第1836号(2004年9月20日)の内容

<1面>
郵政四分割=民営化を粉砕せよ
「構造改革」の名による大リストラ促進に抗して全労働者の総力をあげて闘おう

<4〜5面>
郵政分割=民営化―小泉式「構造改革」の総仕上げ
<5面>
イギリスの教育事情は明日の日本
<2面>
プーチン政権による北オセチアの人民大虐殺を弾劾せよ!
石原=都教委による「つくる会」歴史教科書採択を許すな!
警察裏金工作暴露≠フ裏側
<6面>
リポート労働戦線
地獄の相談業務―社会保険職場
厚労省が障害等級表を改悪
愛知県が労災死日本一!
Topics 採用後50日で過労死―出版産業
<7面>
定員数割れ≠フ異常事態に見舞われる教育現場(大阪府)
◆風森論文の限界について
<8面>
贖罪教育という名の拷問
 『少年A矯正2500日全記録』のまやかし
◆魂をこめて日々、実践せん
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
◆ターミネーター4
◆ベスランの地獄
◆買弁小説
国民保護法を賛美する自治労本部

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 

































    


郵政四分割=民営化を粉砕せよ


「構造改革」の名による大リストラ促進に抗して全労働者の総力をあげて闘おう


見だし

小泉=竹中式「構造改革」の総仕上げ

民営化をめぐる対立の激化

ハゲタカ・ファンドと全銀協に強要された郵貯・簡保の解体策動

リストラに全面協力する「連合」・JPU労働貴族

既成指導部の総屈服をのりこえて闘おう


リード
 小泉政権は、みずから「構造改革」の総仕上げとして位置づけた郵政民営化の方針を決定した。最後の国営企業≠ニして残ってきた郵政事業を、とりわけ郵貯・簡保が抱えている三五〇兆円におよぶ膨大な資金を、国内金融諸独占体および日本金融市場ののっとりを策すアメリカ金融諸独占体の要求に応じて開放≠キるためにこそ、小泉とアメリカ出羽守≠アと竹中は自民党内の大多数の猛反対を押しきって、この郵政事業解体方針をゴリ押ししたのだ。
 このかん小泉政権は、ヤンキー製の新自由主義イデオロギーにもとづいて、日本資本主義の旧来の政治経済構造(「護送船団方式」や「株式相互もちあい」や「ケイレツ」や「談合」や「終身雇用」などによって特徴づけられてきたそれ)を、アメリカ・モデルの資本主義へと抜本的に「構造改革」する(日本経済のアメリカナイゼーション=jための諸政策をしゃにむに貫徹してきた。「不良債権処理」を名分として大企業のリストラを促進する政策、旧長銀の米リップルウッド社への売り渡しなどの日本の銀行・企業のアメリカ・ハゲタカ・ファンドへのたたき売り。企業経営をヤンキー・スタイル(株価至上主義)に改革するための会計基準の改訂。「規制改革」と称するもろもろの国内産業保護規制、労働者保護規制などの緩和・撤廃。「ニューパブリックマネジメント」の導入にもとづく公営セクターの解体や民間企業的経営手法の導入。――これらの小泉式「構造改革」諸政策の強引な貫徹の結果として、いまや大リストラと倒産の嵐が吹き荒れ、労働者人民は失業と賃金カット、苛酷な労働強化にさらされている。「連合」指導部をはじめとする労働貴族どもの全面的な協力に支えられて!
 民間労働者にたいする大リストラ・首切り・賃金引き下げの攻撃、公務員労働者にたいする民営化、民間委託化と大人員削減の攻撃。教育労働者にたいする「日の丸・君が代」強制と「競争原理」導入にもとづく管理統制の強化。これらにつづいていま、四〇万郵政労働者にたいして、民営化にともなう人員削減、雇用・勤務形態改悪、賃金切り下げ、さらなる労働強化などが一挙にしかけられようとしている。
 すべてのたたかう労働者は、「連合」指導部をはじめとする既成労組指導部を弾劾し、いまこそ産別・単組を越えて連帯しつつ、「小泉式『構造改革』反対! 郵政四分割=民営化粉砕!」「リストラ・大首切り反対!」の闘いを、労働組合を主体として下から戦闘的に創造しようではないか!
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郵政分割=民営化―小泉式「構造改革」の総仕上げ

T 郵政労働者に死の重犠牲を強いる郵政分割=民営化

U 「基本方針」の内実

V 激化する政府・支配階級内対立

W 郵政民営化を見据えた八万人首切り―大合理化攻撃を打ち砕け!
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プーチン政権による北オセチアの人民大虐殺を弾劾せよ!

ムスリムのチェチェン独立闘争への弾圧反対!

 ロシアのプーチン政権による虐殺がくりかえされた。二年前のモスクワ劇場占拠事件のとき以上の大虐殺に、ロシア権力者は手を染めた。
 ロシア南部の北オセチア共和国の小さな町ベスランにおいて、九月一日の小・中学校始業式の日に、チェチェン独立を求める三十数名のムスリム武装グループが乱入し、生徒や教員、父兄ら一二七〇人を人質にとって学校を占拠した。五十二時間後に、この事件は、五〇〇人いや六〇〇人以上の死者と数百人のケガ人――多くは子供たち――をうみだすというかつてない悲惨な結末をむかえた。
 FSB(連邦保安局)強権体制下の厳しい情報統制から漏れでた諸報道によるならば、プーチン政権は学校を占拠した武装グループ全員を殺害して鎮圧するために、FSBの指揮のもとにロシア軍特殊部隊を強行突入させた。千人を超える子供たちが人質になっている体育館に、治安特殊部隊は銃を乱射してやみくもに突入し、人質たちの周囲に仕掛けられた手製の爆発物を次々に炸裂させ屋根を崩落させた。さらには戦車をも出動させて、武装グループも子供たちも体育館ごと破壊し焼き尽くした。人質たちがそこに倒れていることを承知してのことである。
 人質たちは、明らかに、武装グループのせん滅=事件解決を第一義としたプーチンが送りこんだロシア軍特殊部隊によって殺された。彼らは、チェチェンの独立派武装グループを殺害するためならば、子供であろうと人質を殺すのも厭わなかった。二年前の劇場占拠事件のときには強力な特殊ガスを使って武装グループもろともに人質多数の命を奪った。これと同じように、FSB・軍の特殊部隊を投入して暴圧したのだ。まさにこれこそ、FSB型大弾圧にほかならない。
 八月二十四日に発生したモスクワ発旅客機二機の空中爆破事件(後日、「イスランブリ旅団」が「ロシアに最初の一撃」と声明)。八月三十一日のモスクワ地下鉄での爆弾事件。チェチェン大統領選を前後しての相次ぐ攻撃にたいしてプーチン政権は焦りをつのらせ、「テロとの戦い」の名のもとにムスリム急進派狩りを強めた。その矢先に勃発した北オセチア学校占拠事件にヒステリーを高じさせ、大暴圧に打ってでたのがプーチン政権なのである。
 ロシア権力者によるこの軍事作戦の実行に、国連安保理諸国の権力者は事前に了解を与えていた。事件発生当日の深夜にロシアの国連大使の要請をうけて安保理緊急会議が開催され、「ロシア政府を支持し、テロを弾劾する」という議長声明が発せられた。「国際テロリズムとの戦争の必要性」を煽りたてるブッシュ政権に助けられ尻押しされ、国連安保理の一応のお墨付きを得て、プーチンは治安部隊を突入させたのである。そして、特殊部隊の強行突入・大虐殺にたいして、米・中・EU諸国、日本などの権力者どもは、いっせいにロシア政府支持を唱えた。これらの権力者どもは、すべて、プーチンの共犯者である。
 すべての労働者・学生諸君! われわれは、「テロとの戦争」と称して強行されたプーチン政権による大虐殺を、満腔の怒りをこめて弾劾する! またチェチェン・イングーシのムスリムによる民族独立闘争にたいする弾圧に反対する!
 ところで、イラクのムスリムたちは、攻撃対象(打撃対象)を占領軍・傀儡政権とその暴力装置に設定し、自爆などの闘争形態を駆使している。けれども、チェチェンのイスラム急進派の一定のグループは、学校を占拠し子供たちを人質にとり爆弾の真下に置いた。これは、独立を求めるムスリム急進派のテロリズムであるといわなければならない。
 われわれは、彼らが人質にとった子供たちを殺すことを直接の目的としていたのではないことを知っている。何百人もの犠牲者をうみだしたことの一切の責任が、ロシア権力者にあることはいうまでもない。しかも、チェチェンにおいては、十年におよぶロシア軍の攻撃によって、二〇万人もの人民が殺され、今も殺されつづけている。このことへの憤怒はいかばかりであろう。そうであったとしても、こうした手段を選ばぬ戦い方(打撃対象や闘争形態)をわれわれは是認しない。これは、たたかう者の倫理にかかわる問題である。
 九月十三日、大統領プーチンは地方自治体の首長を任命制にすると発表した。これはFSB強権体制のほころびをのりきるためのものにほかならない。
 プーチン政権によるチェチェン独立闘争への大弾圧を弾劾しよう。そしてまたブッシュ政権による「対テロ戦争」の名によるイラク占領の継続と全世界への侵略戦争拡大を阻止するのでなければならない。
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石原=都教委による「つくる会」歴史教科書採択を許すな!

 東京都教育委員会は、〇五年四月開校予定の都立白鴎高校附属中学校で使う教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」編集の扶桑社版歴史教科書を、多くの反対の声を押しきって採択した(八月二十六日)。日本帝国主義の対アジア侵略戦争を「アジアを欧米の支配から解放するための戦争」だと強弁しているだけでなく、南京大虐殺・朝鮮人強制連行・従軍慰安婦などの国家的戦争犯罪を「歴史」から完全に抹消し、さらには「神武」以来の皇国神話を復活させてさえいるのが、この「つくる会」教科書である。この極反動教科書の採択を、すべての労働者・学生・市民は弾劾しよう!
 ネオ・ファシスト石原勅選≠フ教育委員たちは、「一人」の反対を除いてこぞってこの「つくる会」教科書の採択に賛成した。「東京のヒトラー」と呼ばれている横山教育長をはじめとして、「日の丸・君が代」強制に反対する教育労働者を「ガン」呼ばわりして「徹底的に根絶せよ」と叫んだ鳥海巖(元丸紅会長、石原の同窓生)や「職務命令を出さなかった校長を呼んできて謝罪させろ」と喚(わめ)いた将棋指しの米長邦雄などの札付きのファシストどもが、その先頭にたった。
 彼らは、「東京都の教育改革」の目玉の一つである中高一貫校開設(白鴎が最初)を、同時に「つくる会」教科書を一挙的に拡大するための突破口たらしめようとしている。都はつづけて十校の都立中高一貫校の開設を決定している。都立(つまり都教委直轄)の白鴎中等部で「つくる会」教科書を採択することを皮切りにして、開設予定のすべての都立中高一貫校中等部でこの教科書を採用することをたくらんでいる。いやそれだけではなく、この「実績」をたてにして、来年八月の全国一斉中学校教科書選択にさいして、都内の市・区立中学校で(さらには全国都道府県の中学校で)「つくる会」教科書を大量に採択させる。――これが、「つくる会」とタイアップした石原=横山当局の策略なのだ。
 みずからが「つくる会」の賛同人でもある石原は、三年前の全国一斉採択時に、全国での採択率がゼロという状況にいきりたち、都立養護学校(中等部)での採択を強引におしこんだ。これにふまえて彼らは、都立としては初めての中学校となる白鴎から「一点突破全面展開」をはかるために、白鴎中高一貫校開設の顧問として三浦朱門と米長邦雄をおくりこみ、「日本の伝統文化の教育に力を入れる」ことを「学校の特色」として掲げさせた。まさに彼らは、石原式のネオ・ファシスト英才教育≠フモデル校として、白鴎を、さらには今後開設される都立中高一貫校をつくりだそうとしているのだ。
 過去の侵略戦争を賛美する歴史教科書の強行的採択は、まさに現在の日本国家がおこなっている戦争行為を肯定するためのものにほかならない。アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争への自衛隊の参戦と多国籍軍という名の占領軍への一体化、この小泉政権の行為を正当化するとともに、北朝鮮や中国などにたいする民族排外主義を煽りたてて「国のために命をなげだす」ような精神を次代を担う青少年に付与するためにこそ、石原を先頭とするネオ・ファシストどもは、「つくる会」教科書の採択・拡大に血道をあげているのだ。この石原都当局の攻撃は、「日の丸・君が代」の教職員および子どもへの強制、そしてそれに抵抗する教職員への報復的懲戒処分攻撃と一体のものにほかならない。
 都当局は、夏休み中に強行した「日の丸・君が代」被処分者への「再発防止研修」につづいて、今後半年間にわたって「事故〔国歌斉唱時不起立などのこと〕再発を防止する」ための校内研修を反復的におこなうことを各校長に命令した。「教育課程の適正な実施に係る育成計画」にもとづく、と称するこの校内研修は、被処分者を出した学校全体にたいする見せしめ的懲罰であり、被処分者を孤立化させることを狙った攻撃である。さらに彼らは、いわゆる「六・八都議会横山答弁」にもとづいて、生徒にたいする「国歌斉唱時起立」などの「指導の徹底」を教職員に強制する新たな「通達」(職務命令)をだそうとしている。
 すべての教育労働者、とりわけすべての都立学校教育労働者は、この石原=横山都当局の反動諸攻撃にたいして、都高教などの既成教組指導部の闘争放棄をのりこえて、断固たる反撃の闘いを創造しよう! 組合の団結を下から強化しつつ、「『つくる会』教科書採択弾劾!『日の丸・君が代』強制・大量処分粉砕! 校内研修阻止!」の闘争を、労働組合を主体としてさらに大きくつくりだそうではないか! すべての労働者・学生・市民は、たたかう教育労働者と連帯し、石原と都教委のネオ・ファシスト的教育改革に反対する闘いを広範にまきおこそう!
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