第1663号(2001年4月9日)の内容



<1面>
「不良債権早期処理」の名による大リストラ加速の攻撃を粉砕せよ
「保守層との共同」の名で労働者への犠牲転嫁に加担する日共を弾劾せよ


<4面〜5面>
深刻化する日米同盟の軋轢と日本経済の死の苦悶
−−シンキロウの対米「公約」がもたらす波紋

ロシアがイランに武器輸出再開

<2面>
全学連第113中央委をかちとる 3・22―23
柏崎現地でMOX燃料搬入阻止に決起−−東京電力・政府がプルサーマル用MOX(ウラン・プルトニウム混合)燃料を新潟県・柏崎原発に搬入しようとしていた3月24日、金沢大学と首都圏の闘う学生たちは、このMOX燃料の搬入を阻止するために、地元住民・労働者と連帯しつつ、断固としてたたかいぬいた


<6面>
TOPICS 大量首切りに全面協力を誓う鷲尾
労働戦線リポート:旭川―バス労働者に全員解雇攻撃/東海豪雨後に大リストラ/沖縄―基地労働者が電磁波被曝

<7面>
いかに評伝してはならないか
革命的哲学者・黒田を冒涜する俗書−−高知聰『孤独な探究者の歩み』

<8面>
JR東海 ひかり回送列車無人運転事件
背後に悪辣な労務管理
JR北海道労組のダラ幹どもよ出向組合員の怒りの声を聞け!
◇古いものは新しい

<3面>
万華鏡2001――情勢の断層を読む
古賀メロディー??
ピンポン外交″ト来?
犯罪もグローバル・スタンダード
「糾弾」の復権(?)
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉


「解放」最新号



  


「不良債権早期処理」の名による大リストラ加速の攻撃を粉砕せよ
「保守層との共同」の名で労働者への犠牲転嫁に加担する日共を弾劾せよ

 三月十九日(日本時間二十日未明)に開催されたシンキロウ死に体℃相とブッシュ二世新大統領との初めてで最後の日米首脳会談において、森は、ブッシュの強硬な対日要求に屈して、――有事法制定など日米軍事同盟を強化するための諸政策の遂行とともに――「不良債権処理」の断行を公約≠オた。この「対米(=国際)公約」をタテにして今、麻生・平沼・柳沢らの経済担当閣僚どもの先導のもとに、不良債権問題を早期に解決するためのスキーム(枠ぐみ)づくりが急ピッチで進められている。そして、これに力を得た銀行諸独占体やゼネコン・繊維・鉄鋼などの独占諸企業の経営者どもは、「不採算部門」や「問題企業」の切り捨てを声高に叫びたてながら、会社分割法の施行(四月一日より)をも救(たす)け船≠ニして、これまで以上の規模の大リストラ攻撃にのりだそうとしている。この攻撃を許すならば、中小企業はもとより一部の独占体をもふくめて倒産の嵐が吹き荒れ、これまで以上に大量の労働者が街頭に放り出されることになるのは火を見るよりも明らかなのだ。
 だが、わが労働者階級にとってのこの正念場において、鷲尾・笹森の「連合」指導部は、今春闘をリストラ協力の誓約と引き換えにスズメの涙にもならない超低額の「ベースアップ」で・あるいは「ゼロ回答」や賃下げで妥結するのみならず、「改憲」と「経済構造改革断行」を熱烈に叫んでいる鳩山・菅の民主党を全面的にバックアップしている始末ではないか。そして、小沢自由党との選挙共闘にふみだしている土井の社民党は言うにおよばず、鳩山から毛嫌いされている不破=志位の日共も、「倒閣」の一点での「野党共闘」の一翼に加わるために、ますます小沢一郎への依存を強めてさえいるのである。こうして、ただひたすらに「保守層との共同」を追い求めるあまり、反戦・反安保の闘いはもとよりリストラ反対や大衆収奪反対の闘いにいたるまでの一切合財を完全に放棄してしまっているわけなのだ。
 すべてのたたかう労働者・学生諸君! 今こそわれわれの真価が問われているのだ。「経済構造改革」の名による労働者階級・人民への一大犠牲転嫁の攻撃にたいして、そして有事法制定や教育基本法改定さらには憲法改悪という超弩級級のネオ・ファシズム的反動攻撃にたいして、一切の既成指導部の裏切りと闘争歪曲を許さず、労働者階級を中心とする巨大な反撃の闘いを創りだすために、今こそもてる力の一切をふりしぼって奮闘しようではないか。

「不良債権処理」=「経済構造改革断行」に奔走する森政権

さし迫る経済的破局への焦燥に駆られた危機突破策

「経済構造改革」断行を下支えする既成指導部の腐敗に抗して闘おう!
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古賀メロディー??
まぼろしの影(カトー)を慕いて

 「『古賀メロディー』は懐かしい演歌だけでなく、新しい時代の鐘を奏でてくれる」――これは、さる三月十九日に闇総理≠アと野中広務が語ったセリフ。
 「古賀メロディー」と言っても何のことか分からない若い読者のために一言。戦前・戦後の日本のミュージック・シーンをリードしたのが古賀政男という大作曲家。今でいえば、さしずめ小室哲哉とつんくを合わせたようなヒットメーカー。藤山一郎の「丘を越えて」や「影を慕いて」や美空ひばりの「悲しい酒」など、美しく哀愁あふれる旋律で大衆の心をとらえたのでありました。
 もっとも、野中のいう「古賀」とは、古賀は古賀でも自民党幹事長の古賀誠。「古賀誠という仕事ができる男が、やがて日本中にメロディーを奏でてくれる」ときたもんだ。
 じゃ、どんなメロディー? もちろん、本家本元の古賀メロディーとは縁もゆかりもない、政界のあちこちに不協和音ばっかり呼び起こすガタピシ調……なんて今さら言うのも野暮ってもんよ。実際、かなり変なメロディーもある。三月二十五日に古賀は次のようなことを言ったという。
 「私たちが夢見てきた『加藤政権』をいつの日か実現させたい。させねばならない。」「加藤政権の実現が二十一世紀の日本のかじ取りへの期待にこたえられる……。」「われわれ〔旧加藤派の〕同志は常に心はつながっている。」
 なるほどね。「♪まーぼろぉしのー カトーを慕いて」ってわけですか、古賀センセー。今も「加藤政権」の夢は変わらぬ、と。
 おーっと、てなこと言われてその気になったら大間違い。なんたって、この古賀誠こそ、野中と一緒になって加藤派をぶっ壊した張本人、「誠」のひとかけらもないヤツなんだから。よりによって今どきのこの「加藤政権実現の夢」の弁。これは、実は加藤紘一にたいする「小泉擁立に動くな」という警告。将来の総裁候補を狙うなら、自重すべし、という恫喝よ。
 だいたい、この古賀センセー、堀内派所属ではあるが実は野中の一の子分。野中=古賀が現在いちばん恐れているのは、ほかでもない、総裁選びの駆け引きで、小泉純一郎のもとに反橋本派の勢力が結集して自民党が真っ二つに割れること。
 そこで、野中=古賀ラインは、小泉を総裁に立候補させないための手を次々とうってきた。その最たるものが野中じしんの不出馬宣言。これ、野中の突出ぶりに反発していた青木幹雄へのメッセージ。これを受けて青木は、小泉降ろし≠フ意を固め、早大雄弁会の後輩・森喜朗を恫喝したにちがいない。その結果が、「小泉君は総裁選に出るべきではない」というシンキロウの言であるのは、歴然というもの。また、江藤・亀井派の若手が亀井を総裁選にかつぎ出そうとしている背後にも野中=古賀ラインの策動があったのではないか。なにしろ、この動きが出たことで、江藤・亀井派が小泉支持に一本化することもなくなったのだから。
 こうして、反橋本派総結集による小泉擁立≠フ動きは、ほぼつぶされた。いまや「ポスト森」レースは完全に野中=古賀のペース。まだ、一匹狼の真紀子と平沢勝栄は吠えているけど。
 小泉の芽がほぼつぶれたのを見計らったのか、古賀誠。三月三十一日には、「野中先生を頂点とし、野中先生に政権の真ん中にいていただいて存分に働いていただきたい」ときた。「モリを越えて行こよ」って、藤山一郎調で朗々と(?)。
 フン、やっぱり本音はそれか。なるほど「やがて日本中にメロディーを奏でてくれる」と野中が予言していたのはコレだったというわけか。
 それにしても、古賀マコトの「メロディー」、本物の古賀メロディーにこめられた勤労大衆の悲しみ苦しみとはおよそ無縁。そこにあるのはギラギラ・ギトギトに油ぎった権力欲だけ。
 でも、永田町にひとりだけ、古賀マコト・メロディーを聞きながら悲嘆にくれる人物がいるらしい。そう、かつての古賀の親分、加藤紘一。ふだんはカラオケでスピッツの曲とかを歌うのだそうだが、ときならぬ古賀のオベンチャラに心揺さぶられた夜には、懐かしのメロディーを口ずさんだとか……。
 ♪ひとり酒場で飲む酒は
  別れ涙の味がする……   
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 深刻化する日米同盟の軋轢と日本帝国主義経済の死の苦悶
無能無知シンキロウの対米「公約」がもたらす波紋

 「もうすぐ辞める首相と会っても、はっきり言って時間の無駄だ」――アメリカのマスコミからはこのように揶揄(やゆ)されるほどに、アメリカ国内ではほとんど注目されていなかった三月十九日の日米首脳会談。だが、実際におこなわれたその会談の内容と結果は、二十一世紀初頭の日米両国の国家的諸関係のゆくえに、とりわけ日本国家に、大きな重石(おもし)を課すものとなった、といわなければならない。
 そもそも、アメリカ経済が今や急激な景気後退にみまわれていることへの危機感を一気に募らせている新大統領ブッシュ・ジュニアは、この危機突破のためには日本市場のいっそうの「開放」こそが必要不可欠というアメリカ金融独占ブルジョアジーの意を体して、「日本経済の構造改革の断行」を迫る強硬な要求を森に突きつけた。すなわち、「苦い薬は早く飲めば早く良くなる」とうそぶきながら、日本の銀行諸資本が抱える不良債権を早期に処理すべきことを日本国家の責務として居丈高に要求したのであった。ところが、ブッシュ政権のこのような出方をまったく予想していなかった無能首相・シンキロウ自身は、近く退陣する首相にふさわしく自重するどころか、不良債権処理のメドを「半年」でつけるなどという大それた約束≠やってのけ、その結果、日米共同声明にこの約束が「公約」として明記される次第(しだい)とあいなったわけなのだ。まさに軽薄首相の森は、日本国家の懸案解決の道筋をつけた首相としておのれの最後を飾るという大それた・だが実はケチな願望から、不良債権の早期処理という大変な無理難題を・その重さも意味もほとんど解しないままに、対米の国際的公約≠ニして誓約してしまったのだ、といわなければならない。
 大統領に就任したばかりのブッシュ・ジュニアと、もはや退陣が決まりながらも後継者がなかなか決まらないことをいいことにゾンビのごとく政権のトップに居座り続けているシンキロウ。この二人の間では最初にして最後の首脳会談において、経済危機の胚胎への焦燥にとりつかれたブッシュの強硬な対日の経済的要求に森が安逸かつ安易に応じてしまったことが、日本国家に重大な重石を課すものとなることはまちがいない。まさにこのゆえに、〈ポスト森〉政権は、誰がそのトップの座に就任しようとも、この重石の重圧をわが労働者・人民に転嫁する反動攻撃を一気にしかけてくるにちがいないのである。

T 「空っぽのスーツ」と「サメの脳味噌」の二時間の攻防

U 「日米安保同盟重視」の名によるブッシュ政権の強硬な対日要求

V 労働者・人民への犠牲転嫁を招くシンキロウの「公約」
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いかに評伝してはならないか
革命的哲学者・黒田を冒涜する俗書
――高知聰『孤独な探求者の歩み』

 日本における反スターリン主義運動の巨大な前進のために、これまで限られた分野ではあれ、同伴者として、一定の役割をはたしてきた評論家・高知聰が、わが同志であり、また革命的哲学者でもある黒田の「評伝」を現代思潮新社から出版した。『孤独な探究者の歩み』という書名の本書(以下、本書からの引用は頁数のみを記す)は、「われわれの主人公は、二十世紀現代の広大な学問領域のなかで、その専門分野では独自性と革命性において比類のない業績をもって著名であり有名である」(一四頁)といいつつ若き黒田の「評伝」を小説的スタイルで書き記している。けれどもこの「評伝」には、主人公の学問的探究にかんする諸事実および理論社版『ヘーゲルとマルクス』の出版の経緯などについて、許すことのできない嘘とデマがちりばめられている。
 だが、本書が都内の書店の店頭に並べられたその日(二月十五日)に、著者である高知聰は、六十六歳をもってその生涯を閉じた。このゆえに、高知がおよそ八年間にわたって病魔(肺がん)とたたかい続けながら執筆した本書を、われわれが逐一丁寧に批判したとしても、この批判を彼に突きつけることも、またこれにたいする反論を書かせることもできない。こうした悔しさと、もどかしさが、われわれにおいてないわけではない。しかし、死者に鞭を打つつもりはないが、二月十五日にmった著者が最後に書き残した若き黒田の「評伝」なるもののデタラメ性については、それとしてわれわれは確認しておかざるをえない。そして、わが反スターリン主義運動の間接的支援者であった彼の遺書を、彼の亡骸とともに埋葬することも、われわれに課せられたひとつの重要な義務であり使命である。

〈目次〉
 一、小説的「評伝」による事実の偽造
 二、事実にもとづかない記述の破綻
(以上本号)
 三、若き黒田の学問的探究の追体験とはなにか
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JR北海道労組のダラ幹どもよ
出向組合員の怒りの声を聞け!

「経営が違うからと話もきかねえ」くやしさにじむ声
 
ダラ幹の抑圧をはねのけ闘う団結の再生を
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