第2269号(2013年5月20日)の内容

<1面〜3面>
「解雇自由化」と大リストラ攻撃を打ち砕け
 アベノミクスによる労働者・人民への貧困の強制を許すな
 中央労働者組織委員会

<4面〜5面>
構造的危機を深めるユーロ圏経済
「主権回復の日式典」に抗議 4・26
 金沢大名古屋大

<6面>
自治労との組織統合に狂奔する都市交本部を弾劾せよ
Topics 「アベノミクス戦略特区」構想
<7面>
各地でメーデー高揚のために奮闘
 4・26「連合沖縄」/4・27「連合福岡」/5・1「愛労連」
<8面>
万華鏡2013――情勢の断層を読む
 ◆背番号「96」
 ◆「日本とばし」
 ◆隠れ借金
イギリスからの便り
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号

























  


「解雇自由化」と大リストラ攻撃を打ち砕け

 アベノミクスによる労働者・人民への貧困の強制を許すな

 中央労働者組織委員会

 いまネオ・ファシスト安倍政権は、日米新軍事同盟の対中攻守同盟としての強化を絶対的基礎としつつ、日本をアメリカとともに戦争をやれる軍事強国≠ヨと飛躍させるために、第九条改定をはじめとする憲法改悪、「集団的自衛権行使」の合憲化などに突き進んでいる。この政権はまた、軍事強国への飛躍は「経済大国としての復活」なしにはなしえないという確信に駆られて、「アベノミクス」と称する金融・財政・産業政策を矢継ぎ早にうちだして独占諸資本・大企業に活を入れ、その犠牲を労働者・人民に全面的に転嫁している。「金融の量的・質的緩和」なるものによる円安・株高誘導とインフレの促進。大型公共投資などの大規模財政支出や軍事費増大の財源を調達するための赤字国債の濫増発、それによっていよいよ膨れあがる国家累積債務=財政危機を突破するための消費税大増税や社会保障支出の大幅削減。そして「解雇の自由化」をはじめとする労働諸規制の一挙的緩和・撤廃。国内農林漁業を壊滅させ医療保険制度を破壊することもいとわずTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加の強行。……
 このアベノミクスによる円安・株高に欣喜雀躍している独占資本家階級は、安倍政権にさらに手厚い大企業支援・規制緩和政策を求めながら、自己の利益拡大のために「国内産業の空洞化」もいとわず次々に海外への生産拠点・事業拠点の移転をおしすすめ、国内においては大規模なリストラ=労働者の大量首切りと賃金切り下げに狂奔している。
 まさにいま、安倍政権と独占資本家どものこの一体の攻撃によって、日本の労働者階級・人民はかつてない貧困と無権利の奈落へと突き落とされようとしているのだ!
 だが「連合」指導部は、「労働者保護の後退」には「反対」を唱えつつも、アベノミクスによる景気回復への期待を隠してもいない。彼らは、安倍政権に「政労会見」をお願いし、みずからの「政策・制度要求」をとりいれてもらうことに躍起となっている。不破=志位の日本共産党は、七月の参議院選挙に向けて「本格的な景気回復」なるものへの代案をうちだし、その宣伝にうつつを抜かしているにすぎない。
 こうした既成指導部の腐敗のゆえに驕りたかぶる安倍政権は、いま、「参議院選挙での大勝」を当面の目標としつつ、「参議院選挙では憲法が争点となる」と居丈高に宣言し、改憲(まずもっては改憲発議に必要な国会での賛成数を三分の二から過半数に引き下げる、という第九六条の改定)や労働諸法制の抜本的改悪にむけて一路突進しはじめている。
 わが同盟は、すべての労働者・人民に訴える。いまこそ日本労働者階級の総力を結集して、安倍政権と独占ブルジョアジーによるこの一大反動攻撃を打ち砕くために決起せよ。「解雇の自由化」と大リストラ、「ジョブ型正社員制度の導入」と「賃金のグローバル化」――これら一対の攻撃は、日本型雇用=労働慣行を最後的に破砕し、もって日本の労働者を無権利の奴隷状態といっそうの貧窮に突き落とす画歴史的な反動攻撃にほかならない。「連合」指導部の抑圧と日本共産党・不破=志位指導部および「全労連」の日共中央盲従指導部による「真の景気回復策」宣伝運動への闘争歪曲をのりこえ、いまこそ労働者・人民を奈落に突き落とす安倍政権のアベノミクス諸政策・なかんずく「解雇の自由化」と独占資本家どもの大リストラ=首切り・賃下げ攻撃をはねかえす一大闘争を組織せよ。

(以下、見出し)

T 「解雇規制」撤廃と大リストラに突進する政府・独占ブルジョアジー

U 未曽有の貧困化強制・諸権利剥奪・労組破壊攻撃を打ち砕け
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構造的危機を深めるユーロ圏経済

 ユーロ圏の政府債務危機と金融危機の相乗的深まり、アメリカの「財政の崖」の切迫、そして奈落に墜ちた世界経済のサルベージ役を担ってきた中国をはじめとする経済新興諸国の経済成長の失速。――こうした事態に直面し、ふたたび迫る世界金融恐慌の地響きに震えあがっていた全世界の帝国主義権力者・独占資本家どもは、二〇一三年はじめにわずかに醸しだされた小康¥態にホッと一息ついてきた。「ユーロ危機は終った」と口走る者(フランス大統領オランド)さえ現れていた。けれどもこの小康¥態が、モルヒネ的な超金融緩和政策の実施を基礎にしてうみだされた幻覚まがいの症状でしかないことは明らかであった。現に、二月のイタリア総選挙の結果は帝国主義権力者・独占資本家どものこうした淡い願望を吹き飛ばし、三月のキプロス危機はユーロ圏分解の現実性をつきつけたといってよい。
 たしかに、二〇一二年にユーロ圏政府債務危機の最大の焦点となっていたスペインやギリシャの危機は、瀬戸際でなんとか押しとどめられてきた。スペイン国債の価格が急落しこの国債を大量に抱えた銀行が破綻の危機に直面していたスペインの政府債務と金融の相乗的危機は、二〇一二年九月にECB(欧州中央銀行)が債務危機国の国債を無制限に買い上げる方針(OMT)をうちだしたことを転機として、国債の価格がわずかに持ち直し、崖っぷちで踏みとどまってきている。十二月のEU首脳会議では、ギリシャ政府による「財政再建」の取り組みがはかどっていないという理由で停止していたギリシャへの支援融資を再開することをようやく決定し、ギリシャがユーロ圏から離脱するという決定的事態も土俵際で食い止められてきている。こうした崖っぷちでの危機先送りは、まさにECBが債務危機国の国債の無制限購入という禁じ手≠フ金融政策をうちだしたことに支えられてようやく可能となってきているものなのである。
 また、いわゆる「財政の崖」に、すなわち二〇一二年末にブッシュ減税の期限切れによる実質増税と財政削減法にもとづき二〇二一年までに一兆二〇〇〇億ドルを強制的に歳出削減することの開始とが重なり、景気を一気に冷えこませかねない事態に直面していたアメリカ帝国主義オバマ政権も、年収四五万ドル以上の「富裕層」に限って減税を廃止(実質増税)し歳出削減策については二ヵ月先送りする、という内容で共和党の妥協をようやく取りつけ、とりあえずは危機をのりきってきた。奈落に沈んでいた住宅市場がようやく上向きはじめたことやシェールガス・シェールオイル生産の活況をも要因として、ニューヨーク株式市場の株価は史上最高値をつける上昇をしめしてさえいる。だがこうした危機先送りによる景気上向き≠フ動きも、FRBがとりつづけている異常なまでの金融緩和政策(QE1〜QE3)によって支えられ醸しだされているものでしかないのである。財政再建策をめぐるオバマ民主党政権と共和党との対立が続くなかで、三月には先送りした歳出の強制削減が開始され、上向き≠ゥけた景気の足をひっぱる要因となっている。いや、この強制削減の実施だけでは財政赤字幅が圧縮されるだけで累積債務は増えつづけるがゆえに、五月には政府債務がふたたび法定の上限に達するという問題にも直面している。
 まさしく、リーマン・ショックから四年を経た帝国主義世界経済は、欧米日の帝国主義権力者が――膨大な政府債務をかかえているがゆえに――もっぱら超金融緩和政策(実質ゼロ金利プラス量的緩和策)にすがりついて経済危機ののりきりをはかり、そうすることによって構造的危機をますます深めているといわなければならない。安倍ネオ・ファシスト政権が「アベノミクス」という名の金融・財政政策をうちだしたことを契機として、為替切り下げ競争=通貨戦争が――アジア市場をひとつの焦点とした市場分割・争奪戦とからみあいつつ――激化する様相を呈していることは、こうした構造的危機の国際的側面における現れにほかならない。そしてまたなによりも、欧米日の帝国主義権力者どもが、膨れあがった政府債務を圧縮するために、社会保障の切り捨てや公務労働者の人員削減・賃金切り下げの強行と大衆課税の強化という緊縮財政政策に突進し、金融資本・諸独占体がみずからの生き残りのためにリストラ策の強行による利潤の確保に狂奔しているがゆえに、いまや全世界で労働者・人民が失業と生活苦と苛酷な疎外労働の地獄に突き落とされている。スペインやギリシャの失業率は二五%を上回り、若者の失業率は五〇%を超えているほどである。全世界で二億人の労働者が職を失い路頭に迷い、半失業者を含めると二〇億人に達するとさえいわれている。まさしく世界各国において資本制社会に固有の階級分裂がむきだしとなり、社会的諸矛盾を噴出させているこの現実こそは、帝国主義世界経済の構造的危機の深まりを、その没落の必然性を如実にしめしているといってよい。
 いま、ヨーロッパの労働者たちは、金融資本救済のためにトロイカ=iEU欧州委員会・ECB・IMF)が強制する緊縮財政政策(歳出削減と増税)をうち砕くために、戦闘的なストライキやデモンストレーションを波状的に敢行し、国境を越えて団結を強めつつある。全世界の数多の労働者たちが、いまや「資本主義の悪」を体感して闘いに起ちあがり、階級的自覚を獲得しつつある。「社会主義」ソ連圏の自己崩壊というスターリン主義の歴史的大犯罪のゆえに衰滅させられてきたプロレタリア階級闘争のこの戦闘的再生の胎動を帝国主義各国権力打倒の闘いへと発展させるための革命的前衛党の創造こそが、早急になしとげられなければならない。

以下見出し

T 「緊縮財政」強行で増えつづける失業者――深刻化する南欧諸国の危機

U <南―北>の不均衡拡大によるユーロ圏分解の危機
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「主権回復の日式典」に抗議 4・26
 安倍政権による「主権回復記念式典」の開催強行を目前にした四月二十六日、たたかう金沢大生たちは金沢大学角間キャンパスにおいて「NO! 軍事大国化 STOP! 憲法改悪 昼休みデモ」に決起した。
ふりしきる雨のなか金沢大角間キャンパスを席巻
(4月26日)
   

 四月二十六日、たたかう名大生たちは、安倍政権が開催を企む「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を粉砕する決意にもえて、「憲法改定と安保強化をねらった『主権回復の日』式典に反対する4・26名大アピール行動」を名古屋大キャンパスにおいて実現した。
「憲法改悪を絶対許すな」と熱烈に呼びかけ
(4月26日、名古屋大)
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