第1661号 (2001年3月26日)の内容



<1面>
JC労働貴族による春闘破壊弾劾!
〈01春闘勝利〉への団結を打ち固め
森死に体$ュ権を総力で打倒せよ!


<4〜5面>
反米・アジア蔑視≠フ民族排外主義を
煽動するデマゴーグ石原

そのネオ・ファシズム的本性を抉る!


<2面>
2001年春闘勝利のために奮闘
「連合」中央総決起集会(3・2)
「全労連」系総行動中央集会(3・2)
金沢大生が自民党県連に抗議(2・27)

<6面>
「郵政事業の新生」の名による
一大リストラ攻撃を粉砕せよ

ネオ・ファシストが新教組準備
Topics 「連合」版ハローワーク
2・4労働者総決起集会に参加して

<7面>
「格差是正」を名分に賃金抑制に加担するJAM労働貴族

<8面>
貧相な高知聰の「技術」解釈
稚内駅の列車脱線事故弾劾!

<3面>
万華鏡2001――情勢の断層を読む
「テロルの季節」??
豚もおだてりゃ……
肥後迷惑な……
「組織再生」の実態
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉


「解放」最新号



  

JC労働貴族による春闘破壊弾劾!
〈01春闘勝利〉への団結を打ち固め
森死に体$ュ権を総力で打倒せよ!


 株価暴落と不況圧力の一挙的高まりとのゆえに金融恐慌到来の暗雲がたちこめつつあるただなかで、二〇〇一年春闘は「山場」を迎えた。
 IMF・JC(金属労協)主要単産の集中回答日である三月十四日に、自動車・電機・造船重機などの大手諸単産では、経営者側がかたちばかりの「賃上げ」を回答することとひきかえに賃金闘争の幕が引かれた。「おおむね昨年実績を上回る回答を引き出した点は健闘」などという「連合」会長・鷲尾のしらけきった自画自賛にもかかわらず、妥結額は限りなく「ベースアップ・ゼロ」に近いものでしかない。いや、あらかじめベースアップ要求を労組が放棄したNTTなどはもとより、「業績不振」の諸企業では軒並み「ベア・ゼロ」回答がうちだされ、労組幹部たちはことごとくそのような回答に屈服した。このようなJCの妥結を睨みながら、他の諸業種の資本家どもも、「デフレ危機」と「業績不振」を声高にあげつらいつつ、軒並み「ゼロ」回答や文字どおりの「賃下げ」回答を強行しようとしているのだ。
 こうして、すでに二年連続で賃金収入・可処分所得の低下を余儀なくされてきた労働者たちは、今またもや総体としての賃金削減を強制されつつある。しかも、打ち続く諸独占体の第二次大リストラ攻撃と中小企業倒産とのゆえに、失業を強いられる労働者がますます増大し、労働者たちは雇用不安と生活苦のどん底に叩きこまれている。
 そのうえ、森を首班とする<自・公・保>連立政権の完全な死に体≠ニ化しながらの延命のもとで、危機突破をかけての政府・権力者どもの策動によって、右のような日本労働者階級の危機的現実は、いっそう促進されている。
 みずからを首相に祭りあげた自民党内各派のボスどもによって、こんどは首相の座から無理矢理に引きずりおろされたシンキロウ。だが、命脈つきてなお未練たらたらのこの鮫脳首相は、後継争い≠めぐる自民党内部の泥仕合を横目で見ながら、一日一刻でもみずからの任期を引き延ばそうと首相の椅子にしがみついている。そして、「緊急経済対策」と称して、経営破綻の危機に追いこまれている金融諸機関をはじめとした諸独占体を救済するための諸施策をやぶれかぶれで貫徹しようとあがいているのだ。「ニューエコノミー」なるものの完全なパンクに逢着しながら、その責任を日本に転嫁し「日本発の世界恐慌を阻止する」などと叫んで、「不良債権処理促進」「構造改革」を日本に強制するためにのみモリバンド(moribund死に体の)モリとの会談(三月十九日)をおこなったブッシュ。――このアメリカ帝国主義権力者のエゴイスティックな恫喝と強硬な要求に圧伏されながらである。
 このように日本帝国主義のブルジョア政治委員会と諸独占体そのものが、いまや絶体絶命の危機に直面している。それにもかかわらず日本労働者階級は、独占ブルジョア階級との「運命共同体」思想に骨の髄まで冒された「連合」労働貴族どもをはじめとした既成労組指導部の度し難い腐敗のゆえに、なにひとつ有効な反撃をなしえないままに低賃金・失業・社会保障制度大改悪などの犠牲を甘受させられようとしているのだ。
 すべてのたたかう労働者は、このような屈辱的な現実を覆すために断固としてたちあがろうではないか! 参議院選挙むけのキャンペーンにうつつを抜かす既成「左翼」諸政党と、「救国」産報運動の旗手と化した「連合」労働貴族などの既成労組指導部の腐敗を弾劾し、いまこそ「二〇〇一年春闘勝利! 森内閣打倒!」の闘いを職場から創意的につくりだそうではないか!

「横並び春闘の崩壊」を演出した金属労使

株価大暴落を引き金にさし迫る日本経済の破局

日本沈没≠加速するモリバンド内閣の居直り

日本労働者階級の底力で森内閣を打ち倒せ!
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豚もおだてりゃ……
「人間の顔をした」猿にほだされて

猿も木から落ちる
豚もおだてりゃ木に登る
……というわけで、今週は猿と豚の対話。

 猿 キーキー、今の日本は大乱世。それなのに、政界も財界も、困ったことに人材不足。場当たりではなく将来のビジョンへ日本のベクトルを合わせることのできる政治家が、どうも見あたらない……
 豚 まことにその通りでございます。ブーブー。
 猿 首相に誰がいいかといったって、田中真紀子はケシカラン、あれは、大将の悪口を言いまくるだけで、無責任の「党規律違反」。石原のシンちゃんだって、彼はいわゆるデマゴーグ。小泉や野中なんて、もちろん論外。彼らを選ぶなんて、時代に逆行するだけだがや。
 豚 そうそう、おっしゃられる通りでございますぅ。
 猿 だもんで、ニューリーダーには誰がって若い人に聞いたら、いま一番光ってる政治家は志位クンだって。四十六歳だけど、迫力があるし、筋が通っている、って言うんだよ。
 豚 ブヒー! 感謝感激雨あられ! そこまでおっしゃっていただけるなんて、もう政治芸者の冥利につきまするぅ。
 猿 (フン、ちょっとオダテりゃのぼせやがって)……でもな、もちろん財界と共産党は相いれません。
 豚 そ、そんな御無体な。相いれないことなんて、け、決してございません。<反独占>の理念も、「大企業の民主的規制」の看板も、実はコッソリと取りさげてございます。党規約だって、もう変えましたし、「革命」なんて口が裂けても申しません。私めらは「保守層との共同」一本槍。なんてったって、「人間の顔をした」財界の流れに期待しておりますんですからぁ……
 猿 フン、どうにも信用できないんだがや。『前衛』って機関誌名を変えますなんて言ったって、結局は変えていないんじゃないかね。
 豚 そ、そんな滅相もない。変えるはずだったんですぅ。でも、『新世紀』っていう案が、実は革マル派に先にとられてしまったもんでぇ、エーン……

 と、こんな対話がかわされたとか。豚とは、もちろん、いわずと知れた日共委員長・志位和夫。猿とは、日経連会長にして世界の大トヨタ会長・奥田碩。で、この猿、「人間の顔をした市場経済」なんて言い触らし、「会社の財産をはたいても雇用の確保に全力を注ぐべきだ」なんて真しやかにおっしゃりながら、リストラの名で労働者の首はドンドン斬るわ、中小企業に部品価格切り下げと倒産を強いるわの、本当に悪どく人非人的な悪智恵に長けた奴。こんな奴が、「財界の利益などというみみっちい考えではなく、日本をよくするための提案」なんて、憂国の士°C取りで吹きまくっても、その魂胆は見え透いているってもんだぜ。
 だって、そうだろ。「日本をよくする」の内実はといえば、財界は政界への言わざる・出さざる≠フ元経団連会長・平岩以来の慣行を改めて、口をだし・もっと金(政治献金)をだしましょう、というだけのことなんだから。政界を財界の意のままに再び操ろうっていう魂胆はミエミエだってーの。おまけに、石原へのデマゴーグという非難にしたって(まぁ、ちょっとは小気味もいいが)、その内実たるや、あまりにファナチックな<反米・反中国>の煽動はアメリカや中国に資本進出している世界企業トヨタ≠フ利害を損ねるからマズイ、っていう魂胆からであるのも見え透いているんだからさ。これじゃ、猿知恵、猿も木から落ちるってもんだぜ。
 でもなあ、こんな「人間の顔をした」三河の猿の猿智恵に、コロリといかれちゃう豚ってーのは、本当にいただけないね。財界の開明的資本家≠ヌもによる政界再々編に期待するなんて、とんだオカド違い。「よりまし政権」妄想のあまり「保守層との共同」願望に取り憑※つ※かれ、「保守層」の毒素をタップリと吸い、議会主義口蹄疫≠ノ冒された豚なんぞ、人民は決して食してはならない。
 〔この架空対談≠ヘ、あくまでも事実(『週刊現代』三月十七日号)にもとづく話しであります。〕   
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反米・アジア蔑視≠フ民族排外主義を煽動するデマゴーグ石原

 「口で抗議してもきく相手ではない」中国や北朝鮮から日本を防衛するためには「日本周辺の工作船は必ず沈めよ」、「アメリカの核の傘の幻想」に頼らず「TMDの自主開発の道を開け」、いや「核兵器をその気になればいつでももてる」ように高速増殖炉の開発を続けよ、「国を滅ぼさないためにはマッカーサー憲法を否定せよ」。……昨二〇〇〇年秋以来、あらゆるマスメディアを使ってこれらの言辞をひときわ声高に叫びはじめた輩がいる。西尾幹二や小林よしのりらの「新しい歴史教科書をつくる会」の面々の主張と軌を一にしながら、彼ら以上により好戦的で挑発的な民族排外主義的言辞を吹きあげて、アメリカとの安保同盟に依存しない日本独自の軍事力の増強と「憲法改正」に突進すべきことを煽動しているこの輩は、言わずと知れた東京都知事・石原慎太郎にほかならない。
 一九九九年四月に都知事に就任して以来、大銀行にたいする「外形標準課税」の導入やディーゼル車の排ガス規制の実施などの施策がときならぬ国民的人気≠博したことに驕り昂ぶった石原が、その驕慢のあげくに吹きまくりだしたものこそ、右のような言辞なのである。
 それにしても、憂国の士°C取りのこの男の驕慢たるや、とどまるところを知らないかのようだ。おりしも、一段と深まりゆく一方の大不況のただなかで、ますますヒドクなる森<自公保>政権の無為無策と相次ぐ不祥事や汚職・疑獄の暴露。そのただなかにありながらも、「サメの脳味噌」ぶりを発揮することしかできないシンキロウ政権への国民的不信と怒りが高まるなかで、一部のタカ派マスコミによって意図的に石原総理待望論≠ネるものがふりまかれつつある。このつくりあげられたムードに天まで舞いあがり、大統領型首相≠ノ成り上がる野望をすら一気に増幅させているネオ・ファシスト石原は、日本の「完全に自立した」軍事強国化とアジア強円圏≠テくりを骨子とする総合戦略とでもいうべきものをぶちあげるにいたったのである。
 だがしかし、この石原流「政治、経済、軍事一体」の総合戦略なるものは、現政権への批判的言辞で彩られていようとも、それは粉飾・虚飾のたぐいでしかない。それというのも、その内実は、森政権が現にいま振りかざし強行しようとしている反動的諸政策を、「東京から日本を変える」と称するキャッチフレーズのもとにイデオロギー的にも政策的にも補完し先導する役割を果たす以外のなにものでもないのだからである。以下、そのことを完膚なきまでに暴きだしていこう。

一 右派マスコミが煽り立てる「石原総理待望」論

二 ファナチックな民族排外主義の鼓吹

三 石原流デマゴギーのネオファシズム的本性
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「郵政事業の新生」の名による一大リストラ攻撃を粉砕せよ

 総務省・郵政事業庁(以下「省」と略す)は、この三月末に「郵便事業の新生」などと称してこれまでにない大リストラ策を組合に提示しようとしている。
 「赤字体質の克服」と称して、一万人を越す首切りを実現するための「非常勤化」のさらなる大幅導入や深夜勤務形態の改編、そして給与体系の抜本的見直しなどの六十項目にも及ぶリストラ策を、郵便労働者の頭上にふりおろそうとしているのだ。みずからが生みだした「事業赤字」ののりきりのために、労働者にいっさいの犠牲を転嫁することを目論んでいるのが省当局にほかならない。このような盗人猛々しい悪らつな攻撃を断じて許してはならない!
 だがしかし「推進懇」(「事業改善推進懇幹事会」)で、その実施策の練り上げを省当局と二人三脚でおこなっているのが全逓本部労働貴族どもではないか!
 今こそ腐敗きわまる全逓本部を弾劾し、郵政版大リストラ攻撃を打ち破る闘いを職場からつくりだそう!

自殺・過労死・事故・不祥事の続発!――郵政職場はまさに生き地獄

「赤字構造の脱却」の名のもとに労働者に犠牲転嫁

省当局の忠犬=全逓本部を弾劾せよ!

本部の「事業発展運動」をのりこえて闘おう!
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「格差是正」を名分に賃金抑制に加担するJAM労働貴族
金属春闘の戦闘的高揚を!

 一九九九年九月に旧ゼンキン連合と旧金属機械の統一組織として発足したJAMは、さる一月十七日〜十八日に開催された第三回中央委員会で「二〇〇一年春季生活闘争方針」を決定した。
 この春闘方針の冒頭、JAM中央は、昨春闘は「組織一体となった活動」を展開し「JAM効果」をあげた。今春闘はこれをさらに「強化発展」させる、と主張しているのだ。彼らは昨春闘の賃上げ水準が五六二九円、二・〇二%(回答があった一四三〇組合の加重平均)だから「前進した」「成果だ」などと主張してはいる。しかしこれは「経営悪化により」賃上げ・一時金要求を断念した組合が約三〇〇組合もあったことを除外した、ごまかしの「賃上げ率」でしかないのである。だが、彼らが「成果」をことさら強調するのは、他の産別に先がけて「五〇万」統一組織を結成し、「スケールメリットを生かした活動」などと声高に叫んできた労働貴族としてのメンツと自負心によるものにほかならない。と同時に、三〇〇もの組合があらかじめ賃上げ要求を断念したという昨春闘の惨敗を「成果」といいくるめる彼らの姿勢は今春闘の賃上げ要求をたたかいとる気などまったくないことを物語っているではないか。
 実際、今春闘の「賃金引き上げ要求」は、その冒頭に「規模間格差を是正する」ために「JAM一人前ミニマム(最低到達基準)要求を強化する」などと主張し、最後につけたし的に昨年と同じ超低率のわずか一パーセントのベースアップ要求を掲げているにすぎない。
 そして賃上げ要求よりも強調しているのは、「企業や職場の問題の解決」のための「労使の話し合い」とそのための「経営活動のチェック」なのである。
 いま金属産業で働く労働者だけでなくすべての労働者が、独占資本による第二次リストラ攻撃をうけて、失業や低賃金のゆえの生活苦や労働強化を強いられている。とりわけ中小企業の労働者たち(JAM加盟の単組の圧倒的多数は中小企業の労働組合)は、首切り・出向・賃金カットや人員削減による極限的な労働強化を強要されているのだ。
 ところが、JAM中央はみずからが右のような大リストラ攻撃を容認してきた結果、労働者たちが首切り・賃下げ・労働強化を強要されているということにたいするひとかけらの痛みもなく、これを当然のようにうけ入れたうえで、ぬけぬけと「雇用を守るためには企業基盤の強化」をやれ、と叫んでいるにすぎないのだ。
 金属戦線でたたかうすべての革命的・戦闘的労働者は、JAM中央本部「二〇〇一年春季生活闘争方針」(以下断りなき場合はすべてここからの引用)の反労働者性を暴露しつつ、春闘の戦闘的・左翼的高揚をめざして職場深部から闘いをつくりだそうではないか。

(1) 「一人前ミニマム要求」を柱とするJAM春闘方針

(2) 反労働者性を露わにしたJAM中央

(3) 第二労務部と化した各単組指導部を吹っ飛ばして闘おう
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貧相な高知聰の「技術」解釈

 高知聰の絶筆となった『孤独な探究者の歩み―【評伝】若き黒田寛一』を一読して、私を襲った高知その人への失望感と幻滅そして憤りは、筆舌に尽くしがたいものがある。
 「評伝」と銘打っているにもかかわらず、この著作には、いやしくも評伝の対象とすべき黒田その人にたいする高知じしんの追思惟の姿勢が、ひとカケラもないからだ。
 いや、それどころではない。なんとも貧相でしかも出所の怪しげな高知じしんの見解≠フようなものを、さもさもスタイルで押し出して見せるために、若き日の黒田をサシミのツマにしているに等しい、まことにさもしい底意の見え透いた論述が、大手を振って随所に顔をのぞかせているからだ。
 ましてや、そのような陰険な自己宣伝が、ほかならぬ黒田その人と彼の同志たちの後年の理論的探究の諸成果をひそかに下敷きにし、実はそれに依拠しながら若き黒田のアラ捜しをするという形でなされている場合には、読者としての私に強制される不快感たるや、もはや名状しがたいものとならざるをえないのだ。
 弱冠二十四歳の黒田の処女作『ヘーゲルとマルクス』のなかの武谷技術論に関説した論述に高知が加えている評論は、まさにその典型をなす。

わが機関誌を下敷きにした難癖

武谷の「客観的法則性」概念

「意識的」の二義性なるもの

「私」の見解のみすぼらしさ

見えないものは存在しないのか
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