第2588号(2019年9月30日)の内容

<1面>
安倍政権の改憲攻撃阻止!
 日米核安保粉砕! 大増税・社会保障切り捨てを許すな
『解放』紙面変更のお知らせ
<2面>
福島第一原発事故裁判
 東電経営陣への無罪判決弾劾!
安倍政権の台風15号被災人民見殺しを許すな!
<4面>
改憲阻止! 自治労の戦闘的再生を!
 自治労第92回大会報告
<5面>
鉄鋼「65歳定年制導入」の労使合意弾劾! <下>
◎金属労協(JCメタル)大会
Topics 高齢者・患者の生命の危機を安倍政権が放置
<3面>
跳梁するAfD――独2州議会選挙
□対中貿易戦争――焦るトランプ
<6面>
米・中が海底ケーブル網をめぐり火花
「シェール革命の第二波」!?
 ――IEA報告のマヤカシ
<8面>
八方ふさがりに陥った英ジョンソン政権
□イスラエル再総選挙でネタニヤフ敗北
<7面>
戦後三大謀略と日共の歴史的犯罪

 「解放」最新号


































  


安倍政権の改憲攻撃阻止!

日米核安保粉砕! 大増税・社会保障切り捨てを許すな


「アメリカとともに戦争をやれる国」への突進

 十月四日に召集予定の臨時国会において首相・安倍は、自民党主導のもとに憲法審査会での改憲案の審議を開始しようとしている。「憲法改定の議論はすべきだ」と唱える玉木の国民民主党などを憲法審査会での「議論」にまきこみ自民党改憲案の提示にもちこむために、安倍は、野党の求める国民投票法改定案の審議・採決を先行する姿勢をおしだしている。
 今国会において改憲にむけた審議をなにがなんでもすすめるために安倍は、新たな布陣をととのえている。自民党総裁直属の改憲推進本部長には、二〇一八年三月に自衛隊明記をはじめとした改憲四項目をとりまとめた細田を再起用した。内閣人事にかんしては、「憲法審査会を動かす」と叫んで衆院議長のすげかえにまで言及した子飼い≠フ萩生田光一を文部科学相に就けた。就任会見においてこの輩は、「教育勅語」についての考えを問われると「親孝行の部分は今でも使える」などと言い放ったのだ。さらに、「日本会議」議連の幹事長である極反動分子・衛藤晟一(一億総活躍担当相)、政府に「批判的」であるとみなしたテレビ局に「停波」の脅しをかけ、情報統制・言論弾圧に狂奔してきた高市早苗(総務相)など、極右ファシストどもを閣僚にすえたのである。
 この新閣僚人事を発表した記者会見において安倍は、「自民党立党以来の悲願である憲法改正への挑戦」「困難な挑戦だが、必ずや成し遂げる」などとぶちあげた。まさに、みずからのとりまき分子で足もとを固めた安倍は、これを基礎として「交戦権の否認・戦力の不保持」を謳う憲法第九条の破棄と首相に非常大権を付与する緊急事態条項の新設とを核心とする憲法改定という歴史的な一大攻撃を、労働者・人民の頭上にふりおろしているのだ。
 ときあたかも、落日の軍国主義帝国アメリカと「市場社会主義国」中国とが二十一世紀の「覇者」の座をかけて激突し、核戦力強化競争とハイテク覇権争奪戦を熾烈に展開している。この米中激突下において、韓国・文在寅政権は、トランプ政権の制止を振り切って、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を安倍政権につきつけた(八月二十二日)。かつての日本軍国主義による朝鮮半島の植民地支配と徴用工の強制連行・強制労働という犯罪を居直る安倍政権にたいして、文在寅政権は対抗措置にうってでたのだ。ここに対中国・対北朝鮮の米日韓三角軍事同盟は音を立てて崩れさった。
 この東アジアの一大地殻変動のもとで、日本海・東シナ海をはさんで中国・ロシア(北朝鮮)と直接的に対峙することを迫られている日本の安倍政権は、「アメリカとともに戦争をやれる国」へと日本国家を飛躍させることに生き残りの道をみいだしている。同盟国をも「属国」扱いし、アメリカの国家意志に従わせるという傲岸きわまりない国家エゴイズムをむきだしにしているトランプ政権。これに日米核安保同盟の鎖で締めあげられ隷従する安倍政権は、アメリカに「カネと兵士」をさしだし日本を対中国・対ロシアの最前線基地として飛躍的に強化することに血道をあげているのだ。

以下見出し

中国主敵≠フ日米新軍事同盟の強化

軍事費増大と社会的弱者切り捨て=社会保障制度の大改悪

「連合」指導部の闘争抑圧と日共中央の闘争歪曲を許さず闘おう

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『解放』紙面変更のお知らせ
 二〇一九年九月二十日 編集局

一、わが同盟機関紙『解放』は、従来八頁建てで発行してきましたが、二〇一九年十月より、次のように変更します。
 @基本的には、週刊六頁建てとします。
 A内外情勢の激動などにふまえ、適宜八頁建てで発行します。
 Bカラー紙面を増やします。

二、十月以降の『解放』頒価について。
 @『解放』の頒価は現行のまま(三〇〇円)とさせていただきます。
 A安倍政府は、十月一日より消費税税率を従来の八%からさらに一〇%へと引き上げようとしています。われわれは労働者・人民に犠牲を強いるこの消費税増税に断固として反対し、これまでと同様に消費税増税分の頒価への転嫁はいたしません。

三、『解放』をさらに質的に向上させます。
 @反戦反安保闘争や春闘・政治経済闘争など、わが同盟が提起する時々の大衆運動路線にかんする論文を――内部理論闘争を基礎に――よりいっそう充実させます。
 A緊迫するイラン情勢や朝鮮半島をめぐるそれ、香港における人民の闘いなど、巻きおこる諸事件についてのわが同盟の的確な分析と指針を提起します。
 B『解放』および『新世紀』の読者である労働者・学生のマルクス主義者への自己形成の一助となるような学習・理論論文欄を充実させます。
 C闘う労働者・学生の思想=理論闘争の場として、「読者の声」「論争の広場」などを設けます。また、詩歌、漫画などの投稿・作品を掲載します。
 われわれは、すべての読者の協力のもとに<闘う労働者・学生の新聞>を作成するために、さらに尽力します。

四、日本階級闘争の前進のために、今後とも『解放』の購読をよろしくお願いいたします。闘う労働者・学生が本紙を十全に活用されんことを!

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福島第一原発事故裁判

東電経営陣への東京地裁の無罪判決を弾劾せよ!

 東京地裁は九月十九日、東京電力福島第一原発事故をめぐって業務上過失致死罪で強制起訴されていた東電経営陣(当時の最高責任者=会長の勝俣、原発安全対策の実質上の責任者=元副社長・武藤、その上司の元副社長・武黒)の三名全員にたいして無罪を言いわたした。事故直後の避難過程で四十四人を死にいたらしめ、十数万人の避難者を生みだし、福島に、そして日本全土に放射性物質をばらまいた原発事故。これを引き起こした東電経営陣の刑事責任を、東京地裁は全面的に否定したのだ。
 日本の労働者・人民に甚大な被害をもたらした東電経営陣の責任をすべて免責したこの判決を、断じて許してはならない!
 この東京地裁の判決は、原発・核開発の推進をたくらむ安倍政権の意を受けて作られた、あらかじめ東電経営陣を無罪にするという結論ありきの作文≠ナある。三人の刑事責任にむすびつく証言などを徹頭徹尾否定した、きわめてデタラメなものにほかならない。
 裁判の過程では、東電内部において津波対策強化策が論議され・経営陣によって握りつぶされていった経緯が多くの証言によって明らかにされた。政府の地震調査研究推進本部が〇二年に「今後三十年以内に三陸沖北部から房総沖の海溝よりでマグニチュード8・2前後の津波地震が二〇%程度の確率で起きる可能性がある」という地震予測の「長期評価」を公表し、これを受けて東電の子会社の社員が「一五・七bの津波」の想定を示した。だがこの社員は、「東電から、計算の条件を変えて津波高を低くできないか」と評価の偽造をもちかけられていたことも証言している。津波対策の強化案は、東電経営陣によって強引に葬られたのだ。
 〇七年の新潟県中越沖地震が柏崎刈羽原発に甚大な被害を与え、「地震の巣の上の原発」の危険性が社会的に明らかにされていたにもかかわらず、津波対策の提案を「御前会議」(勝俣を天皇≠ニ戴く経営最高意志決定会議)の場でおしつぶしたのが三人の被告どもだったのだ。
 この三人を免罪するために東京地裁は、「国の『長期評価』には具体的な根拠が示されず、信頼性がなかった」などと断じた。現に大地震が東日本を襲い、福島第一原発には強烈な地震動とともに一四bを超す津波がおしよせたにもかかわらず、この大震災より以前に「地震学や津波工学の専門家や内閣府」すなわち東電経営陣の共犯者というべき御用学者や政府の官僚が「長期評価」に「疑問」を呈していたことを理由にして、このように結論したのが東京地裁だ。
 東京地裁は「地震発生前までの時点では、法令上の規制や国の指針……は、〔原発の〕絶対的安全性の確保までを前提としていなかった」などと称して三人を免罪した。だが、大震災前の「法令上の規制や国の指針」こそがデタラメなのだ。これにもとづいて原発を稼働させていた政府の犯罪は明らかだ。しかも、多重の防護システム≠ェあると強弁してあたかも原発が絶対に安全≠ナあるかのように宣伝してきたのが東電の経営者どもではないか。この東電経営陣をあくまでも無罪にせよという安倍政権の意を受けて、詭弁に詭弁を重ねているのが東京地裁なのである。
 今回の東京地裁判決こそは、原発再稼働さらには新増設や核燃サイクル開発に突進する安倍政権・独占ブルジョアジーの意志を体現したものにほかならない。悪らつな経営陣を免罪する東京地裁判決を弾劾し、原発・核開発反対の闘いをさらにおしすすめよう。

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安倍政権の台風15号被災人民見殺しを許すな!

 千葉県を中心に関東一都四県に甚大な被害をもたらした台風十五号の上陸(九月九日)から十日以上がたった今日においてもなお、停電・断水・住宅損壊・産業被害などによる苦況に数多の人民が叩きこまれている。東京電力経営陣が甘い復旧見通しを発表し、安倍政権が無対応を決めこんだがゆえに、台風の被害と長期停電との複合による被害が深刻化しているのだ。われわれは、被災人民を見殺しにする安倍政権を満腔の怒りをこめて弾劾する。

人民を苦況に叩きこんだ大規模停電の長期化

 東電が九日に発表した停電の軒数は関東全体で九三万軒(うち千葉県が六四万軒)であり、二十日現在でも千葉県は一万九〇〇〇軒が停電している。停電の長期化によって日常生活や公共施設の運営や産業活動のすべてが困難におちいり被害を拡大している。台風通過直後に三十五度を超える猛暑に襲われた千葉県では、冷房が使用できなくなって高齢者や入院患者が次々と熱中症で倒れた。さらに上水道の設備が停電で動かなくなり命の水が断たれた。固定電話やインターネットが使えなくなっただけでなく、携帯電話も次々と使えなくなった。電波の中継基地局の非常用発電機には二十四時間分の燃料しか備えられていないからだ。こうして千葉県南部は被害の状況さえわからない陸の孤島と化した。
 千葉市に上陸した台風十五号はこの地域では観測史上最大の瞬間最大風速五七・五メートルを記録した。この暴風がもたらした被害は停電だけではない。住宅被害は千葉県の発表によれば、一万棟超とされているが、房総半島南部の被害状況はまだ集約ができないほどの規模となっている。とりわけ、強風によって屋根が吹き飛ばされた住宅が多数あり、十五日夜から十六日朝にかけて大雨に見舞われた房総半島南部では、ブルーシートを張るための人手も足りずに住宅が水びたしになる被害が続出している。

被害を過小にみせかけた東電と無対応をきめこんだ安倍政権

 東電経営陣は台風が上陸・通過した九日に「九日中の全面復旧はむずかしい」などと語って、あたかも一〜二日で停電が全面回復するかのようにおしだしていた。しかし、十日には「翌日以降復旧」、十一日には「十三日以降」、十三日には「最長で二十七日ごろ」などと次々と回復時期を遅らせていった。
 すでに九日の時点で君津市の鉄塔二基(一〇万軒の電力を供給)が倒れていることがマスコミによって大々的に報道されており、東電経営陣じしんが「停電は九三万軒」と発表していたことからして、彼らが多数の電柱が倒壊していることを掌握していたことは明白である。にもかかわらず彼らは、被害を意図的に小さく見せかける発表をした。その結果、多くの被災人民は、早期復旧を期待して灼熱の介護施設や自宅などに待機することを強いられた。〔君津の多くの老人介護施設では、翌日の電源復旧を見込んで電源車の配備を要請しなかった。〕彼らは裏切られて、最悪の場合は死にいたらしめられたのだ。まさにこれは犯罪である。
 この東電経営陣以上の犯罪者が安倍政権である。彼らは組閣人事を優先させて、台風および大規模停電にたいしてまったくの無対応を決めこんだのだ。
 事実、十日から十一日にかけての組閣を、安倍は一大セレモニーとして、すべてのマスコミに大々的に報じさせた。深刻化していた台風十五号の被害の報道は完全にかき消された。十二日付の大手新聞各紙は、第四次再改造内閣を発足させた安倍の「自民党立党以来の悲願」である改憲を「必ずや成しとげていく」などという記者会見をいっせいに第一面トップで報じたのだ。まさしく安倍政権は、改憲に向けた大号令を発するために、台風十五号被災人民を見殺しにしたのである。

「災害に強い国創り」なるものの反人民性

 内閣改造で留任した官房長官・菅は、二十日の記者会見においてもなお、政府は「適切に対応している」などと居直っている。とはいえ、被災人民をはじめとする労働者・人民の政府の無対応への怒りが高まっていることを感じとっている安倍政権は、台風十五号を含む八〜九月の大雨被害を「激甚災害」に指定するという懐柔策も弄しはじめている。
 だがそもそも、「災害に強い国創り、国土強靱化を進める」(一月二十八日の「施政方針演説」)などと称しておこなわれている安倍政権の防災対策は、ゼネコンなどの独占体を潤すための巨大な堤防や護岸建設であり、人民を国家権力のもとに統制・管理するための防災組織づくりなのだ。被災人民、とりわけ高齢者や弱者を災害から救出するなどという視点はまったくない。
 今回、千葉県においては、県庁と各市町村庁を結ぶ防災情報システムが機能しなくなり、各市町村当局から県当局への連絡がとだえた。千葉県知事・森田健作は、連絡なしは被害なし≠ニみなして無対応をきめこんだ。県当局が被害の甚大な南房総市に職員を派遣したのは災害が発生してから四日後の十三日、しかもたった一人だった。県当局も各市町村当局も徹底した人員削減で情報収集すらままならない状況に陥っている。これは千葉県に限ったことではない。安倍政権が地方自治体への政府の交付金を削減しているがゆえなのだ。人員削減を代替するために導入されているICTを駆使した防災システムも、多重災害発生時には何の役にもたたないことが、またしても明らかになった。
 また今回、停電が大規模かつ長期化した理由のひとつに東電の送配電網の老朽化がある。福島第一原発事故の処理や損害賠償に必要な数十兆円の資金の多くを国家からの支援によってまかなっている東電の経営陣は、経営の黒字化のために、送配電の設備投資を削減してきた。二〇一八年度は二八五九億円で一九九一年の八九三一億円の実に三分の一以下に激減している。しかも人件費を削減するために送配電にかかわる人員の削減もすすめてきた。その他方で彼らは、再稼働すれば一基あたり年間一〇〇〇億円程度の収益増があると見込んでいる柏崎刈羽原発の「安全対策」に一兆円以上の資金を投入しようとしている。まさしく、原発再稼働のために巨額の資金を投入し、その反面において送配電設備への投資やそれにかかわる人員を徹底的に削減してきた東電経営陣の経営施策が、今回の大規模・長期停電をもたらした原因なのである。
 台風十五号被災人民を見殺しにする安倍政権を弾劾せよ! 送配電網の防災対策をないがしろにする東電経営陣を許すな!
(九月二十一日)

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改憲阻止! 自治労の戦闘的再生を!

自治労第92回大会報告


 自治労第九十二回定期大会が八月二十七日から二十九日の三日間にわたって、福岡市において開催された。
 参院選から約一ヵ月。首相・安倍は「憲法論議をすべきというのが国民の審判」などと強弁し、改憲に向けてなりふりかまわぬ突進を開始した。「連合」右派労働貴族を抱きこみ・彼らをテコとして、国民民主党のからめとりを画策している。
 このような危機的情勢のただなかで開かれたこの大会において、自治労本部は「安倍改憲阻止のとりくみを進める」と一応は強調し、大会宣言にも「安倍改憲阻止」を盛りこんだ。
 大会には、沖縄をはじめとする全国各地において、わが革命的・戦闘的労働者たちの奮闘に支えられつつ反戦反基地や原発反対の闘いをたたかっている代議員たちも数多く参集した。わが同盟が大会にぶちこんだビラにも鼓舞されて彼らは、大会論議のなかで、基地機能の強化や原発再稼働をたくらむ安倍政権への怒りに燃えて、「安倍改憲阻止」の決意を力強く表明した。大会最終日には、九州地連(九州各県本部に沖縄県本部を加えて構成されている)の提案した辺野古新基地建設と憲法改悪に反対する決議案が、満場一致で採択されたのだ。

(以下、見出し)

「連合」逢見の前で委員長・川本が「安倍改憲阻止」を宣言

各地から反戦・反基地、原発反対の闘いの報告

会計年度任用職員制度問題で本部への突き上げと批判

労組破壊攻撃に抗して団結を打ち固めよう!

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「六十五歳定年制の導入」の労使合意弾劾!

高齢労働者の強搾取を企む鉄鋼独占資本家

<下>

目次
〔一〕企業の成長のための定年延長≠ネるもの
〔二〕熟練労働者の絶対的不足に危機感を募らせる経営者
〔三〕労使一体≠ナ強行してきたリストラの帰結
 (第二五八七号)
〔四〕高齢労働者は企業内最低賃金に――人事賃金制度の改悪
〔五〕労働条件改悪を容認する鉄鋼労働貴族を許すな!
 (本号)

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