第2463号(2017年4月10日)の内容

<1面>
朝鮮戦争勃発の危機を突き破れ
共謀罪新設・憲法改悪に突き進む安倍政権を打倒せよ!
<4面>
春闘を「野党共闘」実現に従属 「全労連」方針批判
<5面>
パナソニック非正規労働者が過労死
シャープ三原工場の閉鎖
<6面>
「連合福岡」春闘集会 3・12
「連合北海道」春闘集会 3・9
Topics 文科省の「道徳」教科書検定
<2面>
辺野古新基地建設阻止の拳 3・25
<7面>
共謀罪新設阻止の炎
 3・19名古屋/3・19金沢
◎革マル派政治集会に参加して
<3面>
泊原発再稼働を阻止せよ!
イチエフ廃炉の闇
<8面>
安倍・森友疑獄の深層C
 3歳児に「日の丸・君が代」!
 稲田朋美の犯罪
 加計学園への巨額支援
『新世紀』最新号(第288号)紹介

 「解放」最新号


































  


朝鮮戦争勃発の危機を突き破れ

共謀罪新設・憲法改悪に突き進む安倍政権を打倒せよ!

 朝鮮半島において今、日・韓両政府を従えて史上最大規模の軍事演習をくりひろげるアメリカ帝国主義のトランプ政権と、対抗的に弾道ミサイル発射をくりかえし、今また核爆弾実験の準備を進める北朝鮮の金正恩政権とが、互いに先制的な軍事攻撃も辞さぬ構えをむきだしにしながら対峙している。まさに一触即発の危機! トランプは中国の習近平との首脳会談を目前に控えた四月二日に、「中国が北朝鮮問題を解決しないならアメリカだけで〔軍事攻撃を〕やる」と公言した。金正恩を殺害する「斬首作戦」や北朝鮮の核・ミサイル施設空爆を準備し構えていることを誇示しただけではない。韓国へのTHAAD(最終段階高高度防衛)ミサイル配備や米・韓・日の合同演習などを――まさに対中国・対北朝鮮の軍事包囲網を構築・強化するための諸策動を――習近平政権の猛然たる反発を無視して強行する意志を示した。こうして今、米―中の政治的対立が激化しているもとで東アジアとりわけ朝鮮半島において熱核戦争が勃発しかねない危機が高まっているのだ。
 日本の安倍政権は、このトランプ政権に全面協力し、ともに対北朝鮮の臨戦態勢をとっているだけではない。いまや北朝鮮のミサイルの脅威≠あおりつつ、敵基地攻撃能力を保有する意志をも示している。同時に国内に向けては、政府の戦争政策に反対する運動と諸団体・個人を弾圧することを狙った共謀罪新設法案を今国会において一気におしとおそうとしているのだ。これを跳躍台として安倍政権は、憲法の大改悪へと突き進もうとしているのである。
 すべての労働者・学生諸君! われわれは今こそ、朝鮮半島における戦争勃発の危機を突き破るために起ちあがろうではないか! この決定的局面において反戦の闘いを完全に放棄している日共系の反対運動をのりこえ、米・日・韓の対北朝鮮臨戦態勢に反対するとともに北朝鮮のミサイル発射や核実験強行をも弾劾する反戦闘争を巻きおこせ! 今日版治安維持法=共謀罪の制定を断固として阻止せよ! 戦争へと突き進む安倍ネオ・ファシスト政権を労働者・学生・人民の力で今こそ打倒しようではないか!

以下見出し
一触即発!――米韓合同軍事演習と北のミサイル発射

  対北朝鮮強硬政策を打ち出したトランプ政権

「北朝鮮の脅威」を煽り軍事強国化に突進する安倍政権

いまこそ革命的反戦闘争の炎を燃えあがらせよ

  今日版の治安維持法=共謀罪法の制定阻止!

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春闘を「野党共闘」の実現に従属させる「全労連」指導部

A 日共中央に盲従した政策宣伝への陥没

 三月十五日の「統一回答日」に大手諸企業の経営陣が月額一〇〇〇円前後の超低額回答をうちだし、各企業労組を牛耳る労働貴族どもはただちにこれを受けいれた。「国際競争力強化」を唱和する自動車・電機などの大独占体労使に主導されて、今二〇一七春闘は労働者の生活改善どころか、労使が一体となって「生産性向上」のための方策を練りあげ下部組合員に貫徹する場とされようとしている。経営者と労働貴族が「合意」したと喧伝する「働き方改革」の諸施策こそは、いっそうの労働強化と長時間労働を労働者に強いるものにほかならない。
 「全労連」の日共系指導部は、「連合」にあわせて三月十五日を「統一回答日」とするとともに、翌十六日を「統一行動日」としてストライキや職場集会、地域での宣伝行動、決起集会・デモなどをいっせいに展開することを号令してきた。これに応えてJMITU、医労連、福祉保育労などの傘下の諸労組がストライキにとりくむとともに、地域労連や各産別労組は各地域で集会や街頭宣伝行動をくりひろげ「賃金底上げ」「地場産業振興」などを訴えた。
 「全労連」が純中立労組懇などをまきこんでつくりだしている国民春闘共闘委員会の集計によれば、三月二十四日の時点で傘下組合の四九・五%がなにがしかの回答をひきだしており、賃上げ回答額の単純平均は五一九二円、うちベースアップ相当分は一一〇三円とされている。これは昨年同時期の二〇七二円を大きく下まわっている。すでに妥結したのは要求提出組合の三%で大多数はなお交渉継続中であり、四割以上の労組はいまなお要求を提出することさえなしえていないという。JCメタルやUAゼンセンなどの労働貴族の主導のもとで春闘総体が――賃上げは二の次≠ノして――企業の「発展」や生き残りの方策をめぐって労使で協議する場とされてしまっているなかで、「全労連」・国民春闘共闘委傘下の諸労組もまた困難な闘いを強いられているのだ。
 こうした状況のもとで、「全労連」の日共系指導部は三月二十八日に「一七国民春闘後段でも要求を堅持し、ひきつづき粘りづよくたたかいを強めよう!」と題する「幹事会アピール」を発した。ここにおいて彼らは、「内部留保には手をつけず、国内の賃上げは低く抑えるという傾向」にあると大企業経営陣に苦言を呈しつつ、「個別企業での賃上げが低迷する状況を打開する」ために「社会的な賃金闘争」をおしすすめるべきだとあらためて叫び、「最賃の大幅引き上げや地域経済の活性化」にとりくめと号令している。
 JCメタルなどの労働貴族によって主導された今春闘の否定的現実をいかに突破していくかではなく、「社会的な賃金闘争」の名において「アベノミクス反対」の政策宣伝や「最低賃金制」などをめぐる政策・制度闘争の強化を提唱しているのが、「全労連」のダラ幹どもなのだ。まさにこれは、「保守層」をふくむ「国民各階層」にとりいりつつ次期総選挙にむけての「野党共闘」の推進を自己目的化している日共・不破=志位指導部に盲従して、春闘にとりくんでいるからにほかならない。日共中央につき従って労働組合の闘いを議会主義・選挙第一主義的に歪曲する「全労連」指導部を弾劾し、一七春闘を戦闘的に創造するために最後までたたかいぬこう!

(以下、見出し)

B 「社会的な賃金闘争」なるものの錯誤

   「賃金闘争」の政策・制度要求闘争への解消

   中小企業経営者への迎合

C 「不況脱却のための賃上げ」なる基礎づけの欺瞞

   「付加価値分配」論への転落

D アベ式「働き方改革」の補完

   独占資本家の免罪

E 議会主義的歪曲を許さず一七春闘を最後まで闘おう

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政府・北電の泊原発3号機再稼働を阻止しよう!

1 アリバイ的な「安全対策」と「地元合意」づくりに狂奔

 こんにち安倍政権は「もんじゅ」廃炉という高速増殖炉開発の破産を突きつけられ、ますます増えるプルトニウムの備蓄にたいする世界各国の「懸念」をかわすためにも、原子力規制委員会の尻を叩き危険きわまりないプルサーマル発電の原発再稼働を急がせている。三月二十九日には、大阪高裁が、大津地裁がくだした関西電力高浜原発3、4号機についての「運転差し止め仮処分決定」を取り消す、再稼働容認の逆転判決をくだした。この反動判決こそ、安倍政権の意を忠実に体したものなのだ。
 この政権の後押しを受けた北海道電力経営陣は、二〇一五年十二月に規制委が泊原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」を了承したことに勢いを得て、二〇一七年冬にもMOX燃料(プルトニウムとウランの混合酸化物)を使ったプルサーマル発電である泊原発3号機の再稼働をめざすとこのかん得々と語っていた。だが現在、彼らは大規模地震の可能性にかんする地質面と地震・津波対策の設備面のそれぞれの審査会合で規制委の「了承」を得ることができなくなっている。
 焦りを隠せない北電社長・真弓は、「一日も早い再稼働をなしとげ、経営の正常化を図る」と語り、3号機の早期再稼働の意志を鮮明にしている。
 昨一六年秋いこう、政府やそれに支えられた北電経営陣は、規制委との対立をはらみながらも彼らのお墨付きをも得つつ、最後の押し上げとばかりに3号機の一七年再稼働に向けて種々の策動を精力的にくりひろげた。
 昨年九月二日、国と道でつくる「泊地域原子力防災協議会」は泊原発3号機再稼働の前提となる「防災避難計画」を承認した。九月九日には、設備の安全対策担当の規制委員が泊現地視察をおこない、「対策は十分」とその場で北電にお墨付きを与えた。九月十八日には、北電経営陣はそれまで泊原発周辺自治体だけでおこなってきた「地元説明会」をあえて札幌でも開催。十一月十三日、十四日には、政府は北海道南西沖で地震と津波、そして放射能放出という東日本大震災級の原発事故を想定した大規模な「原子力総合防災訓練」をおこなった。
 こうして政府とそれに支えられた北電経営陣は、地元や札幌などの大都市住民への「説明会」を開催したことをもって「住民合意」を得たというアリバイづくりをおこなうとともに、防災計画にもとづく避難訓練をおこなったことをもって住民の安全を確保した≠ニおしだしている。だがそれは、インチキきわまりない代物にほかならないのだ。

以下見出し
  住民の声をはねつけ「説明会」を打ち切り

 「重大事故下で屋内退避」――デタラメな「避難計画」

 「半島隆起は地震性ではない」というウソ八百

2 潜在的核兵器製造能力の保有に固執する安倍政権

3 日共式エネルギー政策転換要求運動をのりこえ闘おう

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徹底追及!

安倍・森友疑獄の深層 4

三歳の幼児に「日の丸・君が代」!

森友式洗脳教育を幼稚園・保育所に強制する安倍政権

 三歳以上の幼児が国旗・国歌に親しむよう保育所は必要な措置を講じよ=\―安倍政権・厚生労働省は全国の保育所にむけて日の丸掲揚、君が代斉唱≠実質的に義務化する「保育所保育指針」(二〇一八年度施行)を決定した(三月三十一日)。すでに文部科学省は幼稚園児が国旗・国歌に親しめるようにせよ≠ニいう「幼稚園教育指針」――幼稚園版の学習指導要領というべきそれ――を発している。全国の幼稚園・保育所にたいして安倍政権は、幼児たちに「日の丸・君が代」への崇拝行動を強制することを命令しているのだ。
 同日にこの政権は、天皇制国家の教育理念たる「教育勅語」を学校で教えることは「違法でも違憲でもない」、という政府見解を閣議決定した。
 幼稚園児たちに毎日、国旗掲揚・国歌斉唱を強制し、「教育勅語」を暗唱させていたのが森友学園の理事長・籠池某であった。いま安倍政権は、国有地不当廉価譲渡問題への安倍じしんの関与をなかったことにするために、森友学園・籠池一家をトカゲの尻尾≠謔しく切りすてようと立ち回っている。
 だが安倍政権は、森友学園塚本幼稚園でやられていたのと同様の幼児洗脳教育を、文科省と厚労省の名において号令しているではないか。
 もとより現防衛相・稲田も前文科相・下村もそして「日本会議議員懇談会」に属する安倍政権の極反動閣僚どもも、みな「教育勅語」を賛美している(稲田と下村は政府閣僚として、だ)。国家の危機に際しては命を捧げなければならない≠ニ謳う「教育勅語」、これを子どもたちにすりこみ、もってすすんでお国のために命を捧げる心≠植えつける。これこそが安倍とその政権の教育政策の根幹なのである。

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軍国小学校$ン立に狂奔した稲田朋美の犯罪

森友学園の顧問弁護士は稲田夫婦

 軍国主義教育のモデル小学校設立をめざした森友学園への国有地不当廉売。この疑惑の渦中で、安倍晋三・昭恵の首相夫婦とともに、安倍政権の防衛相・稲田朋美とその夫・龍示の関与が浮かびあがっている。
 このかん稲田朋美は、籠池について「面識はあるが、ここ十年ほどお会いした記憶がない」(二月二十三日の衆院予算委分科会)、「(弁護士として)法律的な相談を受けたこともない」(三月六日の参院予算委)などと、関係を真っ向から否定していた。だが森友学園が起こした民事訴訟の口頭弁論(二〇〇四年十二月)に稲田じしんが森友側弁護人として出廷していた記録を突きつけられ、一転してこの事実を認めざるをえなくなった(三月十四日)。「記憶にもとづいて言ったので、虚偽の答弁をしたという認識はない」(!?)とハレンチにも開き直りながら。
 三月二十三日の証人喚問で、籠池は、一六年一月に稲田夫婦の共同事務所「弁護士法人光明会」において朋美の夫・稲田龍示が立ち会い近畿財務局と大阪航空局の職員と面談し「今回の土地の事柄を相談した」と証言した(翌二十四日に稲田は、一六年に相談を受けていた事実を認めた)。この相談から三ヵ月後の四月に、大阪航空局が「埋設物撤去費用八億一九七四万円」と算定し、六月に九割引きという不当売却がおこなわれたのだ。
 このとき稲田は自民党政調会長であった。相談は受けたが土地売却の話ではなかった≠ネどと抗弁しているのは真っ赤なウソ。安倍は同年八月の第三次改造内閣で稲田を防衛相に任命した。首相夫人が名誉校長を務め、安倍じしんがめざす「愛国心」教育のモデル小学校の開設に稲田夫婦が狂奔したこと、この稲田夫婦への論功行賞という意味をもこめて安倍が稲田朋美を抜擢したことは火を見るよりあきらかだ。

 札付きの極右反動分子

 稲田朋美の父親、椿原泰夫(昨年十月死亡)は、福井県や京都府で高校校長を務め、「頑張れ日本! 全国行動委員会」という右派団体の京都府代表の顔をもつ関西保守運動家の重鎮=B「日本会議大阪支部」の幹部でもあり、これに所属していた籠池は、稲田の父の代から昵懇(じっこん)の仲。「日本会議国会議員懇談会」の中核メンバーである稲田が特別顧問を務める自衛隊の協力団体「関西防衛を支える会」にも籠池は入会し、稲田が大阪で開く政治資金パーティーの発起人にも名を連ねていた。昨年十月に稲田は、塚本幼稚園の園児たちによる自衛隊員歓迎行事を表彰し、籠池に「防衛大臣感謝状」を贈っている。
 だが森友学園疑惑が追及されるや、利用し支援してきた籠池ファミリーをトカゲの尻尾よろしく切り捨てた。切られた籠池の女房・諄子は逆上し、「ワタシ、あの『おにゃんこちゃん』、嫌い!」と毒づいている。

安倍に寵愛され「戦える軍隊」の広告塔に

 稲田朋美は、旧日本軍による南京攻略時の「百人斬り」裁判の日本軍将校遺族側の主任弁護士を務めた。この恥知らずなディベートぶりに目をつけた安倍にスカウトされて政界入りした。日本国軍の名誉を守るという信念≠ゥら、南京大虐殺や従軍慰安婦の存在を否定し、靖国参拝の常連だ。憲法改定、日本核武装を公然と主張し、安倍と同様の極右反動思想の持ち主である。
 「一旦緩急アレハ義勇公に奉シ……」、この「教育勅語の精神は取り戻すべきだ」と、稲田は森友問題が国会でとりざたされている最中の三月八日に公言している。国家のために命を捧げる≠アとを美徳とする精神を子どもたちに注入するために、安倍の手先となって、「忠君愛国」の学校づくりに邁進していた稲田。今日、自衛隊を「戦える軍隊」に一挙に改造することを企む安倍にとって、この稲田こそ、血を流して戦う%本国軍の広告塔にピッタリだと判断したにちがいない。
 南スーダンの自衛隊派遣部隊の「日報」について、稲田は「すでに廃棄しており、存在しない」と言いはっていた。「駆けつけ警護」の新任務を付与した自衛隊PKO部隊を派遣し、もって安全保障関連法の発動という実績をつくるために、ジュバが「戦闘」状態であると記載した「日報」を、稲田を一員とする日本版NSCが隠蔽していたのだ。ところが防衛省内部にデータが保管されていたことが暴露された。南スーダンの実態を隠し、それが明るみにでると「戦闘行為はあったが憲法違反になるから『衝突』と言い換えた」などと犯罪的言辞を吐いたのが稲田だ。
 安倍の寵愛≠うけ政調会長、防衛相への大抜擢に、自民党内部では稲田への嫉妬とヤッカミが渦巻き、制服組や防衛官僚には不信と軽蔑が充満、官邸内も稲田の続投が政権の地雷になりかねないと戦々恐々。だが安倍にとっては、稲田を切ればみずからの任命責任が噴きあがる。稲田を弾よけにして森友疑惑にたいする野党の追及をのりきろうという魂胆がミエミエだ。ネオ・ファシストどもの腹黒い企みを許さず今こそ安倍政権を打倒しよう!

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安倍腹心の友≠ェ経営する加計学園への巨額支援

 「第二の森友学園疑惑」と称される「加計(かけ)学園」獣医学部新設への不正な巨額支援をめぐる首相・安倍の便宜供与問題が明るみにだされつつある。その総額は一三〇億円にものぼり、森友の比ではない。この加計学園理事長の加計孝太郎と安倍は、安倍じしんが「腹心の友」と呼ぶほどの親密な関係にある。
 この暴露に大あわての安倍は、「友人なのでゴルフや会食もするが、彼から働きかけを頼まれたことはない」と防戦に必死だ。われわれは、<軍国日本>の危機管理・防疫(感染症対策)を担う人材づくりを狙う安倍政権の策動の反人民性を、徹底的に暴露せよ。

獣医学部新設に仕組まれた総計一三〇億円の補助

 三月三日に愛媛県今治市議会は、学校法人加計学園が運営する岡山理科大学が来年四月に新設する予定の獣医学部の用地として、時価三六億七四〇〇万円の市有地を無償譲渡することを賛成多数で可決した。加えて、校舎建設費一九二億円の半額に相当する九六億円を八年間で助成する議案も、賛成多数で可決した(市の負担の上限は六四億円、残りは県の補助)。総計一三〇億円もの巨額支援だ。
 この獣医学部の新設は、首相・安倍自身が直接に音頭をとって実現されたものだ。安倍は一月二十日に、みずからが議長を務める国家戦略特区諮問会議の席上でぶちあげた。「一年前に国家戦略特区に指定した今治市で、画期的な事業が実現します。……獣医学部が来年にも五十二年ぶりに新設され……ます」と。
 これに先だつ一六年十一月の同諮問会議で、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」獣医学部の新設を認める決定がなされた。「獣医師の地域偏在はあるが総数での不足はない」とする獣医師会の反対を押しきるためにこそ、この決定がなされたのだ。
 その後、常軌を逸する猛スピードで認可が決定された。国家戦略特区に指定されている「広島県と今治市」での獣医学部新設の「公募期間」は、今年一月四日から十一日の実質五日間。応募したのは、あらかじめ計画を発表していた加計学園のみ。締め切り翌日の十二日には同学園を事業者に認定したのである。
 安倍が「日本再興戦略」に獣医学部新設を盛りこんだのは一五年六月、それからわずか一年半、今治市を「国家戦略特区」に指定した一五年十二月から一年余で、獣医学部新設が日本獣医師会などの反対を押しきって強行されたのである。

安倍と加計とのゆ着ぶり

 猛スピードでの決定の裏には、加計学園理事長・加計孝太郎と、安倍政権とのあいだでの十全な腹合わせがあったことは、歴然としている。そのゆ着ぶりは以下のごとくである。
 加計学園が千葉県銚子市に設置している千葉科学大学の開学十周年記念式典が、一四年五月に開かれた。この式典に総理大臣としてわざわざ足を運んだ安倍は、「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と親密ぶりを披瀝した。
 安倍は約四十年前にアメリカに語学留学した際に加計と知り合い、一三年十一月以降の約三年間に十四回も面会、山梨県鳴沢の別荘に招いて会食やゴルフをしたりと、家族ぐるみのつき合いをする仲である。加計本人は育鵬社教科書採択運動をおこなっていた「教科書改善の会」賛同者であり、安倍と思想的に同一であるところも籠池と同じだ。
 そして、安倍の妻・昭恵は、森友学園の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任して講演をおこなった一五年九月、この同じ月に加計学園が運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長にも就任し、神戸市の同園を訪問して講演をおこなっている。

〈軍国日本〉の危機管理・防疫を担う人材の育成を策す

 昨一六年十一月の先の国家戦略特区諮問会議をはさんで、十月二日と十二月四日にも、加計と安倍夫妻は夕食を共にしている。まさしく両者は、「世界の真ん中で輝く」「新しい国」(安倍の施政方針演説)と称する<軍国日本>を担う「人材を養成する」学校・施設を整備するという目標で一致し、頻繁にうちあわせをおこなってきたのである。
 加計学園は獣医学部新設の意義について「〔動物由来の〕感染症の発生が国際的に拡大する中、地域での水際対策など具体的な需要に対応することができる獣医師を育成する」と謳っている。安倍も「新たな感染症対策や先端ライフサイエンス」を担う人材の育成をおしだしている。一般的な畜産業の支援ではなく、日本帝国主義国家の安全保障の一環をなす防疫対策(生物兵器研究と表裏一体のそれ)の担い手を育成することを主眼としているのだ。〔安倍自身が出向いた千葉科学大学も、「日本で唯一、危機管理学部を持つ」ことを謳っている(薬学部を併設)。〕
 千葉科学大学の学長には、昨一六年四月から、元文部官僚の木曽功が就任した。この男は、安倍内閣の官房参与を、一四年四月から学長就任の直前まで務めていた。安倍政権は、加計学園運営の大学を高等教育再編のためのモデル校とすべく、全面的なバックアップをはかっているのだ。
 今回の岡山理科大獣医学部の設置においても、森友学園と同様に日本会議をはじめとする安倍の右翼人脈が総動員された。日本獣医師会の反対派などを排除して一月十二日に開かれた国家戦略特区諮問会議の今治市分科会には、前愛媛県知事の加戸守行が出席して会議をとりしきり、今治市への獣医学部新設を最終決定した。この加戸は、安倍が本部長を務める「教育再生実行会議」の有識者メンバーを務めたこともある安倍の「お友達」である。
 労働者・人民から税金として収奪した巨額の資金を湯水のように注ぎこんで強行されているネオ・ファシズム的教育・研究機関のモデルづくりを許すな!

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新世紀 The Communist 第288号
2017年5月

最新号紹介

<戦争と貧困>を打ち破る17春闘の指針!

トランプ登場――世界大激動を照射

 首相・安倍が森友学園疑獄の主犯≠ナあることは、今や満天下に明らかになった。しかも、安倍政権は「共謀罪」法案の国会上程を強行した。この極反動政権を打倒する決意みなぎる仲間に、『新世紀』第二八八号を贈る。
◆アベノミクス大破綻とトランプ政権の日本排撃。これに対応不能となり、世界の権力者でただ一人トランプに隷従し、日本の労働者・人民にはあらゆる犠牲を転嫁せんとする極反動安倍政権に、今や総反撃の時だ。その武器として、「反動総攻撃に抗し春闘の高揚を」と題する特集を組んだ。
 特集の冒頭は、全国の仲間が春闘にむけ決意をうち固めた「2・12労働者怒りの総決起集会」の基調報告「<戦争と貧困>の強制を打ち砕き一七春闘の戦闘的高揚を」(進藤暉雄)だ。政労使一体になっての「国難突破」の大合唱に抗してたたかう指針と決意が確固として提起されている。続く「戦乱と貧窮と圧政を打ち破る全世界の労働者階級の団結を」(前原茂雄)は、同集会の革マル派代表挨拶である。現代世界の地殻変動、その根底にスターリン主義の歴史的犯罪があることを明らかにしつつ、同志前原は確信に満ちて語る。「『スターリン主義の破産』これをイコール『マルクス主義の破産』などというのは、許すことのできない世紀の大嘘にすぎないのだ。」「全世界の労働者・人民がこのことに目覚めたとき、世界が変わる」と。
 「生産性向上のための労使交渉≠叫ぶ経団連」(鷲尾洸平)、「政労使一体での国難突破≠誓う『連合』指導部」(神長徹)、「『強固な日本経済構築』への貢献を唱えるJCM労働貴族」(保志一鉄)の三論文を特集に掲載した。「第四次産業革命」を呼号する独占資本家どもの賃金抑制・「長時間労働是正」の名による合理化攻撃。日本経済の危機突破をはかる「牽引役」をみずから買ってでた労働貴族の犯罪。これらを分析し反撃の指針を提起する力作である。
◆「トランプ登場――世界を覆う戦雲」と題して、米国内と全世界にもたらされている激変と大戦乱の危機切迫を浮き彫りにする多彩な小特集を組んだ。「<プーチン・ゲート>暴露に大混乱のトランプ政権」(夏羽成臣)は、人格破綻者トランプのスキャンダルと対露協調政策への転換をめぐるアメリカ帝国主義の内部抗争を剔りだしている。「トランプとプーチンに引き裂かれるEU」(空知健介)と「ミニ・トランプ≠フ跳梁跋扈」(無署名)は、トランプ登場に勢いづきプーチンの援助も受けたEU諸国のネオ・ファシスト勢力、彼らの台頭によって分解の危機にたつEUの現状を照らしだしている。
 米露関係の変動をインパクトとした中東の戦乱激化とその意味を明らかにしているのが、「シリア内戦の急転回――ロシア・トルコ結託」(梅林芳樹)である。
◆本号は、改憲をはじめとする安倍政権の反動攻撃にたいする反撃の闘いの方針論文を掲載した。「世界大乱の危機を突き破れ 改憲阻止・反戦反安保闘争の大爆発を」(中央学生組織委員会)は、トランプ政権の登場によって一気に高まる米―中角逐の激化のもとで、日米新軍事同盟の強化に狂奔する安倍政権にたいする断固たる反撃の檄だ。安倍政権は、トランプ政権への隷従の証しとして、辺野古新基地の海上工事再開という大攻撃に手を染めた。「辺野古新基地建設阻止・全基地撤去の闘いを切り開け」(沖縄県委員会)は、これにたいする不退転の反撃の宣言だ。海・陸での激闘のドキュメントも合わせ掲載する。
 「<3・11>から六年すべての原発・核燃施設を停止し廃棄せよ」(無署名)は、「廃炉工程」と汚染水処理の破綻を露にしながらも住民に帰還を強制し原発再稼働に突進している安倍政権への反撃を力強く呼びかけている。
 「学生を借金地獄に突き落とす『奨学金』制度」(葦野巌)、自己の労働の理論的考察を試みた「私の労働を技術学的にふりかえるために」(大岳登)も掲載した。本号をおおいに活用されたい。

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3・25 「辺野古新基地建設阻止!」
3500名余が怒りの拳
 キャンプシュワブ・ゲート前

 三月二十五日、「違法な埋め立て工事の即時中止・辺野古新基地建設の断念を求める県民集会」(オール沖縄会議主催)が開催された。悪天候をものともせず、沖縄全県から主催者発表の三五〇〇名を大幅に上回る労働者・学生・市民が、アメリカ・トランプ政権にせきたてられて日本政府が強硬に進める辺野古埋め立て工事を阻止するために結集した。
 革命的・戦闘的労働者たちは多くの組合員を組織化しつつ職場から決起した。琉球大、沖国大のたたかう学生たちは、最先頭において「反安保」の旗幟を鮮明にして本集会の戦闘的高揚を切り開くために奮闘した。
 
「新基地建設を阻止するぞ!」怒りのシュプレヒコールを叩きつける労働者・学生・市民
(3月25日、沖縄・辺野古)

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共謀罪新設阻止の炎
3・19 名古屋  1000名が怒りのデモ
  三月十九日に、名古屋市中区の白川公園において、「安倍内閣の暴走を止めよう! 3・19春の大集会&デモ」が共同行動実行委員会の主催のもとに開催され、一〇〇〇名を超える労働者・学生・市民が参加した。
 わが革命的・戦闘的労働者たちは、各組合支部・分会で創意工夫した取り組みを展開し、多くの組合員とともに結集した。これと連帯して愛知大学・名古屋大学のたたかう学生たちは、集会・デモを戦闘的に高揚させるために奮闘した。
 宣伝カーに先導されてデモ隊は「戦争法制 絶対廃止!」「共謀罪に反対しよう!」「憲法改悪絶対反対!」と意気高くかけ声をあげながら名古屋・栄の繁華街をデモ行進した。「森友疑惑のもみ消しを許さない」というリズミカルなコール≠ノは、多くの市民が共に拳をふりあげ応えた。
愛大・名大の闘う学生が「安保破棄」の方向性を示しつつ労働者・市民と共に進撃
(3月19日)
3・19 金沢  労・学・市民が熱きスクラム
  三月十九日、金沢市の教育会館において、「『共謀罪』を許さない緊急集会」(「憲法改悪阻止! 戦争法廃止!」を呼びかける八団体主催)が開催された。
 わが同盟の情宣隊は、「『テロ等準備罪』=今日版治安維持法の制定阻止!」と大書きしたビラとともに、森友学園疑獄の真相を断固として暴露するビラを参加者に配布した。
 おりからの三連休で香林坊・片町は買い物客や観光客であふれかえっている。そのなかをデモ隊が「共謀罪反対」のシュプレヒコールをあげながら進撃する。金沢大学のたたかう学生たちも「<軍国日本>復活のための憲法改悪阻止」「米・日・韓臨戦態勢の構築反対」「森友学園疑獄弾劾」「教育勅語にもとづく愛国心教育反対」と闘いの方向性をさししめたプラカードを掲げ、元気いっぱいにデモ行進を貫徹した。
金沢市街を「共謀罪法案閣議決定阻止!」を訴えつつ闘う学生が市民と共にデモ
(3月19日)
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