第2626号2020年7月6日)の内容

<1面>
全国で労学統一行動に起つ

「安倍ネオ・ファシスト政権打倒!」
大阪中枢を戦闘的デモ
6・21 関西
新基地建設阻止の雄叫び

白ヘル部隊が那覇国際通りを進撃
6・21 沖縄
<6面>
米中冷戦下の戦争的危機を突き破れ!
名古屋市街に反戦の火柱
6・14 東海
■私は許さない! 「香港国家安全法」
<2面>
日米安保の鎖 10
 アメリカ陸軍のマルチドメイン作戦構想(下)
◆「和平合意」後のアフガン
<3面>
「持続化給付金」の闇
人民を愚弄する「維新」の新型コロナ対策(大阪
金沢市のガス・発電事業の民営化を許すな!
<4面>
中小職場に吹き荒れる賃金切り下げ・首切り反対!
Topics 解雇反対の闘いに敵対する「連合」神津指導部
<5面>
「反戦闘争論の理論的深化のために」から学ぶ
「解放」最新号


































  

全国で労学統一行動に起つ

「安倍ネオ・ファシスト政権打倒!」

大阪中枢を戦闘的デモ
6・21 関西
 
 大阪市街に「米―中・露の核戦力強化競争反対!」の声を轟かせる関西の労学
(6月21日、大阪市)

 六月二十一日、全学連関西共闘会議と反戦青年委員会のたたかう労働者・学生は、全国において決起している労学と相固く連帯し、大阪中枢を席巻する戦闘的なデモンストレーションをうちぬいた。<米中冷戦>下で高まる戦争的危機を突きやぶる革命的反戦闘争の火柱を赤々とぶちあげるとともに、自民党大阪府連にたいして「安倍ネオ・ファシスト政権打倒!」の怒りのシュプレヒコールを叩きつけたのだ。

自民党府連に怒りの拳

  午後二時十分、決起集会をかちとった白ヘル部隊は大阪市北区の南天満公園を出発しデモにうってでた。デモ隊の先頭には「今こそ安倍政権を打ち倒せ!<米・中冷戦>下の戦争的危機を打ち破り革命的反戦闘争の炎を!」と力強く大書した横断幕が掲げられ、大学旗や「憲法改悪阻止!」などのスローガンが書かれたのぼりが翻る。「安保粉砕! 改憲阻止! 内閣打倒!」たたかう労学の力強いかけ声が大阪市街に響きわたる。
 デモ隊が堺筋を北上すると、右手に自民党大阪府連が見えてきた。女子学生がマイクで呼びかける。「困窮人民を切り捨て、独占資本救済と改憲・安保強化をおしすすめる安倍政権・自民党に怒りの拳を叩きつけよう!」「よし!」デモ隊のボルテージが一気に高まる。「貧窮人民を見殺しにする安倍政権弾劾!」「河井夫妻の買収事件糾弾!」「敵基地攻撃能力の保有反対!」「憲法改悪阻止!」「安倍ガタガタ政権を打倒するぞ!」道行く労働者・市民がデモ隊を笑顔で迎え、シュプレヒコールに呼応して拳を突きあげる。
 土佐堀通りをぬけ淀屋橋交差点にさしかかると、デモ隊の右手に大阪市役所が見えてきた。安倍自民党の別働隊として改憲をあおりたてる吉村=松井の維新の会を許すな!「改憲に加担する維新の会弾劾!」「医療・介護・公務労働者への犠牲の転嫁を許さないぞ!」「カジノ・IRの強行反対!」「医療・福祉を切り捨てる維新当局糾弾!」沿道ではデモ隊の勇姿に鼓舞された若い女性たちが拍手をしている。
 こうして関西のたたかう労学は、大阪の労働者・市民の圧倒的な注目と共感をかちとりつつデモを貫徹した。

闘志みなぎる決起集会
 

 「日米核安保粉砕! 安倍政権打倒!」国際通りを進撃する
労学の白ヘル部隊(6月21日、那覇市)


 午後一時、総決起集会の開会を司会が宣言した。関共闘のたたかう学生が基調提起に立つ。「貧窮人民を見殺しにする安倍政権に怒りの拳を叩きつけよう!<米中冷戦>下で高まる戦乱の危機を突きやぶる革命的反戦闘争をまきおこせ!」「よし」気迫に満ちた戦闘宣言に、会場の労学がいっせいに呼応する。
 彼は、香港・台湾の問題をめぐって米・中両国が正面から激突し、戦争の危機が一気に高まっていることを明らかにしたうえで、いまこそプロレタリア・インターナショナリズムに立脚し反戦闘争の大爆発をかちとるべきことを熱烈に訴えた。
 さらに彼は、反人民性をむきだしにする安倍政権を徹底的に弾劾しようと呼びかける。安倍自民党からの巨額の支援を原資にした河井夫妻による買収事件。「持続化給付金」事業をめぐる自民党のお友達企業≠ヨの利益供与。労働者・学生の闘いにより「イージス・アショア」配備計画を「停止」したものの「敵基地攻撃能力」の保有をぶちあげ安保強化と憲法改悪に突進する安倍政権。関共闘の学生は、日共・不破=志位指導部による闘争放棄を怒りをこめて弾劾しつつ、渾身の力を込めて訴える。「今こそ追撃のときだ! 悪行を重ねる安倍ガタガタ政権の打倒にむけて進撃しよう!」パトスあふれる発言に、会場の労学は万雷の拍手でこたえた。
 つづいて登壇した反戦青年委員会の労働者は、「大阪維新」の府知事・吉村や市長・松井らの犯罪を舌鋒鋭く突きだした。
 維新当局は、大阪市立の十三(じゅうそう)市民病院を新型コロナ専門病院に転換させるために、一五〇名もの入院患者を有無を言わせず追いだすとともに、維新当局への不信と不満を募らせる医療労働者を何人もやめさせた。しかも彼らは、教育現場では、全教室、トイレの消毒作業や児童・生徒への手洗い指導・検温などの膨大な作業を、さらにはフェイスシールドを着用しての一日二回の授業を――教員も用務職員も増やさず――教育労働者に強制している。あまつさえ政府・文科省は、新学習指導要領の本格実施の年でもある今年度は休校の長期化による授業の遅れを早急に取り戻せ≠ネどと無理難題を現場の教育労働者に押しこんでいるのだ。
 「教育労働戦線でたたかう仲間は、この許し難い攻撃をはね返すために、これに抗議すらしない日教組本部を弾劾しつつ職場から闘いを創造するために奮闘しています!」彼の労働者魂あふれる発言に会場から惜しみない拍手が送られた。
 次は関共闘の学生による決意表明だ。彼女は、五月二十八日に「憲法改悪阻止! 安倍政権打倒!」を掲げ自民党大阪府連にたいする抗議行動に勇躍決起したことを力強く報告した。そして彼女は、学費無償化をめぐって自治会員と活発な討論をまきおこしつつ、貧窮学生を切り捨てる安倍政権を弾劾し、自治会を主体にして創意工夫をこらした闘いを創造していることを紹介した。

米中冷戦下の戦争的危機を突き破れ!―革マル派代表

 いよいよ革共同革マル派関西地方委員会の代表による連帯挨拶だ。冒頭彼は、「反スタ革命的左翼の真価を今こそ発揮して、米・中の全面激突下で高まる戦争勃発の危機を突き破る革命的反戦闘争の炎を赤々と燃えあがらせよう!」と熱く呼びかけた。感染爆発をみずから招きよせたトランプのアメリカを嘲笑し、世界と宇宙空間に覇権をうちたてるべく総攻勢にうってでている習近平の中国。彼らは、香港の「一国二制度」を否定し強権をふるいながらその中国化≠おしすすめ、同時に台湾を併呑する策動を一気に強化している。これに危機意識を昂じさせる没落帝国主義のトランプ政権は政治・経済・軍事にわたり中国封じこめに躍起になっている。彼は、<米中冷戦>というべき画歴史的な現代世界の位相とその危機性をダイナミックに明らかにした。
 さらに彼は、各国権力者どもが宣揚するイデオロギーの虚偽性を暴きだす。「コロナとの戦争」――まさにそれは、コロナウイルスをばらまいたスターリニスト官僚や感染爆発をみずから招いたトランプ政権などの帝国主義権力者どもの犯罪を押しかくす反人民的なイデオロギーだ。「医療従事者への感謝」キャンペーン――それは、全国の保健所を潰し国公立病院を徹底的に統廃合してきた歴代自民党政権の犯罪を隠蔽し、医療労働者を酷使することを正当化するものにほかならない。
 最後に彼は呼びかける。「いまこそわれわれは、<パンデミック恐慌>のもとで強権的な支配体制を構築し人民に犠牲を強制する帝国主義権力者やスターリニスト官僚どもを打ち倒す闘いに起ちあがるべきことを、全世界の労働者・人民に訴えよう! 反人民性をむきだしにする安倍政権を打倒することをめざして、階級的に団結してたたかおうではないか!」「よし!」ひときわ大きなかけ声と拍手で呼応した労学は、大阪市街を席巻する戦闘的デモンストレーションにうってでたのだ。

Top

  

新基地建設阻止の雄叫び

白ヘル部隊が那覇国際通りを進撃

6・21 沖縄
 
 「新基地建設阻止!」決起集会で決意固める
(6月21日、那覇市松山公園)

 
六月二十一日、わがたたかう沖縄県学連の学生と県反戦の労働者は、「辺野古新基地建設阻止! 安倍政権打倒!」をかかげて労学統一行動に決起した。
 「パンデミック恐慌下での犠牲の強制を許さないぞ!」「辺野古新基地建設を阻止するぞ!」那覇市松山公園に怒りのシュプレヒコールが轟きわたる。午後六時、「安倍政権打倒!」と大書した横断幕を先頭にデモ隊が街路にうって出るや否や、隣接する商業高校の生徒たちが鈴なりになって、わがヘル部隊の勇姿に見入る。「辺野古反対だよ!」と男子生徒が大きな声でさけんだ。
 デモ隊は、安倍政権にたいする怒りをみなぎらせて進撃する。「左前方に見える自民党県連に怒りのシュプレヒコールをたたきつけよう!」と女子学生の凜とした呼びかけが響きわたる。「パンデミック下で新基地建設、改憲につき進む安倍政権を許さんぞ!」たたかう労働者・学生はガタガタ安倍政権を震撼せしめるシュプレヒコールをたたきつけた。
 「補償なき休業の強制弾劾!」「貧窮人民を見殺しにする安倍政権を打倒しよう!」と呼びかけわがヘル部隊が国際通りに入ると、沿道の商店や飲食店から店員が飛び出し、うなずきながらデモ隊を見つめる。女性ドライバーが車の窓をあけ手を振って「ガンバレ!」と声援を送る。デモに共感した男性が機動隊に「弾圧やめなさい!」と抗議する。
 安倍政権の補償なき休業の強制によっていまだ閉塞感が漂う国際通りに「労働者・人民見殺しの安倍政権を許すな!」の呼びかけが響きわたり労働者・人民を鼓舞したのだ。こうしてたたかう労学の部隊は解散地の希望ヶ丘公園まで戦闘的にデモを貫徹した。

ガタガタ安倍政権を倒せ! ――決起集会

 デモに先立って労学は松山公園で決起集会をかちとった。
 まず、県学連委員長が闘いの基調を提起した。彼は冒頭、<パンデミック恐慌>下で労働者・人民を困窮に突き落とし、さらに辺野古新基地建設工事も再開した安倍政権を怒りに燃えて弾劾し、「労働者・人民の怒りの炎につつまれダッチロール状態の安倍政権を労働者・学生の総力で打倒しよう!」と力強く呼びかけた。そのうえで彼は「コロナ・パンデミック下におけるトランプのデタラメな対応によって世界一の感染国となり、アメリカ帝国主義の没落は決定的なものとなっている。このアメリカを蹴落とし一気に追い抜かんと一大攻勢を開始しているのがネオ・スターリン主義中国だ」「米中両国の権力者どもは核戦争さえ辞さぬかまえで角逐し、戦乱勃発の危機を高めている」と現代世界の特質をあきらかにした。そして「<米中冷戦>下の戦乱勃発の危機をつきやぶる革命的反戦闘争の大爆発をかちとろう!」と熱烈に訴えた。彼は最後に「アメリカでは巨万の労働者・人民が経済格差と結びついた人種差別にたいする積年の怒りを爆発させている。われわれは<プロレタリア・インターナショナリズム>の立場にたって、トランプ政権を打倒せよと呼びかけよう!」「そして、北京官僚のネオ・スターリン主義者としての本性を暴きだし、たたかう香港人民と連帯してたたかおう!」と呼びかけた。「ヨシッ!」彼の力強い基調提起を参加者はがっちりと受けとめた。
 次は、反戦労働者委員会の労働者だ。彼は「安倍政権は補償なき休業の強制によって数多の労働者を失業に追いやり困窮を強いている。その他方において、大企業・独占資本家救済には湯水のごとく血税を注ぎこみ、『持続化給付金事業』をお友だち企業の食い物にさせている。断じて許すな!」と怒りをこめて弾劾した。
 つづけて彼は、「安倍政権により労働者が困窮させられ、独占資本家によって解雇・雇い止め攻撃が打ちおろされているなかで、『連合』労働貴族どもは政府の外出自粛要請を口実に、春闘のとりくみをいっさい放棄した。それだけでなく独占資本家が『新たな働き方』と称しておしすすめるテレワークを美化しその後押しさえやっている。この大裏切りを弾劾せよ!」と訴えた。
 最後に彼は「わが仲間たちは労働者への犠牲の集中を許さないために、職場深部から論議をつくりだし、労働組合を強化しつつ闘いをつくりだしている。全国でたたかう仲間と固く連帯し、たたかおう!」と熱烈に訴えた。

わが同盟代表が革命的檄

 大きな拍手のなか革マル派沖縄県委員会の代表が登壇した。彼は、「パンデミック恐慌が露わにしたものはあまりにも許しがたい貧富の格差であり、それが生き・死にの格差≠ニなっている、この現代資本主義の悪にほかならない」とつきだした。爆発的感染拡大を招いたアメリカのトランプは、WHOを中国寄りだと非難して資金拠出を停止し、WHOからの脱退を宣言した。これにたいして習近平の中国は台湾をWHOから締めだす策謀をこらしている。台湾周辺や南シナ海において両国は軍事的行動をますます強化している。こうした両国の激突のゆえに、戦乱勃発の危機が日々高まっているのだ。このことを彼は危機意識をもって明らかにし、反戦の闘いに今こそ起て、と訴えた。
 彼は最後に「われわれの闘いによって、帝国主義と中国ネオ・スターリン主義の最後の時の鐘を鳴らそうではないか。<反帝国主義・反スターリン主義>の旗高く、ともにたたかおう!」と熱烈に呼びかけた。
 この熱い呼びかけをたたかう労働者・学生は「そうだ!」と高揚感をもって受けとめた。
 最後に県学連の学生の決意表明だ。彼は安倍政権・防衛省の辺野古新基地工事再開を弾劾し、六月十二日、十五日のキャンプシュワブ・ゲート前での阻止行動を断固たたかいぬいてきたことを力強く報告した。
 さらに彼は「安倍政権の無為無策によって大学生も内定取り消しやバイト切りにあい、大学を辞めざるをえない状況に叩きこまれている。労働者・学生に困窮を強いる安倍政権打倒の闘いをここ沖縄からおしすすめよう!」と力強く訴えた。参加者は拍手でこれに応え、この日の闘いにむけた決意をうち固めデモにうってでたのだ。
 労学統一行動を断固たたかいぬいた沖縄のたたかう労学は、辺野古新基地建設を阻止し、安倍政権を打倒するためにさらに奮闘している。
Top

    

米中冷戦下の戦争的危機を突き破れ!

名古屋市街に反戦の火柱

6・14全東海労学統一行動

 
 革命的反戦闘争を全世界へ!∴モ気高くデモする東海の
たたかう労働者・学生(6月14日、名古屋市)

 六月十四日、東海地方のたたかう労働者・学生は、<米中冷戦>下の戦争的危機を断固としてうち破る決意に燃えて、名古屋市街を席巻するデモンストレーションに決起した。
 午後二時過ぎ、労学の白ヘル部隊は、名古屋市栄のミニスポーツ広場から勇躍デモ行進にうって出た。
 「<米中冷戦>下の戦争勃発の危機を突き破れ! 人民に貧窮を強いる安倍政権打倒!」の大横断幕が、梅雨の曇り空を吹きはらうように高だかと掲げられる。「安保粉砕! 内閣打倒!」労学の意気天をつくかけ声に、名古屋市街は戦闘的な雰囲気に包まれる。人民に犠牲を強いる安倍政権に怒る労働者・人民が共感のまなざしをむける。沿道からデモ隊にガッツポーズを送ったり、手を振ったりする労働者もいる。「安倍政権による人民見殺し弾劾!」「憲法改悪阻止!」たたかう労働者・学生は、一時間にわたるデモンストレーションを圧倒的に実現したのだ。
 
 「安倍政権打倒」の決意固く、いざ進撃せん
――熱気あふれる決起集会(6月14日)


以下、見出し

安倍政権打倒の決意みなぎる――総決起集会

「米・中の核戦力強化競争反対!」
――マル学同代表
Top
 

  

「持続化給付金」の闇

安倍政権による御用達企業への利益供与を許すな

 「経営が悪化した中小・零細企業を支援する」と称して政府・経済産業省がすすめている「持続化給付金」事業。その「委託費」七六九億円のうち、大手広告企業・電通や人材派遣企業・パソナなどが設立した「サービスデザイン推進協議会」が二〇億円を中抜き≠オていた。しかも同協議会から「再委託」された電通が一〇四億円もピンハネしたうえで自身の子会社五社に「外注」し、さらにこの子会社もまた二二八億円もピンハネしパソナなどに「再外注」する――これまで闇に隠されていたこれらの実態が明らかとなった。判明しているだけでも総額三五一億円もの巨額の国家資金(人民の血税!)が、孫請け・ひ孫請け≠隠れ蓑にして電通とその関連企業に流れこんでいたのだ。
 これらすべては、安倍政権・経産省のお墨付きのもとにおこなわれていた。経産省は委託先にたいして人件費・外注費を支払うだけでなく、これらの費用の一〇%を「一般管理費」なる名目で上乗せするという秘密のルール≠とりきめていたという。「委託」「外注」をくりかえせばくりかえすほど、電通(とその子会社)に利益≠ェ転がりこむ、というわけだ。こうした政府公認の悪徳商法≠ニいうべき手口で、人民の血税を投じた「コロナ対策」事業をオトモダチ大企業≠フ食いものにさせているのが安倍政権なのである。
 直接の「委託」先である「サービスデザイン推進協議会」にしてからが、社員すべてが電通・パソナら三社からの出向者で実態もない会社であるばかりか、決算開示を一度もおこなっていない脱法のダミー企業。この「協議会」の設立に際して、定款を作成し直接的に手助けしたのが経産省官僚どもだ。「持続化給付金」事業の責任者である経産省中小企業庁長官・前田じしんが、二〇一七年にアメリカでのビジネスイベントに際して「前田ハウス」と名づけられた一室でのパーティーに、「協議会」理事で電通社員である平川某を招き接待していたという両者のただならぬ関係を示す事実も暴露されている。
 電通といえば、安倍政権・自民党が蜜月≠フ関係をつくってきたことで悪名を馳せている。電通に支払われた政府広報費は、一三年度には約一七・七億円であったが、一五年度には約三五・六億円と二倍以上にはねあがるなど、安倍政権下で激増。安倍自民党が憲法改悪に向けカネにものをいわせて改憲翼賛の「広報・宣伝」をたれ流すことをたくらんでいる。この策動の先兵となっているのが、政府御用達企業の電通だ。
 そして、パソナの会長・竹中平蔵は、〇三年に小泉政権の閣僚として労働者派遣法の改定(派遣労働の対象業種の拡大)に手を尽くし、現在は首相肝いりの「日本経済再生本部」のメンバーとして安倍政権の経済政策のブレーンとなっている輩。派遣労働者の増大に道をひらくとともに、「コロナ危機」に乗じて資本家がたやすく派遣労働者を解雇・雇い止めにできる現在の状況をつくりだした張本人ではないか。
 今、コロナウイルス感染症の拡大に乗じて暴利をむさぼる「パンデミック・プロフィティアーズ」とよばれる資本家ども(アマゾンなど)が世界中で労働者・人民の怒りの的となっている。まさに日本版の「パンデミック・プロフィティアーズ」が、安倍政権とドス黒い癒着をつくりだしながら跋扈(ばっこ)しているのだ。断じて許すな!
 今回の「持続化給付金」事業をめぐる不正・腐敗は氷山の一角にすぎない。「観光業支援」をうたう「Go To キャンペーン」なる事業でも二二九四億円もの「委託費」が計上されているのであるが、この事業の公募に際しても、同じく電通・パソナが設立した「環境共創イニシアチブ」という怪しげな法人が複数回のヒアリングを受けていたことが発覚している。「コロナ対策」をうたう安倍政権の経済政策なるものは、一事が万事、政府・自民党のオトモダチ企業≠ノ甘い汁を吸わせるための悪徳事業ばかりなのだ。
 中小・零細企業を見捨て、貧窮する労働者・人民を見殺しにしながら、独占資本への優遇・支援のみに狂奔する安倍反動政権を打ち倒せ!
Top
 

   

大阪の医療現場から

人民を愚弄する「維新」吉村・松井の新型コロナ対策

 安倍政権の新型コロナ対策が労働者人民の批判を浴びる一方、「維新」の吉村大阪府知事や松井大阪市長がリーダーシップをとって対応しているとマスコミによって宣伝されています。しかし、その実態はどうでしょうか? 大阪の医療現場から告発したいと思います。

十三市民病院を丸ごと
「コロナ専門病院」に再編

 「維新」の松井市長は、いち早く大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(二六三床)を丸ごとコロナ感染症中等症患者用の専門病院とすることをトップダウンで決定しました。拠点病院として地域医療や産科も担ってきた重要な病院であるにもかかわらず、職員にも患者にも知らせずに突如発表したのです(四月十四日)。これは、新型コロナ感染者に対応する感染症専門病床の決定的不足が騒がれているなかで、全国でも例がないコロナ対策専門病院をつくるという――スピード感をもって対処する「維新」首長≠印象づけるための――パフォーマンスです。
 松井市当局がやったことは、極めて強権的なものでした。外来も手術室もただちに閉鎖。入院患者は四月中に転院を迫られ、病院での出産が決まっていた妊婦も他の病院を自分で探せと通告されたのです。「こんな時期に他の病院を探せと言われても……」と多くの患者が不安ななか、病院を追われました。
 また現場の看護師たちは経験も訓練もなく、突然酸素吸入を必要とする新型コロナの患者ばかりを看護する業務につくよう告げられました。不安と不信を募らせる看護師にたいして、「嫌なら辞めてもらったらいい」と言い放ったのが、松井なのです。
 約一五〇人の入院患者を四月中に転院させ、十一月までに出産予定の妊婦約二八〇人に別病院を紹介してキャンセルし、突貫工事≠ナ防護服を着脱するスペースをつくったり、危険区域と安全区域を分ける仕切り壁をつくったりしました。
 この十三病院には感染症の専門医がいないので大阪市立大学病院から専門医を派遣し、急きょ医師・看護師への感染症対策研修をおこなって、五月一日には、コロナ専門病院として稼動開始、十六日に十一人の中等症患者を入院させました。
 医療器具の洗浄、寝具などの洗濯、院内清掃、さらに事務や警備などの医療行為以外の仕事はすべて委託業者におこなわせているのですが、この裏方業務ともいうべきスタッフの人たちには、何一つ感染症対策の研修もしていません。(四月後半に院内の警備員が新型コロナに感染するという事態が発生したといいます。)しかも、医師、看護師は一日四〇〇〇円の危険手当を支給されているのに、業務委託で働く労働者には支給されていないのです。
 「維新」首長が新型コロナ感染対策を、安倍政権よりも他の自治体首長よりも、迅速にやっている≠ニおしだすためにこそ、松井市長は、こうした強引な転換をおこなっているのです――吉村知事が「兵庫県との往来自粛」を訴えたり、緊急事態宣言の解除のための「大阪モデル」を提示したりしていることに呼応して――。彼ら「維新」は、今秋に控えた「大阪都構想」をめぐる二度目の住民投票で、今度こそ都構想を承認させようと企んでいるのです。

医療体制を縮小・削減してきた「維新」首長

 そもそも、「維新」は橋下市政のときに「府・市二重行政の無駄」などと称して、市立病院の統廃合を強引におしすすめてきました。五つあった市立病院のうち、北市民病院を二〇一〇年に閉鎖、二〇一八年には住吉市民病院を廃止して住吉母子医療センター(府と市の共同運営)に統合しました。その次に赤字病院≠ニ名指しされていたのが十三市民病院だったのです。大阪市立十三市民病院と名のっていても、とっくに地方独立行政法人化しています(大阪市設立の地方独立行政法人大阪市民病院機構の傘下病院)。採算がとれなければ廃止する対象にされていたのです。それを、コロナ対策専門病院に衣替えして、人気とり≠ノ活用したのです。患者や職員のことを省みない手法。御都合主義! 人民愚弄にもほどがあります。
 医療・福祉体制を徹底的に削減し、感染症に対応できないほどにまで壊してきた自分たちの犯罪性をおし隠し、新型コロナ感染対策をもっとも十全かつ迅速にやっているかのようにおしだす「維新」首長の欺瞞性。私たちは決して許すことはできません!
Top