第2524号(2018年6月25日)の内容

<1〜2面>
米朝首脳会談の瞞着性を暴き反戦反安保闘争の大爆発を!
 「平和」幻想を煽る日共官僚を弾劾せよ
<4〜5面>
朝鮮戦争―南北分断固定化の歴史的淵源
四川大地震10周年――被災民に犠牲を押しつける習近平指導部
<6面>
消費税税率10%への引き上げを阻止せよ!
Topics 日立・中西の経団連会長就任
<7面>
郵便局窓口営業部門における労働を考える
<3面>
米軍F15墜落弾劾!
 嘉手納基地に緊急抗議 6・12
空自機のアラスカ合同演習参加反対! 小松基地前闘争 6・8
◆アフガニスタン・ガニ政権の危機
<8面>
万華鏡2018――情勢の断層を読む
■G7サミットの顛末
■イタリア お前もか!
■パルムドールに沈黙
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号




























  


米朝首脳会談の瞞着性を暴き反戦反安保闘争の大爆発を!

 「平和」幻想を煽る日共官僚を弾劾せよ

 

首都中枢に「朝鮮戦争阻止!」の声
(6・17労学統一行動) 詳報次号
首都を進撃する白ヘル部隊
(6・17労学統一行動、東京)

 アメリカ大統領ドナルド・トランプと北朝鮮の労働党委員長・金正恩が、六月十二日にシンガポールのセントーサ島において史上初の米朝首脳会談をおこなった。この「歴史的会談」なるものは、北朝鮮が保有する核兵器の廃棄をどのような方法とテンポで・いかに検証しながら実行するのかをめぐる米・朝両権力者の新たな攻防の開始を告げ知らせた。「非核化プロセス」と称する米朝交渉において両者がしのぎを削れば削るほど、十一月のアメリカ中間選挙までに「アメリカ本土に届く核ICBMの破壊」などの具体的成果を獲得したいトランプ政権の利害と、将来にわたっての「体制保証」をかちとるために核兵器をあくまでも温存しつづけようとしている金正恩政権の利害とが衝突し、両者の対立が先鋭化してゆくにちがいない。
 「朝鮮半島の非核化」をめぐって米・朝が開始した新たな角逐の危機性を露ほども感覚できない平和ボケぶりをさらけだしているのが、既成平和運動の指導部たる代々木共産党官僚だ。彼らは、「非核化と平和体制構築に向けたプロセスの開始」だと諸手を挙げて米朝会談を「歓迎」し、「世界平和の転換点に」なるだろう、などと吹聴している。米・朝両権力者に賛辞を贈り、労働者・人民の反戦平和の闘いを権力者に「平和のプロセスの促進」を請願する圧力手段にねじ曲げる代々木官僚を弾劾せよ!
 たたかう労働者・学生諸君! トランプ・金正恩会談の瞞着性と欺瞞性と反プロレタリア性を満天下に暴きだし、<アメリカの対北朝鮮軍事攻撃阻止・北朝鮮の核武装反対・日米核軍事同盟の強化反対>の反戦反安保闘争の炎を、今こそ燃えあがらせようではないか!

トランプ流ディール――
米朝交渉の新局面への突入

 トランプと金正恩は、計三時間半の会談の後に、「新たな米朝関係の樹立」「朝鮮半島における平和体制の構築」「朝鮮半島の完全な非核化」「(朝鮮戦争における)捕虜・行方不明兵の遺骨収集」の四項目を米・朝が「約束する」と謳う「共同声明」をうちだした。全世界に署名セレモニーが中継され鳴り物入りで発表されたこの「共同声明」たるや、期限も示されず具体的内容もない努力目標≠形式的・抽象的に確認しただけの玉虫色のそれでしかない。トランプ政権が金正恩政権にたいして強硬に要求しつづけてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言は盛りこまれず、他面ではトランプが「北朝鮮に安全の保証をすることを約束」すると記された。あたかも金正恩の主張に沿った内実の「共同声明」にトランプが合意を与えたかにみえる。
 だがこれこそ、<相手に得になると思わせ・くいつかせておいて出し抜く>という悪徳不動産屋のディールの手口なのだ。
 会談後に単独で開いた記者会見においてトランプは、「交渉が順調に進んでいるあいだは戦争ゲーム=米韓合同軍事演習をおこなわない」と表明した。「いずれは三万二〇〇〇人の在韓米軍兵士を帰還させたい」とすら口にした。同時に言った――「金正恩は帰国次第ただちに非核化プロセスに着手するだろう」「私は彼をとても信頼している」「ただし、一年後には『私は間違っていた』と言うかもしれない」「そのとき何が起こるか、北朝鮮は理解している」と。
 トランプは、北朝鮮が「体制保証」の措置の第一段階≠ニして要求してきた「米韓演習の中止」を実現してやると先制的に宣言し、これへの「見返り」にふさわしい行動をとることを金正恩に迫ったのだ。望みどおりに軍事的圧力を中断する行動をとってやったのだから、次はお前の番だ。ただちに「非核化」の具体的行動に着手せよ(さもなくば「炎と怒り」に直面することになるぞ)≠ニ。北朝鮮が主張する「段階別の同時行動原則」方式を容認し、むしろこれを逆手にとって、北朝鮮権力者がくりかえしてきた「見返りがなければ具体的な非核化措置はとれない」と主張しごね得にもちこむ手口を封じたのがトランプなのだ。
 こうしたトランプ流のディールによって、米朝交渉に「非核化プロセス」という名の新たな土俵がしかれ、金正恩はこれに否応なしに乗せられたのである。
 〔米朝首脳会談をまえにしてトランプは、北朝鮮高官の「ペンス侮辱」を口実にして突然「会談をキャンセルする」と宣言し、慌てた金正恩に謝罪≠ウせ優位に立ったうえで、再び会談に応じてみせたのであった。<理不尽な要求をふっかけて、徹底的に買い叩く>という、これまた悪徳不動産屋の手口をつかって、会談に向けての駆け引きの主導権を握ったのだ。〕
 大統領補佐官ボルトンが主張してきた「リビア方式」や「六ヵ月間での完全な非核化」などは現実的に不可能であることを――「十五年かかる」と主張するアメリカの核専門家からのレクチャーを受けて――悟ったがゆえにトランプは、「北朝鮮がCVIDを即時実行しないかぎり制裁は解除しない」という要求をごり押しすることをやめて、北朝鮮の核武装の解除を段階的に進めることを認めたうえで一刻も早く「非核化」措置を現実的に開始させるという策をとっている。
 十一月のアメリカ中間選挙において民主党が過半数を奪還するならば、みずからのロシアゲートをめぐる大統領弾劾・訴追に直結するがゆえに、なんとしても共和党の勝利をかちとるために、トランプは「歴代のどの政権も成し遂げられなかった偉業を実現した大統領」として自己宣伝しうる成果を早急に必要としている。中間選挙までに金正恩の訪米かみずからの訪朝・またはその両方を実現し、首脳会談の舞台で「北朝鮮の核ICBM廃棄を実現しアメリカへの脅威を除去した」とか「七十年近くどの政権もできなかった朝鮮戦争の終結を実現した」とかと宣言する――こうした中間選挙勝利への行程≠思い描いているのだ。
 「核ICBM廃棄」の実効的な措置を目に見えるかたちで北朝鮮にとらせることを当面の目標に定めて、トランプ政権は、その手始めとして「北朝鮮の核・ミサイル開発計画の全容を数週間以内に申告せよ」という、「核武力」の全容を丸裸≠ノすることを意味する高い要求≠北朝鮮に突きつけ、揺さぶりをかけている。

中国を後ろ盾にした金正恩の支配体制護持の策動

 世界最強の核大国アメリカの最高権力者であるトランプをむこうにまわして、北朝鮮国家の存亡を賭けて直接会談に臨んだ金正恩。今後数十年間にわたってネポチズム支配体制の頂点に君臨していこうとしている彼は、トランプの大統領任期(残り二年半、再選しても最長で六年半)終了後をも見通して、アメリカ帝国主義権力者と渡りあっている。アメリカの政権が交代しても北朝鮮の体制存続を保証させつづけることを何よりも欲している金正恩は、核兵器の全廃に応じるわけにはいかない。「完全な非核化」の意志を表明はしたが、あくまでも「段階的措置」をとりながら交渉を長期にわたって続け、「完全な非核化」はできうるかぎり将来に先送りにする、という展望を描いているのが金正恩なのである。
 今回の米朝首脳会談において、トランプが中間選挙向けのプロパガンダとしておのれの晴れ姿をアメリカ時間のゴールデンタイムにテレビ・ネット中継で見せつけることを最優先にしているがゆえに「席を立つ」ことなどありえないと読んだ金正恩は、この機会を核兵器を保有しつづけながら体制の保証をも認めさせる千載一遇のチャンスと見てとって押し切ろうとしたといえる。だが、「米韓演習中止」を先制的に宣言したトランプによって「非核化」措置の開始を先送りにする口実を奪われて、核兵器と関連施設の保有数や場所などをどの程度開示するのか、どのような廃棄の措置をいつからとるのかの決断を早急にくださなければならない状況に一気に追いこまれたのだ。
 窮地に立たされた金正恩政権は、習近平政権の指南を受けて、できるだけ「非核化」措置を先のばししようとするにちがいない。トランプのアメリカが国際的孤立化と没落を深め、このアメリカに経済的にも軍事的にも追いつき追い越そうとしている習近平の中国がプーチンのロシアと結託しながらユーラシア大陸の覇権を握りつつある――この世界秩序再編の趨勢をにらんで金正恩は、中国を最大の後ろ盾として頼む道を選びとっているのだからである。
 ネポチズム支配体制を護持しながら経済的発展を実現してゆく戦略的展望を――習近平の指南を受けて、<人民民主主義独裁>の権力を維持しながら「社会主義市場経済」の名で経済的発展をとげてきた中国を手本として――描いているのが金正恩政権である。「核開発と経済発展の並進路線」にもとづいて推進してきたアメリカ本土を攻撃しうる核ICBMの開発を、金正恩政権はほぼ達成した。これにふまえてうちだした新たな「戦略的路線」――「社会主義経済建設に総力を集中する」というスローガンに集約されるこの新路線にのっとって、荒廃した国内経済の「改革」を実現する道にふみだそうとしている。そのためには、軍事的圧力からの解放と経済制裁の解除が必要であることからして、金正恩政権はトランプがしつらえた「非核化プロセス」に当面は乗らざるをえないのである。
 いつなんどき軍事強硬策にふたたび転じないともかぎらないトランプ政権にたいする抑止力≠ニして、金正恩政権は、中国・習近平政権が後ろ盾についていることを誇示すると同時に、韓国・文在寅政権をアメリカの軍事攻撃を防ぐ防波堤≠スらしめようとしている。南北首脳会談において「断ち切られた民族の血脈をつなぎ共同繁栄と自主統一の未来を早めていこう」と確認しあうことをつうじて、文在寅を深ぶかと抱きこんでいる。文在寅政権じしんも、朝鮮半島が戦場になることはなんとしても避けようとしてはいる。だが、あくまでもアメリカに米韓軍事同盟の鎖でつながれているのが文在寅政権なのだ。

対立先鋭化―戦争的危機を孕む「非核化」交渉

 世界最大・最強の核戦力を保持するのみならず「使える核兵器」と称する小型核弾頭の開発・配備に突進し、「通常兵器による攻撃にたいする核兵器の使用」すら公言しているのがトランプ政権である。北朝鮮の何百倍もの核弾頭を保有するこの軍国主義帝国の最高権力者トランプが、傲岸にも北朝鮮に向かっては一発の核兵器を持たせることも認めないと叫び、「二年半以内での大規模軍縮」(みずからの任期中の「完全な非核化」達成)を迫っていることにたいして、金正恩は、みずからのネポチズム支配体制存続の完全かつ検証可能で不可逆的な保証≠かちとるまではすべての核兵器の廃棄に応じるわけにはいかない。彼は、制裁解除・経済援助をかちとる取り引き材料として、自国人民に貧窮を強制しながら開発を強行してきた虎の子の核ミサイルの一部を小出しにして最大限に高く切り売り≠オようしている。こうした米・朝両権力者の利害対立が今後の米朝交渉のただなかで先鋭化するならば、新たな朝鮮戦争勃発の危機へと転回する可能性が一挙に高まるといわなければならない。
 米朝首脳会談におけるトランプ流ディールにたいしては、アメリカ政治エリート・支配階級の内部から「北朝鮮に譲歩しすぎだ」「北が完全に核兵器を廃棄する前に制裁を解除するつもりか」という非難が噴出している。もしも北朝鮮が核ICBMの廃棄を渋りつづけるならば、そしてトランプへの非難がアメリカ国内でひろがり・中間選挙に悪影響をおよぼすと判断したならば、トランプは支持率を手っ取り早くおしあげる手段としてUSAナショナリズムの排外主義的煽動に訴えるにちがいない。そのときには「共同声明」に謳った北朝鮮の「体制保証」の約束などは――「イラン核合意」から一方的に離脱し「サミット首脳宣言」の承認を取り消したように――反故にして、一転して対北朝鮮の軍事攻撃にうってでる、と構えているのがトランプ政権なのだ。
 米・朝両権力者の相互瞞着は、双方が国家エゴイズムを貫徹するために相互対抗的に核戦力を向けあい威嚇しあう「権力政治の論理」のむごたらしさをこそ露わにしているというべきである。
 「権力政治の論理」を突き破り新たな朝鮮戦争勃発を阻止する力は、国際的に団結した労働者階級・人民の反戦闘争いがいにはない。軍国主義帝国アメリカの権力者と「社会主義」を自称するネポチズム国家の権力者による「非核化」交渉の瞞着性と欺瞞性を暴きだせ。トランプ政権の対北軍事攻撃を阻止し金正恩政権の核武装に反対する反戦の闘いに今こそ起ちあがれ!

熾烈化する米・中角逐と日米核軍事同盟の強化

 「中・朝は運命共同体」と宣言し北朝鮮の後ろ盾として屹立する中国の習近平政権は、米朝首脳会談の結果を、二度の中朝首脳会談をつうじて習近平が金正恩にトランプ対策を指南したことの成果とみなして満足げに誇った――「『双暫停(北朝鮮の核・ミサイル開発と米韓軍事演習をともに暫定的に停止する)』というわれわれの主張が合理的であることが証明された」(外務省報道局長・耿爽)、「誰であれ、中国が果たしている独特で重要な役割を疑うことはできないだろう。中国はこの役割を今後も果たしつづける」(外相・王毅)と。
 トランプ政権が米韓軍事演習を一時中止するのみならず将来の在韓米軍撤退まで口にしたり、「朝鮮戦争の終結」を宣言し平和協定を締結する追求をはじめたりしたことを、習近平政権は、朝鮮半島に、金正恩政権と対中協調姿勢をとる文在寅政権とが「共同繁栄」する南北融和の体制を中国が主導権を握るかたちでつくりだしてゆく絶好のチャンスと捉えている。中朝国境の経済的封鎖をすでに実質的に解除するとともに、国連安保理決議にもとづく対北制裁をも解除するべきことを声高に訴えはじめただけではない。対中ミサイル防衛システムたるTHAADをはじめとして在韓米軍の撤収をうながし、もって米軍が去った朝鮮半島の「平和体制」を、軍事基地群を築いた南シナ海とともに、中国が東シナ海・西太平洋・インド洋の制海権を奪取するための橋頭堡たらしめることを画策しているのが、習近平政権なのである。
 こうした習近平中国の押せ押せの策動をくいとめることに必死になっているのが、中国を二十一世紀の最大の「戦略的競争相手」とみなして中国封じこめを基軸とした世界支配戦略・軍事戦略をねりあげているトランプ政権だ。習近平政権が「朝鮮半島の平和体制構築」の主導権を握ろうとしていること、また南太平洋やインド洋の島嶼諸国などを借款漬けにして次々と属国化≠オていることにたいして牽制をかけることにトランプ政権は躍起になっている。「他国に属国になるよう求め、自国の権威主義的体制を国際舞台に広げようとしている」(国防長官マティス)と叫びたてながら。
 とりわけ中国が南シナ海に軍事基地を構築し内海化≠一挙にすすめていることにたいして、トランプ政権は「南シナ海の軍事化は許さない」と叫び空母機動部隊の演習やイージス艦による「航行の自由作戦」や戦略爆撃機の飛行などの対抗的軍事行動を南シナ海で展開している。まさにこのゆえに、南シナ海を舞台として米・中両軍が対峙し、一触即発の危機を醸成しているのである。

日本の対中最前線基地化を企む米日両権力者

 「朝鮮半島の完全な非核化」をスローガンとする米・朝の交渉が進展し「朝鮮戦争の終結―米・中・朝・韓による平和協定締結」が現実化するならば、「駐留経費負担は無駄づかいであり、韓国が費用を負担しないなら在韓米軍を撤収させる」ことを持論とするトランプの政権は、米韓軍事演習の中止にとどまらず在韓米軍の縮小または撤退を決断するであろう。そうすることによってもたらされるいわゆる「軍事バランス」の激変は、アメリカと中国(・ロシア)との核戦力増強競争のいっそうの熾烈化をもたらさずにはおかない。もしもトランプ政権が在韓米軍を撤収させるならば、それは日本列島が中国と対峙する文字どおりの最前線たらしめられることを意味する。トランプ政権は、安倍政権を従えて、日米核軍事同盟を対中・対露攻守同盟として抜本的に強化することにますます狂奔しているのだ。
 NPR(「核戦力体制の見直し」)にもとづく「使える核兵器」(F35Aに搭載する精密誘導核爆弾B61―12など)の「北東アジアへの前線配備」、辺野古新基地建設・核弾薬庫の整備をはじめとして、対中国の最前線の核軍事要塞として在日米軍基地を飛躍的に強化することにトランプ政権は躍起になっている。日本国軍を米軍に一体化させるための日米共同演習の強化とアメリカ製兵器の大量購入による自衛隊大増強を、日本政府に要求している。在韓米軍を撤収させる場合には、その一部を、駐留経費を日本に出させるかたちで在日米軍に組みこむことをもたくらむにちがいない。
 これらのすべてを唯々諾々と受け入れようとしているのが安倍政権だ。アメリカの核軍事戦略に従属したかたちで「多次元横断(クロス・ドメイン)防衛構想」と称する日本国家の新軍事戦略を策定しつつあり(「防衛計画の大綱」の今年中の見直し)、そこにおいて軍事費の大増額政策を決定しようとしている(自民党は「GDP比二%」=倍増を提言している)。しかも、「北朝鮮の非核化」のための費用も、「日本と韓国が出せ、アメリカは出さない」というトランプの指図に「平和の恩恵を被る日本が費用を負担するのは当然」と応えて、すすんで供出することを誓約しているのが安倍だ。日米安保条約の鎖で縛られたアメリカ属国の宰相として、まさにトランプ御用達のATMの役割をはたし、日本の労働者・人民の血税を際限なく献上しようとしているのである。
 今こそ日本の労働者・人民は、朝鮮半島情勢の新展開のなかにあって日本列島がアメリカ帝国主義の対中(・対露)最前線軍事拠点としてうち固められようとしていることに抗して起ちあがるのでなければならない。日米新軍事同盟=対中・対露攻守同盟の強化に反対する反戦反安保闘争を断固としてまきおこせ! 日米安保同盟の帝国主義軍事同盟としての階級的本質を満天下に暴きだしつつ、<安保破棄>をめざしてたたかおうではないか!

新たな朝鮮戦争の勃発を阻止せよ! 南北の分断固定化を許すな!

 すべての労働者・学生・人民諸君!
 トランプと金正恩の相互瞞着が朝鮮半島と東アジアに恒久的な平和をもたらす「非核化と平和体制構築に向けた歴史的なプロセスの開始」であるかのように宣伝している日本共産党の不破=志位指導部を弾劾せよ。アメリカ帝国主義権力者と北朝鮮ネポチズム国家の権力者の会談が、あたかも国家と民族が引き裂かれてきた南北朝鮮分断の悲劇を解決する出発点になるかのように描くのは、まったくの幻想いや犯罪いがいのなにものでもない。米・朝の、そして中国、韓国の権力者どもが口にしている「平和体制の構築」なるものは、現存の北朝鮮と韓国の国家権力のもとに南北それぞれの朝鮮人民を永続的につなぎとめようとする、国家的分断の新たな固定化の別名でしかないのである。
 財閥に象徴される独占ブルジョアに足場をおいて人民にすさまじい格差社会≠おしつけ、「左派政権」を自称しながら韓国人民の日本軍国主義の戦争犯罪を弾劾する闘いや反基地の闘いに凶暴な弾圧をくわえているのが韓国の文在寅政権であり、「社会主義強国」などというニセモノの看板をかかげながら自国人民に貧窮と抑圧を強制し、反人民的な核・ミサイル開発に突進してきたのが、かつてのスターリン主義国家から金王朝<lポチズム国家へと転態した北朝鮮の金正恩政権である。これら南のブルジョア国家権力と北のネポチズム支配体制は、南北の労働者・学生・人民の団結した力で打倒されなければならない。
 南北朝鮮の労働者・人民よ! トランプと金正恩の、また金正恩と文在寅の握手にみずからの未来を託すことなかれ! 南北分断の悲劇を真に解決する道は、南北朝鮮を労働者・人民じしんの手でプロレタリア的に統一すること以外にはないのである。

南北朝鮮・アジアの人民と連帯して闘おう!

 代々木官僚が、「拉致問題の解決」を「平和のプロセスを促進する役割」をはたすなかに位置づけ追求せよ、などと安倍政権を尻押ししていることも、度し難い犯罪だというべきである。数十億ドルのアメリカ製兵器・航空機・農産物の新規購入の誓約とひきかえにトランプから金正恩に「拉致問題」を提起してもらった安倍は、「正恩は『解決済み』とは言わなかった、日朝会談にオープンだ」とトランプから伝達され、「次は私の番」と称して金正恩との会談にのりだそうとしている。だが、軍国日本による朝鮮半島植民地支配を正面から謝罪することを拒絶するだけではなく居直っている自称「右翼の軍国主義者」が、ただただ北朝鮮の過去の犯罪のみを騒ぎたて、「拉致問題が解決しないかぎり北朝鮮への経済支援はしない」などとほざくのは、あまりにも盗っ人猛々しく反動的ではないか。
 忘れるな! 三十五年間にわたって朝鮮半島を植民地支配した日本帝国主義の戦争犯罪を。いったい何十万人の朝鮮人民が強制連行され奴隷のごとき労働を強制され、死に追いやられたのか。いったい何万人の朝鮮人婦女が日本軍兵士の性奴隷にされたのか。
 第二次大戦後にアメリカ帝国主義とスターリン主義ソ連邦によって三十八度線を境に引き裂かれ、その後「人民中国」とアメリカ帝国主義が激突した朝鮮戦争をつうじて国家的分断が固定化された――これこそ帝国主義とスターリン主義の世界分割支配の悲劇の縮図にほかならない。
 忘れるな! この南北分断の前提をつくったのが、ほかならぬ日本軍国主義の朝鮮半島植民地支配であったことを。
 忘れるな! 朝鮮戦争のまっただなかで、日本国家が法的に独立すると同時に(旧)日米安保条約の枷(かせ)をはめられ、日本全土が朝鮮戦争の出撃・兵站基地とされたことを。アメリカ占領下に置かれつづけた沖縄では、「銃剣とブルドーザー」で沖縄人民が追いたてられ核軍事基地が拡大・強化されたことを。日本の再軍備が開始されたことを。そして敗戦帝国主義・日本の経済的復興が、兵士・民間人・餓死者をあわせて五〇〇万人もの死者をだす凄惨な朝鮮戦争が生みだした莫大な戦時需要(「朝鮮特需」)によってのみ一挙に進行したということを。
 日本軍国主義のアジア侵略戦争と、朝鮮戦争の、血塗られた歴史を日本国家が背負っているにもかかわらず、安倍がこれを隠蔽して「拉致問題」を政治的に利用することを、日本の労働者・人民は許してはならない。そして、「戦力不保持・戦争放棄」を謳う憲法九条の破棄と日本国軍の大増強と日米核軍事同盟の強化――アメリカと共に戦争をやれる国≠ヨの飛躍をかけたこれらの安倍政権の攻撃を阻止し、軍国日本の再興に突進する安倍ネオ・ファシスト政権を打倒することは、日本の労働者・学生が南北朝鮮人民・アジア人民にたいして負っている責務でもあるのだ。
 日・米両帝国主義の戦争犯罪と日米新軍事同盟の階級性を暴きだすと同時に、わが革命的左翼は、「社会主義」を自称する中国ネオ・スターリン主義と北朝鮮の金王朝<lポチズム専制支配体制の反労働者性、エセ・マルクス主義性をも断固として暴きだすのでなければならない。
 すべての労働者・学生・人民諸君! 米朝会談を「世界史の一大転換点」などと賛美し、「平和のプロセスを促進する役割を果たすべき」ことを日本政府に請願している日共・不破=志位指導部を弾劾し、「反安保」を放棄した日共翼下の既成平和運動をのりこえ、今こそ反戦反安保闘争に起ちあがれ!
 アメリカの対北軍事攻撃阻止! 北朝鮮の核武装反対! 日米核軍事同盟の強化反対!「朝鮮半島の非核化」をめぐる米朝交渉の裏側で熾烈化している米―中・露の核戦力増強競争に反対せよ!
 憲法大改悪阻止! 軍国日本の再興をたくらむ安倍ネオ・ファシスト政権を労働者・学生の実力で打ち倒せ!
 南北朝鮮の新たな分断固定化を許すな! 南北統一を希求する南北朝鮮の労働者・人民にわれわれは訴える――真のプロレタリア的統一をめざしてたたかうことこそが、南北分断の悲劇を真に突破する唯一の道なのだ!
 南北朝鮮の労働者・人民と固く連帯し、プロレタリア・インターナショナリズムにもとづいて、新たな朝鮮戦争勃発の危機をラディカルに突破する反戦闘争の奔流を日本全国でまきおこせ!

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朝鮮戦争――<南北分断>固定化の歴史的淵源
  積み重ねられたスターリン主義の犯罪

 われわれは、米朝両権力者がくりひろげている政治的駆け引きの反人民性を暴きつつ「朝鮮戦争阻止」の革命的反戦闘争を断固として推進するのでなければならない。そしてそのただなかにおいて、米朝両権力者がその「終結」を謳おうとしている朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)はいったいなぜ勃発し・その根拠が何であったのかをプロレタリアートの立場にたってふりかえり、全世界の労働者・人民のまえに明らかにするのでなければならない。

1 金日成指導部の「南進」強行から米中全面激突への展開

 第二次世界大戦の終結までの三十五年間(一九一〇〜四五年)、日本の天皇制ボナパルティズム権力は朝鮮半島を植民地支配下においた。天皇制権力は「内鮮一体」のスローガンのもとに、朝鮮人民にたいして「皇国臣民」たるべきことを強制し、彼らから言語と民族文化を奪い、そして姓名までをも奪いさった(創氏改名)。さらには、日中戦争の勃発(一九三七年)から敗戦にいたるまでのあいだに、七〇万人を超える朝鮮人民を徴用工として「内地」に連行し、過酷な労働を強制したのであった。また多くの女性たちを「従軍慰安婦」として虐げたのである。
 日本帝国主義の敗戦によってこの苛烈な植民地支配から「解放」(一九四五年八月十五日)された朝鮮人民は、だがこの日を区切りに、今度はアメリカ帝国主義とソ連スターリン主義とによって――米・英・ソの「ヤルタの密約」(一九四五年二月)にもとづいて――北緯三十八度線を境界とする分割占領支配のもとにおかれることになった。そして、南鮮≠「反共の防波堤」たらしめることをもくろんだアメリカ帝国主義の庇護下での「大韓民国」の樹立(一九四八年八月、大統領・李承晩)と、これに対抗し北鮮≠ソ連「社会主義」の防衛≠フための前線基地たらしめようとしたスターリンの主導下での「朝鮮民主主義人民共和国」の樹立(同年九月、首相・金日成)というかたちで、半島に「分断国家」がうみだされたのだ。この南北分断は、「一国社会主義」ソ連邦の防衛というクレムリン官僚の官僚的=国家的利害のために、「民主主義的帝国主義との同盟」の名のもとに帝国主義諸国との瞞着を図りつつ、「社会主義国」の地理的拡大を策したスターリンの策動に決定されているのであり、スターリン主義の反プロレタリア的犯罪の結果にほかならない。
 一九四九年十月には毛沢東率いる「人民中国」がうちたてられ、東欧においてはソ連の軍事力をバックとして「人民民主主義国家」がつくりだされた(「ソ連圏」の成立)。こうして、「一国の枠を超えて世界的な体制となった」とスターリン主義党官僚が自讃した「社会主義陣営」と、アメリカ帝国主義を盟主とする帝国主義陣営とに世界は分割され、両陣営間の「冷戦」はいよいよ激化した。
 まさにこうした東西冷戦のまっただなかで、朝鮮半島を焦点とし・その支配をめぐって両陣営が正面から激突したのが、三年にわたりうちつづき・朝鮮人民に「民族相残」(同一民族内の殺し合い)の悲惨を強いた朝鮮戦争なのである。

(以下見出しのみ)

2 戦争の帰結=分断の固定化

(つづく)

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消費税税率10%への引き上げを阻止せよ!

  大衆収奪に狂奔する安倍政権

 安倍政権は、消費税税率一〇%への引き上げを強行しようとしている。六月十五日に閣議決定した「骨太の方針」(「経済財政運営と改革の基本方針2018」)において、二〇一九年十月一日に消費税増税を実施する方針を明記した。首相・安倍は、「財政健全化」「社会保障改革の実現」を叫びたて、アベノミクス諸政策によって加速した国家財政赤字のツケを労働者・人民に犠牲転嫁する増税攻撃にうってでることを宣言したのだ。
 安倍政権は、独占ブルジョアジーからの強力な要請に積極的に応え、法人税減税を実行し、大企業や富裕層への優遇税制を敷いてきた。その他方で、消費税税率の五%から八%への引き上げ(一四年四月)を強行し、医療費や介護保険料の自己負担増・社会保障給付の大幅削減、各種控除の縮小、年金給付費抑制など、ありとあらゆる手口を弄して大衆収奪の強化に血道をあげてきた。リストラ攻撃や賃金切り下げによる収入の大幅減に加え、生活必需品をはじめとする諸物価の高騰に見舞われ、労働者・人民は困窮のどん底に突き落とされている。これに追い討ちをかける安倍政権の消費税大増税を絶対に許してはならない。
 森友・加計疑獄のもみ消しに狂奔し、憲法改悪・大軍拡に突進する安倍ネオ・ファシスト政権がうちおろす大増税攻撃を断固として打ち砕け!

(以下、見出しのみ)

労働者・人民への貧窮強制を許すな

社会保障制度の大改悪への突進

「財政再建」策の破綻のツケを人民に転嫁

安倍ネオ・ファシスト政権の反動攻撃を粉砕せよ!

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 6・12 嘉手納
「米軍F15墜落事故糾弾!」
労・学・市民が緊急抗議
 
 六月十一日、沖縄でまたしても米軍機の墜落事故がひき起こされた。翌十二日、嘉手納基地第一ゲート前で「F15墜落糾弾! 基地撤去緊急抗議集会」(主催―沖縄平和運動センター・中部地区労・第三次嘉手納爆音訴訟団)がおこなわれ、琉球大と沖縄国際大のたたかう学生たちは、集まった労働者・市民とともに最先頭でたたかいぬいた。
結集した労・学・市民の先頭で奮闘する琉大・沖国大の学生
(6月12日、嘉手納基地第1ゲート前)
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 6・8 「空自の合同空戦演習(レッド・フラッグ・アラスカ)参加反対!」
小松基地前に労学が決起
六月八日の早朝、航空自衛隊小松基地ゲート前において、「『レッド・フラッグ・アラスカ』演習参加抗議・緊急集会」(主催・石川県平和運動センター)が開催された。金沢大学のたたかう学生は、日米核安保同盟の対中国の攻守同盟としての強化反対を訴えながらともにたたかいぬいたのだ。
小松基地ゲート前で怒りの拳をつきあげる労働者・学生
(6月8日)
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