第2560号(2019年3月18日)の内容

<1面>
破産した米朝首脳会談
 大統領弾劾決議に脅えるトランプのあがき
<4〜5面>
日共「市民と野党の共闘」方針への従属
 「全労連」19春闘方針の批判
<6〜7面>
電機春闘の高揚を!
 生産性向上運動≠ヨの歪曲を許すな
Topics 超有スキル人財#N収に上限なし
 NTTデータの新人事賃金制度
<2面>
■木更津駐屯地をオスプレイの整備拠点化
■ハイパーソニック兵器開発
わが同盟の19春闘スローガン
<3面>
ゴーン逮捕・追放劇
 日産EV技術の争奪をかけ激化する仏・日の角逐
<8面>
従軍慰安婦・徴用工問題を居直る安倍政権を弾劾せよ
 「解放」最新号



























  


破産した米朝首脳会談

大統領弾劾決議に脅えるトランプのあがき

コーエン爆弾証言に追いつめられての決断

 第二回米朝首脳会談(二月二十七〜八日、ハノイ)においてアメリカ大統領トランプは、寧辺核施設にくわえて他の核・ミサイル施設も廃棄しないかぎり制裁解除には一切応じないと北朝鮮の金正恩に迫り、他方、金正恩は、寧辺の核施設廃棄とひきかえに国連制裁のうち原油や石油精製品の輸入制限、石炭や海産物の輸出禁止措置など軍事分野を除く主要部分のすべてを解除せよ、とトランプに要求した。相互に高い要求≠ぶつけ合った両者のこの対立のゆえに、米朝ハノイ会談は決裂に終わった。
 直後の記者会見においてトランプは、「会談は友好的だった」と取り繕いながら、この会談にあえてトランプの元顧問弁護士コーエンの公聴会をぶつけた民主党に怒りの矛先を向けたのであった。「この重要な会議の最中に偽りの公聴会を開くのは本当にひどい」と。
 いわゆる「ロシア・ゲート」疑惑を政治的にかき消すことを狙って、トランプは、特別検察官モラーの捜査報告書の提出が予定されていた時期にあわせて第二回米朝会談を設定した。二〇一六年大統領選挙におけるトランプ陣営とロシア・プーチン政権との密通にかんするモラー捜査報告書にアメリカ国内の耳目が集まることを阻止するために、「朝鮮半島の非核化」の「成果」を鳴り物入りで宣伝することを企図したのである。このトランプの目論見は民主党が米朝会談にコーエン証言をぶつけたことによって打ち砕かれた。
 ハノイ会談一日目の深夜にあたる二月二十七日(アメリカ東部時間)、米議会下院監督・政府改革委員会の公聴会において、コーエンはおよそ七時間にわたって証言しつづけた。民主党クリントンのメール大量流出をトランプが事前に知っていたなどの、大統領選挙時のトランプ陣営とロシア政府との共謀≠ノ関連した諸事実、トランプの不正行為・司法妨害にかんする暴露証言が全米のテレビで生中継された。
 この映像をハノイの宿舎で目の当たりにしたトランプは、元顧問弁護士の証言によってみずからのウソ・違法行為が暴きだされ、「大統領弾劾」が現実に身に迫っていることをひしひしと感じとったのである。窮地にたたされたトランプは、もしも寧辺核施設だけの廃棄とひきかえに一定の制裁解除に応じるならば、民主党に攻撃材料を与え、みずからの支持層からも譲歩しすぎ≠ニ非難されると判断したにちがいない。寧辺にくわえてそれ以外の「秘密」核・ミサイル施設の廃棄を要求し、金正恩がそれに応じなければ一切の制裁解除には応じないことをトランプは決断≠オたのである。
 この決断≠ヘ、このかんの米朝の実務者協議において北朝鮮政策特別顧問ビーガンや国務長官ポンペオなどが北朝鮮政府とのあいだで協議し基本的に合意にいたっていたところの、非核化措置の段階的実施と制裁解除の段階的実施との同時並行≠ニいう構想を白紙にもどすものにほかならない。トランプは、寧辺核施設廃棄の見返りとして一定の制裁緩和策を示すというような同時並行≠フ考え方に沿って北朝鮮に妥協した合意をかわすという判断を土壇場になってひっくり返したのである。
 二日目の全体会合にトランプは、核・ミサイル技術の専門家を同席させ、総勢十六人の最前列には「リビア方式による非核化」を主張する強硬派≠フ大統領補佐官ボルトンを座らせた〔北朝鮮側は五人のみ〕。北朝鮮の核施設廃棄と制裁緩和措置との同時並行∴トの協議をこのかん担ってきたビーガンは後列に控えさせられた。しかも「われわれが秘密施設を知っていることに北朝鮮は驚いたにちがいない」と語っているように、トランプは「秘密」の核・ミサイル施設を具体的にあげて、その廃棄を金正恩に要求したと推測できる。
 もちろん、トランプは、「ロシア・ゲート」疑惑やメキシコ国境の「壁」建設や対中貿易問題などをめぐって国内から非難がまき起こり、苦境にたたされていることのゆえに、外交上の成果を欲している。このことからしてトランプは、北朝鮮との今後の「非核化」交渉において、金正恩政権から政治的譲歩をひきだすための政治的術策をくりひろげているのだ。
 会談決裂直後の会見において「制裁強化は話題にしたくない」「金正恩は核・ミサイル実験の停止継続を約束した」(トランプ)と語ったり、「数日後か数週間後」に交渉を再開する(ポンペオ)可能性を口にしていることは、この政権が対北交渉においてなんとしてもなんらかの成果を手に入れることに血道をあげていることのあらわれなのだ。また「この段階で北朝鮮との緊張を緩和するのはよいこと」と称して、そして「費用の節約」という理由もあげて、トランプは大規模な米韓合同軍事演習の終了・縮小をうちだした。〔毎年春に三〇万人規模で実施してきた米韓合同の野外機動演習「フォール・イーグル」と合同指揮所演習「キー・リゾルブ」(数万人規模)および秋の合同指揮所演習「フリーダム・ガーディアン」を終了し、それぞれ規模を縮小した別の演習に改変することが三月二日に発表された(「キー・リゾルブ」は「同盟」と改名)。〕
 それと同時にトランプは、政権内強硬派<{ルトンに、「もしも北朝鮮が完全な非核化にすすまなければ制裁をさらに強化する」と語らせてもいる。経済封鎖=兵糧攻めの「強化」をボルトンに語らせ、それを圧力にして、金正恩に「非核化」にとりくむことを迫っているのである。くわえてアメリカの北朝鮮監視団体≠ェかまびすしく宣伝する「東倉里ミサイル実験施設の再建」についてトランプ自身が、「もし本当なら金正恩に非常に非常に失望した」と語った。これは核・ミサイル実験再開は絶対に許さないという恫喝的メッセージにほかならない。

以下見出し

国連制裁による経済的破滅の回避に血道をあげる金正恩

 「制裁解除」を求めて連携する中・露・韓

民主党の追い落とし策動に揺さぶられるトランプ政権

 対中貿易戦争の軌道修正

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日共中央の「市民と野党の共闘」方針への従属

 ――「全労連」版「19国民春闘方針」の批判

T 世界的先端技術開発競争激化の下での19春闘

 日本の労働者階級は今、歴史的な試練に立たされている。政府=独占ブルジョアどもは、米中激突をバックとしてあらわとなりつつある現下の日本経済の危機を、労働者階級への徹底的な賃金抑制と苛酷な労働強化とによってのりきるために、いま春闘の最後的絞殺にのりだしているのだからである。
 米中の「ハイテク覇権争い」と通商=貿易戦争は、いまや全面対決の様相を呈しつつある。たしかに相互に高関税を掛け合う昨春以来の米中の通商戦争は、ひとまず休戦となった。アメリカは農産物(特に大豆)の輸出減などに見舞われ、他方中国は製造業の倒産や海外移転に見舞われ経済成長が著しく鈍化する――というように、米中共倒れの様相を呈してきたからである。
 けれども次世代高速通信システム5GやAIや自動運転技術等々をめぐる米中のいわゆる「ハイテク覇権争い」は――まさにそれが産業構造を激変させるとともに軍事力強化の競争とも直結しているがゆえに――ますます熾烈化の一途をたどっている。
 劣位を強いられているアメリカのトランプ政権は、「われわれは敗れつつある。未来の情報化時代に行けるかの瀬戸際にいる」(ホワイトハウスの内部文書)などと焦燥感をむきだしにしながら、「市場社会主義国」中国におけるいわば「政府と国有企業との官民一体」を「構造問題」として槍玉に挙げるとともに、世界の各国とりわけEU諸国に「ファーウェイ排除」を強要し中国包囲網を形成しようと躍起となっている。これにたいして中国の習近平指導部は、三月五日からの全人代において、「戦いをもって戦いを止める」というこれまでの習近平式の対応を軌道修正し、「中国製造二〇二五」というスローガンを後景に押しやったりするなど、アメリカの猛攻をなんとかかわそうと必死になっている。
 世界各国がアメリカにつくか中国につくかを迫られつつあるとさえいえるこうした米中の激突のなかで、落日の軍国主義帝国アメリカへの戦略的従属を誓っているのが、日米核軍事同盟という鎖につながれた日本の安倍ネオ・ファシズム政権である。
 いわゆる世界の「ハイテク覇権争い」から完全に落ちこぼれてしまっていることへの危機感にかられているのが、日本の政府=独占ブルジョアどもにほかならない。安倍政権はいま、「景気拡大が『いざなぎ』(一九六五年十一月からの五十七ヵ月)を超えた」とか、さらに「戦後最長になった」とかとうそぶいている。だが企業収益は過去最高であったのに比して実質賃金はマイナスであり、このゆえに安倍政権は「賃金上昇」の虚構を捏造するために、厚労省による毎月勤労統計の不正にまで手を染めたのである。
 つまるところ、かのアベノミクスとは、労働者だけを徹底的に痛めつけたにすぎない。だがこの六年間、労働者階級の犠牲のうえに、企業はいわゆる内部留保をため込み・また投資家は株による儲けにありつくなど、肥え太った独占ブルジョアどもは、今また労働者階級に「古典的貧困」を強制する新たな攻撃にうってでようとしている。
 AIやIoTなどをめぐる世界的な先端技術開発競争において日本が完全に遅れをとってしまっているなかで、いま日本の独占ブルジョアども(とくに製造業やICT産業)は、高度技術者の囲い込みに血眼となるその他方で、それ以外の労働者にたいしては徹底的な賃金抑制と労働強化を強い、そうすることによってみずからの危機をのりきろうとしているのだ。
 経団連は、昨春闘においては日本経済のデフレへの舞い戻りを恐れる安倍政権に呼応して掛け声だけとはいえ「三%の賃上げ」という数値目標を掲げてみせていた。だが、今年は一転して数値目標を一切口にしないばかりか、「賃上げはそもそも個別企業で、労使の話し合いで決めるものだ」「もはや春闘という呼び名をやめるべきだ」(経団連会長・中西)などとうそぶいている。
 そしてこれにたいして、神津ら「連合」指導部は唱和し、「上げ幅追求から『働きの価値に見合った水準』追求への転換」などとほざいている。春闘の最後的破壊に手を染めているのだ。
 だが、「全労連」指導部は、トヨタ労組が「賃金改善」の要求額を非公表としたことを「相場形成役となることを嫌った、春闘つぶしの要求であり許し難い」(議長・小田川)と非難しつつも、「連合」指導部を名指しして、春闘方針を転換したことを批判しようとはしない。「連合」とは異なって、「統一闘争への結集を強める原則的なたたかいを徹底する」のだという方針を提起し、一九春闘にとりくむ「全労連」の「構え」を確認しているにすぎない。
 画歴史的な局面において、「全労連」指導部は一九春闘をいかにおしすすめようとしているのか。

U 「職場と地域のたたかい」を「車の両輪」と標榜

 A 「経営者に対するたたかい」を強調

 B 組合組織の惨状をとり繕うための「国民春闘」


V 日共系ダラ幹の闘争歪曲をのりこえ闘おう!

 A 独占資本家どもの懐具合に配慮した賃上げ要求

 B 「労働者のための働き方改革」なるものの犯罪性

 C 統一地方選・参院選むけの政策宣伝への解消

 D 一律大幅賃上げ獲得・改憲阻止! 19春闘の戦闘的高揚をかちとろう!


 一九春闘は今、歴史的に決定的な局面にある。「連合」神津指導部は、「上げ幅から水準へ」と称して、「上げ幅」を設定することを来春闘からとりやめる意向を示している。「働きの価値に見合った水準」なるものを提唱し、経団連が唱える「新たな価値の創造に寄与する働き手」にたいする「総合的な処遇改善(『デジタル革新技術を活用した働き方改革』や『能力開発・自己啓発の支援』などまで含まれている)」策に唱和しているのだ。まさに独占ブルジョアどもの補完物≠ニして今日版産業報国会としての実を示しているのである。
 この労働貴族の今日の姿をまえにして、しかし「全労連」指導部は、「連合」の春闘方針について名指しでの批判を避けている。いや、それどころか、「連合」指導部が「働き方改革」の一環として「Action! 36」のキャンペーンを開始したことに「歓迎する」などと秋波を送ってさえいるのだ。「市民と野党の共闘」を自己目的化し、「要求の一致点での共闘」を追い求める「全労連」指導部が、「連合」が支える立憲民主党や国民民主党とのあいだで「統一候補擁立」・選挙協力することを切望している日共中央に盲従しているからにほかならない。この反労働者的輩どもを許すな!
 「労働者のための働き方改革」と称して、労働者をAI・ロボットなどの技術諸形態の奴隷≠ノすることを容認する「全労連」ダラ幹どもを弾劾し、一九春闘の戦闘的高揚をかちとれ! 消費税増税を許すな! 社会保障制度を一挙的に改悪する安倍政権を弾劾せよ! <一律大幅賃上げ獲得・改憲阻止>を高くかかげてたたかおう!
 われわれは今こそ、この腐敗せる既成指導部を弾劾し、労組共同行動を実現し、その積み重ねをつうじて反ファシズム統一戦線を結成しようではないか!
「特定の政治的あるいは経済的課題を実現するために、一定の戦術・行動スローガンのもとに組織化される統一行動あるいは共同行動――種々の大衆団体の代表者からなる実行委員会が設置されるばあいもあるし、もろもろの労働組合の執行部間の協議にもとづくばあいもある――、この運動の主体は、あくまでも労働者階級であって、彼らの諸利害を代表すると称する左翼諸政党ではない。たとえ現実には、独占資本家と既成の左翼諸政党および労働運動指導部によって労働者階級が分断され支配されているのだとしてもそうである。いやそうであるがゆえに、労働者・勤労人民の特定の闘争目標にむけての『行動の統一』をおしすすめることが必要であり必然なのである。この行動における統一と、そのただなかでの、またその結果におけるイデオロギー闘争によって、彼らは訓練され鍛えられ革命的労働者へと自己脱皮をとげるのである」(黒田寛一『労働運動の前進のために』三九八頁)。
 いまこそ日本労働者階級の階級的団結をうち固め、労働者・学生・人民の実力で安倍政権打倒にむけ前進しよう!

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電機一九春闘の高揚を!

電機連合指導部による産業発展のための生産性向上運動≠ヨの歪曲を許すな

 電機独占資本家どもは、いま全世界的な規模で急進展している「IoT・AI・ロボットなどのデジタル革新技術」の研究・開発・導入に生き残りをかけて、事業再編・人員削減・労働強化・賃金切り下げの攻撃を労働者につぎつぎとふりおろしている。そして極反動の安倍政権は、消費税増税と社会保障費の切り下げのみならず、憲法第九条の改悪と自衛隊の軍備大増強に突進している。われわれ電機戦線でたたかう革命的・戦闘的労働者は、これらの一大攻撃を阻止すべく一九春闘を戦闘的にたたかっている。
 電機連合の十二中闘組合は、二月十四日に「開発・設計職基幹労働者」の「賃金水準三〇〇〇円引き上げ」の春闘の要求書を各企業経営者に提出した。
 それに先だつ一月二十四・二十五日の中央委員会において、電機連合指導部は一九春闘方針を決定した。彼らは、実質賃金がマイナスを続けているにもかかわらず、超低額な「賃金水準改善額三〇〇〇円以上」を「統一要求」としてかかげて産別統一闘争にとりくむことを確認したのだ。とはいえ、経営不振に陥っているパイオニアの労組指導部は、「再建に集中する」ことを口実として統一闘争からの離脱を表明した。これを電機連合委員長・野中は、(パイオニアの資本家が三〇〇〇人もの労働者を削減するとうちだしていることを承知のうえで)「パイオニアの皆さんは労使でしっかりタッグを組んで、再生をはたしていただきたい」などと全面的に容認したのだ。野中は、首切りされる労働者よりもパイオニアの経営不振のほうを案じているのだ。
 電機連合指導部は、電機産業の発展のために、春闘の賃金要求を「第四次産業革命に対応していくための人材確保・育成」に向けた「人への投資」と基礎づけ、「働き方改革」による「生産性向上」への協力をめざしているのである。
 われわれは、このような電機連合指導部の闘争歪曲をのりこえ、今春闘を一律大幅賃上げを獲得するためにたたかうとともに、安倍ネオ・ファシスト政権による改憲攻撃を阻止するために全力でたたかおうではないか!

A 独占資本の賃金抑制攻撃とこれを突き破る闘い

 1 労働者を生産性向上にかりたてる労働貴族

     欺瞞的な「職種別賃金水準」

 2 「第四次産業革命」を機に事業再編に突っ走る電機独占資本家

 3 電機連合・電機懇指導部の闘争歪曲と革命的・戦闘的労働者の闘い


B 電機連合指導部の闘争歪曲をのりこえ春闘の戦闘的高揚をかちとろう!

 1 「働きがい」を叫ぶ電機連合春闘方針の反労働者性

     「統一要求・統一闘争」方針の欺瞞性

     生産性向上運動に協力する労働貴族

 2 一律大幅賃上げをかちとろう!

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わが同盟の二〇一九春闘スローガン

一九春闘勝利! 憲法改悪阻止!
「連合」指導部の春闘破壊を許さず、一律大幅賃上げを獲得しよう!


T すべての労働者は団結し、春季賃金闘争を戦闘的に再生しよう!
 ◇「仕事・役割・貢献度重視」の人事・賃金制度大改悪を許すな!「働き方改革」の名による労働強化をうち砕け!
 ◇中小企業労働者や非正規雇用労働者の賃金・労働条件の抜本的改善をかちとれ!
 ◇AI・IoT・ロボットなどの導入による首切り・労務管理の強化反対!
 ◇公務労働者の大量人員削減・賃金切り下げ反対!
 ◇「格差是正」を名分とした「上げ幅」要求放棄を許すな!「働きの価値に見合った賃金水準」と称して成果主義の徹底に協力する労働貴族を弾劾せよ!
 ◇選挙カンパニアに埋没する「全労連」日共系指導部を許すな!

U 安倍政権の貧困強制をうち砕け!
 ◇「働き方改革」「雇用改革」の名における「解雇の金銭解決」制度導入・裁量労働制の適用対象拡大・個人請負拡大のための法改定を許すな!
 ◇消費税税率引き上げ反対! 社会保障制度の改悪反対! 年金支給年齢の引き上げ反対!
 ◇改定入管難民法の四月施行反対! 外国人技能実習制度撤廃! 外国人労働者の抜本的処遇改善をかちとれ!

V 憲法改悪阻止! 日米核安保の強化反対!
 ◇第九条破棄と緊急事態条項創設を核心とした改憲案の国会発議を許すな!
 ◇「アメリカとともに戦争をやれる国」づくり反対! 辺野古新基地建設阻止! イージス・アショア配備反対! 安保破棄めざして闘おう!
 ◇アメリカの対北朝鮮軍事攻撃反対! 北朝鮮の核武装反対!
 ◇米―中・露の核戦力増強競争反対!
 ◇労組破壊を許すな! 教育のネオ・ファシズム的再編反対! NSC専制支配体制の強化を許すな!
 ◇「連合」指導部の闘争抑圧を許さず闘おう!
 ◇反改憲の労組共同行動を創造せよ!

ネオ産業報国会として純化した「連合」を脱構築せよ!
改憲に突進する安倍日本型ネオ・ファシズム政権打倒にむけて進撃しよう!


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カルロス・ゴーンの逮捕・追放劇

日産EV技術の争奪をかけて激化する仏・日の角逐

 全世界に衝撃を与えた東京地検特捜部による日産会長(当時)カルロス・ゴーンの電撃的逮捕(二〇一八年十一月十九日)と会長職解任。「倒産寸前の日産を再建した立役者」ともてはやされてきたゴーンが、まさにルノーとの経営統合に踏みだそうとしたその矢先に、日産経営陣はそれをなんとしても阻止し経営権を死守するために東京地検特捜部と司法取引してゴーンを売り渡したのだ。当初はゴーンを擁護してきたフランス政府・ルノー経営陣も二ヵ月後にはついにゴーンをルノーの会長兼CEOから解任した。
 ゴーンを追放した日産社長・西川率いる現経営陣はここぞとばかりに「ゴーンの不正」を暴き社会的非難をあおっている。ゴーンは最近の八年間で日産から取得した八〇億円もの法外な役員報酬とは別に約九一億円もの「隠し報酬」を有価証券報告書に記載しないでせしめていたというのだ。
 大リストラ攻撃で四万人を超える労働者を解雇しておきながら、その裏側でゴーンは強欲にも私腹を肥やしつづけていたのだ。断じて許されるものではない。
 だが、それらをすべて容認してきたのが西川らの最高幹部ではないか。そもそもゴーンが着服した莫大な「報酬」なるものは、彼らがこのかんゴーンの忠実な部下としてリストラやコストカットに狂奔し、労働者から強搾取して得た収益をこそ源泉としているものなのだ。
 とはいえ、今回のゴーン追放劇を、「強欲ゴーンの着服」の問題としてすますわけにはいかない。それは直接的にはルノー・日産の経営統合をめぐる両経営陣の対立・暗闘に起因していると同時に、現段階のEV(電気自動車)や自動運転技術などをめぐる自動車諸独占体間の国際的な開発競争の激化を背景にして生起した、日産のEV技術をめぐるフランス・日本両国家権力者間の角逐を根拠にしているといわなければならない。
 〔ゴーンは、三月五日に東京地裁が保釈を認め、六日に、逮捕されてから一〇八日ぶりに東京拘置所から保釈された。〕

以下、見出し

フランス政府が「経営統合」案を提示

 ルノー主導の「共同持ち株方式」

日産経営陣に泣きつかれた東京地検の強権発動

 ゴーン寝返り≠ヨの巻き返し

 「親会社」ルノーへの日産経営陣の不満


EV技術の争奪をかけた仏・日政府・独占資本家の争闘戦

 EV・電池技術の確保に躍起のマクロン政権

 「日産防衛」にのりだす日本政府


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従軍慰安婦・徴用工問題を居直る安倍政権を弾劾せよ

排外主義むきだしで韓国を非難するネオ・ファシスト

 「3・1独立運動」一〇〇周年の三月一日、記念式典で演壇に立った韓国大統領・文在寅は、これまでの一〇〇年、「民主共和国」の理念は上海「大韓民国臨時政府」をへて今日の「民主共和国」に受け継がれていると描きあげた。そしてこの先の一〇〇年は「新韓(朝鮮)半島体制」と称する南北の「新しい平和協力共同体」を樹立するときだ、と宣言した。この演説の中で彼は、ごく簡単に日韓関係について触れたものの、従軍慰安婦問題や徴用工判決については具体的に言及せず、「過去は変えられないが、未来は変えられる」と述べるにとどめたのであった。
 きわめて抑制的な≠アの文演説にたいしてさえ、安倍政権・外務省は「不適切だ」という見解を即日、韓国政府に通告した。演説のなかで当時の日本帝国主義国家権力・朝鮮総督府によって虐殺された朝鮮人民の人数を「約七五〇〇名」と挙げたのは問題だ、というのである。「朝鮮民族の独立」、この切実な要求にもとづく民衆蜂起を鎮圧するために朝鮮全土で暴圧に次ぐ暴圧を重ねた日本帝国主義の天皇制ボナパルチズム権力が犯した歴史的犯罪を、あらためて謝罪するのではなく、逆に、虐殺した人数については「見解が一致していない」などと反論するのは、本当に許しがたい。
 しかも徴用工問題では、昨年十月三十日に韓国最高裁が新日鉄住金にたいして元徴用工の原告にたいする賠償金の支払いを命じ、これにつづいて三菱重工、不二越にたいしても同様の判決をくだした。これに直面した安倍は、「ありえない!」と叫び、「日韓関係の法的基盤が根本から損なわれた」と韓国政府を傲然と非難するとともに、これらの諸独占体経営陣に賠償金の支払いに応じるなと厳命した。これに応えて独占資本家は、高齢化した元徴用工の懸命の訴えをすべて門前払いしているのだ。安倍は強制徴用の法的根拠の一つである「軍需会社法」の制定(一九四三年)を主導した祖父・岸信介の所業を正当化するためにもこのような反動的対応をくりかえしているのである。
 韓国国会議長・文喜相(前韓日議連会長)が従軍慰安婦問題を解決するためには、「歴史の法廷に時効はなく、歴史的犯罪被害者のおばあさんたちに謝罪しなければならない」「謝罪の主体は第一に安倍首相、二位が天皇になる」と重ねて表明していることにたいして、安倍政権は、安倍その人が「第一に」名指しされていることについては意図的に触れないで、議長が天皇に言及したことにだけ噛みつき、「無礼だ」とただただヒステリックに喚いている。
 以上のような安倍政権の対応は、一九一〇年から一九四五年までの「日帝三十六年」の植民地支配とそのもとに朝鮮民衆にはかりしれない苦難をなめさせた、この歴史的大罪を開き直るものにほかならない。文喜相が語っているように、「歴史の法廷に時効はない」のである。「無礼だ」などと喚く安倍は、いまだに植民地宗主国=旧天皇制ボナパルチズム権力の一員であるかのようではないか。
 安倍政権は、二〇一五年末に「親日」の元大統領・朴正煕の娘である朴槿恵の政権に呑ませた従軍慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」なるもの――これ以上蒸し返すな≠ニいうことだ! この高圧的な合意を呑ませたことにもとづき日本政府が一〇億円拠出して設立された「和解・癒やし財団」なるものを、「被害者中心の視点が欠けていた」と文在寅政権が解散したことに、安倍はいきりたっているのだ。

 植民地支配と侵略戦争の開き直り

 徴用工問題を「解決済み」と強弁している安倍が、その論拠としている「日韓関係の法的基盤」なるものは、安倍その人の大叔父にあたる佐藤栄作の政権と韓国の朴正煕政権が一九六五年に締結した日韓条約と、これに付随するかたちで締結した日韓請求権協定のことである。この協定において日本政府が韓国政府に「無償三億ドル・有償二億ドル」を供与することで合意したことをもって、安倍政権は「両国間の請求権の問題は完全かつ最終的に解決した」と強弁している。
 だが、この条約・協定の締結交渉に臨んだ日本政府は、日韓併合と植民地支配の不法性を認めることを迫る韓国政府の主張すら一切認めなかった。ベトナム侵略戦争を遂行していたアメリカ帝国主義権力者は、韓国をソ連・中国・北朝鮮と対峙する反共の最前線≠ノ位置する軍事ボナパルチズム国家として強化・確立し、日本を「アジアの工場」として活用するというアジア軍事戦略にもとづいて、日韓両政府に条約の締結を強く要請したのであった。戦前には帝国主義本国とその植民地の関係にあったことからして生みだされていた日韓両国家権力間の軋轢――たとえば初代大統領・李承晩が日本漁船の漁労を禁止するために公海上に設定したいわゆる「李承晩ライン」など――を帝国主義的に解決≠キることを課題として締結交渉がおこなわれたのである。しかも、韓国政府に供与した「無償三億ドル」は現金ではなく現物支給であり、日本政府は諸独占体(八幡製鉄所=現在の新日鉄住金など)のプラント輸出をおこなった。日本政府はこれを新植民地主義的進出を強化するための呼び水として活用したのである。
 安倍政権が日韓請求権協定の締結をもって「請求権」問題は解決済み≠ニいう態度をとろうとも、それは日韓両国家権力・支配階級同士のことであって、直接に不法・不当な扱いを受けた朝鮮民衆は日本政府から謝罪も補償もなく長年放置されてきたのである。それゆえに、従軍慰安婦として強制的に動員されたり、徴用されたりした労働者・農民に深く刻みこまれた恨≠ヘいまだに晴れることはない。それどころか、首相・安倍が朝鮮半島の植民地支配をめぐる争闘戦としての性格をもつ日露戦争を「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人びとを勇気づけました」と語ったり、十五年間におよぶアジア侵略戦争を「具体的にどのような行為が侵略にあたるか否かについては歴史家の議論に委ねるべきである」とかと語ったりしている(いずれも二〇一五年八月の記者会見)。朝鮮の植民地支配を正当化したり侵略戦争を傲然と開き直る安倍ネオ・ファシスト政権の反動的な対応によって、韓国・朝鮮人民に宿る反日≠フ民族意識は再生産されてさえいるのだ。

大韓民国ナショナリズムを称揚し対日強硬策をとる文在寅政権

プロレタリア国際主義に立脚して闘おう!

 われわれは、かつての植民地支配を開き直り、朝鮮の女性・労働者・農民を従軍慰安婦や徴用工として、兵士として強制的に侵略戦争に動員したことを認めず、補償に応じようとしない安倍政権を断固として弾劾しなければならない。しかも、「日韓断交」を扇情的に喚く右派ジャーナリズムを尖兵にして安倍政権が韓国政府に吐いている「無礼だ!」などという居丈高で排外主義的な言辞は、彼らネオ・ファシスト政権が「敗戦帝国主義」の汚名をそそぎ、<軍国日本>を再興する追求を現におこなっていることと表裏をなしている。それゆえ同時に、われわれは、安倍政権による軍事強国化の諸策動と憲法改悪に反対してたたかわなければならない。
 日共・不破=志位指導部は、徴用工問題について、六五年の請求権協定で「国家間の請求権の問題は解決」と安倍政権と同様に評価したうえで、「個人の請求権は消滅していない」、この点では、日韓両政府ともに一致しているのだから、これにもとづいて「公正な解決方法を見いだせ」と代案を出して安倍政権を尻押ししている。だがこれは逆立ちだ! 請求権協定をタテにとって謝罪も補償もしないという態度をとる安倍政権をこそ徹底的に弾劾すべきなのである。
 日共官僚は、日韓条約・請求権協定に刻印されている階級性や歴史性――これらを不問に付し・それを肯定的前提にしたうえで、プラスアルファ的に「個人の請求権」を付け加えているにすぎないのだ。それは「国家主権」を超階級化する国家主権尊重主義に日共官僚が転落しているがゆえに、国家権力が法律や条約を制定したり適用したりすることの階級性をなんらとらえられず、現実肯定主義的に評価するからなのだ。
 だが、史的唯物論的あるいは国家論的には、一般に「法律はあくまでも階級支配と抑圧をなめらかにし正統性を付与するための一つの手段」(黒田寛一『社会の弁証法』二九四頁)にすぎない。したがって「法律の階級性は法律の適用過程において露骨にあらわれる」(同上)のである。このことからするならば、日韓条約・請求権協定の締結によって日韓の資本だけが肥え太る一方、他方では半島の南半分だけでも二二万人におよぶ元徴用工がなんの補償もなしに放置されてきたという現実こそが、この条約・協定の階級性を示して余りあるではないか。
 われわれは、「国家主権」を絶対視するブルジョア的理念をとりこみ、これを基準にして徴用工問題を論じているにすぎない日共官僚の腐敗した対応をのりこえ、労働者階級の立場に立って、請求権協定をタテにとって韓国・朝鮮人民の血叫びを傲然と足蹴にしている安倍政権を弾劾しなければならない。このただなかでわれわれは、日本本国の労働者階級が天皇制ボナパルチズム権力による植民地支配と侵略戦争を阻止することができず、侵略戦争に「軍服を着た労働者・農民」として動員されたことを労働者階級の立場において自己批判しつつ、南北朝鮮人民にプロレタリア・インターナショナリズムにもとづき階級的連帯を呼びかける!
 今回の米朝会談の決裂は、瞞着外交の反人民性と、文在寅の「南北の恒久的な平和体制構築」という展望が核兵器の上に描かれた幻想でしかないことをあらわにしたのである。
 南北統一のナショナリズムをかきたてながら、その実、独占資本の利害を擁護している文在寅政権を打倒せよ! そしてわれわれは北朝鮮の勤労人民に呼びかける。自己のネポチズム支配体制を護持するために諸君に塗炭の苦しみを負わせながら核兵器で武装している金正恩政権の反労働者性を自覚し、この政権を打倒せよ! 南北朝鮮のプロレタリア的統一をかちとるために奮闘しよう!

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