第1790号(2003年10月20日)の内容

<1面>
イラク軍政破綻ののりきりを策す米日両権力者
10・17日米首脳会談粉砕―10・19反戦・反安保闘争に起て


<4面>
「テロ対策」の名による日本版CIA創設の策動
警察庁「緊急治安対策プログラム」の極反動性

<5面>
労働運動の圧殺を韓国政府にゴリ押しする小泉政権を許すな
◆ブキブキ狂死曲
――プーチンの繰り言

<2面>
兵隊もカネも気前よく出す国
自衛隊の一挙的強化
 精密誘導弾/MDシステム
テロ特措法採決阻止闘争(10・3、愛知)

<6面>
Topics 全米自動車労組(UAW)の犯罪
リポート労働戦線 徹底化される選別教育
強引に開業した沖縄モノレール

<7面>
教基法改悪攻撃を補完する本部
    第91回日教組定期大会報告

<8面>
感想文 『レーベン』「闇から闇へ」/同「異端の生誕」/『アントロポロギー』/「哲学と人間と文学の問題」

<3面>
万華鏡2003――情勢の断層を読む
リフレッシュ休暇
白い粉
オムネサイド
夫唱 不随
ムスリムを辱めているのは誰だ

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」最新号















































 


    


イラク軍政破綻ののりきりを策す米日両権力者


10・17日米首脳会談粉砕――10・19反戦・反安保闘争に起て


 「一超」軍国主義帝国の大統領ブッシュは、十月十七日の午後に来日し、首相・小泉との首脳会談に臨もうとしている。この会談においてブッシュと小泉は、日米軍事同盟をよりいっそう強化していくことを確認しあうとともに、「対テロ戦争」の成果と「日米同盟の果たした役割」なるものを自画自讃しようとしている。このおぞましきハーケンクロイツ同盟の謳歌≠、われわれは断じて許すわけにはいかない。
 イラク人民の不屈の反米闘争によって米軍の占領支配は破綻の縁においつめられ、ブッシュ政権は国際的な孤立をかこっている。ブッシュも小泉も、政権存続の正念場にたたされている。そうであればこそ、この極悪ネオファシスト・コンビは、イラク、北朝鮮政策をめぐって、為替レート問題をめぐって、たがいに相手の傷口をなめあうかのような政策的取り引きをはかり、もって両政権の危機突破の方途(みち)をこじあけようとしているのである。
 日米両政府による日米安保同盟のグローバルな強化を打ち砕け! 日本のイラク派兵・戦費負担を阻止せよ! 日米共同の対北朝鮮経済制裁・戦争挑発を断じて許してはならない! 日米首脳会談を、労働者階級・人民の力で粉砕せよ!
 総選挙に埋没し日米首脳会談にたいする闘争を放棄している日共、社民党中央を弾劾し、すべての労働者・学生は10・17ブッシュ来日阻止! 日米首脳会談粉砕闘争に決起せよ! 10・19反戦・反安保労学統一行動に起ちあがれ!

以下、小見出し

イラク派兵・財政支援を求めるブッシュ政権

「拉致問題解決」への協力を泣きつく小泉政権

国家戦略をめぐる支配階級内対立の激化

「自・民対決」の濁流に没する社共をのりこえ闘おう
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「テロ対策」の名による日本版CIA創設の策動


 警察庁「緊急治安対策プログラム」の極反動性


 警察庁は、八月二十六日に、「悪化する日本の治安を回復するため」などと称して、今年を「治安回復元年」と位置づけ向こう三ヵ年で達成することをめざした「緊急治安対策プログラム」(以下「プログラム」と略す)なるものを公表した。警察庁が各部門ごとに具体化した総合的な治安政策なるものを提示するということじたい、かつてないことである。
 この「プログラム」において警察官僚は、昨年の刑法犯認知件数が戦後最多を記録しているにもかかわらず警察の体制が追いつかず犯罪検挙率が低下している、などと危機感をあらわにしている。そして、「治安を回復」し「安全な社会」を確立するためと称して、「プログラム」を「早急に推進」し「緊急かつ重点的に取り組む」ことを、並々ならぬ決意を込めて叫びたてているのだ。

以下、見出し

1 「治安悪化」を口実とした警察官二万人の増員

2 「組織犯罪対策部」の新設

3 米CIAと連携する「日本版CIA」の創設
  「自治体警察」理念の否定

4 FBI式の「国民監視網」の構築

5 ヤンキー帝国による日本警察再編の一挙的促進
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地獄にホトケ


兵隊も資金もすべて気前よく出す国


 ブッシュが日本にやって来る。もちろん、目当ては兵隊、そしてカネ。いずれも日本が最後の頼り。
 「戦闘終結宣言」から五ヵ月、イラク占領米軍の死者は二百を突破した。旧サダム軍は「各地に司令部」をもち、「地域的連携」さえもとりはじめたと、司令官サンチェスみずから認めた(十月二日の記者会見)。
 シーア派をサダム派ゲリラにけしかけようと、仕掛けたナジャフ謀略にもかかわらず、結果は裏目。ハキームのSCIRIに代わり、反米のモクタダ・サドル一派が台頭。バグダッド・サドルシティーで連日のデモ。警察署への自爆攻撃、米軍襲撃もがはじまった(いずれも十月九日のこと)。
 シーア派が頼りの統治評議会だが、ここに来て展望喪失。米軍長期駐留が不可避となった。困ったブッシュはぬけぬけと、「多国籍軍」編成を国連安保理に提案。占領軍の権限は譲らないけど、援軍はよこしてくれと。だが、仏・独・露・中、アナンとみなこれを拒否。多国籍軍プランの方も、展望立たず。
 ただひとり、イラク派兵を決定したのがトルコ。トルコ軍派遣となれば、黙っちゃいないのがクルド人。シーア派に続いてクルド人まで統治評議会から離脱しかねない。アメリカは、そんなトルコでも大歓迎。待ち人きたらず、招かざる客のみきたる。
 困難はさのみにあらず。占領のカギは復興、しかし先立つものはカネ。そのカネがひねり出せない。
 世界銀行試算では、イラク復興経費は五五〇億ドル。そのうちの二〇〇億ドルまでとケチったブッシュ、それでも議会で立ち往生。民主党議員は言った、「<衝撃と恐怖>財政ではないか」。ただし米軍駐留費六七〇億ドルは、全員賛成。つまり米軍撤退には、みな反対。そのうえで、イラクの復興なんだから、石油担保の融資にしろと、外野席から言いたい放題。しかしブッシュは、それでは困る。石油担保はあまりに露骨。石油めあての戦争と、袋叩きだ。アメリカが融資に頼り、他国には無償援助を迫るのも、勝手がすぎる。ビタ一文、とれるわけがない。
 復興を放棄もできぬ。そうすれば、治安は悪化、そのツケは駐留経費に回る。占領を続けるかぎり、出費はかさむ。しかし財政赤字は五六〇〇億ドルにもなった。財布よ財布よ汝をいかんせん。
 もう国連に丸投げしろと? そういうわけにもブッシュはゆかぬ。政権外のネオコンどもが、もう大騒ぎ。「いまここで失敗すれば、アメリカは数十年間壊滅的な打撃を受ける」「いま修正しなかったなら、失敗は災厄にいたる」「国連に頼ったならばアメリカは尻尾を巻いたと笑われる」「それだけは受け入れがたい」と。(『The Weekly Standard』九月一―八日合併号掲載のビル・クリストル、ロバート・ケーガンの論文)
 ネオコンは言う。「もっとお金を」「もっと軍隊を」と。「Do What It Takes in Iraq(イラクでやるべきことをやれ)」と。そんなことならブッシュでも百も承知だ。だがしかし、ホワットだけでは、やっていけない。ハウがなければ、権力者はつとまりません。「いかにしてお金をとるか」「いかにして兵隊つれて来させるか」これをクリアーするのがオレ様だ。そこでブッシュは考えた。――ニッポンから、と。
 ニッポンといえばアーミテージだ。「ショー・ザ・フラッグ」、この一言でテロ対策特措法。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」、そしたらイラク特措法。そしてこんどは「ドーント・ウォーク・アウェイ」。これだけで日本政府の態度は急変。「自衛隊年内派遣はムリ」と言った、その舌の根も乾かぬうちに、「日本はイラク支援にひるんではならない」ときた。世に「アーミテージ効果」と言うらしい。
 それもこれも、ニッポン政治エリートのものわかりのよさのせい。アメリカの理不尽さえも受け入れる、おかしな国は世界でもニッポンひとり。
 ネオコンの広報紙かと見まちがう「読売」いわく、――アメリカは山で遭難した人にたとえるべきで、フランスやドイツのように、「無謀だ」と非難するのはまちがいだ。「死地に入った」アメリカが「苦しい時期を乗り越え」る過程にあると理解して、日本はカネも兵隊も出そうじゃないか。(九月二十八日付「地球を読む」岡崎久彦)
 無謀登山で遭難すれば、こりゃ当人の責任だ。身柄は回収、費用は全額本人負担。アメリカはただちに撤退、賠償金を支払うべきとなるのが道理。フランス、ドイツの非難こそ、まだしも常識的というべし。スジの通らぬデタラメを言うのは日本政府だけ。
 こういう日本だからこそ、ブッシュにとっては地獄にホトケ。こんな便利な国はない。ブッシュが議会の追及をかわすときにも日本が頼り。大丈夫、日本が金を出してくれるさ。日本は気前のよい国だから。まるでATMだから。
 そんなブッシュが鼻歌まじりにやってくる。いざ、迎え撃たん!
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10・3愛知 テロ特措法改定案の採決阻止!


闘う学生が自民党県連に抗議
自民党愛知県連に怒りのシュプレヒコール(10月3日)
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