第2076号(2009年7月6日)の内容

<1面>
「船舶検査特措法」制定を阻止せよ

米日の準臨戦態勢の強化反対! 北朝鮮の核実験弾劾!
「北朝鮮への制裁強化」に唱和する既成指導部を弾劾せよ!

<4〜5面>
世界的大不況下の日本独占諸資本のサバイバル戦略
労働者・人民への飽くなき犠牲の強要

<2面>
「海賊対処法案の衆院再議決阻止!」
全学連が国会に怒りの拳 6・19

労学が麻生政権打倒の炎 6・14、大阪
金大生がキャンパスを揺るがすデモ 6・8―11
<6面>
「連合」55中委で内輪ゲンカ
首切りに加担する第二組合=HTS添乗員労組本部
学校給食の安全は二の次
Topics 臓器移植法案の衆院可決弾劾!
<7面>
革命的学生運動破壊の一大攻撃を打ち砕け!(下)
マル学同・革マル派

<8面>
第47回国際反戦集会の海外アピール

米―中・露の新たな核軍事力増強競争を打ち砕く国際反戦闘争の炎を!

<3面>
万華鏡2009――情勢の断層を読む
◆200Q
◆天下三分の計
◆同一性≠フ一考察
◆「大将の足音」

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」 最新号




































  


「船舶検査特措法」制定を阻止せよ

米日の準臨戦態勢の強化反対! 北朝鮮の核実験弾劾!

「北朝鮮への制裁強化」に唱和する既成指導部を弾劾せよ!

 いま東アジアにおいて、軍事的衝突の危機が一挙に高まっている。北朝鮮・金正日政権が国連安保理の「対北朝鮮制裁決議」を「断固糾弾する」と叫びつつ、弾道ミサイルの発射や三度目の核実験などの強硬な戦争瀬戸際政策にうってでようとしている。この金正日の北朝鮮を封じこめるために、米・日・韓の権力者どもが結束をうち固め、対北朝鮮の準臨戦態勢を一段と強化しているのである。
 オバマ政権はいま、東シナ海を南下中の北朝鮮の貨物船「カンナム一号」にたいして、国連安保理事会の「対北朝鮮制裁決議」をツイタテにして、「船舶検査」を強行する態勢をとっている。米軍佐世保基地からイージス艦J・S・マケインを、横須賀基地からはマッキャンベルを急派し、さらにはP3C哨戒機をも動員して、「カンナム一号」を包囲・追跡する軍事行動を展開しているのだ。「大量破壊兵器を積んでいる疑いがある」と叫びたてながら。このオバマ政権の軍事的威嚇にたいして、金正日政権は、「船舶検査は戦争行為だ」と弾劾しつつ、あくまでも北朝鮮が「核保有国」であることをオバマ政権に認めさせるために、戦争瀬戸際政策をさらにエスカレートしようとしているのだ。
 こうした軍事的衝突の危機の高まりのなかにおいて、麻生政権は、「船舶検査特措法」の今国会中の制定に突進している。「船舶検査」そのものを、米・韓両軍と日本国軍との共同の軍事作戦行動としておこなう、というどす黒い野望をたぎらせているのが、麻生政権なのだ。
 だが、この決定的局面において、日共の不破=志位指導部は、北朝鮮の地下核実験強行を非難する国連安保理決議を美化しつつ、この決議の「枠内」で現行法にもとづいて海上保安庁による「船舶検査」をせよ、という代案を対置している。政府権力者どもによる「対北朝鮮制裁」の大合唱に唱和する日共中央を弾劾せよ!
 われわれは、底なしの腐敗を露わにする既成指導部翼下の反対運動をのりこえ、<米日の準臨戦態勢の強化反対! 北朝鮮の核実験弾劾! 船舶検査特措法の制定阻止!>を焦眉の課題とする反戦反安保闘争の高揚をかちとるために、今こそ奮闘するのでなければならない。

以下、見出し
朝鮮半島を焦点に高まる軍事的衝突の危機

「核軍縮」・MD配備をめぐる米・露の角逐の激化

<ドル支配体制>の根底的打破を企む中露

「戦争をやれる国」づくりに突進する麻生臨死$ュ権を打倒せよ!

オバマ「核軍縮」提案への幻想に浸る代々木官僚
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世界的大不況下の日本独占諸資本のサバイバル戦略

 労働者・人民への飽くなき犠牲の強要

 六月の「月例経済報告」の発表(六月十七日)において麻生政権の財務・金融・経済財政相たる与謝野は、「輸出・生産は明らかに一〜三月が底だった」と断言し、「景気の底打ち」を宣言した(景気後退は〇七年十一月からはじまったとされている)。
 だが、今〇九年一〜三月期の実質GDP(国内総生産)成長率が年率一四・二%減という過去最悪のマイナス成長を記録したばかりなのだ。この大不況下で、〇二年から〇七年までは五年連続の最高収益更新を続けてきたという天国≠ゥら大幅減益あるいは巨額の経常収支赤字という地獄≠ノ転落した製造業諸独占体の資本家どもは、「危機前の(需要)水準に戻るには三〜五年はかかる」(新日鉄会長・三村)と悲鳴をあげているのである。だからこそ彼らは今、「減収でも利益を生める体質に改善する」などと叫びつつ事業構造の再編と労働者の大量首切り・大幅賃下げを強行しているのだ。
 第二次大戦後でも空前の経営危機に直面している日本製造業の独占資本家どもは、世界同時不況下でいよいよ激烈化している国際競争に勝ち抜くために、いかなる経営戦略を練りあげ、いかに労働者に犠牲を転嫁しようとしているのか?

以下、見出し
T 解雇・賃下げに狂奔する製造業諸独占体

 A マヤカシの「景気底打ち」宣言

 B 悪辣な手口を弄した大量解雇・賃下げ攻撃

U 大リストラの加速

 A 世界的大不況下で深まる日本製造業諸独占体の危機

 B 経営戦略の練り直し―「コモディティ商品」の海外生産への転回

 C 事業構造の再編と人員大量削減の強行

V 労働者を労働苦・生活苦のドン底に叩きこむ大リストラ
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革命的学生運動破壊の一大攻撃を打ち砕け!

ネオ・ファシズム大反動化に抗する拠点の強固な構築を <下>

日本マルクス主義学生同盟・革マル派

目 次
一、燦然と輝くわが革命的学生運動

A 学生自治会運動破壊のための新たな攻撃の開始と全学連の闘い

B 全国各大学における闘いの前進

二、大学教育の新たな再編成を企む政府・文科省

三、革命的学生運動の前進のために――わが闘いの諸教訓

A 愛知大学の笹島移転阻止闘争の教訓
(第二〇七五号)

B 反自治会分子を自治会運動場面から一掃するための闘い――その諸教訓について
(本 号)
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第47回国際反戦集会の海外アピール

米―中・露の新たな核軍事力増強競争を打ち砕く国際反戦闘争の炎を!

米・露「核軍縮」交渉の欺瞞性を暴きだし全世界で闘いに決起せよ

第47回国際反戦集会実行委員会(全学連/反戦青年委/革共同革マル派)

(1)

 「米国と世界のチェンジ」などと豪語しつつ、バラク・オバマがアメリカ帝国主義国家の大統領に就任してから約半年。はたして世界は、「ブッシュの戦争」の時代から大きく変化したのであろうか? 断じて否!
 たしかにオバマ政権は、「核なき世界の実現」を高唱しつつロシアのプーチン=メドべージェフ政権との「核軍縮」交渉にのりだしている。そしてまた、核兵器開発をおしすすめている北朝鮮やイランなどの「敵性国家」にたいして、「対話」を呼びかけてもいる。
 けれども、オバマ政権が、ロシアとの「核軍縮」とともに企図した「核拡散阻止」の推進は、現実には、北朝鮮・金正日政権による地下核実験の強行によって風穴をあけられ、早くも色褪せたものとなってしまった。
 北朝鮮・金正日政権はいま、「船舶検査」や「金融制裁」を盛りこんだ国連安保理事会の「対北朝鮮制裁決議」(米・日両権力者が中・露両権力者との妥協の末に提案し、全会一致で採択されたそれ)にたいして、「断固糾弾」を絶叫しながら、長距離弾道ミサイルの発射実験のみならず、三度目の核実験の強行に走ろうとしている。自身が大病を患っているがゆえに三男の正雲への「政権移行」を図っている金正日。彼がいま、こうした戦争瀬戸際政策にうってでているのは、オバマ政権から金正日じしんと自己の後継者のネポチズム体制の承認=「体制保証」を取りつけるために「核保有国」としての認知を迫ることを狙っているからにほかならない。
 金正日の脳裏には、「一超」軍国主義帝国アメリカの戦争狂¢蜩摎フブッシュが、「大量破壊兵器を隠し持っている」などという真っ赤な嘘をでっちあげてイラクを軍事侵略し、サダム・フセイン政権を暴力的に倒壊させた事実が、よぎっているにちがいない。「世界最凶悪のならず者国家」たるアメリカのブッシュによってイラクとともに「ならず者国家」呼ばわりされてきた北朝鮮の金正日政権。彼らは、このイラクの悲劇≠彼らなりに教訓化しつつ、「敵性国家との対話」政策をとるオバマ政権の逆手をとって、なんとしても北朝鮮が「核保有国」であることを世界に認知させようとしているのだ。
 このことを熟知しているがゆえにオバマ政権は、「核保有国とは認めない」「北朝鮮の挑発に見返りを与えはしない」と突き放しつつ、北朝鮮にたいして政治的・経済的制裁を強化すると同時に、在韓米軍を韓国軍とともに臨戦態勢に突入させている。そして、日本の麻生政権と連携して、日本全土に配備しているMDシステムの実戦的運用に再び踏み切る構えをとっている。
 こうしていま、朝鮮半島を焦点に東アジアにおいて、米・日・韓と北朝鮮との軍事的衝突の危機が一挙に高まっているのだ。
 それだけではない。「敵性国との対話」を表看板とするオバマ政権の対外政策の推進は、中東においてもアフガニスタンにおいても、いまや完全に行き詰まっている。
 「中東和平」実現のイニシアティブをとるために、イスラエルとパレスチナの「二国家共存」案――一九九三年のオスロ合意をベースに二〇〇七年のサウジアラビア・アブドラ政権の提案をも加味したそれ――の受け入れをイスラエル政府に迫ったのが、オバマ政権であった。
 けれども狂信的シオニストのネタニヤフ政権は、これに歩み寄るかのような姿勢を示しながらも、パレスチナ解放をめざすハマスの武装解除を要求したり、アメリカが求めるパレスチナへのユダヤ人入植の停止を拒否したり、逆に「イランの脅威の除去」を求めたりしている。そうすることによって事実上はオバマの提案を拒否しているのだ。
 いまイランでは、アフマディネジャドが、「不正選挙」を弾劾する改革派¥柏ィ力の抗議行動に揺さぶられながらも、再び大統領の座に着いた。このアフマディネジャドのイランは、ハマスとヒズボラを急先鋒とする<反米・反シオニズム>の共同戦線をますます強化していこうとしている。
 これにたいして、いまや完全な四面楚歌におちいっているがゆえに国家存亡の危機感を昂じさせ、イランの核施設にたいする軍事攻撃の機を虎視眈々と狙っているのが、ネタニヤフ政権なのだ。
 アフガニスタンにおいては、米軍は一万二〇〇〇人の増派にもかかわらず、タリバンの猛攻にさらされている。これにたいして米軍は、「悪魔の兵器」白燐弾などをも駆使してアフガン人民への無差別攻撃を強行している。このゆえにいまや対米不信を募らせているアメリカ傀儡・カルザイ政権は――もはやそれはカーブル地域政権でしかないのであるが――中・露およびイランの各権力者にも救いを求めつつ、「駐留米軍の残虐な空爆の停止」を求めているほどなのである。

(2)

 オバマは、四月のプラハ演説において、こう言った――「アメリカは核兵器のない世界をめざす。それが私の信念だ」と。
 だが、オバマによるこの「核廃絶」の高唱は、現時点のアメリカ帝国主義の国家的利害にもとづいて、ロシア政権とのあいだで「核軍縮」を貫徹していくために、みずからの「核軍縮」提案に金メッキを施そうとするものでしかない。
 実際、「核兵器のない世界をめざす」に続けて、オバマはこう言ったのだ――「私はナイーヴ(ウブ)ではない。おそらく私の生きている間は、実現は無理だ」、と。したがって「核兵器が存在するかぎり、アメリカはいかなる敵をも抑止し、同盟国を守る戦力を堅持する」のだ、と。まさしくこれこそ、オバマ流三段論法とでもいうべきものではないか。
 オバマ政権がロシア権力者とのあいだですすめようとしている「核軍縮」の内実は、その保有数においてはロシアがアメリカを上回っている戦略核兵器の弾頭をば、「重厚長大の冷戦型の兵器」とみなして削減することにすぎない。現にオバマ政権は、ロシア権力者との「核軍縮」交渉の裏面においては、削減の対象とはなっていない「使える戦術核兵器」を更新しつつ、自国の核軍事力を質的に増強する策動をおしすすめているのだ。
 しかもオバマ政権は、「核拡散阻止」の名のもとに、北朝鮮やイランなどの反米国家≠ェ核兵器を保有するのを阻止し、反米諸国家を封じこめていくことを、目論んでいる。インドやパキスタンの核兵器保有は認めながら、北朝鮮やイランのそれは認めないという、アメリカ帝国主義の手前勝手なダブル・スタンダードを、なおもとっている。オバマ政権が唱えている中・露との協力にもとづく「NPT体制の構築」なるものは、米・露・中・仏・英の核保有五大国とりわけ最強の核大国・アメリカ帝国主義の国家エゴイズムを貫徹することを企図したものでしかないのである。
 要するに、オバマ式の「核軍縮」とは、あくまでもその裏面での「軍拡」=核軍事力の質的増強――MDシステムの配備や戦術核兵器の更新などを中軸とする対中・対露の核軍事力の質的強化――と統一された、二面政策の一つの面でしかないのだ。
 オバマ政権は、まさしく「一超」軍国主義帝国アメリカの世界支配を再興していくためにこそ、みずからの核軍事力の圧倒的優位を確保しつづけるというアメリカの国益をあくまでも貫徹するかたちで、「核軍縮」をおしすすめようとしているにすぎないのである。そしてこのことはまた同時に、金融諸機関ならびに自動車独占体旧<rッグ3の大破綻に示されるアメリカ経済の未曽有の危機のゆえに、これらの救済のために膨大な財政支出を実施しているオバマ政権にとって、財政上の大きな負担となっている核兵器の管理・維持費を少しでも削減するためでもある。

(3)

 「核兵器が存在するかぎり、アメリカは、いかなる敵をも抑止し、同盟国を守る戦力を堅持する」――このオバマの宣言に示されるように、オバマ政権はいま、ロシア・中国両国家をアメリカの「一超」世界支配再興にとっての最大の「敵」とみなし、対米対抗的な核軍事力の増強に狂奔しているロシア・中国の手を「核軍縮」交渉によって縛りながら、なおも両国を圧倒しうるアメリカ国家の核軍事力を保持していこうとしている。
 まさしくこのゆえに、「一超」世界支配の再興をめざしているアメリカ帝国主義国家と、これに対抗してアメリカ「一超」支配の最後的打破を企むロシアならびに中国との核軍事力増強競争が、いままさに新たな次元で開始されている。
 北朝鮮の核実験および弾道ミサイル発射の動きを口実にして、日本やハワイなどへのMDシステム配備をさらに推進しようとしているオバマ政権、だがMDシステムの中欧への配備については「まだ最終決定していない」と態度を曖昧にしているこのオバマ政権にたいして、ロシアのプーチン=メドべージェフ政権は、中欧へのMDシステムの配備を中止すれば「ロシアは大幅な核軍縮を受け入れる用意がある」と政治的揺さぶりをかけている。そして彼らは、「攻撃的部分(戦略核兵器)と防御的部分(MDシステム)とは一体である」として、戦略核兵器の弾頭数の数量的削減と合わせて、その運搬手段の削減、のみならずMDシステムの中欧諸国への配備の中止を、オバマ政権に要求しているのである。それとともに、アメリカの核軍事力の優位の基礎をなす宇宙空間の「軍事的支配」を打ち破るために、ロシア政府は中国政府との協力のもとに情報探査・偵察用人工衛星打ち上げなどの宇宙軍拡にのりだしているのだ。
 こうしたなかで、中国の胡錦濤政権は、中国として初めての空母の建造にとりかかるとともに、高性能の「対艦弾道ミサイル(ASBM)」などの開発をおしすすめている。オバマ政権が麻生政権を付き従えて、グアム―沖縄(日本全土)の米軍基地を対中国・対ロシアの前線出撃基地として再編・強化しつつあること、これに対抗して、東シナ海および南シナ海の制海権の確保を当面の目的として対米核軍事力の増強に躍起となっているのが(いまやその軍事費は世界第二位である)、胡錦濤の中国なのだ。
 この中国とロシアとは結託して、SCO(上海協力機構)を事実上の軍事同盟として強化・拡大している(ロシアはCIS安保機構統合軍の創設を急いでもいる)。今年六月にロシアのエカテリンブルクで開催したSCO首脳会議には新たにベラルーシとスリランカを「対話パートナー」という名目で参加させたのであって、中・露両権力者は国際的な反米包囲網の拡大を着々と進めているのだ。
 米と中・露は、こうして軍事的・政治的な角逐を激化しているだけではない。かのアメリカ帝国主義を震源とする金融大破綻の大津波が全世界を襲い、国際金融恐慌の切迫と世界同時不況の相乗的亢進という未曽有の経済的危機のなかで、いま、<米・日連合>と<中・露主導の新興諸国・開発途上諸国連合>と<独=仏枢軸のEU連合>という<三極>間の相克が激化している。「バイアメリカン条項」に示される保護貿易主義を強めているアメリカ帝国主義に対抗して、中国およびEUはそれぞれ、経済ブロックの強化=独自の通貨圏の形成へと突き進みつつある。とりわけ、これまで傲岸にも全世界にアメリカン・スタンダードを押しつけてきた「一超」帝国アメリカにたいして、中国はロシアとの同盟的結束を強めながら、いまや明確にアメリカからの経済的覇権の奪取にうってでているのだ。
 いま中・露両権力者は、アメリカ帝国主義の世界支配をささえてきた<ドル基軸通貨体制>を最後的に突き崩す挑戦にのりだしている。胡錦濤の中国は、IMF発行のSDRに国際決済通貨としての機能を与えることを主張し、現にその外貨準備を米国債からIMF債に徐々に移し替えることを公言している。そしてこれに符節を合わせて、ロシア大統領メドべージェフは、SCO首脳会議に引き続いておこなわれたBRICs初の正式首脳会議において、「基軸通貨であるドルに代わる通貨について話し合う」ことを明言しつつ、現実的に瓦解が進行している<ドル体制>にBRICsが共同で追い討ちをかけることを呼びかけた。そして、ロシアが保有する外貨準備の三割を占める米国債の売却に率先してのりだす意志を固めているのだ。
 しかも今、<三極>の間では、石油や鉄鉱石・銅やレア・メタル(軍事技術開発と結びついたそれ)およびウランなどの天然資源の囲い込み=争奪戦もまた激化しつつある。「海賊対策」と銘打ってのソマリア沖への米・日・中などの各国の軍隊派遣も、中東・アフリカなどの天然資源の争奪戦とからみあっているのである。
 米―中・露の新たな核軍事力増強競争。<三極>間の通貨=経済戦争。資源争奪戦。そして、地球環境問題にかんするみずからの政策を相互に押しつけあい、そうすることによってかえって地球環境の破壊を促進しながら、これら米日・EU諸国の権力者どもと諸独占体がおしすすめている、「クリーン開発メカニズム」という新たな衣装をまとっての途上諸国への新植民地主義的侵略の強化。さらに核惨事の危険の輸出を意味する米・日と仏とロシアとのあいだの原発プラントの輸出合戦。……まさにこれらの相乗によって、現にいま、新たな大戦勃発の危機を醸成しつつある。
 しかも、昨二〇〇八年八月のかのロシア・グルジア戦争を想起せよ! たとえオバマが「核廃絶」「核軍縮」とか「敵性国家との対話」とかの美辞麗句を並べたてようとも、オバマ政権がめざしているのはあくまでもアメリカ帝国主義による世界制覇の再興にほかならない。そしてこれにたいして、中・露は相結託しながら、それぞれ「二十一世紀の超大国」「強い大国ロシアの再興」を掲げて、アメリカから覇権を奪取するための挑戦にうってでている。まさしくこのゆえに――もしも世界の人民が反戦の闘いに決起しないならば――新たな大戦勃発の導火線となるかもしれない火種が世界の各地で燃えあがるにちがいないのである。

(4)

 オバマ政権は、唯一のアメリカ隷属国である日本の麻生政権にたいして、その経済力と軍事力とをみずからの世界制覇の再興のためにフルに活用することを目論んで、居丈高な要求を次々に押しこんできている。米国債の大量購入を強要し米経済再建策への全面協力を迫るとともに、日米新軍事同盟を対中・対露の攻守同盟として強化するための要求を次々にねじこんできているのだ。MDシステムの日本全土配備とその実戦的運用。中国海軍の派遣に対抗しての自衛隊のソマリア沖派遣。米軍再編への全面協力とそのための三兆円の資金の提供などなど。――まさにこれらのオバマ政権の要求にたいして、アメリカとともに戦争をやれる軍事強国にのしあがるという野望に燃えて、そのすべてを受け入れているのが、麻生自民党政権なのだ。
 麻生はいま、「北朝鮮の核とミサイルに対抗する」と称して、アメリカ帝国主義権力者とともに、MDシステムの実戦的運用を一段と強化し、米日の準臨戦態勢を恒常化しようと策している。しかも、「ノドンやテポドンが日本に雨霰(あめあられ)と降ってくる」かのようにマスコミを使って国民のあいだに恐怖を煽りたてつつ、PAC3やSM3を増配備することを企んでいる。
 そうすることによって、その支持率が一〇パーセント台に急落しているみずからの政権を一日でも長く延命させようと狂奔しているのが、麻生なのだ。

(5)

 日米同時沈没の道を歩む麻生政権の起死回生をかけての反動攻撃にたいして、われわれは、この日本の地において、麻生臨死$ュ権による日本を「アメリカとともに戦争のやれる国」に飛躍させるための軍事政策と、労働者・人民に貧困を強制する経済政策とは、不離一体であることを暴露しつつ、反戦闘争と政治経済闘争とを同時的・一体的に創造している。
 自民党政権の長きにわたる悪政のゆえに、労働者・勤労人民の怒りはかつてなく高まっている。にもかかわらず、民主党主導政権の誕生への期待に浮き足立ち、麻生政権打倒の闘争を呼びかけようともしない「連合」労働貴族どもや日本共産党の不破=志位指導部のこの腐敗のゆえに、日本の反対運動はなおイビ沈滞してしまっている。とりわけ、日本共産党は――現代資本主義そのものの巨悪が今まさにむき出しになっているにもかかわらず――民主党主導政権の一角に加えてもらいたい一心で、保守層に取り入るために、「資本主義の健全な発展を願う」などと猫なで声をあげている始末である。まさにこうした悲しむべき現状を断固として一挙に突破するという決意に燃えて、われわれは、麻生反動政権を打倒するためにこそ、「北朝鮮への米日両軍の準臨戦態勢反対!」「日本国軍のソマリア沖派兵反対!」「MDシステム配備反対! 日米新軍事同盟の対中・対露攻守同盟としての強化反対!」を掲げた反戦反安保闘争、ならびに「麻生政権による独占体救済のための血税投入反対!」「消費税増税反対!」を掲げた政治経済闘争に決起するべきことを、労働者・人民に向かって提起しつつたたかっているのだ。
 世界で唯一の被爆国である日本の労働者・人民には、オバマがどんなに「核兵器を実際に使った国としての道義的責任」などとつぶやこうとも、この輩の「核兵器廃絶」の高唱の欺瞞性は明々白々である。
 米と中・露との国家的対立の彼岸において、これら諸国家の権力者どもの間の「核軍縮」交渉によって「核兵器の廃絶」が実現するかのように期待するのは、純然たる幻想以外のなにものでもない。
 こうした幻想は、核兵器をば「人類社会」「平和」を脅かす「脅威」の根源として自立的にとらえる錯誤に、すなわち核兵器をば、核武装し相互に対抗している米―中・露の国家的諸対立という真の根源から切り離してとらえる錯誤に、起因するのだ。
 真の恒久平和を創造する唯一の力は、米―中・露の核軍事力増強競争を打ち砕く全世界の人民の国境を超えて団結した闘いの前進以外にはありえないのだ。
 全世界の労働者・人民よ! 米・露「核軍縮」交渉の欺瞞性を暴露し、今こそ<米―中・露の新たな核軍事力増強競争反対!>の旗のもとに決起せよ!
 われわれは、北朝鮮・金正日政権による核実験や長距離ミサイル発射の戦争瀬戸際政策を、怒りをこめて弾劾する! だが同時にわれわれは、これを口実とした米・日両権力者どもの準臨戦態勢に断固として反対する!
 われわれは、破綻したアフガニスタンの軍事占領を立て直すためのオバマ政権による米軍増派の策動と、アフガン人民虐殺を許さない!「早期撤退」を表明しながらも、なお続行しつづけている米占領軍のイラク居座りを許すな!
 そしてまたわれわれは、<反米・反シオニズム>の闘いを不屈にたたかっている中洋ムスリム人民と連帯し、追いつめられたイスラエルの狂信的シオニスト・ネタニヤフ政権によるパレスチナのハマスやレバノンのヒズボラにたいする、さらにシーア派国家イランにたいする軍事攻撃を阻止するために、反戦闘争を断固として推進しようではないか!
 われわれは、第四十七回国際反戦集会を開催するにあたって、全世界の労働者・勤労人民に呼びかける!
 いま世界は、「米―中・露の新対決時代」というべき様相を色濃くしながら、ますます深く戦争と貧困に覆われつつある。「社会主義」を僭称してきたソ連スターリン主義の自滅に淵源するこの暗黒の二十一世紀世界の危機を超克することをめざして、全世界の労働者・人民は、プロレタリア国際主義に立脚し、<戦争と窮乏化>に反対する闘いにともに国境を超えて起ちあがろう!

  

  
「海賊対処法案の衆院再議決阻止!」全学連が国会に怒りの拳 6・19

 六月十九日、麻生政権は、「海賊対処法案」を衆院本会議において再可決=成立させた。「海賊対処」を大義名分にして、自衛隊に海外での武力行使のフリーハンドを与えるための、この海外派兵新法を麻生政権は、衆院の三分の二超の議席を占める与党の数の力をたのみにして採決を強行したのだ。全学連の学生たちは、この海外派兵新法の制定を断じて許さないという気概に燃えて、国会前闘争に勇躍決起した。
「海外派兵新法の制定阻止!」国会前で奮闘する全学連
(6・19)

労学が麻生政権打倒の炎 6・14、大阪
 労学が麻生政権打倒の炎 6・14、大阪六月十四日、反戦青年委員会と全学連関西共闘会議のたたかう労働者・学生は、固い決意に燃えて、全関西労学統一行動に勇躍決起した。
「MDシステムの実戦的運用反対!」労学が米総領事館に怒り
(6・14、大阪)

 
「麻生政権打倒!」労学が意気高くデモ
(6・14、大阪市北区)

金大生がキャンパスを揺るがすデモ 6・8―11
 金沢大学の共通教育学生自治会と文学部・人文学類自治会のたたかう学生は、六月十一日、「黙ってられるか! 金大生デモin角間」に起ちあがった。
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