第1660号 (2001年3月19日)の内容


<1面>
<ポスト森>の極反動攻撃の激化を総力で打ち砕け!
「四野党共闘」にすがる社・共を弾劾してたたかおう!


2001年春闘特集
<4面>
NTT  春闘の「マイライン商戦」へのねじ曲げに抗して闘おう
<5面>
自動車 大リストラ攻撃に全面協力する総連中央を弾劾し闘おう
<6面>
化学 「経営基盤強化のための労使協議」への春闘の解消を許すな
<7面>
電機 「賃金・雇用のセーフティネット」の名で賃闘を放棄する電機連合中央

<2面>
全学連113中委に結集せよ
解放社など全国9ヵ所への
3・5一斉捜索を弾劾する

東海支社98年4・15不当捜索
国家賠償請求裁判に勝利(2・22)


<8面>
公開書簡 木暮よ、現場労働者のうめき声が聞こえぬか?
無惨な「ハンガリー革命」評論の押し売り

<3面>
万華鏡2001――情勢の断層を読む
どこまでも地獄編.
ガッデム!
10年後の迷言
さすが勲一等!
イタリア紀行
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉


「解放」最新号



  

<ポスト森>の極反動攻撃の激化を総力で打ち砕け!
「四野党共闘」にすがる社・共を弾劾してたたかおう!

 三月十日、無能・無策・無恥・無責任の「史上最低首相」といわれながらも首相の座にしがみついてきたシンキロウが、「秋予定の自民党総裁選を繰り上げ実施する」ことを表明した。政府も自民党執行部も「退陣表明ではない」とあえておしだしているように玉虫色であるとはいえ、森はついに事実上の「退陣」表明に追いこまれたのだ。四月に実施されることが確実となった自民党総裁選挙に向けて、今や次期首相≠めぐる自民党各派の角逐が一挙に激烈化している。独占ブルジョアジーは森政権の負の遺産≠一挙に清算するための「若手の登用」を強力に要請している。だが、そのような「若手」がただちには出てこないなかで、小泉と野中の名がとりざたされ、水面下での激しいつばぜりあいがくりひろげられているのだ。
 こうして四月にはつくられようとしている次期政権が、内憂外患の危機にあえぐ日本帝国主義の生き残りをかけた反動諸攻撃を一挙にかけてくることはまちがいない。無能・森政権のもとでも、<鉄の六角錐>に支えられて、二〇〇一年度予算案が三月二日に衆院を通過しただけでなく、日米共同の侵略戦争遂行体制の構築が着々と進められてきている。危機管理能力ゼロという「資質の欠損」が森おろし≠フ理由の主たるものであったことからしても、その後継首相は、一挙にネオ・ファシズム的反動諸攻撃をエスカレートしてくるにちがいない。
 にもかかわらず、土井の社民党や志位の日共は、完全に危機感を喪失しているばかりか、ネオ国家主義者・小沢のイニシアチブによる「四野党共闘」の実現に有頂天になっているありさまなのだ。このようなネオ・ファシズム支配体制の補完者に転落した社・共両党を弾劾し、有事法の制定や教育基本法と憲法そのものの改悪など一切のネオ・ファシズム的反動諸攻撃をうち砕くために、われわれは、全力で奮闘しなければならない。

ついに退陣表明≠余儀なくされたシンキロウ

「内閣不信任決議案」提出と「否決」をめぐる茶番劇

日本沈没≠フ危機突破をかけた権力抗争の激烈化

ネオ・ファシズム的反動諸攻撃を粉砕せよ!
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解放社など全国9ヵ所への3・5一斉捜索を弾劾する!

 警視庁および各道府県警は、三月五日に、警察庁の指令のもとに全国で約五〇〇名にのぼる私服刑事と三〇〇名以上の機動隊を動員して解放社本社ならびに地方支社そして早大第一学生会館などの計九ヵ所にたいして、「住居侵入」「電気通信事業法違反」および「有印私文書偽造」を口実として全国一斉家宅捜索を強行した。この一斉捜索は、あらゆる戦線でめざましい前進をかちとっているわが同盟の闘いにたいして、焦りに満ち満ちた国家権力がしかけた政治的弾圧以外の何ものでもない。
 しかも、この一斉捜索において警察権力は、北陸支社で一同志を「電磁的公正証書原本不実記録」なる容疑をでっち上げて不当に逮捕した。(だが、この逮捕令状は二年も前に発布されており、この同志の所在を確認しながら警察権力は執行を先延ばしにしてきたというでたらめなものであり、わが同盟の反撃の前に警察権力は自己保身に駆られて翌日には当該同志を釈放せざるをえなかったのだ。)また九州支社においては、暴力的な捜索の強行に抗議した社員を捜査員が三度にわたって突き飛ばし、「加療十日」の負傷を負わせるという暴行を働いた。捜索過程でのこれらの不法行為をも、われわれは決して許さない。
 今回の捜索の被疑事実とされたのは、A同志にたいする国労役員宅への「住居侵入」ならびにB同志にたいする早稲田大学石川(元)学生部長宅にかんする「電気通信事業法違反」および「有印私文書偽造」というものである。この二つの「被疑事実」そのものが、いずれも警察権力が四年も前にでっち上げた「事件」であって、前者の「容疑」にかんしては、警察権力は一九九九年七月にすでに一度解放社本社ならびに各支社にたいして一斉家宅捜索を実施しており、後者の「事件」は他の同志を被告としてすでに裁判がおこなわれており、無実が着々と立証されているものなのだ。こうした「事件」をあえてとりあげて無理矢理捜索を強行したこと自体が権力の悪らつで政治的な狙いを示している。
 ところで、警察権力が強行した今回の一斉捜索の捜索令状発布の日である三月一日を前後して、衆院法務委員会(二月二十七日)および予算委員会第三分科会(三月二日)において、「日本核武装化」をブチあげて防衛政務次官を辞めさせられたことで名をはせた西村真悟・自由党議員が、ネオ・ファシストよろしく、わが同盟にたいする恐怖と憎悪をむき出しにした「質問」をおこなった。すなわち西村は、東海道新幹線列車妨害事件や、香川県での鉄塔倒壊事件をもちだして、わが革マル派をあたかも反社会的集団であるかのごとくに描きだしながら、「JRという公共輸送機関に革マル派が浸透しているのは見逃せない」などとわめき立てたのである。
 JRの完全民営化法案の上程にあわせて、権力者は「反社会的な犯罪集団」である革マル派がJR東日本の労組内に浸透しているというキャンペーンを今日あらたにはりめぐらす必要性にかられているのだ。この西村質問に呼応し裏付けを与えるかたちでわが革マル派を「犯罪者集団」として描きだすために、警察権力は今日このときに全国一斉捜索を演出したのだ。
 〔じっさい警察権力のリークに踊らされたテレビ朝日は、今回の一斉捜索についての報道のなかで捜索とはなんの関係もない「坂入事件」なるものに触れ、わが同盟に関連づける悪らつな解説を付け加えて権力の企みの一端をにじみ出したのである。〕
 警察官僚の数々の犯罪にはフタをしながら、わが革マル派、および革マル派と見立てた者は基幹産業・公的機関から一掃しようなどという、文字通り「現代のレッドパージ」としてのわが同盟への弾圧。今回の一斉捜索は、国家権力のこの政治的意志を示すためのセレモニー以外のなにものでもない。
 巨額のKSD汚職、外務省・官房機密費の横領と政治資金への横流しなど次つぎと明るみに出される犯罪。「えひめ丸」を沈没させ九人もの犠牲者を出した米軍の犯罪、デフレ模様の経済危機のいっそうの深刻化と労働者人民にたいする犠牲の強要、そして何よりも森無能政権にたいする労働者人民の怒りの高まりのなかで、憲法改悪阻止の闘いをはじめとしてわが同盟のみが労働者人民の広範な決起を促す闘いを労学両戦線でくりひろげている。それゆえにこそ集中する国家権力の悪らつな弾圧を断固として粉砕して、わが同盟は、もはや死体≠ニ化した森内閣打倒、日本型ネオ・ファシズム粉砕の闘いをさらに強力に推進するであろう。   
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「東海支社強制捜索は違法」(名古屋地裁判決)
4・15不当捜索国家賠償請求裁判に勝利(2・22)

 二月二十二日に名古屋地方裁判所(民事第五部)でおこなわれた国家賠償請求裁判において、われわれは決定的な勝利をかちとった。警視庁公安部に指揮された愛知県警が一九九八年四月十五日に強行した解放社東海支社にたいする家宅捜索(「建造物侵入・窃盗」なる容疑を口実としたそれ)。この弾圧に抗議して、われわれは国家賠償請求裁判を提訴し、そしてついに愛知県警の捜索を「違法」とする画期的な判決をかちとったのである。
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どこまでも地獄編
変人・老人・パシリetc.
さもなくば超C級!

 「汝の道を行け、人々をして語るにまかせよ」と孤高の生き方を説いた『神曲』で有名なダンテ。この言葉に感銘を受けたかどうかは知らないけれども、ヤメロコール≠フ大包囲に馬耳東風をきめこんでいたのが、「神の国」の首相シンキロー。このサメ脳・体育会系総理大臣も、三月十日の自民党五役会議でとうとうツメ腹を切らされることにあいなった。
 だけんど、これだけわきおこった森内閣への怒りと不信の声は、「参院選前の自民党の総裁改選」へと収れんされてしまっていいのか浴@内閣総辞職でもなく、訪米、訪露の花道を歩いて悠々と退陣、なんてことをシンキローに演じさせること自体が許し難い。
 「辞任ではなく総辞職を」とか「国民に信を問うべきだ」などと叫んでいる菅や志位も、そんなこと本気で考えていないことはミエミエ。それが証拠に、結果の分かっている「不信任案」を提出して、あっさり否決されるという醜態を演じてはいても、まともに「倒閣」の運動すらとりくんではいなかったのが彼ら。(「選挙まで森が居座ってくれていた方が有利だったのに」というのが彼らのホンネ。)
 ところで、一体つぎは誰か?
 なんでも後継総裁アンケートの一番手は、「変人」小泉純一郎だそうだ。もっとも、「森をあくまで支える」と公言していた都合上自分から手をあげるわけにもいかない。おつぎは、棺桶に片足をつっこんだ野中広務の名があがっている。公明党の神崎や保守党の扇に「あなたが責任とってやって下さいよ」と言われて満更でもない顔をしながら「二〇〇%ありえません」と。ちなみに青木は「野中首相は三〇〇%ない」といったとか。参院選での敗北必至、という先を見こして、「ワンポイントリリーフはいやだ」というのが、権力欲で油ぎったこの爺さんのハラヅモリ。
 以下、この野中の使いっパシリの古賀幹事長や堀内やら、ゾンビよろしく復活の機を狙ってうごめく橋龍の名前が浮いたり沈んだり。
 若手がいい、と称して、平沼赳夫や麻生太郎や渡辺喜美などという、毛並み≠セけが売りもののボンボンが取りざたされたり。
 あげくのはては、「野田聖子総理に小渕優子官房長官でいこう」なんていう、「扇首相」案をのりこえたやけっぱちの声がきこえてくる、というありさま。
 まったくもって自民党にはタマがいないこと、あきれるばかりだ。しかも野中を除いて、名があがるのは二世、三世議員ばかり。〔「アメリカも二世だからね」の声あり。〕こういう無知・無能・傲慢な連中の誰かが権力を握ろうというのに、それを覆すべき闘いはまきおこってこない。政界・官界・財界・労働界・学界・マスコミの「鉄の六角錐」に支えられて、政治支配だけは揺るがない、と安心しきって、権力抗争にうつつをぬかしているこいつらを許しておくわけにはいかない。
 さすがに、財界の中からも現在の政治状況に危機感を吐露する声がふき出している。
 「いま日本に必要なのは、場当りでなく、将来のビジョンに日本のベクトルを合せていける政治家」だと叫ぶのはトヨタ会長・奥田碩。最近は「人間の顔をした市場経済」を看板にしているこの独占資本家は、「石原慎太郎都知事、彼はいわゆるデマゴーグ」と切ってすてながら次のように言う。
 「若い人に聞いたら、いま一番光っている政治家は志位さん(共産党委員長)だと。彼は四十六歳だけれど迫力があるし、筋が通っていると言うんです」と。コリャ、ウルトラCいやE難度。
 この話を聞いた志位御本人。笑いを噛みころしながら、「いやー、私なんかまだまだ……」と答える、その足は床からフワフワと浮かんでいた、とか……。
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春闘の「マイライン商戦」へのねじ曲げに抗して闘おう
NTT春闘の戦闘的高揚を!

 NTT労組は、二月十五日に開催した第四回中央委員会において「二〇〇一年春季生活闘争方針」を決定した。そこで本部は、「NTT東西地域会社の財務の悪化」を最大限におしだしつつ「ベースアップ要求を見送る」ことを決定した。いや、そればかりではない。マイライン(電話会社選択サービス)顧客争奪戦こそが「雇用確保そのものの取り組み」だなどと叫んで、マイライン顧客獲得のための営業活動へと労働者をかりたてようとしているのだ。
 われわれは、「雇用確保のため」などという欺瞞的な言辞のもとに賃上げ要求を放棄し、春闘そのものをマイライン顧客獲得へとねじ曲げる本部労働貴族どもを絶対に許すことはできない。彼らは、「企業の生き残り」を大義名分として労働組合を資本家に積極的に協力させようとしているだけではない。労働者の要求を資本家につきつける、という労働組合としての役割を自己否定し、労働者を従業員として企業に奉仕させようとしているのだ。われわれは、全産別・全戦線のたたかう仲間たちと固く連帯して、二〇〇一年春闘の火消し役を買ってでたNTT労組指導部を弾劾し、春闘の戦闘的高揚のために全力で奮闘するのでなければならない。

A NTT企業防衛のための「春闘」方針

B 「中期事業計画」の完遂を最優先

C 賃上げ(ベースアップ)の否定

D 特別手当制度への「成果・業績主義」の導入

E 「IT国家戦略への貢献」=「救国」産報運動の旗手

F 企業組織体への積極的編み込まれ
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公開書簡 木暮よ、現場労働者のうめき声が聞こえぬか?

 最近の君の諸言動を見聞きしておると、ひどく威張っているな、と強く感じる。二月四日の痛ましい事件についても君らは依然として無視しつづけている。保線作業中の労働者三名のうち二名が特急列車に轢殺されてしまったではないか。無念にも死に至らしめられた労働者はJR当局の安全無視の効率一辺倒主義の犠牲者であるばかりではない。保線作業労働者の安全問題についてこれを組合の課題としてとりあげ、原則的にたたかってこなかったことのゆえにもたらされた事故でもある。それゆえにJR北海道労組本部は今回の殺人事件≠フ共犯者なのだ。
 木暮よ、特急列車にひき殺された労働者のあの最後の瞬間の<死の絶叫>が聞こえるかよ、おい。耳にこだまするか、どうだ? 残された家族の無念さと予想される経済的困窮さに思いをはせることをしているのか。「保線作業労働者はうちの組合員ではねえ」というお前の声が聞こえるよ。木暮よ、浅虫よ、戸山よ。鉄道に働く者が組合員か非組合員かでわけへだてをし、現場労働者の生死にかかわる安全問題は無視できないではないか。それにもかかわらず、知らん顔しているのは、もはやお前たちは正真正銘の労働貴族よ。ダラ幹そのものよ。

(以下略)
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なんだこれは! 高知聰の『〔評伝〕若き黒田寛一』
無惨な「ハンガリー革命」評論の押し売り

 高知聰が著した同志・黒田にかんする【評伝】『孤独な探究者の歩み』第三部「ハンガリー動乱」「ハンガリー革命論争」を読んで、私は落胆し失望するとともに、湧きあがる怒りを抑えきれずに、「なんだこれは!」と叫んでしまった。

ドゥフミー

 「ハンガリー動乱」においては、驚くべきことに、同志・黒田のクの字≠烽ナてこないではないか。わずか三頁の紙幅の中で、高知は、「ハンガリー動乱」の歴史的過程を対象的・客観主義的に叙述しているだけであり、自著の『都市と蜂起』を「埋もれた名著」といわれている≠ネどとひけらかしているだけなのだ。
 それだけではない。「ハンガリー革命論争」においても、「弁証法研究会におけるハンガリア問題をめぐる討論」の報告(一九五七年九月、『探求』第二号、三二頁)をもちだし、同志・黒田の主張はそっちのけで、当時のオノレの主張をながながと解説しているだけなのである。このようなものは「論争」の紹介ですらない。しかも、高知は、いまは亡き廣松渉がハンガリー事件の際に「サルトル的痛憤をもってハンガリーのかの事態をとらえるのは、実存主義の誤りであって」と主張した≠ニ同志・黒田が述べていること(『場所の哲学のために』下巻、「追悼 廣松渉」)にケチをつけ、これはオレが言ったのだ、事実を訂正しなければならない≠ネどと勝手な思い込みをもとにして大騒ぎしているのである。こういうのをドゥフミーというのだ。
 だが、いやしくも同志・黒田の『評伝』を著す者が、ハンガリー動乱に直面して同志・黒田がそれといかに対決したかについて一言半句も言及しないだけではなく、逆に自説を押し売りするというのはいったいどうしたことか……。
 ハンガリー問題にかんして高知が主張していることを要約していうならば、「動乱」が勃発しなければならなかった客観情勢、根拠、および東欧革命のプロセスを具体的に分析しなければならないということ、このことを「サルトル的痛憤」を出発点とした同志・黒田の主体的決断に対置しているにすぎない。
 だが、情勢を対置することは批判にはならない。なぜなら、情勢を分析することからただちに主体的決断がなされるわけではない、ということが問題なのだから。いいかえれば、「ハンガリー動乱」を革命として主体的にうけとめる共産主義者の主体性とは何か? ということこそが問われるべき問題であったからだ。
 ところが高知は、そのような問題として先に述べた廣松渉の主張にアプローチするのではなく、アレはオレが言ったのだ、などと自己を押し出すためにのみ同志・黒田にケチをつけているのだ。
 このような、高知の自己の押し売り≠フしかたは、あたかも「『ヘーゲルとマルクス』の校正にかんするでっちあげ」(「『評伝』に抗議する」、本紙二〇〇一年三月五日付第一六五八号、七面参照)にも似て、非常に滑稽である。いや、このような叙述が随所に顔を出すということからするならば、高知は、本書においてオノレを押し出すために同志・黒田をダシに使っているのだとしかいいようがない。
 高知による同志・黒田へのケチつけのためのひけらかし的講釈に依れば、「『だし』は鰹だし・昆布だしの出し汁の略で〔最高のダシである煮干しのだしはなぜでてこない?〕、それを『――にする』『――に使う』というのは『転じて自分の利益のために利用する物事・人、手段、方便』(岩波国語辞典)のことである。味噌汁の主体・実体は味噌と具〔高知〕であって、だし〔同志・黒田〕はあってもいいがなくてもかまわないという関係になる。」(本書四〇三頁)ということだ。だが、ダシの良し悪しが味噌汁の味を決定するのだ、ということを高知は知らないらしい。こういうのを世間でははなもちならない≠ニいうのである。

(以下略)
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