第1769号(2003年5月19日)の内容

<1面>
武力攻撃法制定を断固阻止せよ
「連合」中央、社共の総屈服に抗し反戦闘争の革命的高揚を!


<4〜5面>
イラク・シーア派民衆の不屈の反米闘争
 本当の戦いはサダムが倒れた後 に本格化する=c…
今ドゴール<Vラクの突っぱり
◆代々木の夜はいたずらに更けゆく

<2面>
闘う学生が「憲法集会」で奮闘(5・3 日比谷)
沖縄で反戦反基地の炎
(4・20嘉手納、4・26宮古)
個人情報保護法制定阻止の闘い
(5・6 国会前)
国立大法人法制定阻止に決起
(5・7 東京)


<6面>
5・1メーデー下から反戦の声
「連合」中央集会(代々木公園)
「全労連」中央集会(亀戸中央公園)
「全労協」日比谷集会
Topics 強制≠ウれる市町村合併

<7面>
Y面的アプローチについて

<8面>
思索と創造
『黒田寛一のレーベンと為事』を読んで
「ハンガリア事件と私」を読んで
『現代における平和と革命』に学ぶ

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
三日天下
記者の倫理?
グアンタナモの虜囚
終わりの始まり
漫画 偉大な贈りもの

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号

 
























































    

武力攻撃法制定を断固阻止せよ
「連合」中央、社共の総屈服に抗し反戦闘争の革命的高揚を!

 米軍国主義帝国がメソポタミアの大地に雨あられと降り注いだ数多(あまた)の爆弾の硝煙がくすぶる現在、日本帝国主義の小泉政権は、今がチャンスとばかりに「北朝鮮の脅威」なるものを煽りたて、いよいよ念願の武力攻撃法などの有事三法の制定に突進している。タカ派防衛庁長官・石破などは、「海外での武力行使も理論上ありえる」などと公然と言い放ち、有事法がまさに侵略戦争法であることを隠そうともしていない(五月九日の国会答弁)。人権保護規定や「緊急事態基本法」などをめぐる民主党との調整=*@案修正協議が進展しようがしまいが、政府・与党は、五月十四日の衆院特別委採決、十五日の衆院本会議採決を強行しようとしているのだ。
 「先制攻撃の権利」を公然と言い放つタカ派主導の民主党。「核兵器保有を主張する北朝鮮こそ問題だ」などと、「北朝鮮脅威」論の鼓吹にまきこまれた日共中央。これら野党諸党の惨状ゆえに日本の既成平和運動は、有事三法制定の攻撃にまったく太刀打ちできないでいる。今こそわれわれは、日共中央や「連合」中央の抑圧に抗してたたかう労働者・人民と共に武力攻撃法制定阻止の一大闘争を創造しなければならない。
 われわれはまた、反米闘争に決起しているイラク人民と連帯して、「一超」帝国主義アメリカの「中東民主化」を名分にしたイラク軍事占領と全中東地域への軍事侵略の拡大を、断固として阻止しなければならない。

以下、見出し
開始されたイラク・ムスリム人民の反撃

暗礁にのりあげた「イラク暫定政府の樹立」構想

 米軍占領支配の泥沼化

有事法の衆院採決を許すな

軍事強国化の先兵を担う民主党を弾劾せよ

「反北朝鮮」の排外主義的ナショナリズムに抗して闘おう
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イラク・シーア派民衆の不屈の反米闘争

シーア派の底力に脅えるアメリカ権力者

 ヤンキー権力者の鬼畜生にも劣る蛮行を、イラク・アラブ民衆は脳裏に焼きつけ、今、はらわたの煮えくりかえる悔しさ、未来永劫消え去ることのない憎悪を深く沈殿させこれを熱情に転化させ、アメリカ権力者とその共犯者どもにたいする報復を心の奥底で決意しているにちがいない。われわれのアメリカへの本当の戦いはサダムが倒れた後に本格化するのだ=iシーア派政治組織活動家、四月九日付「朝日新聞」)と。
 スンナ派、シーア派の宗派的違いを越えて、侵略する異教徒との闘い(ジハード)においては不正な支配者とともにこの外敵にたいしてたたかうのがイスラームの伝統なのである。スンナ派最高教育機関のカイロの「アズハル」は「新十字軍による侵略と戦うのはジハードである」という声明を出した。イラクのシーア派の聖地ナジャフの大アーヤトッラー(シーア派法学者の最高権威)シスタニが「米英軍へのジハードはムスリムの義務である」というファトワ(権威ある法学者が提示する宗教的裁定)をだした。シリアのイスラーム最高権威も「殉教攻撃を含むあらゆる手段で敵を倒せ」と呼びかけた。フセイン政権が打倒されようとも、アメリカの軍事占領・支配という植民地化の攻撃が続くかぎり、イスラームの精神的風土と文化を背景としてこの呼びかけはムスリム民衆の決起を促しつづけるアジテーションとなるのだ。傲慢に驕り高ぶるネオコン一派が牛耳るアメリカ・ブッシュ政権は手痛いしっぺ返しをくらうことは避けられない。
 シーア派民衆を中心として巨大なうねりとなって噴出しているイラク人民の反米感情とエネルギー、この現実に、「解放軍」を演出してきた占領支配者アメリカ帝国主義権力者は、今さらながら驚愕している。四月二十三日付「ワシントンポスト」は、ブッシュ政権内部の見解として「シーア派の組織力を過小評価し、イスラーム原理主義勢力がイラクの政権を握る可能性に対処する準備ができていなかった」などという危機意識と悲鳴を伝えた(四月二十四日付各紙)。ブッシュ政権の一部は、米CIAが育成した傀儡(かいらい)チャラビをかつげばポスト・フセインの占領支配体制は意のままになると高をくくり、フセイン政権の軍事的打倒に狂奔した。彼らは、イラクのイスラームと政治力学の深い結びつきに無知であったということである。
 ヤンキー権力者どもは、フセイン・バース党政権打倒に利用する観点からイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI(サイリ))をチャラビのイラク国民会議(INC)を中心とする反体制六派の一翼に囲い込んで絡め取れると浅はかにも盲信した。笑止千万にも、自分らがイラクの占領支配者であることを忘れ、イスラーム国家イランにたいして、ホワイトハウスはシーア派をつうじて反米を扇動しイラク民主化の邪魔をする外部からの介入に強く警告する≠ネどと恫喝した(四月二十三日)。天に唾する悪あがき、盗人猛々しいとはこのことだ!
 いや、シーア派イラク人がイラク国民の多数であろうがシーア派で反米であるかぎりは「外部勢力だ」などという難癖をつけて彼らの占領反対の意志を葬り去ろうなどというのは、かつてサダム・フセインがシーア派民衆の反フセイン政権闘争を血の弾圧・粛清のかぎりを尽くして抑圧した手口そのものではないか! ブッシュが振りかざす「民主主義」なるもののご都合主義的まやかしがここでもむき出しになった。だからこそ、イラク民衆は叫んでいる。アメリカもノー! フセインもノー!≠ニ。
 ブッシュ政権にイラン・イスラーム(シーア派)革命(一九七九年二月)の悪夢をよみがえらせ彼らを恐怖に震わせているイラク・シーア派民衆。彼らの占領支配反対の不屈の反米闘争は勝利の日までとどまることはない。ブッシュがイラク民衆に与えた暴虐・蛮行にふさわしい真の恐怖を味わうことになるのは火を見るより明らかだ。

以下、章見出し

米帝の軍事占領支配に抗し闘うシーア派諸潮流

 総結集―アルバイーン

 イラク・イスラーム革命最高評議会の総決起

 ダアウ党とバーキル・サドル

 モクタダ・サドルと「ジャマアト・サドル・サーニ」

 サディク・サドルを引き継ぐグループ

 シスタニとナジャフの法学者グループ

 「イスラームは統一の象徴」―宗派を超える共鳴・共同
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闘う学生が「憲法集会」で奮闘(5・3 日比谷)
「憲法集会」を実現し二千名の労働者・市民と連帯して意気軒昂にデモ(五月三日)


個人情報保護法制定阻止の闘い(5・6 国会前)
国会議事堂にむけて「個人情報不保護法」採決強行弾劾の拳(五月六日) 


沖縄で反戦反基地の炎(4・20嘉手納、4・26宮古)
「米帝のイラク占領反対!」のシュプレヒコールを叩きつける琉大、沖国大の学生(四月二十日、嘉手納基地前)
 KC130空中給油機に怒りを叩きつける労・学・市民(四月二十六日、宮古空港)


国立大法人法制定阻止に決起(5・7 東京)
「国立大法人法制定阻止!」三〇〇人の教職員・学生がデモ(五月七日、霞が関)
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記者の倫理?
裁かれるべきは誰だ!

 五月一日、ヨルダン・アンマンのクイーンアリア国際空港の出発ロビーで、イラクでの戦争取材を終え帰国の途についた毎日新聞写真部の記者が所持していた釣り鐘形の物体が手荷物検査の最中に爆発、検査にあたった警備職員一人が死亡(四人負傷)する事件が起きた。警備職員に「これは何か」と聞かれて記者は手に持って説明、これを受けて職員が検査しているあいだに爆発したのだという。この記者は即座に取り押さえられ、ヨルダンの国家治安法廷と呼ばれる軍事法廷で裁かれようとしている。
 記者はバグダッド「陥落」後の四月十一日にイラク入りした際、道路脇に放置されていた釣り鐘形の物体を発見しそのうち二個を拾い、以来自分のカメラバッグに所持していた。爆発したのは、そのうちの一つ。「釣り鐘形」という形状からこの物体はクラスター型ロケット弾の弾頭に装てんされるM77子爆弾だといわれている(註)。
 この事件を鬼の首でもとったようにさわぎたてているのが、「産経新聞」などの一部反動マスコミだ。「軽率だ」「メディアの倫理低下だ」(五月三日付「産経新聞」)、「毎日新聞社の危機管理の欠如」などなど。しかも、大統領宮殿の絵画を金もうけのために盗み米国に持ち出した米FOXテレビの技師の事件とも意図的に重ねあわせながら。極めつきは「珊瑚礁落書き事件と同じだ」(『週刊新潮』五月十五日号)と。
 だがこれらの報道は、この記者がなぜクラスター爆弾を持ち帰ろうとしたのかについては一切不問に付し、爆発した結果のみをさわぎたてているにすぎない。
 米英軍はバグダッドを「陥落」させた四月九日直前の四月七日にクラスター爆弾を大量に集中投下した。「毎日」記者が拾った「物体」も、この時落とされたものにちがいない。
 「陥落」後の市民の姿を取材する目的でバグダッドに入った記者が見たものは「フセイン政権の圧政から解放された自由な市民」ではなかった。彼が見たのは、米帝が誇示する精密破壊兵器によって頭や足や胴体を吹き飛ばされ、もはや人間の体を成さない屍と化した物言わぬイラク人民の無惨な姿であった。いまなお米英軍がばらまいたクラスター爆弾によって指を吹き飛ばされ、足を切断されて苦しみ続けているイラクの人民や子供たちの姿だった。
 四月二十六日付「毎日新聞」夕刊に掲載された「叫び声が聞こえますか……」という見出しの写真記事。これは、この記者が撮影・執筆したものだ。そこには不発弾を放り投げた瞬間の爆発で吹き飛ばされかろうじてぶら下がっているだけの血みどろの少年の手が写し出されている。写真に添えられた記者のコメント――
「オンミー(お母さん)……」という彼の叫び声が今も耳の奥に残っている。この日見た光景は「戦争とは何なのか?」ということを私に教えてくれた。…… ファインダーをのぞく目から涙があふれた。どうしようもなく悔しかった。何も出来ない自分に、そして、愚かな大人たちに……。……一つ言えることは、戦争の最大の被害者は常に弱者だということ……。

 目の前で嘆き苦しむイラク人民や子供たちを前にして戦争のなんたるかを知り、自己の無力に嘆き悩みながら、必死にシャッターを切っているのがひしひしと伝わってくる。イラクの人びとにたいする深い共感と同情に溢れたこの写真記事は、見る者をしてブッシュの「正義の戦争」なるもののまやかしと戦争の悲惨な現実にたいする想像力と憤りをかきたてずにはおかない。だからこそ彼はクラスター爆弾を、ブッシュの戦争を告発するために持ち帰ろうとしたにちがいないのだ。
 「毎日」記者を非難する者どもが、このことを意図的に語らないのは、彼らがブッシュの戦争を支持する小泉政権の広報部になりはて、この戦争の悲惨さを隠蔽する報道に明け暮れてきたからだ。
 イラクに米英軍が落としたクラスター爆弾によって毎日何十人何百人の人びとが今もなお殺され続けている。この爆弾の不発弾をうかつにも拾った記者を非難する者どもが、この残虐な爆弾を落とした奴らを一言も非難しないのはいったいどういうわけだ。劣化ウラン弾やクラスター爆弾を雨あられと降らせ数多のイラク人民を虐殺し続けているのはブッシュではないのか! この男こそ戦犯法廷にかけられるべきなのだ。
 この事件に飛びついて「人権派」記者を非難する一部右翼反動マスコミ(『週刊文春』五月十五日号)の悪辣なキャンペーンを絶対に許してはならない。
(註)クラスター爆弾――攻撃範囲が広いうえに、多量の不発弾が残り、「戦後」も非戦闘員や子供が触れて死傷する事故が多発することからして、「第二の対人地雷」と恐れられている。イラク戦争で米英軍は一五〇〇発使ったと発表。
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