第2601号(2020年1月13日)の内容

<1〜3面>
アメリカのイラン攻撃阻止!
 日本の中東派兵阻止! 改憲・安保強化の攻撃を打ち砕け!
 中央学生組織委員会
<4〜5面>
日共の綱領改定―国家独占資本主義への跪拝
<6〜7面>
年頭の決意
 関西/北海道/東海
 社会事業/教育/情報通信/金属/中小企業
<8面>
「中東派兵の閣議決定弾劾!」
 全学連 首相官邸に怒りの拳 12・27
「辺野古埋め立て工事阻止!」
 土砂陸揚げ護岸に肉迫 12・14
オスプレイ訓練に抗議 11・30鹿屋

 「解放」最新号





















  


アメリカのイラン攻撃阻止

日本の中東派兵阻止! 改憲・安保強化の攻撃を打ち砕け!

中央学生組織委員会

12・27 中東派兵閣議決定弾劾! 首相官邸に怒りの拳

 本二〇二〇年の劈頭にあたって、わが中央学生組織委員会は日本の、そして全世界の学生・労働者に訴える! アメリカのイラン軍事攻撃を絶対に阻止するために、今こそ反戦の闘いに決起せよ!
 一月二日、軍国主義帝国の大統領ドナルド・トランプは、米軍にイラク上空からのミサイル発射を命じ、バグダッド空港から車で出発した直後のイラン革命防衛隊の司令官ソレイマニを爆殺した。このトランプ政権にたいして、ただちに軍事的「報復」を宣言したイラン権力者ハメネイの指示にもとづいてイラン全軍が臨戦態勢に突入している。
 すべての全学連の学生諸君! いまやイラク駐留米軍とシーア派民兵組織との戦闘が激化し、アメリカとイランとの戦争の危機が切迫している。トランプのアメリカによる戦争放火を許すな!「アメリカのイラン軍事攻撃阻止」の反戦闘争にただちに起て!
 トランプ政権の要求に応えて安倍政権は、自衛隊の艦船・哨戒機をオマーン湾などの海域に派遣しようとしている。まさに、日本国軍が対イラン軍事作戦に米軍と一体となって突入しようとしているのだ。日本の労働者・学生は、日本の参戦を絶対に許してはならない! 全学連の学生は、自衛隊の中東派遣を阻止する闘いに全国から総決起せよ!
 安倍政権は今、憲法大改悪の総攻撃を全体重をかけてふりおろそうとしている。改憲発議に道筋をつけるために、まもなく召集される通常国会の憲法審査会において改憲案をめぐる論議に何が何でも着手しようとしているのだ。憲法審査会の開会を絶対に許してはならない!アメリカとともに戦争をやる国家≠ヨと日本をつくりかえる憲法大改悪の攻撃を、労働者・学生の闘いの力で木っ端みじんに打ち砕け! 職場深部でたたかう労働者と連帯して、全国のキャンパスから改憲阻止のうねりを創造せよ!
 日本へのアメリカの中距離核ミサイルの配備を絶対に阻止せよ! 米・日の権力者が日本列島を対中国の核ミサイル前線基地としてうち固めることを、断じて許してはならない! 中距離ミサイルの配備に反対する闘争の組織化を完全に放棄する日共中央を弾劾せよ! <日米核安保粉砕>の旗を掲げてたたかおう!
 <反安倍政権>の闘いを広範に組織し、中東派兵・改憲・安保強化に突き進む安倍日本型ネオ・ファシズム政権を打倒せよ!
 全学連のたたかう学生諸君は、1・25対アメリカ大使館・首相官邸闘争に勇躍決起せよ!

T 中東・アジアで高まる戦乱勃発の危機
 A イラン司令官爆殺を強行したアメリカ権力者

 アメリカ大統領トランプがみずから米軍に指示を出して実行したイラン革命防衛隊司令官ソレイマニの爆殺。このアメリカ帝国主義権力者の軍事攻撃にたいして、怒りを燃えあがらせたイランのシーア派ムスリム人民は、首都テヘランをはじめ街頭を反米デモで埋めつくしている。腹心の部下を奪われたイラン権力者ハメネイは、シーア派最高指導者の名において「アメリカはこの犯罪行為のすべての責任を負うことになる」と宣言し、対米報復を予告した(ハメネイ臨席の「最高安全保障委員会」において「報復」の具体的方針が決定されたといわれている)。これに呼応してイラクのシーア派民兵組織「人民動員隊」も、「全戦闘員は来たる戦いに備えろ。血の代償として、米軍のイラク駐留を終わらせる」と宣言を発した。
 燃えさかるこの反米デモに直面したトランプは、イランがアメリカへの報復攻撃をおこなったならば「イラン全土五十二ヵ所を激しく空爆する」などと叫びたてている(「五十二」とはかつての在イラン米大使館占拠事件のさいのアメリカ人人質の数)。他方、アメリカの同盟国イスラエルの首相ネタニヤフは急きょ外遊から帰国し、イランとの戦争をかまえた臨戦態勢に全軍を突入させた。
 まさにいま、米―イラン戦争勃発の危機が、そしてイスラエルをふくめ全中洋地域をまきこんだ戦乱勃発の危機が急切迫しているのである。
 爆殺されたソレイマニは、イラン革命防衛隊のなかでも対外工作を専門とする精鋭「コッズ部隊」の総司令であり、イラクにおけるシーア派民兵組織育成、レバノンのシーア派組織ヒズボラの支援、シリアにおけるIS(イスラム国)掃討作戦などを指揮・統括してきた人物であった。このソレイマニをトランプ政権がいまこのときに殺害したのは、イラクのシーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」によるイラク北部での米軍施設へのロケット攻撃敢行(十二月二十七日)、在イラク米大使館を包囲し火を放った反米デモ(同三十一日)など、あいつぐ反米闘争に直面し、これにイラン革命防衛隊が直接間接に関与しているとアメリカ権力者がみなしたからにほかならない。
 しかもこれらと時をほぼ同じくして、アメリカ主導の「有志連合」に真っ向から対峙するかたちで、中・露・イラン三ヵ国軍がオマーン湾で初の合同海上演習をおこなった(昨年十二月二十七〜三十日)。事実上の反米同盟をとりむすぶにいたっている中・露両国家の権力者が、いまや中東地域においてシーア派反米国家イランを政治的・軍事的に支えるかたちで没落軍国主義帝国アメリカの前に公然と立ちはだかるにいたったのだ。この中・露をバックとしてイラン権力者は、――アメリカ帝国主義の経済制裁と軍事的威圧にさらされながらも――シーア派の「三日月地帯」(イラン、イラク、シリア、レバノン)と呼ばれる勢力圏をうちかためると同時に、駐留米軍や外交官などに狙いをさだめた反米闘争の支援に力を注いできた。アメリカ帝国主義の長年にわたる中東支配を根幹から揺がした、かの<9・14サウジ石油施設攻撃>いこう勢いづくこのイランの策動をおしとどめるためにこそ、トランプ政権は――おそらく副大統領ペンスや国防長官エスパーら親イスラエル・対イラン強硬派のトランプ側近≠フ主導のもとに――イランの対外工作の要をなすソレイマニに狙いを定めて暗殺作戦を強行したのである。
 ソレイマニ殺害の直後に開かれたキリスト教福音派の集会(フロリダ州マイアミ)においてトランプは「アメリカ人は神から多くの祝福を受けているが、最もすばらしいのは世界最強の米軍に守られていることだ」などとほざいた。キリストが再臨するにはパレスチナの地はユダヤ教徒のものでなければならない≠ニ考えている福音派を大統領選にむけた支持基盤として固めんがために、シオニスト・イスラエルの脅威となってきたソレイマニの抹殺を「神(キリスト)」の名において正当化したのがトランプなのだ。ここに、大統領トランプを頭にいただく軍国主義帝国アメリカの野蛮と凶暴性が、このうえもなくむきだしになっているではないか。
 アメリカのソレイマニ殺害にたいして、ロシア外相ラブロフは即座に「国際法を著しく犯すものだ」と非難した。司令官殺害作戦を強行したトランプ政権にたいして、イランを支える中・露両権力者は政治的対抗を強め、両者の角逐はいよいよ激化しないわけにいかない。
 こうしたなかでアメリカ帝国主義がイランへの軍事攻撃の引き金をひくならば、それはただちに、互いに核戦力を強化しあっている米―中・露の全面的激突へと連動しかねないのである。

以下、見出し

 B トランプの対北制裁と金正恩の「長期戦」宣言
 C 激化する米―中・露の核戦力強化競争

U 改憲・安保強化・中東派兵に突き進む安倍政権

V 危機を深める既成反対運動とわが革命的左翼の闘い

W 改憲阻止・反戦反安保闘争の爆発をかちとれ!
 A 「反安保」を放棄する日共中央を弾劾せよ
 B アメリカのイラン軍事攻撃阻止! 改憲・核安保同盟強化反対!

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日共の綱領改定――国家独占資本主義への跪拝

 日共の不破=志位指導部は、一月十四日から開催する第二十八回党大会において党綱領の改定を議決しようとしている。
 「このまま推移すれば支部活動が困難に陥ってしまう状況が広がっている」とか、「『しんぶん赤旗』の発行そのものができなくなる危機に直面している」とかと代々木官僚じしんが大会議案で吐露せざるをえないような党組織の崩壊状況ののりきりをかけて、不破=志位指導部は、「党創立一〇〇周年〔二〇二二年〕まで」に「野党連合政権」を樹立するというシンボルを掲げて党員たちを「党勢拡大」に駆りたてている。「野党連合政権」構想への合意を立憲民主党と国民民主党から得るためにも、日共の党勢後退を挽回し票田を開拓するためにも、日本共産党が政権についたら中国のような「社会主義」をめざすのではないか≠ニいう保守層の「誤解、偏見」を取り除かねばならないと思いこんだ代々木官僚は、中国を「社会主義をめざす新しい探究が開始された国」とみなす規定の党綱領からの全面削除に踏みきった。この綱領改定によって代々木官僚は、思想的・イデオロギー的なブルジョア的変節を一挙に昂進させているのだ。
 わが革命的左翼は、<改憲阻止・中東派兵阻止・日米新軍事同盟強化反対>の闘いをはじめとする諸闘争を推進するただなかで、日共の改定綱領の反プロレタリア性を満天下に暴きだすイデオロギー闘争を展開するのでなければならない。

一 綱領改変の核心は何か

 不破=志位指導部は現行綱領のどこをどのように改変しようとしているのか。その主要点は以下の通り。〔以下、断りなき引用は「綱領一部改定案」、志位「綱領一部改定案についての提案報告」、「第一、第二決議案」、志位の八中総「結語」などより。〕
 @現行綱領第三章(世界情勢論)の大幅な書き換え――核心的には、次の規定を全面削除する。「今日、重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国ぐに〔中国、ベトナム、キューバ〕で、……『市場経済を通じて社会主義へ』という取り組みなど、社会主義をめざす新しい探究が開始され、……二一世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしている。」すなわち、中国を「社会主義をめざす新しい探究が開始されている国」と規定してきたことを完全に否定する。
 A「世界の構造変化と二一世紀の世界の新しい特徴」として、第三章に新たな規定を書き加える――「一握りの大国が世界政治を思いのまま動かしていた時代は終わり、世界のすべての国ぐにが、対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が開かれつつある。諸政府とともに市民社会が、国際政治の構成員として大きな役割を果たしていることは、新しい特徴である。」
 B第五章において未来社会論にかんする新たな「命題」をうちだす――「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である。」「この変革は、生産手段の社会化を土台に、資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力、経済を社会的に規制・管理するしくみ、国民の生活と権利を守るルール、自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験、人間の豊かな個性などの成果〔五つの要素〕を、継承し発展させることによって、実現される。」

(1) 「中国=社会主義をめざす国」規定の全面削除

 代々木官僚は綱領改定案において、中国を「世界史の重要な流れ」をつくっている「社会主義をめざす国」と規定してきた部分を綱領から削除し、「世界の平和と進歩への逆流」となった「大国主義・覇権主義」の「大国」だと烙印している。こうした百八十度逆の中国評価に転じた理由を、日共を「中国共産党・中国政府と同一視」する「誤解、偏見」をとりのぞくためだ、と志位は力説する。
 中国式の「市場経済から社会主義へ」が「世界史の流れ」だと謳った規定こそ、二〇〇四年に当時の日共議長・不破哲三が主導した綱領全面改定の核心のひとつであって、代々木官僚がこの部分を全面削除せざるをえなくなったことは不破綱領≠フ破産を自認した以外のなにものでもない。
 志位は言う――「〇四年の綱領改定時には合理的根拠のある規定だった」が、「核兵器禁止条約への敵対」「東シナ海・南シナ海での覇権主義的行動」「香港・ウイグルでの人権抑圧」など「この三年間」の中国の行動にてらして、「社会主義をめざす国」と判断する根拠はなくなった、と。愚にもつかぬ言い訳をならべるのはやめよ。いうまでもなく〇四年以前から北京官僚政府は核軍事力の増強やウイグル族・チベット族にたいする強権的弾圧に手を染めてきた。この中国権力者の犯罪から目を背けてきたのが代々木官僚であり、中国を「社会主義をめざす発展の安定的な軌道に乗っている」(『21世紀の世界と社会主義』〇六年三月刊)などと称えてきたのが老害党首&s破哲三だったのだ。
 わが同盟は、反スターリン主義革命的左翼の矜恃にかけて、中国の核軍事力増強の反人民性を突きだし<米―中・露の核戦力強化競争反対>の闘いを推進するとともに、中国ネオ・スターリン主義官僚専制支配の反人民性と「社会主義市場経済」なるものの反マルクス主義性を断固として暴きだしてきた。これを基礎として、中国を「社会主義をめざす国」などと美化する代々木官僚にたいする批判の十字砲火をあびせてきた。わがイデオロギー闘争に感化された多くの日共党員たちが〇四年の綱領改定に際して巻き起こした中国は社会主義をめざす国とはいえない≠ニいう中央官僚批判の嵐に震えあがり、これの封殺に狂奔してきたのが不破=志位指導部なのだ。今回の綱領改定案にたいして、当然にも〇四年に「社会主義をめざす国」と規定したこと自体が誤りだったと総括せよ≠ニの批判が日共党内から噴出している(その一端が『しんぶん赤旗』党活動のページ臨時号「議案への感想・意見・提案」に露出している)。
 代々木官僚が中国政府・共産党からみずからを区別だてするためにあてがっている「社会主義をめざす国」といいうるか否かの基準は、「核兵器のない世界」をめざしているかどうかという安保・外交政策の内容や「社会主義の事業に対する真剣さ、誠実さ」という道徳的姿勢のようなものであり、政治主義的なものでしかない。
 彼らは核心問題であるはずの「社会主義市場経済」を標榜する中国の政治経済体制への評価をくだすことから逃げまわっている。「市場経済を通じて社会主義へ」は「中国の路線とわれわれのめざす路線との共通点」などと、不破その人が謳いつづけてきた(『党綱領の力点』一四年一月刊)ことに触れられたくない、という官僚的自己保身をはたらかせているのだ。中国を「社会主義をめざす国」と判断する根拠がなくなったと断罪したとしても、「市場経済を通じて社会主義へ」という路線=\―「市場経済の調節的役割」は「別のものによっては代えがたい」のであり「実現されるであろう社会主義も発達した市場経済を基盤としたものとなる」(不破)というそれ――を代々木官僚は護持している。これこそが、中国式「市場社会主義」への批判を代々木官僚が一言も口にしない根拠なのだ。

(2) 「市民社会」を主役に奉る「二一世紀の世界論」

 綱領の世界情勢論から「社会主義をめざす新たな探究」規定を全面削除したことは、「社会主義をめざす体制と資本主義の体制、二つの体制の共存の……新しい段階」(不破『21世紀の世界と社会主義』)という時代認識、すなわち「発達した資本主義諸国での人民の運動」と「社会主義への道を探究する国ぐに」と「途上国における人民の運動」の「三つの流れから社会主義をめざす流れが成長し発展する」という現行綱領につらぬかれていた「世界的展望」を最後的に清算したことを意味する。
 これに代えて代々木官僚は、二十世紀における「世界の構造的変化」の核心は「植民地体制の崩壊」だと「二〇世紀論」を描き直すことを踏み台として、「世界のすべての国ぐにと市民社会」が「国際政治の主役」になったことが二十一世紀の「新しい特徴」だとおしだしている。
 諸国家権力者と並べて「主役」におしたてられた「市民社会」とは何か? 志位いわく、「『市民の運動』より広い意味をもつ用語」であり「国連の諸活動に自発的にかかわる個人と団体を包括した概念」だ、と。具体的には、「核兵器禁止条約」など様ざまな国連主催の会議に参加する「非政府組織(NGO)」(や国会議員などの個人)を指すとされる。アメリカと中国・ロシアという「大国」以外の諸国家の権力者とNGOに国際政治における変革の力を求めたとしても、それらは国連を舞台とした権力者間の政治的駆け引きの補完物でしかない。いかに多数の国家権力者とNGOが「核兵器禁止条約」に賛同したとしても、現実には米―中・露の核戦力強化競争がますます新たな次元で激化しているではないか。核戦力・ハイテク宇宙軍拡競争にしのぎを削る米と中・露との角逐を断ち切りうる主体的力は、現代歴史の主体たるべき全世界プロレタリアートの国境を超えた団結にこそあるのである。
 「市民社会」の持ち上げと同様に、国連総会で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)で中心課題にあげられていることをもって、代々木官僚は「ジェンダー平等を求める国際的潮流」を「人類の歴史的進歩」の象徴として綱領改定案第三章に新たに書きこんでいる。第四章の「民主的改革」にも「ジェンダー平等社会をつくる」という代案を加え、これを「世界の平和と進歩の全体にとって大きな柱にすえるべき課題」と位置づけている。国際的に一定の拡がりをみせた「性暴力」に抗議する「#MeToo」運動など「ジェンダー平等を求める潮流」を持ちあげ、これにのっかれば新たな支持層・票田を獲得できるのではないか、という虫のいい願望をふくらませているのが代々木官僚なのだ。

(3) 「資本主義の成果の継承・発展」の自己目的化

 「社会主義的変革」は「発達した資本主義の成果」の「継承・発展」によって実現されるなどという「命題」は修正資本主義者の寝言でしかない。
 代々木官僚は、一方ではロシア革命も中国革命も「資本主義の発展が遅れた国からの出発という歴史的制約」があったから「自由と民主主義」のない「一党制」の国になった、などと断定する。他方で「高度に発達した資本主義国」である日本では「未来社会」に「継承・発展」するべき成果が「豊かに花開く」条件ができあがっている、と志位は吹聴する。「日本経済は、現在の社会的生産の発展の規模と水準ですでに、『健康で文化的な最低限度の生活』を国民のすべてに保障できるだけの経済力を持っている」などと不破は誇る(『党綱領の力点』)。
 「日本の経済力」によって豊かな「未来社会」が開かれるだと?! AIなどを駆使した新たな合理化によって大量の労働者が労働現場から放逐され、残った労働者にはロボットの付属品として奇形的な労働が、超長時間労働と労働強度の極限的増進が強いられている。非正規雇用労働者が全労働者の約四割に達し、労働者の実質賃金は下がりつづけている。こうした過酷な現実が安倍政権と独占資本家どもによって労働者に強要されることによってのみ、「日本の経済力」はなりたっているのだ。これを「合理的に活用」すれば「未来社会」が開かれるなどとほざく代々木官僚は、――たとえ「格差是正」の代案を売り物にしているとしても――苦悩する日本の労働者の現実から浮きあがりきっているのである。
 (1)「資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力を(未来社会に)そっくり引き継ぐ」などと志位は平然とほざく。資本の直接的生産過程において成立する生産力は、この過程の主体的契機としての統合労働体も客体的契機としての生産諸手段も資本の定有であるがゆえに、つねに必ず「資本の生産力」としてあらわれる。代々木官僚が、この生産力そのものに刻印される資本制的という規定性を没却し、超歴史的にとらえていることが、彼らの右のような言辞に如実にしめされている。資本の直接的生産過程のマルクス的把握を欠落させ、生産力そのものの資本制的性格を没却し・歴史貫通的なものとして考える――こうした捉え方こそスターリン主義者に特有の誤謬なのである。
 「資本の生産力」の向上は資本の技術的構成の高度化によってなしとげられる。それは労働力商品の使用価値の消費としての生きた労働(可変資本)の量にたいする生産諸手段(不変資本)の量的な増大としてあらわれる。このゆえに、「資本の生産力」の向上は、直接的生産過程になげこまれた労働者にとっては、労働強度の非合理的強化と極限的な長時間労働と労務管理の強化、すなわち搾取の強化いがいのなにものでもない。自己の労働力を商品として販売しなければ生きてゆけない労働者、すなわち商品にまで物化された賃労働者が「生産性向上」に駆りたてられ呻吟させられている現実は、転向スターリニスト官僚の眼中にはまったく入らないのだ。
 (2)「日本では、戦後七十年余にわたって、国民主権、基本的人権、議会制民主主義が、発展させられてきた」(志位)とはよくぞ言ったものだ。安倍政権下でNSC専制というべき強権的な支配体制が強化され、立法府は行政府のとる政策の追認機関と化している。労働組合・学生自治会を破壊する弾圧が吹き荒れている。こうした労働者・人民にたいするファシズム的攻撃への一片の怒りもないのが代々木官僚なのだ。現存の日本の政治支配体制がそのまま「未来社会の土台」となるかのようにほざくのは、日本型ネオ・ファシズム支配体制の安全弁になりさがった徒輩にふさわしい戯れ言ではないか。
 代々木官僚が「未来社会」に継承し発展させるべきものとして賛美する「自由と民主主義」とは何か?
 「自由」――労働市場における労働力商品の販売者としての賃労働者と貨幣商品の所有者としての資本家との等価交換の関係が、資本主義社会における「自由・平等」の物質的=経済的基礎である。生産のたえざる実現をつうじて、労働市場における「自由・平等」の関係が実は階級関係にほかならず、生産過程における資本関係の社会的直接性におけるあらわれであることが暴露される。一方では生産諸手段の資本としての集中、他方では生産諸手段から自由となった労働力商品販売者たちの賃労働としての集中、これが社会的直接性においては資本家階級と労働者階級との階級対立として、さらに階級闘争としてあらわれるのである。
 「民主主義」――「資本主義時代の国家は、政治的には主権が国民にあることをうたい、民主制または共和制という支配形態をとる、ということが民主主義の証しであると称されています。けれども、被支配階級としてのプロレタリアの立場からするならば、そのような制度はブルジョア民主主義いがいの何ものでもありません。なぜなら、いわゆる民主主義は階級分裂を没却して国民のすべてを『一票』とみなしたうえで、量的多数を原理にしているからなのです。」(黒田寛一『社会の弁証法』二九〇頁)
 こうした「自由と民主主義」の階級性を無視し「未来社会」に継承すると代々木官僚がほざくのは、彼らがプロレタリアの立場に立つこと自体を放棄し階級闘争を投げ捨てているからなのだといわなければならない。
 (3)「資本主義のもとで達成した到達点」としての「人間の豊かな個性」なるものを代々木官僚は賛美する。ブルジョア的市民の個立℃蜍`(アトミズム)を全面肯定しているだけではない。スマホ・電脳・IoT機器が氾濫する現代技術文明のもとで電子情報の物神崇拝にもとづく精神的疎外が極限的に深まっていること、この「人間の滅び」というべき資本主義的疎外の深刻さを、代々木官僚はなにひとつ感じることすらできないのだ。
 要するに、代々木官僚が描く「資本主義のもとでの成果が全面的に花開く未来社会」などという青写真は、国家独占資本主義――ブルジョア国家の政府が帝国主義経済の諸矛盾を弥縫し経済的延命をはかるためにうちだすところの経済政策をはじめとする諸政策に媒介された帝国主義的政治経済構造――に跪拝していることをイデオロギー的根拠とした、反プロレタリア的な資本制商品経済の永続化論≠ネのだといわなければならない。

(4)マルクスを冒涜するニセ「未来社会論」

 「生産手段の社会化を土台に」するという条件を付していることをもって、「資本主義の成果」の「継承・発展」が「社会主義的変革」であるかのように代々木官僚は論じているのであるが、そもそも従来から綱領に規定されている「主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化」とはいかなる所有形態を指すのか、曖昧にされたままだ。不破は、かつての「ソ連型の官僚主役の『国有化』」とは違うと言いながら、「社会化」された形態として「国有企業」(不破は中国の「聯想集団」=レノボを「資本主義に対抗する競争力をもった国有企業」の成功例にあげてきた)や「協同組合企業」(十九世紀のイギリスでつくられたそれを例にあげる)を口にし、これらを「社会主義部門」と呼ぶ。「資本主義部門」との「市場での競争」をつうじて「社会主義部門」を拡大していくことが社会主義への道というわけなのだ。だが、資本主義的生産関係をそのままにして「社会主義部門」と称される企業が市場において民間資本の企業と業績を争うということは、生産性向上の競い合い=労働者からの搾取の競い合い以外の何ものでもない。
 しかも綱領では「生産手段の社会化」は「情勢と条件に応じて多様な形態をとりうるもの」というように意図的に穴≠ェあけられている。株式会社で社員が自社株を所有し経営に参画すること(従業員持株制度)をも「社会化」の一形態とみなすことを、代々木官僚はたくらんでいるにちがいない。いずれにしても代々木官僚の言う「生産手段の社会化」とは、ブルジョア国家権力を打倒して樹立される労働者国家のもとに生産手段を集中すること――これは社会主義への過渡期をひらく・その物質的前提である――とはまったく無縁な、実際には資本主義の枠内で「社会主義部門」という名の多様な経営形態の企業≠発展させるということの言い換えにすぎないのである。
 付言するならば、代々木官僚のめざす「未来社会」の内実は<生産労働にあてる時間=「必然性の国」にたいする自由に使える余暇の時間=「自由の国」を拡大する>というものでしかない〔こうした観点からAI(人工知能)の生産過程への導入を美化する〕。不破は「階級社会では、労働者階級は、『自由の国』をわずかしかもてない」が「未来社会」では「みんなが豊かに持てるようになる」などとほざく(『前衛』一九年十一月号)。マルクスが共産主義社会のイデーとして語っているところの「自己目的として認められる人間の力の発展」が保障される「自由の国」(『資本論』第三巻第七篇第四十八章)を、階級社会における「余暇」と同一の「自由時間」にすりかえているのだ。
 商品経済的物化とプロレタリアの労働疎外を根底的にくつがえし根源的な「種属生活」――共同体的人間の生産活動の自己意識性=技術性をその本質とする――を奪還するために、現存ブルジョア国家の打倒を結節点として資本制生産様式を根底的に止揚すること、これを抜きにして「余暇」を拡大することの「地続き」に「未来社会」がつくられるかのように吹聴しているのが不破なのである。こうした偽物の「未来社会論」をあたかもマルクスが『資本論』で提示したものであるかのように見せかけ、マルクスを冒涜する修正資本主義者を断じて許すな!

 もとより、「市場経済を通じて社会主義に進む」ことが「日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向」であり「資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられる」と明記されたのが〇四年に策定された不破綱領≠ナあった。それこそは、「資本主義の枠内での民主的改革」よりも先に「なにか革命としてやるべき課題があるわけではない」(不破)と称してスターリニスト的な革命すら完全に放棄し、「よりましな資本主義への改良」を未来永劫の目標とする修正資本主義の路線を明示した<アンチ革命>の宣言にほかならない、とわが同盟は暴きだしてきた。
 いまや「発達した資本主義の成果」を「継承し発展させること」こそが「社会主義・共産主義」の「大道」(正しい道)だと綱領上で公然と宣言したのが代々木官僚なのだ。ブルジョアジー独裁を本質とする国家権力を打倒するプロレタリア革命を全面否定し、ブルジョア国家のたんなる政権交代とこの政府による「経済のマクロ・コントロール」をつうじて「資本主義の成果」を「継承・発展」させることに「社会変革」の一切を収れんする――まさに真正の修正資本主義の綱領を完成させたのが不破=志位指導部なのである。価値法則の揚棄・労働力商品化の廃絶を根幹としたマルクスのイデーを真っ向から否定する転向スターリニスト官僚を満腔の怒りを込めて弾劾せよ!

以下見出し

二 「野党連合政権」の白昼夢と崩落する党組織
(1) 保守層への抱きつき
(2) 加速する党組織の溶解

三 反プロレタリア的な真正修正資本主義路線
  (a)戦略・理念
  (b)主体の組織化
  (c)戦術・闘争形態
  (d)当面の運動路線

 代々木共産党・不破=志位指導部は、まさに国家独占資本主義に跪拝しプロレタリア階級闘争に敵対するアンチ革命の徒党としての腐れきった姿を露わにしている。わが革命的左翼の一翼を担いたたかっている労働者・学生諸君! いまこそこの転向スターリン主義官僚を階級的憤怒を込めて弾劾し、代々木共産党を革命的に解体・止揚するイデオロギー的=組織的闘いを断固として推進せよ。不破=志位指導部のくびきから日共党員、労組・大衆団体活動家を解き放ち、<反帝国主義・反スターリン主義>の旗のもとにどしどしと獲得しようではないか!

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「中東派兵の閣議決定弾劾!」
12・27 全学連 首相官邸に怒りの拳 
 昨年十二月二十七日、全学連のたたかう学生たちは、安倍政権が中東派兵を閣議決定し日本国軍に派遣準備を指令しようとしていたまさにそのとき、首相官邸前において派兵阻止の闘いに断固起ちあがった。「閣議決定弾劾!」「護衛艦『たかなみ』の出撃阻止!」「アメリカのイラン軍事攻撃反対!」「日本の参戦を許さないぞ!」「日米安保粉砕!」学生たちのシュプレヒコールが首相官邸前に轟きわたる。
全学連が中東派兵の閣議決定を弾劾
(19年12月27日、首相官邸前)
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「辺野古埋め立て工事阻止!」
12・14 土砂陸揚げ護岸に肉迫 
 辺野古の海への土砂投入開始から一年の昨年十二月十四日、ヘリ基地反対協議会の呼びかけに応えて現地に結集した労働者・学生・市民が、土砂陸揚げを阻止するために怒りに燃えて海上行動に起ちあがった。
 三十一艇のカヌーと、五十数名が分乗した七隻の抗議船からなる海上行動チームは、キャンプ・シュワブ作業用ゲートでの資材搬入阻止の闘いと連携して果敢にたたかいぬいた。沖縄県学連のたたかう学生は、<基地撤去・安保破棄>を掲げて、その先頭で奮闘したのである。 
土砂陸揚げに抗議する海上行動チーム
(19年12月14日、辺野古)
海保の弾圧に抗しオイルフェンスを越え闘う海上行動チーム
(19年12月14日、辺野古)
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オスプレイ訓練に抗議 
11・30 鹿大生が鹿屋現地集会で奮闘
「オスプレイ訓練反対!」シュプレヒコールをあげデモ行進する鹿大生ら
(2019年11月30日、鹿児島県鹿屋市
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