官僚の人事は年次によって決められており、年次の同じものが官僚のトップたる事務次官(警察庁の場合は長官)となることはない。したがって年次が同じ(一九六八年入庁)佐藤と石川が、ともに長官のポストに就くということはありえない。石川が次長そして警察庁長官になる道は断たれたのである。 周知のようにこの石川重明という男は、一九九七年一月から九八年八月まで神奈川県警本部長を務め、神奈川県警ぐるみの数多の悪業の一部に関与していることが一部のマスコミで暴露されていた(本紙第一六〇九号、シリーズ第二回参照)。今回石川が次長になれなかったのは、この「神奈川県警不祥事」のゆえであることは、いうまでもない。 いやそもそも、一連の神奈川県警の「不祥事」の暴露は、警備・公安系列の警察官僚のトップとして生き残っていた石川重明を本命のターゲットとするものであったといっても過言ではない。まさしくそれは、日本の公安警察人脈を解体することを狙ったものにほかならないのだ。 警備・公安人脈の追い落とし 実際、昨年九月十六日、本部長・深山健男の辞任表明の直後に暴露された、神奈川県警外事課員の覚醒剤使用事件で、警視庁公安部長を務めたことのある警備・公安人脈の一人たる元県警本部長・渡辺泉郎(もとお)が起訴され、渡辺のもとにいた当時の神奈川県警の幹部どもが軒並み懲戒処分されるという事態へと突き進んだ。それだけでなく渡辺の後任であり深山の前任である石川重明に王手≠ェかけられていたのである。〔詳しくは、本紙第一六〇九号の本シリーズ第二回参照〕 しかも、一月十一日付の警察庁人事において、警察庁交通局長・玉造敏夫と、中国管区警察局長・吉原丈司の二名が辞職させられている。辞職した両名とも、石川重明とともに警備・公安人脈につらなる警察官僚であった。とりわけ吉原は、一九八五年の日共国際部長・緒方宅盗聴事件当時の神奈川県警警備部長であり、この盗聴の統括責任者であった。このように、ここでも警備・公安人脈が追い落とされているのだ。 そしてまた、その反面において、石川官房長を飛び越して次長(=次期長官)となった佐藤英彦は、「狙撃された」元警察庁長官・国松孝次の直系であり刑事警察のスペシャリスト≠ニいわれている。佐藤は、九六年十二月から九九年一月まで警察庁刑事局長を務め、盗聴法を柱とする組織犯罪対策法の策定のために警察権力の側の内部で論陣を張り、こんにち目論まれている刑事訴訟法の反動的改悪についても警察サイドからの道筋をつけてきた男なのである。 このように、「警察不祥事」を内部からあえてリークしたりしながら特定の警察官僚を追い落とすという形で展開されている警察権力内の抗争は、警察庁長官・田中―次長・佐藤―刑事局長・林則清ら、いわゆる「刑事畑」の優位≠ナますます激烈化しつつある。そしてこのような警察権力内の抗争がくりひろげられているもとで今すすめられている「警察改革」なるものは、「極悪の犯罪者組織」と言ってもけっして過言ではない日本警察の体質には基本的に手をつけないまま、刑事警察を国家治安の維持のためによりいっそう機能するものとして再編しようとするものにほかならない。 こうして、警察官僚どもの抗争は国内治安政策をめぐる政治エリート内の抗争ともからみ・結びつきながら、ますます激烈化していくにちがいないのである。 |
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「陽春の中の厳冬」 「犯罪を生み出したわけじゃない」(!?) 「陽春の中の厳冬」――これは、警察官むけの雑誌『警察時報』五月号の「ジャストナウ」と銘打った「巻頭言」の表題。内容はもちろん「警察不祥事」について。「陽春」の暖かい日和りになっても心の中は罪の意識≠ナ「厳冬」のまま、ということ――なわきゃないわな。その正反対で、もういいかげん心は「陽春」といきたいのに、世間の眼がまだ「厳冬」ということ。反省がない≠ネんていうなまやさしいもんじゃない。内輪≠フ気楽さもあってか、始めから終りまで、これすべて居直り。警察官僚どもが公にはとても言えないことを言いたい放題というシロモノ。 曰く、前関東管区警察局長・中田や前新潟県警本部長・小林らの温泉ホテルでの宴会や賭け麻雀の物見遊山は、「『官公庁執務時間』をはずれた時間帯の懇親」であり、「異常な長期監禁事件を生み出した原因が会食や麻雀にあるかの如き論難は首肯できない」(?!)。「異常な犯罪の発覚で第一に責められるべきは犯人であって、犯罪に加担した訳でもない新潟県警や関東管区警察局ではない」(?!)と。オイオイ、子供だましにもならないスリカエ・詭弁を弄するんじゃないよ! そしてまた曰く、実際は、中田や小林らは「会食時に、被害者発見、保護の報告を聴いて一様に安堵した」ノダ。ただ、残念なことに少しばかり「気の緩み」や「最高幹部としての十分な配意を欠いた行動」があったため「諭旨免職」となってしまったが、けっして「職務放棄の遊興」や「懲戒免職に値する極悪非道」のようなことをやったわけではなく、それは「一部マスコミの感情的な非難報道」である、と。イヤハヤ、これもまた驚くべき居直り! さすがに中田や小林らのバカ殿≠ヤりまでは擁護できず「気の緩み」や「最高幹部としての配意を欠いた行動」はまずかったとはいうものの、全国津々浦々、「警察非難のための攻撃一途」である今は、「上層も末端も」「キャリアもノンキャリア」もなく「警察を愛する者は心を一にして軽挙妄動を慎むことが肝要」ダと。要するに見つからないよう気をつけろというわけだ。 また、「嘘つきは泥棒の始まり≠ェ、いまや嘘つきは警官の始まり≠ノなった」ということが、国会の場でもとりあげられ、当時の首相・小渕が追及されたのは、記者会見で「事実に反する説明」をしたからであり、「事実を枉(ま)げて公表したら非難されるのは当然だし、すぐバレるような嘘の判断がつかないのは心もと無い」と。これも、バレないようにやれ、ということで、「すぐバレるような嘘の判断がつかない」という警察幹部どもの無能さを嘆いて見せる。 もっとも、警察権力の犯罪行為については何でももみ消すことができる、とかつては信じきっていたであろうこの「ジャストナウ」子も、さすがに不安は隠せないようで、「既に大きな火種を内包している府県」があり、「幾つかの県では、何故、こんな不祥事が発生するのかと訝(いぶか)しくなるような事案」もあるなどと思わず口走ってしまう始末。 それにしても、これはもう「国民」をナメきっているとしかいいようがない。その報いは「厳冬」なんてものではすまないことを、思い知らせてやらなきゃいけない。 |
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ブクロ派脱落・スパイ分子白井朗を完全捕捉、 自己批判かちとる わが同盟への哀訴のうえに、走狗集団ブクロ派の内情を全面暴露 全国のたたかう労働者・学生諸君! わが同盟は、四月×日に元ブクロ官僚・白井朗を、埼玉県内の隠れ住居で捕捉した。そこにおいてわれわれは、この男が走狗集団ブクロ=中核派の「政治局員」として一九七四年から一九九四年にかけておよそ二十ヵ年間にわたって権力内謀略グループによる労働者・人民にたいする襲撃を「二重対峙・対カクマル戦貫徹」を叫びつつ追認し続けてきたことの自己批判を、当然にも突きつけたのであった。また白井に、この自己批判をその場で貫徹させるために、走狗・ブクロ派の謀略の追認構造を全面的に自白させるとともに、炉心溶融を開始したブクロ派残党の組織暴露を、知りうるかぎりのすべてにわたっておこなうべきことを断固として突きつけたのである。 もちろんわれわれは、われわれのこの組織的追及にたいして、白井が身のほど知らずにも誤魔化そうとしたり拒否≠オようとしたならば、残存ブクロ官僚とまったく同じ責任を断固とらせるという、わが同盟のきわめて原則的な闘争を万全の体制のもとに貫徹した。 わが同志の追及のまえに白井朗は、過去二十年にわたって権力による謀略襲撃をみずからの戦果≠ナあるかのように追認してきたという階級的犯罪行為に恐れおののき、身を震わせながら、当初は沈黙≠決め込もうとしたのであった。だが、わが同志の厳しく、かつ執拗な追及のまえに、か細い声で「考えるから、もうちょっと待ってくれ」と言いつつ、ついにこの件についての全面的自白を前提とした論議の継続を確認したのである。また、七〇年八月に全学連の同志・海老原を虐殺したことについての自己批判要求にたいしては、首をうなだれていい逃れに終始し、「当時、組織内にはいろいろ問題があったんだ」などというようにおずおずと組織暴露をもおこなったのである。 ところで、今日、残存ブクロ派の官僚どもは、「スターリン主義に転落した中核派批判」なるものを繰り返しているかつての政治局員・白井にたいして「公然と反革命活動を開始した」などと断罪≠オ「反革命カクマルもろとも徹底的に粉砕する」などと機関紙・誌上で叫んではいるものの、この白井を「粉砕」することはおろか、捕捉することもできないでいる。このことに象徴されるように、彼らはまさに炉心溶融した最後的崩壊寸前の組織としての無様な姿をさらけ出しているのだ。 われわれは、組織が完全に崩壊しているにもかかわらず、国家権力の意をうけて、いまなお「二重対峙・対カクマル戦」を空叫びしている走狗集団ブクロ=中核派の惨状を暴露し、最後的に解体しなければならない。わが同盟による白井問題の革命的な暴露にのたうちまわる残存ブクロ官僚一派を最後的に解体せよ。 |
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JR東・大塚新経営陣の 新たな労組破壊攻撃を打ち砕け! JR東日本経営幹部の大塚陸毅を社長とする新人事が発表された四月十四日直後の二十日午前二時すぎに、JR山手線田端駅近くの線路上に二メートルをこえる枕木と重さ六〇キロのものを含む多数の石が置かれるという事件が発生した。また、それより前に陽動的に、東北本線運行中の特急「はくつる」を「爆破する」という予告電話がかけられるという事件も発生した(当該列車は緊急停車し宇都宮以降の運行を打ち切った)。これに先だって、十五日と十八日にも、田端―駒込間で線路上に置かれたコンクリートや消火器を貨物列車がはねるという事件が発生している。 すべての鉄道労働者は警戒せよ! これらの相次ぐ列車妨害は、大塚新体制の発足を区切りにして、JR東労組などによってけん引されてきた戦闘的鉄道労働者の運動にたいする破壊攻撃を一挙にエスカレートさせようとしている敵権力ネオ・ファシストどもの、総攻撃の号砲にほかならない。 わが戦闘的鉄道労働運動の発祥の地であり、東労組東京地本の直近である田端付近で集中してこれらの事件が引き起こされていることが、それを実行しているものの政治的意図を物語っているではないか。 すべての鉄道労働者たちは、新たに開始された鉄道謀略を打ち砕くとともに、JR労働運動の破壊のために登場した大塚新体制と対決し、東労組(JR総連)の戦闘的強化のために奮闘しようではないか! シンキロウ政権をバックに成立した葛西=大塚新体制 JR東日本会社は四月十四日に、現副社長の大塚陸毅を社長とし現社長の松田昌士を代表権のない会長とする、最高経営幹部の新たな人事を発表した。九三年以来社長として実権を握ってきた松田を事実上名誉会長に棚上げし、初代社長をつとめた住田正二最高顧問を取締役から外してたんなる相談役に格下げするというこの人事は、同社経営陣の「抜本的刷新」を狙ってきた野中・亀井らの一部政治エリートどものごり押しの産物にほかならない。 この人事は五月に閣議了解を得たうえで六月末の株主総会で正式決定されるとされている。だがそれは形式上のことにすぎない。野中傀儡(かいらい)=シンキロウ政権の体制が固まった直後にこの人事が発表されたことに示されるように、同社の株を四〇%保持していることをタテとして、野中らの現政府権力者がJR東日本にこの人事をおしこみ、強行的に新体制を成立させたことは明らかなのだ。 東日本会社の新社長に内定した大塚は、これまでJR東日本の社長の椅子を狙って暗躍してきたJR東海社長の葛西と気脈を通じた人間であり、葛西の策謀に呼応して、従来のJR東日本の労使関係を覆すために、配下のキャリア組インフォーマル組織をつかってJR東労組破壊を隠然とおこなってきた人物である。つくりだされたJR東日本の新経営陣は、JR労働運動を、とりわけその拠点をなしているJR東労組を破壊することを使命としたところの、野中・亀井を黒幕とする「葛西=大塚体制」というべきものである。 このかん政府権力者どもは、表向きは「JR各社の完全民営化」を認めながらも、そのじつは「完全民営化関連法案」の国会提出を意識的に遅らせてきた。このことは、政府が九八年におこなった旧国鉄債務処理追加負担に「政治の介入を排して民間企業としての自立的経営」をもとめるという観点から抵抗したり、新幹線「政治路線」のおしつけに難色を示したりしてきたJR東日本の松田らの経営者にお灸を据えるためというばかりではない。なによりも、これまでの松田・住田を軸とするJR東日本の経営陣が、JR総連の中軸をなしているJR東労組との関係を「良好に保つ」という労務政策をとってきていることにたいして、国家権力者としての危機感を増幅させてきたからにほかならない。 「ガイドライン関連法」「国旗・国歌法」などの制定を連続的に強行した反動小渕の政権を引き継いで、「有事法制」を制定し憲法改悪を現実のものとしようとしているのがシンキロウ政権の権力者どもである。いまや彼らは、日本帝国主義の軍隊をそれにふさわしいものとして(とりわけ海外派兵が可能なそれとして)現実的に強化確立するとともに、それにふさわしい国家総動員体制を確立するための諸策動を矢継ぎ早に貫徹している。とりわけ、「有事」における兵站・輸送・医療などの体制を、また治安維持体制を確立するための攻撃を次々と実行しつつある。「有事」の際に兵員・物資の輸送を担う交通=運輸の大動脈を確保することはその要をなすと言ってよい。 このような彼ら権力者どもにとって、「連合」傘下にありながらも、「護憲・人権・民主主義」とともに「謀略反対」をかかげてたたかっているJR総連・東労組の存在こそは「日本の治安上由々しき事態」にほかならないのである。 この労組の戦闘性は、かつての総評指導部の裏切りに抗して労働者の反戦ストライキを牽引し、また日本列島を震撼させたスト権ストを打ち抜いた動力車労組の闘いに貫かれていた魂を継承しようと意志する組合員たちの力に支えられている。このような労働組合が運輸=交通の大動脈をなすJRのなかに存在すること自体が、獅子身中の虫≠ニして国家権力者にとっては絶対に許し難いことなのだ。 まさにそれゆえに国家権力者どもは、ことあるごとにこの組合を「過激派」とレッテル貼りし、また、革命的前衛党としてのわが同盟と労働組合とを意図的に二重写しにして「JR総連・東労組=革マル派」というキャンペーンを――マスコミや御用組合をつき動かして――はりめぐらせ、さまざまな破壊攻撃をくわえてきたのだ。とりわけ、九六年の防護無線機盗難と発報、そしてこれを口実とした「内部犯行」説の大々的な流布=一大フレームアップ、これを典型として、それ以降も連続的に鉄道謀略を仕掛けてきたのが、敵権力なのだ。 そしていまや敵権力は、このような労組との関係を「良好に保つ」ことを労務政策の基本としている松田・住田の経営陣を最後的に一掃することに踏みだしたのだ。これまでJRに利権を保持し、運輸行政に強い影響力を行使してきた野中や亀井らの政治エリートどもは、彼らが中軸となってシンキロウ政権を成立させたこの機を逃さず、JR総連とその傘下にある各労組を破壊するために、従来のJR東の経営陣の「刷新」を強行したのだといわなくてはならない。 それだけではない。野中や亀井らの自民党政治エリートどもは、みずからの子飼いのJR当局者やヒモをつけてきたダラ幹どもをつき動かして、鉄産労・「グリーンユニオン」・国労の三者を「JR東日本の民主化」を旗印として「結束」させ三月二十九日に「共同声明」を打ち上げさせた。こうして彼らは、JR東日本新経営幹部が強行するJR東労組破壊攻撃に呼応し、鉄道労働者の運動を今日版「産業報国会」としてのそれにふさわしいものへと再編するための部隊を、すなわちネオ民主化同盟をもつくりだしたのだ。 そもそも東労組を破壊することを目的として結成された反共・第二組合≠スる「グリーンユニオン」と、「JR東日本の民主化」を掲げて共同するということは、国労中央のダラ幹どもが亀井らの自民党政治エリートどもに操られていることを示してあまりあるではないか。「国防こそが最大の福祉だ」という主張を公然と掲げている右翼「組合」と手を組むということは、国労中央のダラ幹どもが「全労協」の中心単産として掲げている「反戦・平和」の看板が偽物でしかないことを自己暴露するものではないか。 改憲を射程に入れ、国家総動員体制の構築に血道をあげているシンキロウ政権の権力者どもは、こうしてありとあらゆる手段を使って、JR総連・東労組を破壊するための一大攻撃を一挙的に開始しているのだ。 会社派親衛隊とネオ民同を手先とした攻撃を粉砕せよ! シンキロウ政権にバックアップされて新社長の座についた大塚は、彼が盟友としてきた葛西やJR西会社副社長・高橋の指南を受けながら、賃上げ・時短・合理化反対の闘いとともに反戦・平和の闘いをおしすすめているJR東労組を破壊するために狂奔するに違いない。彼が指南を受けているJR東海の葛西は、富士政治学校にたむろする右翼分子をフィクサー気取りで育成していることを誇り、おのれが社長をつとめるJR東海においては詰所に監視カメラを設置するほどの悪辣な労務管理と労組破壊攻撃を続けている。そしてまた西の高橋は、JR各社のなかではいち早く「成果主義賃金」の導入をおこない過酷な労務管理をおこなっている西会社で、「労務屋」として悪辣な労務政策を実行してきた張本人である。JR東日本の「大塚新体制」は、「JRの完全民営化」を実際上反故(ほご)にしてあくまでもJRを政府のコントロールが利くものとして維持してゆくことを狙っている政府権力者との癒(ゆ)着関係を深めつつ、このような葛西・高橋流の労務政策・労組対策を強行的に貫徹しようとしているのである。 このようなものとして、今回の人事は、JR東日本の労使関係の転換を狙い、とりわけJR東労組を徹底的に敵視してきたカサイ流≠フ東上という意味をもっているのだ。 じっさい大塚は、「労使協力」を掲げる執行部を擁するJR東労組を労組としては認めつつ労務政策を貫徹してきた松田社長体制のもとにありながら、密かに東労組を破壊するための工作をおこなってきていたその中心人物にほかならない。当該労組が発行している機関誌紙によるならば、昨年来、青年部の大会で「JR連合Eじゃん」という怪文書が置かれたり、職場で「JR連合万歳」を叫ぶ挑発分子がうみだされたばかりではなく、「JR連合」などが主催するレクリエーションに東労組の組合員が参加したり、さらには組合のカンパ活動に公然と非協力の態度をとる組合員が生み出されたりしているという。これらの事態は、会社当局が組合員の中につくりだしているインフォーマル組織、これをつき動かして引き起こしているのだ。 東労組を大分裂させようとする目論見が失敗(九五年の「グリーンユニオン」の結成)して以降、大学卒の幹部候補生=キャリア組を密かにインフォーマルに組織しJR東労組を内側から破壊するための準備をすすめてきた者こそが、東日本会社内葛西派=大塚グループにほかならない。こんにち、社長の座についた大塚は、この育成してきたキャリア組=インフォーマル組織を、公然たる会社派親衛隊として、一気にJR東労組破壊の攻撃を仕掛けてくるに違いないのだ。そしてまたこれと呼応して、ネオ民同が、「JR東日本の民主化」を掲げて東労組を破壊するための策動を進めようとしているのだ。 すべての戦闘的鉄道労働者は、いま開始された国家権力、資本=会社当局、そして御用組合幹部・国労ダラ幹どもの三位一体となった戦闘的労組破壊攻撃を打ち砕くために断固としてたたかわなくてはならない。大塚新体制のもとで仕掛けられてくる新たな労組破壊策動を打ち砕くために、直接的には、労組内に送り込まれ育成されたキャリア組の会社派親衛隊としての本性と、野中・亀井の手先としてのネオ民同の反労働者性を徹底的に暴露し、これらを解体するために真っ向から組織的に対決するのでなければならない。そして、この闘いをつうじて、東労組とJR総連の戦闘的強化を実現するのでなければならない。先輩たちがきり拓いた、かのマル生粉砕闘争の輝かしい教訓を現在的に蘇らせながら。 そのためには、「連合」傘下であるにもかかわらず「護憲・人権・民主主義」を掲げ、鉄道謀略をはねかえすために断固としてたたかってきた姿勢を、葛西=大塚体制のもとでも断固として貫くのでなくてはならない。国家権力が手先どもを使って流布する「JR総連・東労組=革マル派」というキャンペーンを真っ向から打ち砕くべきである。これに真っ向から対決することを回避し、「革マル派との区別だて」をおしだすことに腐心する一部ダラ幹たちの傾向をのりこえることが必要なのだ。敵階級が総攻撃を開始したいまこの時こそ、組合内に革命的労働者のケルンをよりいっそう強固につくりだし、これを基礎として、葛西=大塚体制の下での労組破壊攻撃から労組を防衛するだけでなく、ネオ民同を解体するために断固として奮闘するのでなければならない。 そしてまた、国家総動員体制の構築のために、シンキロウ政権が開始したJR労働運動への総攻撃――これを打ち砕くために、すべての戦闘的労働者たちは、鉄道労働者と連帯して決起しなくてはならないのだ。 反動攻勢の嵐に抗して、すべての労働者は連帯してたたかおうではないか! 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