第2517-2518合併号(2018年5月14日)の内容

<1面>
改憲阻止! 日米核安保反対!
 日共中央の議会主義的歪曲を許すな! 安倍政権を打ち倒せ
<2面>
朝鮮半島情勢の新展開とわれわれの任務
<4〜5面>
生産性向上春闘≠ヨの歪曲とそれを突破する闘い
<3面>
メーデーに安倍政権打倒の檄
 4・28「連合」、5・1「全労連」「全労協」
<6面>
Topics 働き方改悪*@案成立に手を貸す「連合」会長・神津
激増する基地内工事で建設労働者が死亡――米軍嘉手納基地
「スクールサポート隊」の校内常駐で監視強化――金沢市
<7面>
『マルクス主義入門』全5巻刊行開始にあたって
<8面>
辺野古新基地建設阻止!
 現地で6日間の激闘 4・23〜28
 「解放」最新号

























  


改憲阻止! 日米核安保反対!

日共中央の議会主義的歪曲を許すな! 安倍政権を打ち倒せ

「安倍ネオ・ファシズム政権打倒!」5・3憲法集会で闘う学生が奮闘
(東京・有明)
 安倍政権はいま、<軍国日本>を再興するために、「戦争放棄・戦力不保持」を謳う第九条の破棄を核心とする憲法改悪にむけて再び突進を開始している。さらに、「生産性革命」とか「働き方改革」とかの名において、労働者階級を無権利状態に突き落とす労働法制の大改悪を今通常国会中に強行しようとしている。
 安倍政権による憲法改悪と労働法制の大改悪というこの画歴史的な諸攻撃を絶対に打ち砕くために、われわれは、ただちに全人民的な一大闘争を巻き起こすのでなければならない。
 すべての労働者・学生諸君! あらゆる戦線から、憲法改悪阻止の闘いに、そして労働諸法制改悪阻止の闘いに総決起せよ! 森友・加計疑獄のもみ消しを許すな! <戦争と貧困と強権支配>を強制する安倍日本型ネオ・ファシズム政権を労働者・人民の実力で打倒せよ!

憲法審査会への改憲案提出を阻止せよ!

 安倍政権・自民党は、今年中の改憲発議にむけた道筋をつけるために、衆参両院の憲法審査会の開始にこぎつけようと躍起になっている。森友・加計疑獄を弾劾する労働者・人民の怒りの高まりと野党(維新をのぞく)による国会審議ボイコットのゆえに、安倍政権は、憲法審査会を動かすことができていない。この状況を突破するために、安倍自民党は、与党・公明党のみならず改憲勢力である維新との連携を強化している。そして、維新以外の野党を国会審議に引きこむために元首相秘書官・柳瀬の国会招致に応じ、もって改憲に一挙に突き進もうとしているのだ。
 安倍の指示を受けて自民党憲法改正推進本部長・細田がうちだした「条文イメージ」なるものは、「必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」として「自衛隊を保持する」という条文を「九条の2」として追加し、そうすることによって、現行の第九条を実質上破壊する、というものにほかならない。安倍政権は、自衛隊の軍備を飛躍的に増強し、交戦権を有する帝国主義軍隊として確立・強化するためにこそ、「戦争放棄・戦力不保持」を謳う第九条の破壊に突き進んでいるのだ。それは<米―中・露対決>下の現代世界のただなかにおいて、核武装化した北朝鮮や核戦力を増強する中国にたいして、トランプのアメリカとともに戦争を遂行しうる軍事強国へと日本を飛躍させるための総攻撃なのだ。
 安倍政権によるこの憲法九条改悪の攻撃は、「同盟国による責任共有によってアメリカの負担を減らす、同盟国における日本の役割拡大を求める」というトランプ政権の要求に応えたものにほかならない。
 同時に安倍政権・自民党は、「国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情」があれば内閣が「法律と同様の効力を持つ政令を制定することができる」とする「緊急事態条項」を新設しようとしている。それは、首相を頭とするNSCが全権を掌握し人民の「民主主義的諸権利」を剥奪することを狙ったファシズム的な反動条項なのだ。
 安倍政権による改憲攻撃にたいして、日共中央は、「九条2項」が「死文化」し「海外での無制限の武力行使に道を開く」と――法文解釈主義丸出しで――口にするだけで、「アメリカとともに戦争をやれる国づくり反対」とすら主張しない。「反安保」を完全に放棄しさっているのだ。
 この日共系の運動をのりこえ、われわれは、憲法改悪阻止の闘いを、「日米核軍事同盟の強化反対」さらには「反ファシズム」の旗幟を鮮明にしてたたかうのでなければならない。
 <軍国日本>の再興という日本帝国主義国家権力者の階級的野望をかけたこの改憲策動を総力で打ち砕け!
 憲法審査会への改憲案提出を阻止せよ! 改憲案の国会発議を許すな!

アメリカの対北朝鮮軍事攻撃反対! 北朝鮮の核武装反対!

 五月末から六月上旬の間に予定されている米朝首脳会談を前にしていま、トランプと金正恩およびその後ろ盾となっている習近平とは、北朝鮮の核兵器の「廃棄」および朝鮮戦争の平和協定締結をめぐる政治的駆け引きをくりひろげている。南北の権力者どもによって朝鮮半島の「民族的和解」などとおしだされているこの瞞着は、だがしかし、「平和への激動」(日共委員長・志位)などというものでは断じてない。独占ブルジョアジーに支えられた権力の支配下で貧困と失業苦に突き落とされている韓国の労働者・人民。そして金一族によるネポティズム専制支配のもとで圧政に組み敷かれている北朝鮮の人民。現下の瞞着は、六十五年の永きにわたって南北に引き裂かれてきたこの南北朝鮮人民の悲劇を現在的に固定化する以外のなにものでもない。
 しかも、「まずは北の核放棄を」というトランプの主張と、「核とミサイル実験の凍結」を出発点に制裁の解除・米朝国交正常化・在韓米軍の撤退をかちとりやがては「体制保証」と「核保有国としての承認」をとりつけようとする金正恩の主張とは、大きく隔たっている。まさにこのゆえに会談は決裂するかもしれず、そのときにはトランプは中間選挙の敗北=大統領弾劾をかわすために、ボルトンとポンペオを従えて対北軍事攻撃の挙にでる可能性が濃厚となるのである。
 いま日共委員長・志位は、「米朝首脳会談の成功を強く期待しよう」とメーデーや憲法集会などのあらゆる大衆運動場面で叫びたてている。米朝会談への幻想を労働者・人民に煽りたてながら、「朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制構築を一体的・段階的にすすめる」というみずからの「北東アジア平和構想」なる代案――中国の「双軌並進」政策を下敷きにしたそれ――を宣伝し、その採用を権力者どもに要請することにうつつをぬかしているのだ。だが、労働者・人民の反戦の闘いを組織することの彼岸において、トランプや金正恩、習近平などの権力者どもの理性にすがり、彼らに「理性と英知を発揮して」国家間の利害調整をおこなうことを要請することによって平和が実現できるかのように言いなすのは倒錯の極みなのだ。
 この日共中央を弾劾し、われわれは、朝鮮半島における戦争勃発の危機を打ち砕くために、「アメリカによる北朝鮮への軍事攻撃反対! 日本の参戦阻止! 北朝鮮の核武装反対!」の反戦闘争を断固として推進するのでなければならない。
 右のような朝鮮半島問題をめぐる政治的瞞着の背後で、<米―中・露>の政治的・軍事的な対立がますます先鋭化しつつある。
 習近平政権は、建国一〇〇年の二〇四九年までにアメリカを追い越し「現代化社会主義強国」を建設するという長期戦略にもとづいて、「世界一流の軍隊」を構築することをめざしている。空母四隻体制の確立、米軍の情報通信網を破壊する能力の強化などに突き進んでいるのだ。この中国およびロシアを「アメリカの影響力に挑戦するライバル」とみなし、それに「打ち勝つ」という戦略を掲げるトランプ政権は、中国・ロシアにたいしてなお優位にある核戦力を唯一の縁(よすが)として、その強化に突き進んでいる。そして、「同盟国には負担を求める」として、属国日本を対中国・対ロシアの前線基地として一挙に強化しようとしているのである。「使える核兵器」と称する低出力の核爆弾やその運搬手段(F35Aなど)の日本への配備を準備するとともに、長距離巡航ミサイルをはじめとするアメリカ製兵器を大量に日本に高額で売りつけている。そして、「使える核兵器」の使用を公言したトランプ政権のNPRを「高く評価する」と表明した安倍政権は、トランプ政権の要求に応えて在日米軍基地への核兵器の持ち込みや配備を積極的に受け入れようとしているのである。
 われわれは、日米両権力者による日米核安保同盟の強化に断固反対するのでなければならない。嘉手納・横須賀などの在日米軍基地への核兵器配備を許すな! 辺野古新基地建設阻止! オスプレイの横田配備を許すな!
 同時にわれわれは、中国・ロシアの対米対抗の核戦力の増強にも反対するのでなければならない。
 <米―中・露の核戦力増強競争反対!>の革命的反戦闘争を断固として推進せよ!

「働き方改革」の名による労働法制の改悪を阻止せよ!

 四月二十七日、安倍政権・自民党は、与党のみで「働き方改革関連法案」の審議入りを強行した。われわれは、安倍政権による労働諸法制の改悪を絶対に許してはならない。
 会期が残り約一ヵ月となった今国会中にこの法案をなんとしても可決・成立させるために、安倍政権・自民党はいま、国会審議を拒否している野党を「職場放棄」となじり、徹底して攻撃している。この安倍政権に呼応して、「重要な法案の審議すらできないのか」、国会の混乱をまねいたのは「野党にも責任がある」などとほざいているのが「連合」指導部だ。安倍政権の労働法制の改悪を尻押しする「連合」指導部を弾劾せよ!
 安倍政権は、「長時間労働をなくす」とか「非正規という言葉をなくす」とかと、あたかも労働法制の改定が労働者のためのものであるかのようにおしだしている。だが安倍政権が企んでいるのは、労働時間規制の適用除外をもうける「高度プロフェッショナル制度」という名の定額働かせ放題・残業代ゼロ$ァ度の創出であり、またいわゆる過労死ラインをはるかに超える「一〇〇時間」まで「時間外労働」を認めるということである。しかも、労働法の適用を逃れることのできる「個人事業主」や「個人請負」のかたちを偽装した働かせ方の拡大をはかろうとしているのだ。まさに安倍政権は、「生産性向上」を掲げる独占資本家どもの要求に応えて、労働者階級がかちとってきた八時間労働制を破壊し、いわゆる「労働者保護」を建前とした法制度を一挙に葬りさろうとしているのだ。
 労働者階級を無権利状態に突き落とす安倍政権の歴史的な一大攻撃を、われわれは労働者階級の矜持にかけて絶対に打ち砕くのでなければならない。
 「裁量労働制の対象業務の拡大」法案を通すために、裁量労働制にかんする調査データをねつ造した安倍政権・厚労省に怒りを叩きつけよ! すべての「働き方改革」関連法案を断固として粉砕せよ!

森友・加計疑獄のもみ消しを許すな!

 「本件は首相案件だ」という首相秘書官(当時)・柳瀬の発言(二〇一五年四月)を記した愛媛県職員の「備忘録」が明るみにだされた。「私が加計学園の計画を知ったのは二〇一七年一月」などという首相・安倍の答弁は真っ赤なウソであることが明々白々となったのだ。「国家戦略特区諮問会議」議長を務める安倍こそが加計疑獄の首謀者であることは、いまや歴然としているのだ。
 「安倍は信用できない」という労働者・人民の怒りは高まり、内閣支持率は低下の一途をたどっている。このことに顔面蒼白となった安倍が、記憶が戻った*瀬の国会招致によって窮地ののりきりをはかることを断じて許すな!
 安倍=菅は、NSCのもとに内閣人事局を使って全省庁を統制する体制を構築し・かつ改憲翼賛の極右団体「日本会議」に連なる輩を政府・行政諸機構の要所に配置してきた。森友・加計疑獄こそは、このNSCの頭に君臨してきた安倍・菅らの犯罪以外のなにものでもない。
 安倍は、腹心の友≠ナある加計孝太郎が理事長を務める加計学園に破格の便宜供与をはかるために、「国家戦略特区制度」を活用し・かつ首相直轄の内閣官房・内閣府を動員して文科省に新学部開設を認可するようゴリ押しした。そして、<愛国心教育>のモデル校をつくるために、財務省・国交省の官僚や「日本会議」人脈を総動員して籠池(日本会議所属)の森友学園に国有地の八億円もの値引きという破格のはからいをしてきた。
 森友・加計疑獄は、この<NSC専制>の強権的支配体制の巨悪の露呈なのだ。
 日共中央は、森友・加計疑獄の本質を何一つ暴きだすことができず、「国政私物化を許さない」とか「ウソのない正直な政治をつくり、市民の手で民主主義を取り戻そう」とかと弱々しく唱えるにすぎない。この日共中央による議会主義的・市民主義的闘争歪曲を許さず、<反ファシズム>の旗高くたたかおう!
 安倍・菅らによる森友・加計疑獄の幕引きを断じて許すな!
 憲法改悪と労働法制改悪に突き進む安倍ネオ・ファシスト政権を、労働者・学生・人民の実力で打倒せよ!
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朝鮮半島情勢の新展開とわれわれの任務

 昨二〇一七年には米朝戦争開戦の危機に覆われていた朝鮮半島情勢は、金正恩が今年元旦に発した平昌五輪への参加の意向表明(「新年の辞」)を旋回点として、いまや一転して平和∴齔Fに塗りつぶされつつあるかにみえる。
 二月初旬以降の平昌五輪のただなかでくりひろげられた一連のいわゆる南北融和外交をつうじて、四月末に板門店で南北首脳会談を開催することが金正恩と文在寅とのあいだで合意された。韓国訪朝特使団はただちに訪米してトランプと面会し、「金正恩が早期の米朝会談を望んでいる」旨を伝えた。「予測不能の大統領」トランプはその場で即座に、五月までに金正恩と会談するという意思を表明した(三月八日)。
 他方、金正恩は三月二十五〜二十八日、習近平の招きで中国を電撃的に訪問し、初の首脳会談をもった。金正恩はそこで、「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもってわれわれの努力に応じ、『段階的で同時並行的な措置』をとるならば、非核化問題は解決にいたることが可能となる」との見解を表明し、これにたいして習近平は「朝鮮半島情勢の前向きな変化」のために「北朝鮮は重要な努力をおこなっており、これを賞賛する」と応えたのであった。
 こうして四月二十七日、南北首脳会談が板門店で開催され、金正恩と文在寅は「板門店宣言」を発した。そこにおいて二人は、「今年、休戦中の朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に切りかえて恒久的で強固な平和体制を構築するため、南・北・米または南・北・米・中会談の開催を積極的に推進していく」こと、および「北と南は完全な非核化をつうじて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認する」ことを謳いあげたのである。
 このようなこのかんの北朝鮮・韓国・アメリカおよび中国の権力者の一連の動きのなかで、来たるべき米朝会談なるものは、「朝鮮半島の非核化」(朝)または「北朝鮮の非核化」(米)をめぐる協議にとどまらず、いまや朝鮮戦争の六十五年ぶりの歴史的決着の儀式の場となるかにみえる。だがはたしてそうか?

米朝両権力者の相互瞞着

 四月十七日の日米首脳会談の場において、トランプは「北への圧力の継続」を懇願する首相・安倍にたいして、三月末から四月一日までCIA長官ポンペオが秘かに訪朝し金正恩と面会した事実を明かした(日本だけがカヤの外に置かれ北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされつづけるのではないかと顔面蒼白となったのが、安倍であった)。
 その直後の四月二十日、金正恩は朝鮮労働党中央委員会総会において、「体制が保証されるなら核を保有する理由はない」として、核実験とICBM発射の中止、および核実験場の廃棄を発表した。正恩は「核放棄」については言及しなかったにもかかわらず、トランプはこれを「大きな進展」と評価したのであった。
 明らかに金正恩の描く交渉のロードマップとは、@核とICBMの実験の中止(=凍結)―→A経済制裁の解除―→B国交正常化―→C在韓米軍撤退であり、これらによって「体制の維持」が保証されてからはじめて核の放棄を検討するというものである。すなわち、「核ミサイル実験の中止=凍結」とは対話が続いているあいだは北は核を保有しつづけるということであり、実質上は最終的には「核保有」かつ「体制の維持」の両方をかちとる、というのが金正恩の戦略≠ネのである。
 これにたいして「交渉の達人」を気取るトランプの交渉のやり方は、まさに悪徳不動産屋のそれである。すなわち、最初に超高値をふっかけ、相手に譲歩を迫って高値で売りつけるというやり方である。このトランプの交渉の筋書きは、あくまでもまず、@交渉の初期の段階で北は核放棄に同意し、一定期間内でそれを実施し検証を受けること―→A制裁の段階的解除・国交正常化・在韓米軍の縮小、というものである。
 こうした対立を抱えながらもトランプがとにもかくにも対話に舵を切ったのは、中間選挙を半年後に控えて――この敗北は同時にいわゆるロシアゲート疑惑による大統領弾劾に直結していくがゆえに――オバマのみならず歴代大統領がなしえなかった歴史的偉業を残したいという野望にもとづく。
 そしてこうしたトランプの窮地を見透かし場合によっては「トランプ以後」をも射程に入れながら、対米交渉に臨もうとしているのが、「狂気の独裁者」から「平和の使徒」への大変身をはかった金正恩なのである。「核戦力建設」と「経済建設」を同時的に推進する「並進路線」を掲げる正恩は、その一方の「国家核武装完成」は成就されたとして、今後は「社会主義経済建設に総力を集中する」という新たな「戦略的路線」なるものにもとづいて、「朝鮮半島の非核化」構想をうちだしこれにのっとって「超大国」アメリカと渡りあおうとしているのである。
 そして、この北朝鮮の後ろ盾≠ニして公然と姿を現し北朝鮮とのあいだの「血盟」を誇示したのが、習近平の中国であった。時あたかもトランプが仕掛けた貿易戦争を背景として、これまではトランプによる北朝鮮への軍事攻撃の危険をかわすために北への国連制裁に賛同するとともにみずからもまた独自の経済制裁をつづけてきた中国は、だがいまや自身の対北制裁を解除するとともに国連決議も見直すという方向転換をおこないつつ、朝鮮半島における新たな「平和体制の構築」に「積極的に関与」していこうとしているのである。

玉虫色の合意か? 軍事攻撃か?

 米朝両権力者の交渉のこうした相互瞞着性のゆえに、来たるべき会談においてはいわゆる玉虫色の合意≠ェはかられるかもしれない。
 アメリカの国家安全保障担当大統領補佐官ボルトンは「リビア方式」を主張している。だが、北朝鮮がこの方式をそのまま受け入れることはありえない。それはウクライナやロシアから技術と技術者を導入し、この六年間だけで八十回ものミサイル発射実験をおこない、ついに金正恩言うところの「国家核武装の完成」にこぎつけたからばかりではない。
 「一超」軍国主義帝国アメリカがイラクにたいして「大量破壊兵器を隠し持っている」と真っ赤な嘘を言ってイラクを軍事侵略しサダム・フセインを血祭りにあげたこと、そしてこのフセインが拘束されたその六日後にリビアの「狂犬」カダフィが核兵器を放棄したにもかかわらず、その後の二〇一一年、アメリカ・オバマ政権が焚きつけた「アラブの春」の渦中でカダフィは殺害されたこと、そしてこのアメリカから北朝鮮はイラクやイランとともに「ならず者国家」と烙印されつづけてきたことからして、金正恩がリビア方式を拒むことは必然なのである。
 従って米朝両権力者がなんらかの合意にこぎつけるとするならば、その内容は玉虫色のものとならざるをえない。たとえば、@「北朝鮮がアメリカ本土を核で脅かす危険を完全で・検証可能かつ不可逆な形で除去する」として、北朝鮮は射程一万六〇〇〇キロの火星15号などの大陸間弾道ミサイルは破棄する、A北朝鮮は核の破棄を宣言しはするが、完全廃棄は将来に送る、B一定期間はアメリカやロシアの「核兵器削減」のインチキ方法を真似して、核兵器を分解して保存する(場合によっては共同管理する)、などなどが考えられるであろう。〔もちろん、北朝鮮が何発の核兵器をもっているかは不明なのであって、金政権が表向きは「核は全廃した」と言いながら当面は隠匿しておくという可能性もあるといえる。〕
 だが、もしもこの会談が決裂したばあいには、アメリカ帝国主義の北朝鮮への軍事攻撃の可能性が、以前よりも高まるといえる。
 「場所における主客の交互作用が偶然性に決定されて特殊的で飛躍的な展開をするようなばあいには、たとえ実在的なものであったとしても可能性は現実化されないことになる。そして形式的可能性の一つであったところのものがむしろ現実性となるばあいもありうる。」(黒田寛一『政治判断と認識』七〇〜七一頁)。
 われわれはこうした唯物論の立場にたっての認識と推論にのっとり、想像力や構想力を働かせつつ、<将に来るべきもの>をつかみとるのでなければならない。
 すでにトランプは「対話重視」の国務長官ティラーソンを切ってCIA長官ポンペオにかえ、また「鼻血作戦」や「斬首作戦」という名の正恩の首を取る軍事攻撃を主張してきた国家安全保障担当大統領補佐官のマクマスターを解任して、後任に「北朝鮮への大規模空爆」を主張してきたネオコン≠フボルトンを起用している。こうした布陣を敷いているトランプ政権は、もしも米朝会談で金正恩をネジ伏せられないならば、迫りくる中間選挙の敗北をUSナショナリズムの煽りたてによってのりきるために、北朝鮮への部分的な軍事攻撃にふみきる、という可能性が現実化しかねないのである。

東アジア情勢の激変

 こうした朝鮮半島情勢の新展開のなかにあって、わが革命的左翼は、いくつかの実在的可能性をもつかみとりつつ情勢を深く読み、これにもとづいて朝鮮戦争反対の革命的反戦闘争の指針を明らかにしていくのでなければならない。
 日本共産党指導部は今、朝鮮半島情勢の新展開をまえにして「歴史的な平和の激動」と欣喜雀躍し、「世界は党の綱領が示す方向に動いている」などとわめいている。みずからの方針を投射して情勢を特徴づけるとともに、この情勢認識によって逆にまた方針の正しさを基礎づけるというスターリニストに特有の堂々巡りの思考(まさに情勢認識と方針の混同!)を、恥ずかしげもなくさらけだしているのだ。
 彼らは中国政府の「双軌並進」という名の「朝鮮半島和平」構想を賛美しつつ、これを下敷きにした「北東アジア平和構想」なるもの――「朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制構築を一体的・段階的にすすめる」というそれ――を宣伝している。しかも、こうしたみずからの代案をモノサシにして、トランプの対北政策の「良い面・悪い面」を論じている。あまつさえ「トランプをも複眼でみることができるようになったのは、二〇〇四年の党綱領改定で、アメリカはつねに帝国主義的政策を実行するというような硬直した機械的な見方を改めたからだ」などというようなことをうそぶいているのが、今日の日共のアマチャン官僚=志位指導部なのだ(『しんぶん赤旗』五月二日付、志位発言など)。
 われわれは、「米朝会談に期待しましょう」(メーデーなどでの志位発言)などと叫んでいるあまりにも平和ボケした日共指導部を、怒りを込めて弾劾するのでなければならない。
 現時点における朝鮮情勢の新展開の核心は、以下の点にあるといえる。
 第一には、米朝の両権力者は今それぞれの利害にもとづいて、来たるべき会談に臨もうとしているのであるが、玉虫色の合意にさえたどり着けず会談が決裂したばあいには、以前にも増してアメリカの対北軍事攻撃・朝鮮戦争勃発の実在的可能性が高まるということである。これについてはすでに述べた。
 第二に、朝鮮半島における「和平」の進展は、いわゆる「軍事バランス」の激変をもたらすのであって、それは同時に、米―中・露の核戦力増強競争のいっそうの熾烈化を不可避とするということである。
 習近平の中国は今、二十一世紀半ばまでにアメリカを凌ぐ「一流の軍事力」をもった「社会主義強国」になるというその世界戦略にのっとって、「海洋強国」の旗を掲げながら、南シナ海を領海化し・さらにすすんで西太平洋に覇権をうちたてようとしている。そしてこうした世界戦略にもとづいて、習近平の中国は今、従来の朝鮮半島政策をも軌道修正しつつあるといえる。すなわち、北朝鮮の金王朝政権をば帝国主義・資本主義からの防波堤としてうち固めるという従来の朝鮮半島政策から、朝鮮半島に「平和体制」(北朝鮮の現体制は護持しつつ韓国から米軍と対中軍事システムを撤去させ南北融和体制をつくることを指す)を築きみずからがその主導権を握るという方向への転換をはかり、この朝鮮半島の「平和体制」をみずからの西太平洋への進出の橋頭堡たらしめようとしているのである。現在の習近平政権はアメリカ帝国主義と対峙しつつ金正恩政権の後ろ盾となり、韓国に親中派の文在寅政権が存在するあいだに朝鮮半島に「平和体制」を築くことに躍起となっているのだ。
 第三に、日米安保同盟の首輪をはめられた「アメリカの属国」日本は、米―中・露の核戦力増強競争のいっそうの熾烈化(アメリカのNPRの発表とこれへのロシアの対抗を見よ)のなかで、対中・対露の最前線核基地としてますますうち固められていくことである。縮小される在韓米軍は、部分的には在沖・在日米軍基地に移されるにちがいない。
 先の日米会談をめぐってトランプは「安倍の笑みは米国を長年だしぬくことができたという笑みだ。そういう日々は終わりだ」と言い放ったのであったが、今後トランプは日本政府にたいして在日米軍の駐留費用の負担増大を求めるだけでなく、「北の短・中距離ミサイルは自分で打ち落とせ」とばかりに、アメリカ製兵器を売りつけてくるにちがいない。
 ちなみに、こうしたなかで「対話のための対話ではなく、圧力の強化を」と言いつづけて一人「バスに乗り遅れた」のが安倍政権である。しかも安倍政権は、いまや核武装した北朝鮮および「世界一流の軍隊」をもつことをめざす習近平の中国と、目と鼻の先で対峙することを運命づけられている。まさにこれに脅えているがゆえに、安倍政権は、いまや「日朝国交正常化」をつぶやきはじめているのだ。
 そして金正恩もまた、「日本との交渉」を言いだしている。おそらくは拉致問題のわずかな部分的解決などと引きかえに、日本から莫大な戦後処理の賠償金をせしめようとしているのが、金正恩なのだ。

反戦闘争方針の解明のために

 次に、現時点におけるわれわれの反戦闘争の指針を解明するにあたって、前提的にふまえておくべきことについて触れておこう。
 第一に、韓国と北朝鮮とが「平和協定」を結び朝鮮戦争の六十五年ぶりの終結を謳うことは、朝鮮の国家と民族が南北に引き裂かれたことの真の解決ではありえず、かえって国家的分断を固定化するものにほかならないということである。
 しかも南北の交流がすすめばすすむほどに、金正恩は北朝鮮国家の崩壊を恐れて、人民によりいっそう苛酷な恐怖政治を敷くにちがいない。
 われわれは、南北融和がムード的に広がり平和協定の締結があたかも南北分断の最終的解決ででもあるかのような幻想を、労働者階級の立場にたってうち砕かなければならない。
 たとえ「財閥の弊害」や「権力と財閥の癒着」を指弾しその「民主化」を唱えているのだとしても、みずからもまた「十大財閥」に象徴される独占ブルジョアに足を置き、韓国人民に抑圧と貧困と失業苦を強制し、すさまじい格差社会≠現出させている文在寅政権――この韓国ブルジョア国家権力を打倒すべきことを、われわれは韓国人民に呼びかけなければならない。
 そしてまた同時に、金王朝ネポティズム専制支配体制を打倒するべきことを、北朝鮮人民に呼びかけなければならない。
 南北朝鮮を労働者人民の手でプロレタリア的に統一すること以外には、戦後約六十五年にわたって国家的に引き裂かれ分断が固定化されてきた朝鮮人民の悲劇を真に解決する道はないということを、われわれは今こそ声を大にして叫ばねばならないのだ。
 第二に、われわれは、いま朝鮮戦争の終結(休戦協定から平和協定へ)が権力者によって謳われているなかにあって、一九五〇〜五三年の朝鮮戦争――中国人民解放軍死者九〇万、北朝鮮兵士・人民死傷者二〇〇万、韓国死傷者一三〇万、アメリカ人死傷者六〇万(うち戦死者は数万)といわれる夥しい犠牲者をだしたあの朝鮮戦争とはいったい何であったのかを、今一度世界の労働者人民のまえに明らかにするのでなければならない。
 かつて日本軍国主義は朝鮮半島を植民地支配し、さらに「大東亜聖戦」の名において朝鮮・中国・アジアの全土を軍事侵略したのであったが、この日本軍国主義の犯した歴史的大罪の硝煙のなかから、朝鮮の南北分断国家は産み落とされたのであった。すなわち、第二次世界大戦後に帝国主義陣営の盟主となったアメリカとスターリン主義ソ連邦とによって朝鮮人民は南北に引き裂かれ、しかも誕生したばかりの「人民中国」とアメリカ帝国主義とが正面衝突したかの朝鮮戦争とその「休戦」によって、国家的分断が固定化されたのであった。そしてそれ以降、帝国主義とスターリン主義による世界の分割支配のもとで南北朝鮮は民族分断国家として固定化されてきたのだ。
 南北朝鮮人民の悲劇はまさに第二次大戦後の二十世紀の悲劇の縮図にほかならない。だから、朝鮮戦争とは何であったかを問い南北分断国家のもとにおかれた人民の苦しみに想いを馳せることは、そのまま二十世紀の歴史を動かしたスターリン主義の反労働者性、自称「社会主義」のエセ・マルクス主義性を反省することにつながっているのである。われわれ反スターリン主義者はこのことを怒りをもって暴きだすのでなければならない。
 第三に、われわれは、北朝鮮の金王朝政権が今なお「社会主義強国」だの「社会主義経済建設」だのとほざきながら人民を抑圧し収奪していることを、断固としてうち砕くためのイデオロギー闘争を展開しなければならない。
 いま北朝鮮の金正恩は、金王朝ネポティズム専制支配体制の護持のために――二〇〇万人の餓死者をだした(一九九〇年代)金正日時代のいわゆる「先軍政治」から離陸≠オて――党による軍の支配と人民への統制支配を強化している。
 金正恩は、兵器や石炭などの天然資源や海産物などなどの各種の貿易会社(国家諸機関の下にあるそれ)から上納金を吸いあげるのみならず、国家保安局とか偵察総局とかの特殊機関による薬物や象牙などの密売、軍内部のサイバー攻撃に特化したハッカー集団による海外金融機関からのマネーの引き出し(バングラデシュ中央銀行からの多額の現金引き出し事件を見よ)など、さまざまの非合法的手段を用いて外貨を稼ぎ、これを党の「革命資金」として蓄えている。この「革命資金」は、金正恩だけが自由にできるものである。
 ちなみに、二〇一三年に張成沢が正恩によって粛清され、衆人環視のなかで高射砲で焼き殺されたのであった。この張成沢は、中国式の「経済特区づくりと外資導入」をすすめるために「革命資金」に手を付けようとしたのであり、これが「反逆罪」に問われたのである(また張は胡錦濤とともに金正日の後釜に金正男を据えようと画策していたともいわれている)。
 一方で金王朝に忠誠を誓う者には「革命資金」のなかから出した「忠誠金」を与え、他方で反抗する者は見せしめとして残忍な方法で処刑する――これが金王朝の恐怖政治をもってする専制支配のやり方なのである。
 そして、官僚の住む平壌を一歩出れば、そこには驚くべき格差社会≠ェ広がっている。
 金正恩は、労働者人民のすべてを「農業勤労者同盟」「青年同盟」「女性同盟」などに服属させたうえで、「自強力」と称して苛酷なノルマを強制するとともに、ノルマを超えた分の生産物については自分で取得してよいとして、過労死寸前まで働くことを強制している。昨秋、秋田県・男鹿半島などに流れ着いた多くの北朝鮮漁民と三十体もの遺体は、その一つの露頭にほかならない(彼らはノルマを果たせないことのゆえに日本の排他的経済水域に侵入せざるをえなくなったのである)。
 われわれは、かつてのスターリン主義国家から金王朝ネポティズム国家へと転態した北朝鮮国家がいまなお「社会主義」を僭称していることを、断じて許してはならないのだ。

 われわれは、権力者どもが唱える「南北和平」の瞞着性を暴露し、アメリカ帝国主義の対北軍事攻撃反対・日本の参戦阻止、北朝鮮の核武装反対、日米核安保同盟の対中・対露攻守同盟としての強化反対、米―中露の核戦力増強競争反対の革命的反戦闘争を、南北朝鮮人民と連帯し全世界の人民と連帯して、断固として創造するのでなければならない。
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生産性向上春闘≠ヨの歪曲とそれを突破する闘い

 朝鮮半島情勢の新たな展開と安倍政権の憲法改悪・労働法制改悪の総攻撃がしかけられるなかで、日本労働者階級は、二〇一八春季賃金闘争をたたかった。だが、この闘いは、独占資本家階級に呼応して「社会全体の生産性向上」や「人への投資」を叫びたてる「連合」やJCメタルの労働貴族どもによって、総体として生産性向上のための春闘≠ニいうべきものへとおし歪められた。「全労連」の日本共産党系指導部もまた、「社会的賃金闘争」なるものを前面におしだして、「全国一律最低賃金制実現」や「公契約条例締結」などを掲げる対政府(自治体当局)の請願運動へと闘いを歪曲している。
 こうした既成労組指導部による賃金闘争の歪曲に抗して、わが革命的・戦闘的労働者たちは、<大幅一律賃上げ獲得>のために、あらゆる戦線において一八春闘を最先頭でたたかいぬいた。同時にわが仲間たちは、安倍政権の参戦と改憲と労働法制改悪の攻撃に反対し、森友・加計疑獄のもみ消しに狂奔するこのネオ・ファシスト政権を打ち倒すための闘いを、既成労組指導部の抑圧に抗して下から大胆につくりだしたのだ。
 組合内では「反改憲」や「反安倍」の声を徹底的に抑圧し、「大幅賃上げ」をもとめる叫びを踏みにじりながら、独占資本家どもと「生産性向上」に組合員をどう駆りたてるかをめぐっての労使協議にうつつをぬかしたのが、「連合」傘下大企業諸労組の労働貴族どもなのだ。
 「連合」をはじめとする既成労組指導部のこのような腐敗しきった指導によって、日本労働者階級は、――わが革命的・戦闘的労働者たちの下からの奮闘にもかかわらず――またしても「ベースアップ・ゼロ」や超低額の「賃上げ」をおしつけられた。そして、「働き方改革」の名において「競争力強化・生産性向上」への奉仕と献身を強制されたのだ。
 まさしくこの「連合」労働貴族による二〇一八春闘の歪曲=破壊こそは、「連合」労働運動の新たな歴史的変質を画する事態にほかならない。トヨタの賃上げ額を開示しない競争力強化春闘≠ニ日本郵政の同一労働同一賃金の名による正社員の賃下げ=\―この二つの大企業における労使の許しがたい談合=妥結こそは、こんにちの「連合」労働運動の<競争力強化・生産性向上に奉仕する労働運動>への変質を象徴する事態にほかならない。
 わが革命的・戦闘的労働者たちは、一八春闘のただなかで赤裸々となった「連合」労働運動のどんづまり的な腐敗とその反労働者性を、いまこそ徹底的に暴きだすのでなければならない。日本労働運動の戦闘的再創造をめざして!

以下見出し

A 「競争力強化・生産性向上」の大号令への呼応
 競争力強化の総決起≠フ場と化したトヨタ労使協議
 「同一労働同一賃金」を旗印にした正社員賃下げ
 働かせ方改革≠ヨの全面協力
 <労使政運命共同体>思想にもとづく「救国」産報運動の純化


B 生産性向上春闘≠覆す革命的労働者の闘い
 <生産性向上=搾取強化>の総攻撃に抗して
 労働戦線から<反安倍政権>の闘いを創造
 「連合」の脱構築をめざす闘いとケルンの構築


C 戦闘的労働運動の再創造のために奮闘せよ
 二十一世紀版の合理化を打ち砕け
 働かせ方改悪*@案を粉砕し安倍政権打倒へ
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『マルクス主義入門』全五巻刊行開始にあたって

<暗黒の時代>を根底から覆す思想的拠点を打ち固めるために

 待ち望まれた黒田寛一の「マルクス主義入門講座」を全五巻のシリーズとして、ここに刊行を開始する。反スターリン主義運動の創始者・同志黒田のパトスとロゴスに満ちあふれた講演・講述集は、すべてのたたかう労働者・学生の学ぶ意欲と変革的実践への敢闘精神を鼓舞してやまないであろう。

「革命的マルクス主義」の入門書

 本シリーズは一九六二年秋に五回にわたっておこなわれたマルクス主義入門講座を中軸に構成している。各巻の表題は、黒田が設定した入門講座のテーマに即するとともに、それらの講演が各巻のメインをなしている(なお、第二回の「史的唯物論入門」は『革マル派 五十年の軌跡』第四巻に収録)。翌六三年春に同一のテーマで設定された全都マルクス主義研究会主催の「マルクス主義入門」の連続講演も収録している。
 これらの入門講座・講演は、一九六三年春の革共同第三次分裂―革命的マルクス主義派結成を前後した時期に開催されている。大衆運動主義に転落しただけではなく組織内理論=思想闘争を官僚主義的に封殺する挙にでたブクロ官僚一派にたいして断固たる分派闘争を決意したたかいぬいた黒田。彼は、若き学生・労働者に反スターリン主義運動の根底にある思想への反省とその主体化をうながすために入門講座・講演を実現した。六二年秋の入門講座は「革共同の内部理論闘争の一環」としても位置づけられたのであった。
 黒田は語っている――「僕たちの運動が新しいということは、たんに戦術とかそういう運動方針とかいうものが新しいんでなく、その根底にある思想そのものが従来のやつとは根底的に異なる」ということを「はっきり深くつかんでゆくこと」、「われわれの運動をささえている裏側の思想的な全体系」にまで掘りさげてゆかなければならない、と。(「哲学入門」)
 実際、入門講座のテーマそれ自体が、黒田が体系的≠ノ構想し設定したものであり、全五巻の編成もそれを踏襲している。
 第一巻『哲学入門』は、マルクス主義とは何か、われわれはいかに学ぶべきかと問いかけつつ、マルクスの変革の哲学=実践論(および認識論)が、黒田の主体性論追求にふまえて明らかにされている。第二巻『史的唯物論入門』では、若きマルクスの唯物史観の形成過程を追体験的に反省することが力説されている。公式主義的で客観主義的なスターリン型の史的唯物論を打ち破るために不可欠である、と。ここには、<史的唯物論の基礎としての技術論・実践論>という視点がつらぬかれている。
 第三巻『経済学入門』は、マルクスの『直接的生産過程の諸結果』の検討をつうじて資本制商品経済を本質論的に把握するための武器が提起されている。(『資本論以後百年』の背後にある問題意識を論じた一九六九年の「経済学入門」も収録。)このプロレタリア革命の物質的基礎の解明にふまえて、現代革命をいかに実現するかの論理が第四巻『革命論入門』において追求されている。すなわち、スターリニスト革命戦略論の全面的批判をつうじて<反帝・反スタ>世界革命戦略の現段階的意義が闡明されている。スターリニズム、社会民主主義、小ブルジョア急進主義などのイデオロギー的虚偽性を暴露しているのが、第五巻『反労働者的イデオロギー批判』である。
 これらの講演・講述をつうじて、われわれは、哲学、史的唯物論、経済学、国家=革命理論、社会主義論などのすべての理論領域においてスターリン主義者がいかにマルクスのマルクス主義を根幹からねじ曲げ破壊したのかを学ぶことができる。同時に、黒田が反スターリン主義の諸理論をどのように創造し発展させてきたのか、そのエッセンスをつかみとることができるであろう。この意味で、本シリーズは「革命的マルクス主義」の入門書といえよう。

反スターリン主義運動の<原点>をわがものに

 黒田が入門講座などにおいて若き学生・労働者に訴えていることは、「戦後最大の政治闘争」と称されながらも敗北した一九六〇年の安保闘争、この裏側にある日本反スターリン主義運動の力強い前進とその意義にある。「哲学入門」の第T章「マルクス主義と現代」において彼は語っている。――
 「一九五六年のあの二つの事件、一つはスターリン批判であり、もう一つはそれの必然的結果としてでてきた、かのハンガリア革命、こういう事件を媒介として勃興した日本における反スターリニズム運動、これがなかったならば『安保全学連』のあの闘いはなかった」。「安保闘争の現象的な盛りあがりの裏側に……現代のコムニスト運動にとって決定的な問題であるところのあの一九五六年の問題が、われわれの追求されるべき中心問題として浮かびあがってこざるをえない」と。
 黒田は、「日本共産党=前衛党」神話の崩壊があらわになった六〇年安保闘争を日本階級闘争における結節点をなすものとしてとらえる思想的状況を批判し、一九五六年のハンガリー革命と反スターリン主義運動の創成こそが「現代革命思想の転回点」を画したことを突きだしているのだ。「社会主義国」ハンガリーにおいて圧制に苦しめられてきた労働者・人民が武装蜂起し、これを侵攻したソ連の軍隊が弾圧し血の海に沈めた。この画歴史的事件に直面した黒田は、ハンガリー労働者の血叫びを共産主義者としての生死をかけて受けとめ対決した。彼は、全世界でただひとり、欧米のようなたんなる「非スターリン化」ではなく、スターリン主義そのものの打倒・克服をめざして革命的共産主義運動の創成に踏みだした。世界に冠たる反スターリン主義運動の出発点が、ここに画されたのだ。
 黒田は学生・労働者に向かって熱く呼びかけている。ただたんに大衆運動の盛りあがりという現象面に着眼するのではなく、現代革命を実現するという実践的立場に立脚し、プロレタリア解放運動としての共産主義運動にとってのハンガリー革命の意味するものを洞察すること。人間の資本制的自己疎外と前衛党のスターリニスト的疎外によって眠りこまされ、この「二重の疎外」を体現している現代の労働者階級が真実の自己解放をなしとげていくためには、反スターリニズムの闘いこそがおしすすめられなければならない、と。
 黒田が創成した日本の反スターリン主義運動は、労学両戦線にがっちりと根を張り時どきの大衆闘争を戦闘的・革命的に牽引してきただけではなく、スターリン主義ソ連邦崩壊いご一切の自称「左翼」が瓦解し思想的変質を遂げるなかで、<マルクスの革命思想>を宣揚しプロレタリア階級闘争の全世界的な蘇生のために奮闘し、現にいま力強くおしすすめられている。このようなものとして、本シリーズは、すべてのたたかう労働者・学生が、黒田の革命的マルクス主義の立場と思想を学ぶための格好の入門書である。

黒田の<ものの見方・考え方>を学ぼう

 黒田の入門講演・講述集を読むことをつうじて、革命家としての黒田の気迫あふれる情熱、息づかい、喜びと怒りを感得することができるにちがいない。
 黒田の話は実に面白い。貴重なエピソードが随所に織りこまれているだけではなく、一つひとつの話し方が生き生きとし、読む者をぐいぐいと引きこんでいく迫力をもっている。決してカテゴリーや概念を振りまわすことはない。むしろ、そのような概念が「いつ・どこで・誰が・何のために・どのように」創造されたのか、またそれが誰によって・どのように受け継がれたり歪められたりしたのか、というように具体的にイメージがわくように語られている。
 とりわけスターリニストの石頭ぶりを、黒田はリアルに描きだしている。マルクス・エンゲルスなどが明らかにした諸「命題」をドグマ化したり、条件の変化を口実にして「現実には当てはまらない」ものとして修正したりする、というような思考の歪みをえぐりだしている。スターリン主義者の諸々の理論上の欠陥が、また彼らの実践上の誤謬がうみだされるのは、彼らの頭のまわし方の平板さ、われわれ実践=認識主体を拠点にしない客観主義のゆえであることがイメージ豊かに暴きだされている。
 ここに、われわれは、黒田の哲学≠フ発露を感受することができる。この黒田の<ものの見方・考え方>そのものを学ぶ必要があるだろう。マルクス主義を主体化しようとしている「聞き手」としての若き学生・労働者に向かって、「話し手」としての黒田がどのように頭をまわしながら話しているのか、というように「読者」としてのわれわれが想像力を働かせ推論しながら読んでいくならば、黒田の実践的な問題意識や、「何を・どのように」という方法意識がつかみとられるにちがいない。本「入門」シリーズは、われわれが自己を実践的唯物論者として形成していくために不可欠な書といえる。
 黒田は、入門講座を開始するに際して、マルクス主義を学ぶということは自分自身がいかに生きるかの問題だ、と教示している。「マルクス主義における主体性とは何か、いかにわれわれが主体的な立場をつらぬいていくべきか、そして主体的な立場をつらぬくとは一体どういうことなのか」(「哲学入門」)と。この問いかけは、今日のわれわれにとっても、みずからに発せられたものとして迫ってくる。

 黒田の講演・講述は、半世紀の時の隔たりをまったく感じさせない。戦争とネオ・ファシズムの圧政と貧困の強制におおわれた<暗黒の時代>というべき二十一世紀現代世界を根底から覆すことをめざして奮闘している労働者・学生が、みずからを反スターリン主義者としていかに鍛えあげていくべきか、この問いかけに真正面から答えてくれるであろう。
 本シリーズは、貧困と過労死を強制され日本型ネオ・ファシズム支配体制のもとでがんじがらめにされているすべての労働者・学生・人民が、社会的階級的の諸矛盾に目覚め変革的実践に決起するバネを獲得していく、そのための必須の思想的武器となるにちがいない。

黒田寛一著作編集委員会

<全五巻の構成>

第一巻 哲学入門
哲学入門(62年10月)
マルクス主義をいかに学ぶべきか(63年4月)


第二巻 史的唯物論入門
史的唯物論入門(63年5月)
『ドイツ・イデオロギー』入門(62年11月)
現代における疎外とは何か(62年2月)


第三巻 経済学入門
経済学入門(『直接的生産過程の諸結果』)(63年7月)
経済学入門―『資本論以後百年』をどう読むか(69年9月)
エンゲルス経済学の問題点(67年5月)


第四巻 革命論入門
革命論入門(62年11月)
一九〇五年革命段階におけるレーニンとトロツキー(67年6月)
全学連新入生歓迎集会メッセージ(70年4月)


第五巻 反労働者的イデオロギー批判
反労働者的イデオロギー批判(62年12月)
小ブルジョア・ラディカリズム批判(69年6月)
現段階における党派的イデオロギー闘争の核心は何か(70年9月)
沖縄の仲間たちへ(69年11月)
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辺野古現地で6日間の激闘 4・23〜28

機動隊の狂暴な弾圧をはね返し座り込み貫徹!
(4月23日、キャンプ・シュワブ作業用ゲート前)
海保の弾圧をものともせずK3護岸工事現場に肉迫するカヌーチーム
(4月25日)
海上のカヌーチームと連帯!
(4月25日、辺野古の浜)
怒りも新たに「辺野古新基地建設阻止!」のシュプレヒコール
(4月28日)
琉大・沖国大の闘う学生が檄
(4月28日)
 アメリカ・トランプ政権に尻を叩かれ辺野古新基地建設を急ぐ安倍政権は、七月にも辺野古崎海中に土砂を投入し本格的な埋め立て工事を開始しようとしている。これを阻止するために四月二十三日から二十八日のあいだ、「シュワブゲート前五〇〇人集中行動」(呼びかけ:辺野古ゲート前連続六日間五〇〇人集中行動実行委員会)がよびかけられ、連日六〇〇人から七〇〇人の労働者・学生・市民が結集し、工事用資材の搬入を阻止する激闘をくりひろげた。わが革命的・戦闘的労働者は職場でのとりくみを基礎にして組合員の結集をかちとった。琉球大・沖縄国際大のたたかう学生は<全基地撤去・安保破棄>の方向性をさし示しつつ闘いの最先頭で奮闘した。
 海上では護岸工事が強行着手されて一年の二十五日、ヘリ基地反対協の呼びかけで結集した労働者・市民とともに一〇〇隻近いカヌーや抗議船を繰り出し「海上座り込み」行動を敢行した。
 二十八日には「4・28県民屈辱の日を忘れない県民集会」(主催:同実行員会)に労働者・市民・学生一五〇〇人が結集し、辺野古新基地建設阻止の決意を新たにしたたかいぬいたのだ。

石材・資材搬入を実力阻止
 4・23シュワブゲート前集中行動

 四月二十三日、早朝八時に辺野古シュワブ作業用ゲート前に、辺野古新基地建設用の石材・資材搬入を断固阻止するために労働者・学生・市民が結集した。「安倍政権を打倒しよう!」と書かれたゼッケンを着けた県学連の学生が座り込みの真ん中に陣取る。
 機動隊がいっせいに座り込む労働者・学生・市民に襲いかかった。座り込む労働者・市民は腕を強く組み弾圧をはね返す。ごぼう抜きにされ排除されてもまた封鎖地点に戻り座り込む。
 ゲート前に結集する労働者・市民は七〇〇人を超え、午前八時から五時間ものあいだ基地内にトラック一台も入れないという画期的な闘いを貫徹したのである。

カヌー隊が工事現場に突入
 4・25辺野古海上座り込み大行動

 辺野古護岸工事着工から一年の四月二十五日、「護岸工事を阻止しよう!」と決意もかたく、沖縄の、そして全国から多くの労働者・学生・市民が、「辺野古新基地建設を許さない海上座り込み大行動」に決起した。
 たたかう学生たちは、結集した労働者・人民の最先頭で果敢に闘いぬいた。
 「いくぞ!」十時、カヌーチームがいっせいに大型フロートをのりこえ、阻止線を突破した。闘う学生を先頭に怒濤の勢いでK3護岸先端の工事現場めざして突入を敢行したのだ。海保の海猿どもはあわててカヌーにつかみかかり、ひっくりかえし、蛮行の限りをつくした。カヌーチームはこれに屈することなく次々にフロートをこえ突入する。
 午前の闘いにひきつづき、午後一時に辺野古の浜で連帯集会がおこなわれた。

労・学・市民1500名が怒りの拳
 4・28新基地建設阻止! 県民集会

 四月二十八日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前において「辺野古新基地建設阻止! 9条改憲NO! 安倍政権退陣! 4・28県民屈辱の日を忘れない県民集会」が開催された。
 午前中三時間にわたって資材搬入を実力で阻止した労・学・市民は意気高く県民集会場のメインゲート前に移動した。午前十一時、ゲート前は労働組合ののぼりが林立し、県内各地から一五〇〇人もの労働者・学生・市民が集まり戦闘的な熱気が充満している。琉大と沖国大のたたかう学生たちが「日米核安保粉砕! 安倍政権打倒!」と大書した横断幕を高く掲げ、闘いの方向性を鮮明にさし示す。
 集会終了後、琉大と沖国大のたたかう学生たちは、その場で米軍キャンプ・シュワブにたいしてシュプレヒコールをたたきつけた。「辺野古新基地建設阻止! 日米核安保粉砕! 朝鮮核戦争阻止! 憲法改悪阻止! 安倍政権を打倒するぞ!」多くの集会参加者が学生のシュプレヒコールに呼応してともに拳をあげる。
 琉大と沖国大のたたかう学生たちは、職場深部からねばり強く闘いをつくりだしているわが革命的・戦闘的労働者たちと相固く連帯して、既成指導部による「反安保」なき基地の縮小・撤去請願運動をのりこえるかたちで<反安保>の旗幟鮮明にたたかいぬいたのだ。
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メーデーに安倍政権打倒の檄
 4・28「連合」、5・1「全労連」「全労協」
 第八十九回メーデーの中央集会が、四月二十八日(「連合」)と五月一日(「全労連」と「全労協」)に開催された。わが同盟は両日、「改憲阻止! 朝鮮核戦争阻止! 森友・加計疑獄弾劾! 労働法制の大改悪反対!」の大情宣をくりひろげ、すべての労働者に闘いの檄を飛ばした。
「連合」メーデー会場入口で参加者に「安倍政権打倒」を訴える情宣隊
団結ガンバローの拳を上げる労組員
(4月28日、代々木公園)
「全労連」メーデーに参加した労組員
(5月1日、代々木公園)
「全労協」メーデーで改憲阻止の情宣
(5・1、日比谷公園)
「全労協」メーデーに参加した労組員
(5月1日、日比谷野音)
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