第2447号(2016年12月5日)の内容

<1面>
民族排外主義の嵐を打ち破れ
 南スーダンPKO派兵弾劾!
 憲法改悪の策動を粉砕せよ!
<4面>
TPP批准を断固阻止せよ
<5面>
「市場社会主義国」中国の影
 一億人を大都市から追い出し
 「債務の株式化」を解禁
 大中華、もはや敵なし……?
<2面>
さよなら原発! 全国集会・鹿児島 11・13
「憲法審査会始動反対」の訴え 11・17 金大
南スーダン派兵を許すな!
<3面>
「ヤマサクラ71」の強行を許すな
学園だより 第56回鹿大祭 11・10〜14
<6面>
Topics 「個人請負」型労働拡大の画策
安倍式「働き方改革」のお先棒をかつぐNHK
「日印原子力協定」締結――安倍の野望
<7面>
博多駅前大陥没
福岡市当局とゼネコンによってひき起こされた大事故
<8面>
万華鏡2016――情勢の断層を読む
 ◆トランプの勝利=I?
 ◆二島を追う者一島も得ず
 ◆南スーダン黒塗り資料
『新世紀』最新号(第286号)紹介
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号   








































  


民族排外主義の嵐を打ち破れ

 南スーダンPKO派兵弾劾!

 憲法改悪の策動を粉砕せよ!

 安倍政権は、労働者人民の反対の闘いをふみにじり、十一月二十日に南スーダンPKO第十一次派遣部隊を、南スーダンの首都ジュバに送りこんだ。われわれは、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」という戦闘任務を付与された日本国軍の、戦後初の武力行使をかまえての海外派遣を断じて許さない!「積極的平和主義」の名による南スーダン内戦への武力介入反対! 安倍政権によるこの反憲法的蛮行を満腔の怒りをこめて弾劾する!
 南スーダン内戦はいま一挙に激化している。南スーダンの大統領キール(ディンカ族)の率いる政府軍と前副大統領マシャール(ヌエル族)率いる反政府軍とが、軍事的衝突をくりかえしている。いまや、いつ・どこで両派間の大規模戦闘や住民の大虐殺が起きてもおかしくない状態にあるのだ。すでに数万人が虐殺され二三〇万人もの難民がうみだされている。安倍政権はしかし、戦闘を「衝突」と言い換え、しかもそれは「首都・ジュバを除いた地域」であると言いなし、あくまでも自衛隊を戦地におくったのではないと強弁している。なんたる詭弁!
 南スーダン政府軍は、国連がヌエル族を擁護しているととらえ、国連の南スーダン派遣団(UNMISS)にたいしても攻撃の矛先を向けている。PKO部隊に歩兵部隊一八〇〇人を送りこんでいる中国の習近平政権は、南スーダンの石油利権の四〇パーセントを有している。アメリカのオバマ政権も、石油利権の獲得を企んで、中国とのあいだで「国連による和平」の主導権争いに興じている。UNMISSは南スーダン人民の怨嗟の的となっているのだ。「国連施設や市民への攻撃を準備している」とみなした者にたいしては「積極的な武力行使」をおこなうという国連安保理決議を錦の御旗にかかげるUNMISSは、政府軍にたいする先制攻撃も辞さないとかまえている。派遣された日本国軍が、政府軍といつ戦火を交えてもおかしくないのだ。
 アメリカのオバマ政権が日本の安倍政権にたいして、同盟国としてより大きな役割を果たせと要求している。これを渡りに舟として安倍政権は、この機に敗戦帝国主義の汚辱をぬぐいさり・一流の軍事強国たるの実を示すために、戦後初めての武力行使にふみきるハラを固めているのだ。それだけではない。「最後のフロンティア」とみなしたアフリカに中国企業の進出を促している習近平政権が、すでにアフリカ全土に一万人を超える中国兵を展開させている。この中国に対抗して安倍政権は、戦闘任務を付与した日本国軍の派遣を強行したのだ。
 しかし、「暫定統一政府」の樹立をテコとしてオバマ政権がお膳立てした「和平」なるものは、ジュバにおける七月の大規模戦闘を契機にして完全に崩壊している。ケニア政府は、自国出身のPKO軍司令官が七月の大規模戦闘への対応の責任をとらされて国連によって更迭されたことに反発して、PKO部隊の主力をなしたケニア軍兵士・一〇〇〇人を撤収させた。
 しかも、問題はこれにとどまらない。「アメリカは世界の警察官にはならない」と公言するトランプが、アメリカの次期大統領に当選した。「アメリカ・ファースト」をかかげる彼は、アフリカで「南スーダン和平」の主導権を中国と競い合う気などない。内戦を泥沼化させたアメリカ政府が手をひく機会をうかがっているときに、ひとりアメリカ帝国主義の属国として戦地に自国軍を送りこんだのが安倍政権なのだ。
 われわれは、安倍ネオ・ファシスト政権による戦後史を画するこの蛮行に断固反対する。日本共産党の不破=志位指導部は、もっぱら自衛隊員が「『殺し・殺される』派遣」であることを問題にする。安倍政権が日米グローバル侵略戦争同盟の強化と日本の軍事強国への飛躍をかけて海外派兵にふみきったこのときに、彼らはただただ「政府は自衛隊員の命を守れ」と安倍政権にお願いすることしかできないのだ。
 安倍ネオ・ファシスト政権は、南スーダン派兵を跳躍台として、憲法第九条の破棄を核心とする改憲策動に一気に拍車をかけている。われわれは、<南スーダン派兵反対><憲法改悪阻止>の闘いを、日本共産党指導部による闘争の議会主義的・市民主義的歪曲をのりこえ断固として推進しようではないか!

<アジアの孤児>に転落した安倍政権

 「アメリカ・ファースト」を叫びたてるトランプが次期米大統領に決定したことを契機として安倍政権は、あらゆる場面において間抜けぶりをさらけだしている。
 選挙戦の最中に「TPP(環太平洋経済連携協定)から脱退する」、日本が金を払わなければ「在日米軍を撤退する」とくりかえし叫んだトランプの当選がきまるやいなや、首相・安倍は大あわてでトランプ詣で≠決行した。習近平政権が「二十一世紀の超大国」にのしあがる野望を抱き、中国主導の経済圏づくりに狂奔しているいま、これに対抗するために日米主導のTPPを推進すべきこと、またアメリカが「航行の自由」作戦を展開するためにも対中包囲網の最前線基地である在沖縄米軍基地は「必要不可欠」であること、日本はそのための「応分の負担」をしていること、などなどを、僕が説明すればわかってもらえる≠ニばかりに次期アメリカ権力者への「信頼感」を胸に抱き渡米した首相・安倍。この輩は、ゴルフクラブを貢ぎ物≠ノ、いそいそとキンキラキンのトランプ・タワーに赴いたのだ。
 しかし、安倍の「陳情」をトランプは一蹴した。安倍のお坊ちゃま宰相≠ヤりをあざ笑うかのようにトランプは、首相・安倍がAPEC後の記者会見で「TPPは米国ぬきでは意味がない」と表明した(二十一日)そのタイミングを見計らって、「TPP離脱を(大統領就任初日に)通告する」と明言したのだ。
 アメリカがTPPに参加しつづけると考える参加国はもはやいない。ベトナム政府はすでにTPPの国内批准手続きを取りやめた。ペルーの大統領クチンスキは、ロシアと中国を加えた「米国ぬきの似たような協定」をつくろうと主張しはじめている。ただひとり日本の安倍政権のみが、なおも「米国に国内手続きの早期完了を働きかけていく」などとトランプにすがりついているのだ。
 安倍政権のこの周章狼狽ぶりを横目でみながらほくそ笑んでいるのが中国の習近平政権だ。トランプが当選するやいなや、「われわれはみずからの自由貿易区戦略を積極的におしすすめる」(十一月十日)と宣言した。すでにアジア・ヨーロッパ諸国権力者をまきこんでAIIB(アジアインフラ投資銀行)を創設した習近平政権は、TPPが自壊するとみてとり、中国主導のアジア地域包括的経済連携(RCEP)を基礎としたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想にもとづく新たな貿易ルールづくりを、みずからのヘゲモニーのもとで推進しようとしている。
 日米主導の経済圏・TPPを創設し、中国に対抗しようと企てていた安倍政権は、習近平に完全にしてやられたのだ。
 トランプの当選にロシアのプーチンも、習近平政権と同様にほくそ笑んでいる。
 これまで日本にたいして北方四島の部分返還の可能性をチラつかせていたプーチンは、十一月十九日の日露首脳会談で対日交渉の態度を豹変させた。北方四島はロシアの領土であることを前提とした「北方四島での共同経済活動」を提案したのだ。オバマ政権の対ロシア強硬姿勢・経済制裁に風穴を開けるために、これまでプーチンは領土問題を取り引き材料にして、安倍政権を取りこもうとたちまわってきた。しかし、トランプはロシアによるクリミア併合を容認するとともに、対ロシアの経済制裁も解除する姿勢を示している。このトランプが大統領になると決定した今、プーチンにとっては、もはやその必要もなくなったというわけだ。
 しかも会談直後の二十一日には、択捉島と国後島にロシア軍の新型地対艦ミサイル「バスチオン」と「バル」を配備したと発表。「クリール諸島は国防上、非常に重要な地域」(軍関係者)であるとぶちあげた。旧ソ連邦の版図回復をかかげるプーチンは、北方四島を日本に絶対に返還しないと裏から宣言してみせたのだ。
 安倍はプーチンが北方領土の部分返還に応じると期待して、十二月の日露首脳会談の舞台をわざわざ地元・山口にしつらえた。だが、突然に手のひらを返したプーチンのこの対応によって、「北方領土の部分返還」の「成果」を宣伝して総選挙にうってでようという安倍の目論みはもろくも打ち砕かれたのだ。安倍の思惑とは裏腹にプーチンは、山口でおこなう首脳会談を、日本に一方的に経済協力を約束させる場たらしめようとしているのだ。安倍はプーチンに完全に手玉にとられたのだ。
 「アジアへのリバランス」戦略をかかげるアメリカのオバマ政権のもとで、安倍政権は米日韓三角軍事同盟の再構築に狂奔してきた。しかし、この追求は早くも頓挫した。
 韓国の朴槿恵政権は、すでに倒壊寸前だ。十一月二十六日には、大統領・朴の「機密情報漏洩」と特定財団への「資金援助強要」疑惑に怒る一五〇万人のデモが、「朴退陣」をかかげてソウルを埋めつくした。政府と結びついた特定財閥に富が集中する韓国では、労働者の六割以上が低賃金の非正規雇用におとしめられ、生活苦にあえいでいる。彼らの怒りがいま、朴を包囲しているのだ。これに押されて与党のセヌリ党内部からも、大統領を強制的に辞任させる弾劾決議に賛成すると表明する部分が続出している。大統領・朴が解任されるのは時間の問題だ。
 オバマ政権は、かねてより朴政権に要求していた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を急ぎ締結せよと大統領・朴に押しこんだ。しかし、それも朴政権の延命には役立ちはしない。逆にこれが仇になって米日韓の軍事同盟に反発する一部の政治エリートが一気に中国・習近平政権に接近することにしかならないのだ。
 アメリカ帝国主義の属国としてひた走ってきた日本帝国主義の安倍ネオ・ファシスト政権は、いまや完全に<アジアの孤児>と化した。アメリカ主導の<アジア太平洋版NATO>構想の一角として位置づけられていたフィリピンの新大統領ドゥテルテは、トランプが次期大統領に決まる前から、早々にオバマに見切りをつけて習近平政権と握手をかわした。安倍政権が「日本再興戦略」の目玉商品として位置づけているベトナムへの原発輸出も頓挫した。十一月二十二日にベトナムが、この計画を白紙撤回したのだ。ただインドとのみ、核兵器開発を実質上容認し原子力協定を締結することをテコとして、「経済協力」をすすめることで一致したにすぎない。
 日米安保同盟の鎖につながれることに慣れ親しんだ日本帝国主義の安倍政権はいまや、完全に四面楚歌なのだ。
 巨大な地殻変動は、アジア地域にとどまらない。
 ユーラシアの西ではロシアのプーチン政権が、米民主党クリントンの敗北をみてとるやいなや、シリア空爆を再開した。この機にオバマ政権ならびにEU諸国権力者が支援してきた反アサド武装勢力を、ISもろともに壊滅させる挙にでたのだ。プーチンは、トランプが政権に就いたならば、シリアのアサド政権を延命させることに同意するのではないかという感触を得ている。この間隙をぬって一挙にシリア政府軍支配地域を拡大しようと企てているのだ。戦争と飢えに苦しむシリア人民をさらなる血の海にたたきこんで。
 「EU離脱」を首尾良くすすめたいイギリスのメイ政権は、トランプ次期米政権との関係を強化することを展望して、トランプへの対応を協議するために招集された緊急EU外相非公式会議を欠席した。いち早くEUと一線を画す態度を鮮明にしたのだ。他方のフランス・オランドやドイツ・メルケルらEU諸国権力者どもは、足もとで極右政党・勢力が勢いを増していることにすくみあがり、オバマとクリントンの姿に明日のわが身を見ることしかできない。
 それだけではない。いまや世界をおおう国益ナショナリズムと排外主義の濁流は、世界中の労働者人民をまきこみながら一挙に加速している。

民族排外主義の嵐に抗してマルクス主義の再興を!

 いま全世界で帝国主義権力者は、労働者人民を貧困と隷従、圧政のもとにたたきこんでいる。ほんのひと握りの富める者がいる他方で、多くのもたざる者≠ェ貧困と重労働にあえいでいる。いわゆる古典的貧困≠ェ全世界的に露わとなっているのだ。
 米欧諸国では極右勢力が、職を奪われ・貧困に苦しむ労働者の怒りと不満を組織している。彼らは、移民が労働者から職を奪った≠フだと、排外主義を煽りたてている。見よ! アメリカ労働者の味方づらをしたトランプが、「メキシコからの移民を追いだせ! 壁をつくれ!」とわめきちらし、民主党と労組ナショナルセンターAFL‐CIOの牙城であった伝統的工業地域の労働者の票をかっさらった。
 ヨーロッパ諸国の極右政党・勢力は、排外主義を煽りたてるトランプの勝利に拍手喝采した。フランスの「国民戦線」党首ルペンは、「われわれの国にとって良いニュースだ」とトランプの当選を賛美。「ドイツのための選択肢」党首ペトリは、「今回の結果はドイツと欧州を勇気づける」と、オランダの「自由党」党首ウィルダースも「歴史的勝利だ。革命だ」などと狂喜した。世界各国の今ヒトラー≠ヌもが、労働者に被害者意識をすりこみ・ナショナリズムを煽りたて、勢力を伸ばしている。民族排外主義者どもの移民排撃・反イスラームのアジテーションが、かくも広く・急激に労働者人民に浸透してしまっているのは、ひとえに既成の労働運動指導部が腐敗しきっているからだ。
 ソ連邦の自己崩壊以降、共産主義は「全体主義」の別名とされ、ブルジョアどもによって「マルクス主義の死滅」がまことしやかに語られた。スターリン主義諸政党とこれに指導された既成の労働運動指導部は、ブルジョアジーのイデオロギー攻勢に総屈服した。いまや彼らは、ブルジョア政府の補完物へと成りさがっている。帝国主義諸国の労働貴族も、ブルジョアジーと歩調をあわせて労働者人民を抑圧している。労働運動指導部のこの堕落! 彼らこそが、労働者を絶望においやり、排外主義的ナショナリズムの浸透を許しているのだ。ブルジョア政府による反労働者的諸政策の貫徹を許しているのだ。
 われわれは声を大にして訴える! マルクス主義が死滅したのではない。マルクス主義を騙るスターリニストどもが、マルクス主義を投げ捨てたのだ。こんにちほどマルクス主義が労働者階級の自己解放の武器として光彩を放っているときはない。全世界労働者の悲惨は、スターリニストどもが独占ブルジョアジーとその政府の補完勢力として延命しているがゆえなのだ。今こそマルクス主義の再興をかちとれ!

安倍政権打倒へ突き進もう

 吹き荒れるナショナリズムの嵐に抗して、われわれ日本の反スターリン主義革命的左翼は全世界の労働者と連帯し、日本ナショナリズムを煽りたてる安倍ネオ・ファシスト政権の打倒へと突き進もうではないか! 安倍政権による改憲策動を断固として打ち砕こう!
 日本では、今ヒトラー≠フ安倍が上から労働者人民をからめとろうと企てている。民進党やその支持基盤である「連合」を改憲の土俵に引きずりこむために、安倍政権は自民党改憲草案を前提にはしない≠ネどと言いなしながら、衆参両院で憲法審査会を再開した。
 また安倍政権は、労働者を自民党の支持基盤へと組み入れるために、民進党や「連合」が政策として掲げていた「同一労働同一賃金」などの政策をかすめとりながら、「働き方改革」なるものを進めている。しかし同時に、年金支給額を抑えるための「新ルール」(物価、賃金のうち大きく下がった分に合わせて年金支給額を下げる)と「マクロ経済スライド」(景気がよくなったとしても支給額をできるだけ上げない)の二点を特徴とする年金改革関連法の制定や社会保障の大幅削減をすすめているのが安倍政権なのだ。
 それだけではない。安倍政権は、みずからの基盤とはなりえず、改憲にとっての障害とみなした「平和フォーラム」系の労働組合などにたいしては、徹底して弾圧の刃を振りおろしているのだ。
 「連合」指導部は、この安倍政権にみずから抱きつき、完全にからめとられている。二〇一七年春闘にかんして、経団連に「二%の賃上げ」を要請した安倍に、「お願いします」と「働き方改革実現会議」で頭をさげたのが「連合」神津執行部なのだ。
 他方で「野党と市民の共闘」を自己目的化する日本共産党の不破=志位指導部は、次期衆議院選挙にむけての「野党共闘」実現のために、自党の安保=外交政策などの右翼的緻密化に腐心しているのだ。
 われわれはいまこそ、安倍政権による改憲を断固阻止すべくたたかおうではないか! 代々木官僚による議会主義的・市民主義的歪曲をのりこえ、<日米グローバル侵略戦争同盟の構築・強化反対、日本の軍事強国化反対><米―中・露の核軍事力増強競争反対>の方向性を鮮明にしたたかおう! われわれは腐敗を深める既成の労働運動指導部の闘争歪曲を断固のりこえ、全世界に吹き荒れるナショナリズムの嵐を突き破る闘いを、プロレタリア・インターナショナリズムの立場にたち、この日本の地で推進しようではないか!
 12・4革共同政治集会に総結集せよ!

Top

  


TPP批准を断固阻止せよ

トランプの離脱宣言≠ノ動転する安倍の悪あがきを許すな

 「TPP(環太平洋経済連携協定)はアメリカ抜きでは意味がない」と日本の首相・安倍が叫んだ(十一月二十一日)、その直後(三十分後!)にトランプは、「就任初日にTPPからの離脱を通告する」と宣言した。アメリカ大統領選終了後ただちに高級ゴルフクラブを手土産≠ノしてトランプのもとに馳せ参じた安倍は、TPP脱退をトランプに思いとどまってもらおう≠ネどというもくろみの破綻をつきつけられた。もしかしたらトランプを翻意させることができるかもしれない≠ネどという、実に虫がいい願望に最後までしがみついてきた安倍。このボンボン宰相≠ヘ、今やTPPの空中分解≠ニいうべき事態に直面して、ついに「(トランプを翻意させるという)確信はない」などと国会で吐露せざるをえなかったのだ。
 「グローバリズムの推進」を旗印としてアジア・太平洋地域に自由貿易圏を構築することを策してきたアメリカ帝国主義のオバマ現政権、この政権につき従いながら「TPP早期締結」の旗振り役を買って出てきたのが安倍政権であった。トランプの「TPP離脱」表明によって完全にハシゴをはずされ、かつアジア・太平洋諸国からも孤立した安倍政権は、「わが国が主導して発効の機運を高めないとTPPは漂流する」(TPP担当相・石原)などとわめきたてながら、TPP承認案の参院採決・批准にむけて突進しているのだ。断じて許すな。
 原発輸出とともに成長戦略の柱として位置づけてきたTPP締結が頓挫しかねないことに安倍政権は、並なみならぬ危機感を募らせている。〔日本がいったんは受注に成功したベトナムの原発建設にかんしても、十一月二十二日、ベトナム政府は建設中止を決定した。〕
 そもそも、アメリカ大統領選の過程において、トランプ、クリントンの両候補がこぞってTPPに反対していることに焦燥感を募らせてきたのが安倍政権である。
 とりわけ、「忘れられてきた人びとに寄り添う」などと甘言を弄して、アメリカの白人低所得者層・没落を強いられている「中間層」の票を掠め取ることに奏功したファシスト・トランプ。この男は「反グローバリズム」を呼号しながら、自由貿易が雇用を奪っている≠ニうそぶき、多国間の自由貿易協定を否定し、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し・TPPからの脱退を公約に掲げてきた。このトランプの意向を受けて、共和党上院の幹部・院内総務のマコネルもまた、「TPP承認法案を年内に審議することはない」と意志表明している。ここにいたって、大統領選挙後の「レームダック議会」でなんとかTPPを批准にもちこみたいと目論んでいたオバマ政権は、「TPPの取り扱いは議会と次期大統領が協議することになる」(大統領補佐官アデエモ)とTPPの批准をついに断念せざるをえなかったのだ。
 TPP発効が風前の灯と化している状況のもとで、安倍政権は、中国主導の経済圏構築に拍車をかけている習近平政権に対抗するために、TPPにもとづく日米主導の環太平洋自由貿易圏構築をなにがなんでもなしとげようとしている。
 「一帯一路」構想にもとづいて欧州帝国主義諸国をもまきこんでAIIB(アジア・インフラ投資銀行)設立にこぎつけた習近平政権は、TPP崩壊≠ニでもいうべき事態にほくそ笑みながら、この機に乗じてRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)にもとづく中国主導の経済圏を構築するために、現にTPP参加各国・途上国の切り崩しに拍車をかけている。十一月十八日から二十日にかけてペルーのリマで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に出席した習近平はベトナム、フィリピンの首脳と連続的に会談した。そこにおいて、中国主導のRCEP締結へむけて「早期妥結」を図るための政治的攻勢を強めているのだ。「RCEPに入りたいといっているのはペルーだけではない、チリもそうだ」と豪語している習近平政権は、RCEP締結をなしとげ、さらにはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現にむけて主導権を確立する構えをいよいよ明確にしているのだ。
 関税によって自国産業を保護しつつ、帝国主義諸国からの投資は党=国家官僚の統制下で受け入れ、先端技術を盗み取ることによって経済発展を遂げてきた中国。これに対抗して資本のグローバライゼーションを促すために「例外なき関税撤廃」を原則化し国有企業優遇・自国産業保護措置をいっさい認めないTPPの「ルール」を貫徹することを策してきた安倍政権は、中国にたいする敵愾心をむきだしにしている。
 かくして安倍政権は、中国に対抗するために、トランプの翻意を促して、死に体≠ニなったTPPに是が非でも生命を吹きこみたいと、もがいているのである。この政権はアメリカ帝国主義が没落を露わにしているもとで、グローバル化した日本独占資本の意を体してアジア・太平洋における自由貿易圏構築をめぐって、中国との覇権争奪戦をいよいよ熾烈化させているのである。
 「TPPは経済面での日米同盟だ」「わが国の安全保障やアジア太平洋の安定に大きく寄与する」などと安倍政権は、ことあるごとに喧伝してきた。トランプの「TPP離脱」宣言によって、このかん日米共同ですすめてきた対中軍事包囲網構築の追求が停滞しかねないことに危機感を募らせた安倍政権は、それゆえにこそ、参加十二ヵ国のTPP締結合意を完全に御破算にすることだけは必死に回避しようとしている。

以下見出し
 ウソとペテンで塗り固められた「稼げる農業」なるもの

TPPの空中分解――世界の孤児と化す日本帝国主義


農漁業破壊にたいして高まる人民の怒り
 TPP承認案の参院採決を阻止せよ!

Top
 

   


新ガイドラインにもとづく連続的な日米共同演習反対!
 
「ヤマサクラ71」の強行を許すな


 日米両権力者は、十一月三十日から十二月十三日までの二週間にわたって、熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地を中心にして、日米両軍の司令部を中核に陸自西部方面隊や米陸軍第一軍団などを大規模に動員した日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ71」を強行しようとしている。この一大図上訓練は、南・東シナ海や西太平洋での中国との戦争状態を想定し、その場合の日米共同作戦の展開の高度化と国内総動員体制の構築をはかるための演習にほかならない。今秋、日米両権力者は、新ガイドライン・戦争法にもとづく「集団的自衛権行使」にあたる新任務をスムーズに遂行するために、相次いで日米共同軍事演習を強行している。まさに米日統合軍≠ニして対中国の臨戦態勢を構築することに血眼なのだ。
 われわれは、<反安保><反ファシズム>の旗を高く掲げて、安倍政権による憲法改悪を阻止するとともに、日米新軍事同盟構築のための諸策動に反対してたたかうのでなければならない。

以下見出し

対中国の島嶼奪還=敵前上陸作戦の予行演習

日米共同の戦争遂行体制の構築を許すな

Top

    

最新号紹介

新世紀The Communist第286号
2017年1月

反戦・改憲阻止の階級的戦列を!――革命的指針を提起

トランプ旋風≠フ本質をえぐる

 アメリカ大統領選挙でのトランプ勝利。これにあわてた首相・安倍は、いち早くトランプに謁見を乞い日米新軍事同盟の飛躍的な強化をあらためて誓った。この安倍の猛攻撃を打ち砕くために、本号では「反戦・改憲阻止の階級的戦列を」と呼びかけ、闘いの武器をすべての読者におくる。
 ◆「日本国軍の南スーダンPKO11次派兵を阻止せよ」(無署名)、「改憲阻止闘争の高揚を切り開け」(同)、「高江・辺野古から反戦反安保の炎を全国へ」(沖縄県委員会)の三つの論文は、反戦反安保・改憲阻止の闘いの革命的指針を提起している。安倍政権は、戦争法にもとづいて日本国軍に「駆けつけ警護」などの新任務を付与し、ただちに戦地におくりだした。これは、海外で侵略戦争を担いうる帝国主義軍隊へと自衛隊を飛躍させ、日本を「戦争をできる国」にする一大攻撃にほかならない。戦後史を画するこれほどの攻撃がかけられているにもかかわらず日本共産党は、これに反対する闘いを「自衛隊員の生命を守る」運動におしゆがめている。ここに端的に明らかな既成指導部のとどまるところを知らない腐敗。これを弾劾し、彼らの指導下の反対運動をのりこえたたかう指針がうちだされている。
 ◆「共謀罪の新設を許すな」(中里仁平)は、日本型ネオ・ファシズム支配体制の最後的確立のために一切の反政府的運動と組織を壊滅させることを狙う安倍政権、その今日版治安維持法制定のたくらみを暴露し、断固たる反撃を呼びかけている。
 安倍政権が喧伝している「働き方改革」なるものは、一億勤労人民をトコトン働かせ、生産性向上を強制するための政策いがいの何ものでもない。「安倍式働かせ方改革≠打ち砕け」(無署名)は、この本質をえぐりだし、労働諸法制改悪反対の闘いに決起すべきことを訴えている。
 ◆大統領に選出されたトランプは、極反動分子を次々に次期補佐官や次期閣僚に任命し、ファシストたるの本性をますます露骨にしつつある。アメリカ労働者階級がかかる屈辱的な事態を許してしまったのはなぜなのか?「米大統領選トランプ勝利の激震」(無署名)、「『一超』帝国の没落を映す米大統領選挙」(同)、「白日のもとに晒されたアメリカの暗部」(藤沢浩市)の三つの論文は、トランプ登場の意味を浮き彫りにしている。
 グローバル資本主義の暴走と破綻、絶望的なまでの格差の拡大。そのもとで、とりわけ白人の労働者階級に欝積する不満が、「アメリカファースト、反エスタブリッシュメント、移民排斥」をがなりたてるトランプのデマゴギーにからめとられてしまった。「社会主義」ソ連邦崩壊以後の全世界的な規模での階級闘争の衰滅と脱イデオロギー状況のもとで、「労働者たちが自己の生活苦の根拠と意味をとらえかえす労働者的価値基準を喪失している」がゆえに。とりわけアメリカでは、真実の革命的前衛はおろか一切の左翼党派が根こそぎにされ、労働者的反撃の組織的拠点を失って久しいがゆえに。まさにこの悲劇的現実は、「今こそスターリン主義を超克し、真のマルクス思想で武装した労働者階級の戦列を構築する」ことによって根本的に転覆されなければならない。このことが、アメリカの、いや全世界の労働者に呼びかけられている。

核燃サイクル開発の破産を暴露

 ◆本号では、原発・核開発反対闘争の前進を呼びかける諸論文も掲載している。「『もんじゅ』廃炉――どんづまりの核燃料サイクル開発」(浦上深作)、「核燃料再処理事業の破綻」(S・U)の二論文は、「もんじゅ」を軸にした「核燃料サイクル」開発が完全に破産したにもかかわらず、日本帝国主義権力者が「プルトニウム平和利用」の看板だけは掲げつづけ、潜在的な核兵器製造能力の構築・強化にしがみついていること、この反人民性を鮮明に暴露している。「伊方原発3号機を直ちに停止せよ」(池上菊三郎)では、「冷却水ポンプの水漏れ」という重大事故を引きおこしているにもかかわらず、中央構造線という地震の巣の上にある伊方原発でのプルサーマル運転再稼働を強行した安倍政権と四国電力の暴挙を弾劾している。「福島原発『廃炉戦略』破産の隠蔽」(S・U)もあわせて検討していただきたい。
 「企業合併で生き残りを図る新日鉄住金」(我謝克己)は、一切の犠牲を労働者に転嫁してリストラを強行する鉄鋼独占体のリアルな現実分析である。
 ◆「存在論・適用論・認識論の関係、再考」(島村健康)は、「商品論と人間論」(『マルクス主義の形成の論理』所収)においてうちだされた黒田思想の根幹をなす論理、運動形態の立体的構造の把握にかんする論理がいかにして若き黒田によって形成され、その後発展させられたかを、多くの文献に沿って追体験的に究明した労作である。学習の仕方そのものを学ぶうえでも、すべての読者に熟読をおすすめしたい。

Top
 



  

11・13
「川内原発を二度と動かすな!」
労・学・市民二千が怒りの拳
さよなら原発! 全国集会・鹿児島 

 十一月十三日、JR鹿児島中央駅前において、「川内原発は二度と動かさない! さよなら原発! 11・13全国集会」がおこなわれた。(主催は「ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会」)
 安倍政権・九州電力は、鹿児島県知事・三反園の二度にわたる停止要請をはねつけ、川内原発1号機を、定期点検に入る十月六日まで稼働させつづけた。そして、いまなお2号機を稼働させつづけている。
 いま九州をはじめ日本全土で地震・火山活動が活発化し、未知の断層が多数存在することが明らかになっている。熊本地震でも新たな断層が発見された。南九州を襲う地震がいつ起きてもおかしくないのだ。こうしたことに完全にフタをして、許しがたいことに政府・九電は、来月八日にも1号機の定検後の再稼働を強行しようとしている。この暴挙への怒りに燃えて、この日の集会・デモに二〇〇〇名の労働者・学生・市民が結集したのだ。鹿児島大学のたたかう学生たちは、「地震列島のすべての原発をただちに停止し廃棄せよ!」「日本の原発・核開発反対!」の方向性を鮮明にさし示して奮闘した。
労働者・市民が結集した会場に翻る鹿大生の横断幕
(11・13、JR鹿児島中央駅東口広場)
たたかう鹿大生の奮闘に沿道からも注目と共感が集まった
(11月13日、鹿児島市)
Top