第2389号(2015年10月12日)の内容

<1面>
10・18労学統一行動に起て!
戦争法撤廃!辺野古新基地建設阻止!
 反戦反安保の戦列を打ち固め安倍政権打倒へ進撃せよ
<4〜5面>
世界経済を揺るがす中国「新常態」経済の危機
<2〜3面>
「戦争法制定を許すな!」
 ――各地で闘いの炎

那 覇 1500が市街を席巻  9・18
    県学連が自民党県連に抗議  9・17
大 阪 1300が採決阻止の拳  9・13
金 沢 労組先頭に緊急集会  9・17
    香林坊・片町を800名がデモ  9・14
    わが同盟と金大生が情宣  9・18
名古屋 労・学・市民3000が大結集  9・18
<6面>
超低額の人事院勧告弾劾
高知中央高校が「自衛隊コース」新設
Topics 「日々紹介」の維持・拡大を画策
<7面>
「水陸機動団」=日本版海兵隊の中核部隊
陸自西部方面普通科連隊強化の実態
◎日米共同の対中潜水艦監視
<8面>
万華鏡2015――情勢の断層を読む
 ◆「極めて遺憾」
 ◆息子の嫁は中共娘
国際短信 イギリス労働党党首選挙
 最左派′補当選の背景と意味
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号








































  


10・18労学統一行動に起て!

戦争法撤廃!辺野古新基地建設阻止!

 反戦反安保の戦列を打ち固め安倍政権打倒へ進撃せよ

 侵略戦争法案強行採決への怒りに燃えた巨万の労働者・人民の闘いにおびえている安倍は、やれ「一億総活躍社会」実現だの、やれ「新三本の矢」だのと称する経済政策をおしだし、これを煙幕として、日米新ガイドラインにもとづいてグローバルな戦争遂行体制の構築に突進している。現に安倍は、戦争法を制定し海外派兵にまつわる一切の法的制約≠払拭したことをはずみとして、南シナ海や中東・アフリカへの派兵準備に本格的にとりかかっている。来年三月施行予定の安保法制にもとづいて、南スーダンPKOに札幌・真駒内の部隊を交代要員として派遣する(同五月)ことを政府は決定している。「駆けつけ警護」という名のもとに、米軍をはじめとした他国軍部隊への救援作戦≠ノ日本国軍を投入することを企み、そのための訓練・装備強化を急ピッチですすめているのだ。
 同時に安倍政権は、対中国軍事包囲網の構築・強化に血道をあげているオバマ政権の要求に応えて、沖縄の労働者・学生・人民の闘いを強権的に弾圧しつつ米軍辺野古新基地の建設を強行する構えをむきだしにしている。海保部隊を動員して力ずくで海底ボーリング調査を再開した安倍政権は、十月中に埋め立て関連作業である仮設岸壁の建設工事に着手しようとしている。この蛮行を絶対に許してなるものか!
 日共の不破=志位指導部は、「戦争法廃止の一点での国民連合政府」をシンボルとした参院選に向けての選挙カンパニアに当面の大衆的闘いを解消しようとしている。われわれは、こうした闘争歪曲をのりこえ、「戦争法撤廃! 辺野古新基地建設阻止!」の闘いを<日米グローバル侵略戦争同盟の構築反対!>の革命的方向性を鮮明にして全力でたたかうのでなければならない! われわれはまた、アメリカの「IS撲滅」の名によるイラク・シリア空爆を弾劾する。同時にアサド政権支援を企むロシア・プーチン政権が「IS掃討」を名目として九月三十日いらいシリア空爆を連続的に強行していることをも弾劾するのでなければならない。
 すべての労働者・学生諸君! いまこそ<反ファシズム統一戦線>を構築し、ネオ・ファシスト安倍政権を労働者・人民の実力で打倒しようではないか! 全国各地で開催される10・18労働者・学生統一行動に起ちあがれ!

アジア・中東の覇権をかけた米―中・露の激突

 同盟国としての役割の拡大≠ニいうオバマ政権の要求に応えて安倍政権は、南シナ海や中東・アフリカ地域への派兵にむけて突進している。「積極的平和主義」を旗印として、全世界の紛争地域にアメリカ帝国主義と肩を並べて介入する姿勢をむきだしにしているのが、安倍政権なのだ。
 まさにいま、中東地域においては米―中・露の軍事的角逐が一挙に激化しつつある。
 九月末からロシアのプーチン政権は、シリアのアサド政権からの「要請に応える」と称してシリア反政府勢力の軍事部隊にたいする空爆を連続的に強行している。シリア北西部ラタキアの軍用飛行場を出撃拠点としたロシア空軍による北部イドリブなど各地への猛爆撃は、今また数多のシリア人民を筆舌につくしがたい苦しみに突き落としている。「シリア領内のテロリストの拠点を正確に攻撃する航空作戦」などと自画自賛しているプーチン政権は、ISのみならずヌスラ戦線や「シリア自由軍」などのスンナ派武装勢力の軍事的攻勢に手を焼いているアサド政権を支えるためにこそ、空爆にふみきったのだ。
 「テロリスト掃討」を表看板としたアメリカ主導の有志連合による一年余にわたる激しい空爆をもってしても、ISの勢力圏拡大をおさえこむことはできていない。しかも、オバマ政権がアサド政権倒壊後の受け皿≠ニみなし米CIAが育成してきた「自由シリア軍」は次々と寝返り今や部隊消滅の危機に瀕している。アメリカ製兵器を丸ごとアルカーイダ系のヌスラ戦線に引き渡すという事態さえもがうみだされているほどだ。
 打つ手なし≠フオバマの窮地につけこんでプーチンは、中東におけるロシアの同盟国・シリアのアサド政権を守りぬくために、「IS掃討」を大義名分とし「アサド政権を含めた対テロ連合」を米欧諸国に呼びかけてもいる(九月二十八日、国連総会演説)。あくまでも「アサド政権打倒」に固執するアメリカと、独・仏などの欧州諸国とのあいだに政治的くさびを打ちこむことを策しているのが、プーチン政権なのである。それだけではない。プーチン政権との腹合わせにもとづいて、「シーア派の盟主」イランのロウハニ政権は、地上部隊数百人をシリアに送りこんだ。
 プーチン政権のシリア空爆開始にたいしてオバマは、「ロシアはアサドにうんざりした者なら誰でも破壊しようとしている」などと苛だちも露わに非難の声を強めている。このかん、アメリカ帝国主義主導の有志連合が、シリア・ムスリム人民の頭上にさんざん爆弾の雨を降らせ大量虐殺を強行してきた。しかも、アフガニスタンにおいては「タリバン掃討」作戦を展開していた米軍が、「国境なき医師団」の病院を空爆し、医療関係者や患者まで爆殺しさったのだ(十月三日)。こうしたヤンキー帝国主義の罪業にはほおかむりしながら、「虐殺者アサドの政権居座りは認めない」などとほざいているのが、オバマ政権なのだ。
 こうして「IS掃討」を名分としてオバマ政権は、シリアへの無差別爆撃を強行しつづけている。「米露の代理戦争にするつもりはない」などとうそぶきながら。
 これにくわえて、こんにちロシアのプーチン政権がシリアへの直接的軍事介入にうってでたことによって、シリアの人民は今まさに新たな犠牲を強いられている。すでにシリア内戦によって、二五万人が死に追いやられた。一〇〇〇万余のシリア人民が故郷を追われ、四〇〇万人が国外脱出を余儀なくされ、漂流する難民となっている。まさに中東支配を狙った米―露の軍事介入によって、シリア人民はよりいっそう塗炭の苦しみにさいなまれているのだ。
 アジアにおいても、米・日―中の軍事的角逐が激化し、一触即発の戦争の危機が高まっている。核ミサイル搭載の戦略原潜を潜航・遊弋させている南シナ海の制海・制空権をアメリカ帝国主義から奪取するために、中国・習近平政権は、南沙諸島の岩礁群を埋め立てて滑走路や港湾施設を次々と建設している。中国による南沙諸島の領有を既成事実としてオバマに認めさせることを企んでいる習近平政権は、米中首脳会談の直前というタイミングを意図的に選んでファイアリー・クロス礁に建設した二本目の滑走路の完成を公表した。アメリカの建設中止要求≠無視したこの対米挑戦≠ノ激高したオバマは、九月二十四〜二十五日の米中首脳会談において、アメリカへのサイバー攻撃とともに、中国による南シナ海岩礁埋め立て・軍事施設建設を怒りも露わに非難したのであった。これにたいして習近平は、「南シナ海は譲れない」「中国の領海だ」と傲然と言い放って中国の「核心的利益」に口を出すな、という意志をオバマにつきつけたのだ。
 もはやアメリカ単独では中国を封じこめる力を喪失してしまっている没落帝国のオバマ政権は、米軍の補完部隊として日本国軍を対中・「対テロ」戦争に参戦させることを日本政府に強力に要求している。属国%本を従え対中軍事包囲網の構築に狂奔しているオバマ政権は、日米両軍一体での統合演習に加えてオーストラリア、韓国、フィリピンの各国軍との大規模な合同軍事演習をアジア・太平洋において連続的に実施している。南シナ海に常時展開している米艦船や航空機と中国軍との一触即発の軍事的緊張はいやましに高まっているのだ。

南シナ海・中東・アフリカへの派兵に突進する安倍政権

 安倍は国連での演説において、日本国軍によるPKO活動の任務を拡大し、日本国軍からPKO司令官を派遣する意志を明らかにした。「国連安保理改革」と称して「安保理常任理事国」の座を獲得する野望をも披瀝してみせた。まさに一流の軍事強国≠ニして日本国家を雄飛させる、そのためにも南シナ海や中東・アフリカなどの世界の紛争地にどしどしと日本国軍を派兵する構えをむきだしにしているのである。
 安倍政権は、南シナ海において中国軍を威圧するための警戒・監視活動に、日本のP3C哨戒機を本格的に投入しようとしている。P3Cの南シナ海展開拠点(=自衛隊の常駐基地)を築くために、いまや公然とフィリピン軍基地を自衛隊が恒常的に使用するための訪問軍協定締結交渉をアキノ政権との間で本格化させようとしている。
 来年五月に政府・防衛省は、戦争法(改定PKO協力法)を初適用して、内戦が再発している南スーダンのPKOに日本国軍部隊を派遣することを決定している。「駆けつけ警護」の名において、離れた地域で他国部隊などが武装勢力と衝突した際に、たとえ日本の部隊が直接的に攻撃をうけていなくても敵≠ノたいする武力行使にうってでる構えを打ち固めているのだ。南スーダンの豊富な石油と鉱物資源をめぐる権益の獲得を狙って、中国が昨年十一月から七〇〇人の部隊をPKOに派遣している。このことに焦りを募らせている安倍政権は、中国に対抗してPKOの主導権を握るためにも、日本国軍の作戦遂行能力の実をしめすことを企んでいるのだ。
 アフリカ東部のジブチにおいては、「インド洋・ソマリア沖の海賊対策の監視活動のため」という名目で設営したジブチ基地を、日本初の海外基地として恒久的に確保するために駐留部隊を増強しようとしている。〔すでに安倍政権は、このジブチ基地から陸上自衛隊のPKO部隊を南スーダンに輸送してきた。〕
 いまや安倍政権は、戦争法の制定をテコとして、世界のどこででもアメリカの侵略戦争に参戦し戦うことのできる軍隊として日本国軍を強化することを急いでいる。そのために次年度軍事予算を大増額し、オスプレイ十二機や新型イージス艦、新型輸送機を購入しようとしているのだ。政府は、今後どしどし最新鋭兵器を導入するために、武器の購入・輸出・他国との共同開発を一元的に追求する防衛装備庁を発足させた。〔安倍政権は、経団連の要求に応じて、日本の軍需産業の育成を国家が支えるための機関としても、防衛装備庁を位置づけている。〕
 こうして安倍政権は、戦争法の制定を跳躍台として、一流の軍事強国≠ヨと日本国家を飛躍させるために突き進もうとしている。

辺野古新基地建設強行を企む日米両権力者

 アジア・太平洋地域における米海兵隊の再編・強化を急いでいるオバマ政権は、そのためにこそ、対中国の最前線拠点と位置づけた辺野古の新基地建設にむけて突進している。
 このアメリカの強力な対日要求に応えて安倍政権は、労働者・人民の反対の闘いをふみにじり、あくまでも辺野古沿岸部の埋め立て本体工事着工にこぎつけるために、残る五地点の海底ボーリング調査を強引に再開した。この調査が終わらぬ十月中にも、埋め立て本体工事の関連作業として汚濁防止膜の設置や本体工事用の「仮設桟橋」(岸壁)の建設工事に着手しようとしているのだ。
 政府と県知事・翁長との一ヵ月にわたる「集中協議」終了後ただちに、安倍政権は、あらゆる手段を駆使して新基地建設に突進している。基地建設工事を実力で阻止するために奮闘しているカヌー隊にたいしては海上保安庁の弾圧部隊が暴行を加え、ゲート前での座り込み闘争を連日連夜敢行している労働者・学生・市民にたいしては県警機動隊がごぼう抜きにして逮捕攻撃をかけているのだ。右翼をも使った悪らつ極まりない闘争破壊をもしかけてきている。
 沖縄全島を沸騰させている反対運動の大高揚にゆさぶられた県知事・翁長は、ようやく、前知事がおこなった埋め立て承認を取り消す意志を表明した。そして国連人権理事会総会(スイス)の演説において、「沖縄の人々の自己決定権や人権をないがしろにしている」と日本政府を糾弾し、「あらゆる手段で新基地建設を止める」と決意表明して国際的支援を訴えた。
 ところが許しがたいことに、安倍政権はこの翁長演説を真っ向から打ち消すという挙にうってでた。ジュネーブ代表部の大使を翁長の直後に「反論権の行使」と称して急きょ発言にたたせ、「辺野古への基地移設は合法的に進められている」などと強弁したのだ。日本においては官房長官・菅が、憎々しげに「(国内問題を国連にもちだすのは)強い違和感を感じる」などと翁長県当局をあからさまに恫喝したのである。しかも沖縄県当局の「埋め立て承認」取り消し決定にたいしては、「行政不服審査法」を悪用≠オて県の承認取り消しの無効化を「申請」し、辺野古の海の埋め立てを強行しようとしているのだ。日米安保条約の鎖に縛られたこの極悪の政権は、米軍基地の強化を支えるために、なりふりかまわずむき出しの国家暴力をうちおろしているのだ。
 だが、新たな米軍基地建設のために辺野古沿岸・大浦湾の命の湧く美(ちゅ)ら海(うみ)≠黒い土砂で埋め立てるという蛮行にたいして、沖縄の労働者・人民の大いなる怒りのマグマが噴出しているのだ。沖縄全域、全国から支援に駆けつけた労働者・学生・人民が、そして沖縄戦を体験したおじい・おばあが「人柱となってでも阻止する」という固い決意で米軍ゲート前に立ちはだかっている。海上ではたたかう学生や労働者・人民のカヌー隊が勇猛果敢に実力阻止闘争をたたかいぬいている。わが同盟の「全米軍基地撤去! 安保破棄! 安倍政権を打ち倒そう!」という熱烈な檄に鼓舞され、労働者・人民のうちに安倍政権打倒の闘志が赤い炎となって燃えあがっている。
 いまやこの辺野古新基地建設阻止の不屈の闘いは、「戦争法撤廃」の闘いと結びつき、日本全土をゆるがす安倍政権打倒の巨大な奔流となりつつあるのだ。

「反安保」なき「立憲主義・民主主義守れ」運動をのりこえ闘おう!

 安倍政権がアメリカとともに戦争をする国≠ヨと日本をおしあげるための諸攻撃をわれわれの頭上に打ち下ろしているときに、既成指導部は何をやっているのか!
 「連合」指導部は、侵略戦争法案の強行採決にたいして、「国民の理解と合意形成を得る努力を怠り」「審議不十分なまま強行採決をおこなった」ことを非難しているだけである(九月十九日の事務局長談話)。日本国軍を米軍とともに全地球規模で紛争地に派兵するための侵略戦争法の制定そのものには反対していないのだ。そもそも神津は、戦争法の参議院審議の最中の「連合」の「9・15安保法制阻止集会」において「ちゃんとした法律にして出し直していただきたい」などと叫んだ。「安保同盟の堅持」を「政治方針」とする「連合」指導部は、許しがたいことに「日本国家の安全保障のための法整備」の必要性を認めたうえで政府の「安保法制」の不備をあげつらっているのである。中国や北朝鮮の「脅威」から日本の「国益」を守るための有効な安保法制≠フ整備を政府に提唱するなどというのはまさに犯罪的対応ではないか。こうした対応こそは、彼ら労働貴族が、独占ブルジョアジーの階級的利害を「国益」(=全国民≠ノ普遍的な利益)とみなし、それを国内外に貫徹することを称揚する「国益」ナショナリズムに陥没しているからだ。
 辺野古新基地についても、「連合」指導部は、「政府が沖縄県との丁寧な対話をすすめるべき」ことを安倍政権にお願いしているにすぎない。しかも「今後、民主党と連携して、国政選挙にむけての取り組みを強化する」と称して、いっさいの大衆的闘いの組織化を民主党を応援する選挙運動に組合員をかりたてることに解消しているのだ。
 他方の日本共産党中央の不破=志位指導部は、「戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す」という一点で「国民連合政府」をつくるという構想をうちだした。来年夏の参院選にむけての民主・維新・生活の党などの野党再編・選挙協力の動きになんとか加わることができないものか、と腐心しているのが、代々木官僚どもなのだ。
 しかも、彼らの語る「立憲主義を取り戻す」という主張の内実は歴代自民党政府の憲法解釈を守れ≠ニいうものでしかない。政府が「憲法改正手続き」をとることなくなしくずし的に海外派兵を拡大することにたいして異を唱えている保守政治エリートや学者(すなわち改憲派)にすり寄ることによって、自党の支持層を拡大するなどと夢想するのは、まさに議会主義的錯誤の極みではないか。
 「自国の領土・領海の防衛」の名による戦争体制づくりも、従来の憲法解釈にもとづくイラク派兵・PKO派遣も容認し、また「日米安保条約の枠内」での「日本防衛」の名による日米共同作戦も認めるという内実の「平和主義」でしかないのである。
 だが日共中央のように「反安保」を放棄し日本をいかに防衛するのか≠ニいう政府と同一土俵に立ったままでは、安倍政権が流布する中国や北朝鮮の「脅威」から「日本を守る」とか、武力攻撃に日米共同で反撃する力をもつことによって「侵略への抑止力を強化する」というイデオロギーに太刀打ちできず、労働者・人民がそれにからめとられることを許してしまうではないか。安倍政権が現にすすめている米軍指揮下での対中戦争準備・「対テロ」戦争遂行のための日米共同作戦態勢の強化に反対することを抜きにして、ただもっぱら「憲法を守れ」と叫んだとしても、戦争法を撤廃させる力を創造することにはならないのだ。
 いま問われているのは、闘いに起ちあがった労働者・人民の「戦争法反対」の意志を反戦・反安保の自覚へと高め、闘いの主体を強化することにあるのだ。
 安倍政権は、日本をアメリカとともに戦争をやれる国家にするために、憲法第九条を蹂躙し、議会制民主主義を破壊して戦争法制定を強行した。まさにネオ・ファシスト政権の本性がむきだしになっているこのときに、共産党中央が「民主主義守れ」というように、政府・支配階級が投げ捨てた「議会制民主主義」のベールにすがりつくことは後ろ向き的であり、まったく無力なのである。「民主制」にしろ「ファシズム型」にしろ、統治形態である政府は、階級的な国家意志を実現するための、ブルジョア階級独裁国家の直接的な現象形態にほかならない。このことを断固として暴きだすのでなければならない。まさしく、労働者階級の階級的団結の強化と、それを基礎とした反ファシズム統一戦線を構築することなしには、この歴史的攻撃を打ち砕くことはできない。
 にもかかわらず、日共の「国民連合政権」構想では、労働者や労働組合という言葉が一言も述べられていない。いや、それどころか党委員長・志位みずからが、「六〇年安保闘争のときには労働組合の動員が中心だった」が、今の運動は「国民一人ひとりが主権者として自分の意志で」立ちあがった「戦後かつてない新しい国民運動だ」などと吹聴しているではないか(九月二十七日の新宿街頭演説)。このような言辞こそは、労働組合のもとに団結してたたかうすべての労働者にたいする敵対いがいのなにものでもないのだ。ネオ・ファシズム的反動攻撃のまえに、労働者・人民を個々バラバラにして無力化し闘いを敗北に導く犯罪にほかならないではないか。

安倍政権打倒! 反ファシズム統一戦線を構築しよう

 総じて既成指導部は、参議院選挙にむけて種々の野党共闘を提唱しつつ政策カンパニアに躍起となっている。このことによって、安倍政権が戦争法制定をテコとして一挙に日本国軍の戦争準備と海外派兵の拡大、そして辺野古新基地建設・埋め立て着工の策動をおしすすめているにもかかわらず、これに反対する大衆的な闘いの全国的な高揚が押しとどめられてしまっている。そして、「自立した市民の運動」こそが「新しい国民運動だ」などと賞賛して、労働組合や学生自治会のもとに団結してたたかうことを投げ捨てているのだ。
 すべての労働者・学生・人民諸君! 既成指導部による闘いの議会主義的歪曲をのりこえ、「戦争法撤廃! 辺野古新基地建設阻止!」を一体の闘いとして、<反安保・反ファシズム>の方向性を鮮明にしてたたかおうではないか。
 日本国軍の大増強を許すな! 南シナ海へのP3C哨戒機の展開反対! 日本国軍南スーダンPKO派遣部隊への戦争法の初適用を許すな!
 辺野古新基地建設のための埋め立て本体工事の着工を断固阻止せよ! 原子力空母レーガンの横須賀配備反対! 基地撤去・安保破棄めざしてたたかおう!
 また、われわれは、アメリカ帝国主義による「IS撲滅」のためのイラク・シリア空爆を弾劾し、ロシア・プーチン政権によるアサド政権支援のためのシリア内戦への軍事介入・空爆に反対してたたかうのでなければならない。われわれは、プロレタリア国際主義に立脚し、「米―中・露の核軍事力増強競争反対」の革命的反戦闘争を断固として創造しようではないか!
 われわれは、日本の地から訴える。シリアの、そしてすべてのムスリム人民は、宗派間・部族間の対立・抗争をただちに止め、イスラミック・インター‐ナショナリズムにもとづいて、<反米・反シオニズム>の闘争を、ロシア・プーチン政権による空爆をも弾劾して断固としておしすすめよう!
 すべての労働者・学生諸君! われわれは、安倍政権による憲法改悪という戦後史を画する攻撃を絶対に粉砕するのでなければならない! 子供たちをふたたび戦場に送りこむための「愛国心」教育の強化を許すな! 教育のネオ・ファシズム的再編反対!
 被災民を切り捨てながら原発再稼働に突進する安倍政権を許すな! 原発・核開発反対!
 労働者を貧困と過労死に突き落とす労働法制の大改悪反対! 労働者派遣法の改悪弾劾! 貧困につけこんだ「経済的徴兵制」を許すな!
 すべての闘いを合流させて反ファシズム統一戦線を構築するために奮闘しようではないか! 戦争と貧困と暗黒支配の地獄へと労働者・人民をたたきこむネオ・ファシスト安倍政権を、労働者・人民の実力で打ち倒せ!

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世界経済を揺るがす中国「新常態」経済の危機


A 中国発世界同時株安の激震

 二〇一五年夏、日本―中国―欧州―アメリカ≠連鎖した世界同時株安の激震が地球を何周も駆けめぐった。中国・新華社が「黒色星期一」(ブラック・マンデー)と呼んだ八月二十四日には、上海総合株価指数が二〇〇七年二月以来の大幅下落を記録したのをはじめ、日経平均株価も一時九三〇円の下落、ヨーロッパの主要株式市場でも軒並み今年最大の下落となり、そしてニューヨーク株式市場のダウ平均株価は一時的にせよはじめて一〇〇〇ドルを超える下げ幅を記録し、まさにパニック的な株価急落という事態が現出した。
 翌八月二十五日に中国人民銀行が金融緩和政策(政策金利〇・二五%の引き下げなど)をうちだしたことなどをきっかけにして下落幅を半分ほどに戻した株価は、その後、中国やアメリカなどの種々の経済指標や政府の金融・経済対策の指針などがしめされるたびごとに、ジェットコースターのように大幅な乱高下をくりかえしている。八月半ばからのこの過程をつうじて、中国・上海総合株価指数は六月中旬の高値から四〇%も下落し、日経平均株価も八月十日に付けた二万八〇八円から三〇〇〇円近く下落、アメリカ・ダウ平均株価も五月十九日の史上最高値一万八三一二ドルから約二〇〇〇ドル下落した。
 この世界同時株安と同時に、原油や鉱物などの商品市場においても急激に価格が下落し、WTI原油は一時、六年五ヵ月ぶりに一バレル=四〇ドルを割りこんだ。すでに続いていた新興国・資源国からの資金の引き揚げも加速し、トルコ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなどの新興国・資源国の通貨が下落の歩を速めた。そして、株式市場や商品市場や新興国から流出した資金が、リスク回避≠フ避難先としてアメリカ国債だけではなく日本やドイツの国債の購入にもふりむけられたことから、円通貨やユーロ通貨の急騰も生みだされた。
 噴出した株式市場や商品市場、為替市場におけるこの金融パニック的変動の震源地は、いまや世界第二位の経済規模に膨れあがった中国にほかならなかった。貿易総額(輸出入の合計)が四兆ドルを超えアメリカを抜いて世界一となり、リーマン・ショック(二〇〇八年九月)後の世界経済を牽引≠オてきた中国経済、その失速がいよいよ鮮明になったことが、低迷する世界経済のいっそうの落ち込みをもたらすと見なされたのである。と同時に、アメリカFRB(連邦準備制度理事会)がリーマン・ショック以降七年も続けている事実上のゼロ金利政策をやめ、この九月にも政策金利の引き上げに踏みきる構えをみせていたことが、今回の金融パニックを引き起こし拡大したもう一つの要因をなした。この二つが重なり共震≠キることによって、株式市場や商品市場、そして新興国を徘徊する投機資金の激しいリスク回避≠フ動きを呼び起こしたのである。

不動産・住宅バブルの崩壊による中国経済の失速

どん詰まりの超金融緩和策

B 危機を深める中国「新常態」経済

中国株式バブルとその崩壊

巨額の「内需拡大」策がうみだした諸矛盾の爆発

 中国株式バブルの破裂と中国経済の失速の露出、そして天津化学物資倉庫の爆発……、いま中国「新常態」経済が露わにしている危機に直面している習近平=李克強指導部は、この危機をのりきるためにも、軍事力の増強を基礎としプーチンのロシアとの結託を強めつつ、没落帝国主義アメリカに対抗して世界の中華≠ニなる、という対米挑戦の姿勢をむきだしにしている。経済的には、アメリカの金融支配に挑戦するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立をテコとしつつ、中国(人民元)経済圏の構築に本格的にのりだしている。とりわけ、「一帯一路」(現代版シルクロード)構想を掲げ、中国からアジア各地を経てヨーロッパに至る「インフラの連結」や「貿易の円滑化」をはかるという名のもとに、道路・鉄道・港湾・空港などのインフラ設備の輸出(建設・整備)を血眼になっておしすすめている(この九月には、日本と受注を争っていたインドネシア高速鉄道計画を、破格の条件を提示して受注した)。都市開発・住宅建設バブルの崩壊によって膨大な生産能力過剰を露出している建設業や鉄鋼・セメントなどのインフラ建設関連企業、これらの企業が陥っている危機に促迫されて、こうしたインフラ設備の輸出が精力的に追求されているのである。
 と同時に習=李指導部は、新産業戦略「中国製造(メイド・イン・チャイナ)二〇二五」において、<「製造大国」から「製造強国」への転換>を掲げ、中国経済の危機を突破するために、製造業全般とりわけ国有大企業が競争力を強化し輸出の拡大やグローバル企業化をおしすすめることを叫びたてている。
 要するに、バブル崩壊で露わとなった主要産業の膨大な過剰設備、この国内矛盾を貿易の拡大や国有企業のグローバル化によって外に転化し解消することを、中国「新常態」経済の危機のりきり策の基本としているのが習近平=李克強指導部なのである。
 そして、こうした内的矛盾の外的転化≠実現するための、その基軸として彼らがおしだしているのが、「国有企業改革」にほかならない。現在一一〇社ある中央直轄の国有企業を二〇二〇年までに四十社ほどの巨大国有企業集団に統合して党の指導を強化し、過剰設備や重複投資を削減して競争力を強化しグローバル競争にかちぬくことをめざす、というのがこの「改革」の内実である。(不動産・住宅バブルの過程で過剰設備を抱えこんだ企業が多いとされる地方政府の傘下の一万八〇〇〇の国有企業、この「改革」については触れられていない。)
 党の指導強化のもとでの国有企業の巨大化を、今の中国経済の危機を突破する基軸に据える、というこの官僚然とした追求は、理論的にはみずからの統御のもとに市場を機能させるという「社会主義市場経済」なる妄念の枠内で、「市場」の暴走に振り回されない仕組みを追い求めているものでしかない。党の指導が貫徹する巨大国有企業を基幹産業に配置することによって「市場」の暴走を抑制しつつ、外にうってでることによって中国「新常態」経済の「中高速成長」をはかる、などという危機のりきり策は、現代中国社会がかかえる社会的・経済的諸矛盾をいよいよ深めるものでしかない。巨大国有企業に再編し過剰設備や重複投資を削減して競争力の強化をはかるということは、なによりも労働者の大量首切りを強行することの宣言にほかならないのだ。労働者・農民大衆を徹底的に搾取し収奪することによって実現してきた中国の「高速成長」の行き詰まりを、労働者・人民のさらなる犠牲によって突破しようと企んでいるのが中国のネオ・スターリン主義党=国家官僚どもなのである。
 いまや党=国家官僚どもにたいする労働者・人民の怒りは巨大なマグマとなり、中国全土で噴出している。これに恐怖した官僚どもが、――わずかばかりの賃金引き上げで譲歩しつつ――人民弾圧をいくら強めようとも、「社会主義市場経済」という名の資本主義的改造をおしすすめるかぎり、虐げられた労働者・人民の怒りを抑えこむことはできない。問題は、この労働者・人民にスターリン主義の犯罪性の自覚をうながし、真のマルクス主義思想で武装した階級的団結をつくりだすことにある。
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「戦争法制定を許すな!」 各地で闘いの炎
那覇 安倍政権への怒り爆発
1500が市街を席巻  9・18
「戦争法制定絶対阻止!」那覇市県民広場を埋めつくす1500人の労働者・学生・市民
(9月18日)
闘う学生が労働者・市民と共にデモ
(9月18日、那覇市国際通り)
  県学連が自民党県連に抗議 9・17
「安倍政権打倒」をつきつける
(9月17日、那覇市)
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大阪 一三〇〇が採決阻止の拳 9・13
「戦争法案の採決阻止!」労働者・学生・市民が力強くデモ
(9月13日、大阪市)
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金沢 反ファシズムの声轟く
労働組合先頭に緊急集会 9・17
「委員会採決糾弾!」雨をはねとばして気勢
(9・17、金沢市いしかわ四高記念公園)
香林坊・片町を八百名がデモ 9・14
労働者・市民と連帯し金沢大生がデモ
(9・14、金沢市)
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名古屋 「安倍政権の暴挙を許すな!」
労・学・市民三千が大結集
 9・18
「安倍政権打倒!」怒りのシュプレヒコール
(9・18、名古屋市中区栄ひろば)
栄一帯を席巻するデモに出発
(9・18)
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