第1844号(2004年11月15日)の内容

<1面>
米軍のファルージャ総攻撃を許すな

大統領再選におごるブッシュ帝国の暴虐を打ち砕け!
戦乱のイラクから日本軍は撤退せよ

<4面>
迷宮のスターリン学 亀山郁夫『熱狂とユーフォリア』書評
<2面>
《イラク反戦・改憲阻止!》
 10・24関西労学統一行動(大阪)写真へ
 10・21国際反戦デー福岡集会
 10・21国際反戦デー十勝帯広集会
ゴミ問題で環境省が方針転換
<5面>
社会・国家に奉仕する労働運動≠ヨの変質――電機連合大会
<6面>
労働戦線リポート
 厚生労働省「自立・就労支援」策批判
 三越が800人を大量首切り
私の職場日誌から
Topics 神奈川でも「日の丸・君が代」強制
<7面>
NTT西日本の「SA」導入による賃金格差拡大を許すな
「基地をなくそう全国集会」に檄(10・26)
<8面>
感想文 若き黒田の実存探求に学ぶ
投稿 佐世保事件の読売「社説」批判
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
「天の声にも変なのが…」漫画 園遊会ちょっと痛快譚漫画へ
◆ウラカーンの威力
逆撫で工作
◆何でも対米追従

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 








































   


米軍のファルージャ総攻撃を許すな

大統領再選におごるブッシュ帝国の暴虐を打ち砕け!

戦乱のイラクから日本軍は撤退せよ

リード
 十一月二日(現地時間)のアメリカ大統領選挙において、ジョージ・W・ブッシュ(共和党)が民主党候補ケリーの追撃をかわし再選をはたした。
 公式発表でも一二〇〇人を超えた米兵の戦死者数に象徴される米軍のイラク占領支配の全面的破綻、二二兆円ものイラク戦費拠出による財政赤字の飛躍的増大。これらのゆえに高まる「反ブッシュ」の気運のなかでブッシュ陣営が選びとった道は、ケリーにたいする徹底的なネガティブ・キャンペーンと、「神の国アメリカ」を信奉するキリスト教右派勢力(福音派)を中核とする保守白人層の「道徳的価値観」――妊娠中絶や同性婚への反対――に訴え支持を拡大することであった。
 全世界の労働者人民は警戒せよ! 再選をはたし傲り高ぶる大統領ブッシュはこう叫んだ――「あらゆる資源を動員して対テロ戦争をおこなう。そのためにも団結が必要だ」と。事実、ブッシュ再選を期してイラクの米占領軍は、イラク・イスラム人民の解放区と化したイラク中部の諸都市にたいする大規模な皆殺し作戦にうってでている。十一月七日に、米傀儡アラウィ政権に非常事態宣言(六十日間)を出させ、スンナ派武装勢力の拠点ファルージャへの総攻撃を開始した。武力行使停止を求める国連事務総長アナンの書簡を足蹴にしつつ。
 日米安保の首輪をはめた忠犬=小泉にたいしても、イラクに派遣された日本国軍と米軍との一体化、さらにはMDシステム配備とリンクした米軍トランスフォーメーションへの全面的協力を、大統領ブッシュは強硬に要求している。これにたいして「盟友」ブッシュの再選に「大歓迎」の意を表し、対日要求のすべてを受けいれることを明らかにしているのが小泉政権なのである。フランス・シラクやドイツ・シュレーダーがブッシュ再選に落胆し単独行動主義の濃化に警戒心を強めているなかで、ひとり小泉のみがブッシュへの忠誠を誓ったのだ。
 ビンラディンの呼びかけをもインパクトとして、中洋各国において、ムスリム人民・武装諸勢力は、それぞれが異なる戦略・戦術のもとに反米闘争を激化させている。この火を噴くイスラーム圏が旋回軸となって、現代世界は、米・英・日のハーケンクロイツ同盟と仏・独連合およびロシアと中国という四極構造をしめしつつ暗黒の二十一世紀へ推転している。
 われわれは、「一超」軍国主義帝国アメリカの暴虐に抗してたたかう全世界の労働者人民と連帯し、イラク反戦・反安保・改憲阻止の闘いを断固としてまきおこそうではないか!
 米占領軍によるファルージャ総攻撃を断じて許すな! ブッシュに忠誠を尽すために日本人人質・香田さんを見殺しにした小泉政権を断じて許すな! イラク派遣延長策動を阻止せよ! 戦乱のイラクから日本国軍は撤退せよ!

キリスト教右派に支えられたブッシュの勝利

ナチスばりの大衆操作

分裂するアメリカ

狂暴な牙をむきだしにするブッシュ帝国

日本軍のイラク派遣延長策動を粉砕せよ!
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迷宮のスターリン学

亀山郁夫『熱狂とユーフォリア』書評

 巨巻『熱狂とユーフォリア』(亀山郁夫著、平凡社)を読み終えた。二十世紀まるごと百年間のロシア芸術の全ジャンルを網羅したこの本を、門外漢である私が読破するなどというのは、もともと無謀としか言いようがない。ロシア語を読めない私が、プロフェッショナルである亀山郁夫(東京外国語大学教授)のロシア文学批評の是非を判断しうるはずがないのであるから。実際に読んでみても、消化できた内容は十分の一以下である。それでもなお、私はこの本を最後まで読み、そのうえ書評まで書く気になった。なぜか?
 「不条理の学としてのスターリン学」というテーマに、まず引きつけられた。スターリン崇拝が何故うみだされたのかについて、芸術家たちの内面に密着した鋭い探求を期待したからである。
 世界史の尖端をきりひらいた栄光の革命ロシアが、それにもかかわらず、血なまぐさいスターリン専制をうみだしたのは何故か。革命理論的に、社会科学的に、この根拠を解明することにかんしては、私はなんの「不条理」も残してはいない。残してはならない、ということも自覚している。革命運動の歴史に二度と同じ過ちを犯すことは許されないのだから。私がこの本に期待したのは、そのようなことではない。スターリン主義を克服するための理論的教訓となる新たな何かを期待したのではない。スターリン崇拝の嵐にのみこまれてしまったロシア民衆の悲劇を、人一倍鋭敏な感受性をもつ芸術家たちの魂の揺れ動きをつうじて生き生きと実感できれば、それでよかったのである。
 亀山の追求領域に即して、読書目標を右のように限定したのだとはいえ、読破は容易ではなかった。邦訳のない文学作品や、日本では見ることもできない美術作品が次々と紹介される、というようなことは条件にすぎない。「終末的、有機的、切断的、母性的、微温的、生命的、平衡的、破壊的」という「八つの鍵概念」にしたがって展開されてゆくこの本の論旨が、なかなかつかめないのである。あたかも迷宮に入っていくように、作品群の紹介は錯綜を極める。全篇これ迷宮というべき観を呈してしまった自己の生産物をさして、亀山は「不条理学」と呼んだのではないか、と疑ってしまうほど。

1 「不条理学」とは何か

2 「至福」をもたらすもの
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逆撫で工作

ねぶた、折り鶴、こいのぼり……


 十月三十一日の午後十時半(現地時間)ごろ、何者かが夜陰にまぎれて撃ったロケット弾が、自衛隊サマワ宿営地内の鉄製コンテナを貫通した。宿営地にむけた砲撃はこれで通算八回目だが、宿営地内の施設が破壊されたのは今回が初めて。
 突然の着弾音に驚いた陸自派遣部隊は、あわてて宿営地の電灯をぜんぶ消して、全員が真っ暗なコンテナの退避壕の中で夜明けまで縮こまっていたってんだから、情けない。付近の捜索は、オランダ軍に丸投げ。九月から導入した暗視装置付き無人小型ヘリも、たんなる気休め、役たたずだったってこと。
 マスコミからインタビューされたある自衛隊幹部は、「今回はたんなる警告と取るわけにはいかなくなった」と顔面蒼白。ひとり小泉だけが、「サマワでは住民が自衛隊の活動を非常に歓迎しているそうですよ」と、なおもサマワは安全であるかのようにほざいた。
 この小泉の言辞とは正反対に、今回宿営地を爆発しないロケット弾で攻撃したのは、サマワの地元部族だという観測がマスコミで流されている。そのわけは、自衛隊による復興事業=カネのばらまきが、一部の部族だけを優遇するものであることに反発を募らせたからとか。ことの真相はなお定かではないが、イラク全土で米占領軍への攻撃が激しさを増している今日、サマワの住民のなかに、占領米軍を支えるために居すわりつづける自衛隊への反感が以前にも増して高まっていることは事実。
 こうしたムードを肌で感じているがゆえに、サマワ住民にとりいろうと必死になっているのがイラク駐留の自衛隊だ。
 いまイラクに駐留している第三次派遣部隊の第九師団青森駐屯部隊は、地元の子供たちを宿営地に連れてきて「文化交流行事『ザ・お祭り』」などと称するイベントをおこなった(九月十五日)。豆しぼりの手ぬぐいに、はっぴ姿の自衛隊員たちは、地元青森の「ねぶた祭り」を再現してみせたが、それは完全に裏目に出た。このイベントが、いまイラク人の間で「自衛隊がサマワで日本の宗教行事をおこない、そこにイラクの子供たちを参加させた」と問題視され、「偶像崇拝を持ちこんだ」「自衛隊は、反イスラム集団だ」という評価が全土に広がっているとのこと。(『週刊ポスト』より)
 こうしたサマワ住民にたいする宣撫工作は、「住民のなかにバッファゾーン(緩衝地帯)をつくる」と称して第一次派遣部隊がやったことを手本に引き継がれている。
 たとえば「ご近所プロジェクト」などと名付けられた住民対策。地域の学校をまわって、「歯磨き講習」だの「折り鶴教室」だの「自衛隊バンドの演奏会」などを開くというものだ。これは三月に自衛隊車両が子供から投石されたことをうけて、慌ててとりくまれた。
 また五月五日の「鯉のぼりプロジェクト」というパフォーマンス。米軍が破壊した橋のかわりに、ユーフラテス川に二〇〇本も鯉のぼりをかけてみせたというから馬鹿げている。これは、四月に連続した宿営地にたいする砲撃に仰天して、住民の人気とりとして考え出したものだ。
 極めつきが、派遣部隊がたまに宿営地の外に出たときに徹底することになっている「スーパーウグイス嬢方式」なるもの。なんのことはない、街頭のイラク人たちに「精いっぱい笑顔で手を振ること」らしい(でも「片手はしっかり銃を握りしめよ」だって)。
 鼻につくのは、子供を手なずければ大人もたらしこめると思いこんでいるところ。それがかえってイラク人民の反感を買うことにすら気がつかないなんて、その無知と傲岸さはヤンキー並。
 イラク人民は、自衛隊がイラク全土で掃討作戦を強行しているアメリカの属国≠フ軍隊でしかないことを見抜いている。先のようなマネをすればするほど、ますますイラク人民の気持を逆撫ですることは必至。早晩、さらに手痛い一撃を食らうことは避けられない。
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《イラク反戦・改憲阻止!》 

10・24関西労学統一行動(大阪)



 十月二十四日、反戦青年委員会と全学連関西共闘会議のたたかう労働者・学生は、同日決起した首都圏の仲間と連帯して、〈アメリカのイラク占領反対! 日本の「対テロ戦争」中枢基地化反対! 憲法改悪阻止!〉をかかげて、大阪市街を席巻するデモンストレーションに起ちあがった。 

   

「天の声にも変なのが…」



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