第2047号(2008年12月8日)の内容

<1面>
ガタガタ麻生政権を打倒せよ
米・露激突―新大戦勃発の危機を突き破る反戦闘争を推進せよ

<4〜5面>
貧困・飢餓地獄・環境破壊――呻吟するサブサハラ・アフリカ
<2面>
「大東亜戦争」聖化の田母神妄言
<3面>
熊本・川辺川ダム建設が頓挫
「原発推進」を呼号する電力総連幹部
<6面>
幕引き策すダラ幹に怒り
 福岡県職労秋闘決起集会 11・14
道当局の大量人員削減を許すな
Topics 自動車12社で1万4000人……独占諸資本の大量首切りを許すな
<7面>
「民族自決権擁護」一辺倒主義者の蒙昧
 4トロ残党のロシア―グルジア戦争評論
<8面>
万華鏡2008――情勢の断層を読む
◇ジレンマ
◇戦国時代
◇油上楼閣
■『新世紀』最新号(第238号)紹介
  「解放」 最新号
 





  


ガタガタ麻生政権を打倒せよ

米・露激突―新大戦勃発の危機を突き破る反戦闘争を推せよ

 十一月二十六日夜、「デカン・ムジャヒディン」を名乗るムスリム武装勢力が、インド西部の中心都市ムンバイの高級ホテル「タージマハール」や高級レストラン、空港・鉄道駅やユダヤ教団体施設など十ヵ所において、米英人やユダヤ人を主要な攻撃対象とした同時ゲリラ攻撃を決行した。
 次期アメリカ大統領オバマが、「対テロ戦争」の主戦場をイラクからアフガニスタンに移すのみならずパキスタン領内への侵攻をよりいっそう拡大すること(そのための米軍の大増派)を基本政策としてうちだしている。このオバマにたいして、イスラム原理主義武装勢力アルカーイダとこれと共闘するインド・パキスタン両国のムスリム武装勢力(「ラシュカレ・タイバ」など)が、<反米・反シオニズム>の一大ゲリラ戦にうってでたのだ。この事件前の十九日に、アルカーイダ・ナンバー2のザワヒリがオバマその人を「イスラム教からキリスト教への改宗者(=裏切り者)」と断罪・非難する声明を発表した。この挑戦的な脅しをもかけながら、彼らムスリム武装勢力は、全世界のムスリム人民を鼓舞する思いをもこめて、オバマにたいしてその政権発足前に手痛い洗礼≠浴びせたのである。
 すでにブッシュ政権によるアフガニスタン・イラク侵略戦争は、ムスリム武装勢力の反撃の闘いの前に全面敗北を喫した。のみならず、アメリカ帝国主義の「一超」世界支配も、中・露主導の経済新興諸国・開発途上諸国連合の対米挑戦と独自の勢力圏構築を策す独=仏枢軸のEU連合の対米離反とによって、政治・軍事・経済のすべてにわたって崩落しつつある。この没落帝国主義の再興≠願望する民主党オバマ次期政権は、まさに発足前からその前途を暗雲に包まれているのである。
 「ロン・ヤス関係が理想」などとほざきつつブッシュ共和党政権につき従っている麻生政権、この自民党政権は、次期アメリカ大統領オバマが対日政策の転換をにおわせていることに不安を募らせ、いまやただもっぱら政権の座にしがみつくことに汲々としている。彼らは、日本帝国主義国家がアメリカ帝国主義国家によって日米新軍事同盟の鎖につながれているとともに<対米輸出依存>の政治経済構造を深めていることのゆえに、同時に日本国家を「アメリカとともに戦争をやれる国」へと飛躍させるために、なおも対米隷従の道を突き進む以外にないのである。
 すべての労働者・学生諸君! いまこそわれわれは、小沢民主党にすがる「連合」労働貴族どもや日共の不破=志位指導部の腐敗を弾劾し、米日両権力者によるMDシステム配備と日米共同演習の強行に反対せよ。新テロ特措法の期限延長を阻止せよ。ロシアによる南オセチアとアブハジアの軍事占領継続を許すな。中国・ロシアの対米対抗的核軍事力増強に反対せよ。これらを焦眉の課題とする反戦反安保闘争と同時に、金融諸機関への公的資金(血税!)の投入と大増税・社会保障切り捨てに反対する政治経済闘争を、<金融大破綻・大不況の労働者人民へのツケまわし=犠牲転嫁反対!>を掲げてたたかうのでなければならない。これらの闘いの大爆発をかちとり、麻生反動政権を労働者・人民の実力で打倒せよ!

見出し

<三極>間の新たな争闘の

八方塞がりの危機への対応不能をさらす麻生政権

「健全な資本主義」を夢想する代々木官僚を弾劾し闘お
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貧困・飢餓地獄・環境破壊――呻吟するサブサハラ・アフリカ

 三億人以上が一日一j以下での生活を強いられ、六人に一人が五歳になる前に死に追いやられる……これが、いわゆる「最貧国」が集中するサブサハラ・アフリカ諸国の惨状を端的に示す事態にほかならない(サブサハラとは、北アフリカのエジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコの五ヵ国と西サハラをのぞくサハラ砂漠以南のアフリカ)。この地域は四十八ヵ国すべてを合わせても、二酸化炭素(CO2)排出量では日本の半分、アメリカの九分の一でしかないにもかかわらず、先進資本主義諸国や中国などの経済新興諸国におけるCO2排出量の増加がもたらしている地球温暖化の被害が最も集中している地域でもある。
 この地域の諸国では、労働人口の七〇%が農業に従事しているが、農民の多くが灌漑(かんがい)設備もなく金のかかる肥料も使えない現状にある。それゆえに、地球環境破壊=温暖化にもとづく気候変動がとりわけこの地域の西部・北部・東部に総じて乾燥化・砂漠化をもたらしているもとでは、ただちに食糧作物の生産量低下を呼び、最下層(低所得者層)を飢餓に叩きこんでいるのである。
 他方、このサブサハラ・アフリカの主として南部および西部の諸国は、石油資源に一定程度恵まれているだけではなく、各種鉱物資源の宝庫≠ナある。この地域の諸国は、このかんの原油・各種鉱物資源の国際価格の高騰を要因として、ここ数年来、統計数字のうえでは国内総生産(GDP)が高い伸び(GDP成長率は平均で〇六年が五・五%、〇七年が六・八%)を示している。
 それにもかかわらず、サブサハラ・アフリカ地域全体を覆う農民および都市部貧民層≠フ貧困はいっこうに打開されてはいない。いやむしろ、地球温暖化の進行を淵源とする干ばつや大雨などによって各国人民は慢性的に食糧不足に苦しめられており、このかんの穀物・原油の国際価格高騰のもとで、凄まじい飢餓地獄に叩きこまれているのだ。
 農民ならびに都市部労働者の生活・生存の基盤が荒廃の極にあるこの地域の各国にたいして、米・欧・日の各国政府・独占資本家どもは、「世界最後のフロンティア」などと手前勝手に位置づけつつネオ新植民地主義的な収奪と搾取の牙をむきだしにしている。「地球温暖化防止」や「石油依存からの脱却」の名のもとに、米・欧・日各国の政府の庇護を受けながら独占資本家どもは、CO2排出量の削減義務を負わないこの地域の諸国においてCDM(クリーン開発メカニズム)を活用しての乱開発に拍車をかけつつある。
 それだけではない。この米・欧・日の各政府・独占ブルジョアジーに対抗して、中国やロシアの政府権力者も、各種資源の権益獲得(=収奪)を直接的目的としての自国企業の進出をおしすすめつつある。
 今やサブサハラ地域は、米・日と独=仏枢軸のEU連合との、そしてこれら二者と対立する中・露主導の経済新興諸国・開発途上諸国連合とが新たな「環境ビジネス」や資源獲得をめぐって角逐する場と化しているのだ。この<三極>間の資源争奪戦=新たな性格の争闘戦は、この地域にさらなる環境破壊とそれをも要因としての貧困と飢餓のいっそうの深刻化をもたらすにちがいないのである。

以下、見出し

T CDMの名による新たな環境破壊

U 激化する<三極>間の資源争奪戦

V <三極>間争闘戦下の収奪強化
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盧溝橋・真珠湾はコミンテルンの陰謀
 「大東亜戦争」聖化の田母神妄言

 「我が国が侵略国家だったというのは濡れ衣」などという妄論を発表して更迭された前防衛省航空幕僚長・田母神。この徒輩は、十一月十一日に参考人招致された参院外交防衛委員会において、「自分の論文は、いささかも間違っていない」「日本はいい国だと言ったら解任された」と居直っただけでなく、「今はもう憲法を改正すべきである」などと公然と言い放った。政府見解=「村山談話」を否定するこの男を空幕長にした「政府の任命責任」や、「定年退職」というかたちで辞任させた処分の甘さ≠つっつくことしかできない民主党をはじめとする野党議員のヘナチョコぶりのゆえに、外交防衛委は田母神が反動的な主張を吹聴する場となったのだ。

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デマで塗り固めた歴史観

お膳立てはAPAグループ代表

ネオ・ファシストの蠢動を断て!

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最新号紹介
新世紀
The Communist
第238号

2009年1月

現代帝国主義=<カジノ資本主義>の破綻の根拠を抉る
戦乱と窮乏化に抗する闘いの指針を提起


 まさに今、世界経済は<国際金融大恐慌勃発前夜>というべき重大な危機に叩きこまれている。しかも、グルジア・中東欧を焦点とする米・露の軍事激突の危機が切迫し新たな世界大戦に発展する可能性も高まっている。この危機の根源は何か。一切の矛盾を転嫁され貧窮化のドン底に突き落とされている世界各国の労働者階級・人民は、この危機を突破するために何をなすべきか。『新世紀』第二三八号は、この問いに正面から答える!
▼巻頭論文「国際金融大恐慌勃発前夜の世界経済」(柳津弘)は、いま全世界を席巻している国際金融大破綻と不況のスパイラル的亢進、その性格と歴史的位相をマルクス主義的に解明しつくした力作である。危機の本質を、筆者は端的に次のようにとらえている。
 「国際金融大恐慌爆発への導火線にすでに火がつけられている現在の危機は、しかし、一九二九年大恐慌の再来≠ニいう事態ではありえない。」「なによりもそれは、一九二九年大恐慌の手痛い『教訓』をつうじて全世界の帝国主義諸国がつくりだしてきた国家独占資本主義という政治経済形態、その新自由主義的改造をつうじて形成されたヤンキー帝国主義型の<カジノ資本主義>の内に醸成されてきた諸矛盾の爆発としての性格・位相をもつのだからである。」「まさに今、<カジノ資本主義>の終焉を、いや<カジノ化>することによってしか延命してこれなかった資本主義そのものの終焉を告げる鐘が打ち鳴らされているのである」と。
 国際金融システム機能不全の根本的要因が、ヤンキー帝国主義製の金融錬金術の所産たる証券化商品市場にビルトインされてきた内的矛盾にあることを、筆者は暴きだしている。この金融錬金術の仕組みと実体構造を、一点の曇りもなく明らかにしている。そして喝破する、「まさにいま勃発している国際金融大破綻の悪循環は、CDOという再証券化¥、品の創出を極致とする<資産=債権の証券化>の技法そのものの破綻と、このCDOに付与されているCDSの機能不全に示される<デリバティブ>という技法の破綻とを、震源としているのである」と。
 さらに抉りだす――米・日・欧帝国主義諸国における国家独占資本主義の新自由主義的改造は、<カジノ資本主義化>を大々的に促進し各国の政治経済構造の腐朽化の深まりをもたらすとともに、恐慌防止の仕組み≠も根幹から自己破壊してきたのだ、と。
 最後に筆者は、<カジノ資本主義>の終焉が同時に、アメリカ帝国主義の「『一超』世界支配の経済的基盤をなしてきた<ドル支配体制>の根幹からの崩壊をもたらさずにはおかない」ことを明らかにしている。中・露に主導された経済新興諸国連合と仏=独枢軸のEU連合のいずれもがアメリカ主導の国際金融システムの破綻を絶好の機会と見てとり、<ドル体制>を根幹から打ち砕くために独自の経済圏づくりに突進していること。このようなものとして<三極>間の新たな性格の経済争闘戦すなわち金融=経済戦争に突入しているのだ、と。
▼本号では、労学両戦線における闘いの基本方針を提起している二論文を掲載した。
 「米・露激突―世界大戦勃発の危機を突き破れ」(中央学生組織委員会)は、南オセチアとアブハジアを拠点としてグルジアのサアカシュビリ政権を倒壊に追いこむ策動を強化しているプーチン・ロシアと、ロシアを軍事的に圧伏するためにグルジアへの軍事介入とMDシステムの中欧諸国への配備に狂奔するアメリカ帝国主義、この米・露の激突が世界的大戦へと発展・転化する危機を根底から突破する方向性を明らかにしつつ、現時点の反戦反安保闘争の指針を解明・提起している。
 「金融大破綻・大不況の労働者人民へのツケ回し=犠牲転嫁を許すな」(中央労働者組織委員会)は、麻生政権による一切の大衆収奪強化の攻撃と、独占ブルジョアどもが生き残りをかけて強行している解雇・賃下げの諸攻撃をはねかえす一大闘争に決起せよ、と檄を発している。とりわけ、麻生政権の「景気対策」が大企業救済のための国家財政資金=血税の投入にほかならないことを暴きだし、「企業危機救済」を前面に掲げる産業報国運動の旗を大きくふりはじめている「連合」労働貴族を弾劾して起ちあがるべきことを呼びかけている。

「チェンジ」の幻夢

▼「チェンジ」を叫ぶ次期大統領オバマの登場によってアメリカが危機を脱するかのような幻想がふりまかれている。だが、これはまったくの虚妄でしかない。このことを暴きつくしているのが「『チェンジ』の幻夢――オバマ勝利の意味するもの」(久住文雄)である。中南米諸国の「リーダー」として国際政治舞台に華々しく登場したブラジル、その深刻な国内矛盾をも抉りだす論文、「対米挑戦の炎を燃やすルラのブラジル」(嶋達雄)を合わせ掲載した。
 「ブルジョア的理念への変質の極致」(木本泰次)は、グルジア問題にかんしてロシアだけを非難しアメリカを免罪する「見解」を発表した代々木官僚を弾劾するとともに、「領土保全」なるブルジョア理念を自己の代案策定の基準=理念として直接的にとりこんでいる彼らの理念の新たな変質を暴きだしている。
 「わが黒田は対馬ソ連論といかに対決したか」(今田許夫)は、対馬ソ連論と対決してみずからの思想的変革をなしとげた同志黒田、その内面に迫った意欲作である。
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