第2640号2020年10月12日)の内容

<1面>
菅政権の人民見殺し・強権的支配体制の強化を打ち砕け!
<3面>
「日本学術会議」選別排除
 ネオ・ファシストの本性をむきだしにする菅政権を弾劾せよ
「デジタル庁」新設―行政システム一元化・人民監視強化を許すな
Topics 消費税を17%以上に≠ニ叫ぶ経済同友会・櫻田
<4面>
転向スターリニスト・不破の「恐慌の運動論」の犯罪性
<5面>
日米安保の鎖16
米戦略爆撃機部隊の有事即応体制強化
<2面>
馬毛島基地建設阻止!
鹿大生 労組員と共に起つ 9・19 鹿児島
「あいち集会」に反安保の檄 9・19 名古屋
<6面>
米中冷戦の狭間で引き裂かれるチェコ
◆メルケルのジレンマ
 「解放」最新号


























  


菅政権の人民見殺し・強権的支配体制の
   
強化を打ち砕け!


 菅政権はいま、――わが革命的左翼がつとに暴露してきたように――日本型ネオ・ファシズム政権としての本性をむきだしにしている。「日本学術会議」の新会員選出に際して、安保関連法や特定秘密保護法に異を唱えた学者をパージする挙にうってでた菅の姿を見よ。安倍前政権の中枢を担い強権的=軍事的支配体制の強化に狂奔してきたこの男は、日本をアメリカとともに戦争をやれる国≠ノおしあげるために、「日本学術会議」を、軍事技術研究やそのための政策提言をおこなう戦争翼賛団体としてくみしこうとしているのである。
 同時に菅は、「行政のデジタル化」と称して、首相・内閣官房の直轄下に全行政機関を再編・統合するデジタル庁の新設に猛突進している。「行政のデジタル化」と一体のものとして菅政権がおしすすめんとしているのが「経済のデジタル化」だ。それは、<パンデミック恐慌>下の国際競争での生き残りを賭けて独占資本家どもが進める「産業・企業のデジタル化」なるもの、これを支援すること(投融資・減税・規制緩和など)であり、労働者に犠牲を強要するいがいのなにものでもない。
 資本家どもによる相次ぐ首切り・賃下げによって、年末をまえにして労働者・人民はいよいよ生活苦に突き落とされている。この労働者・人民にたいして、追加的な生活補償・生活支援をいっさい拒否し、あまつさえ社会保障のさらなる削減と消費税の再増税を企んでいるのが、この極反動政権ではないか。
 菅政権による反動諸攻撃が矢継ぎ早にかけられているいまこのときに、これにたいする大衆的反撃を組織することをいっさい放棄しているのが、日本共産党中央をはじめとする既成指導部だ。彼らは、「コロナ感染拡大抑止」のための代案をひねりだし、その採用を政府に要求することにうつつをぬかしているだけなのだ。
 いまこそわが革命的左翼は、既成指導部の度しがたい腐敗をのりこえ、人民に貧窮と戦争と暗黒支配を強制する菅政権の反動諸攻撃をうちくだく一大闘争を断固として創造するのでなければならない。すべてのたたかう労働者・学生は<反戦・反ファシズム><パンデミック恐慌下の人民への犠牲強制反対>の旗高く、ともにたたかおうではないか!

「行政のデジタル化」の名によるNSC専制体制の強化

 首相・菅は、「行政のデジタル化を推進する強力な司令塔」を創設すると称してデジタル庁の二〇二一年秋の設置に突進している。そのために、担当相・平井に命じて開設にむけた準備室を発足させ、新年早々の通常国会において関連法を制定しようとしている。
 菅政権は、首相・NSCの直轄機関として創設するデジタル庁のもとに、あらゆる政府諸官庁・治安機関・地方自治体・公共諸団体などが管理する「国民の情報」をすべてデジタル化・共通化し統合する「デジタル情報ネットワークシステム」を早急につくりだそうとしている。これと一体的に「縦割り行政の打破」と称する行政機構の再編・強化を――各省庁内の「デジタル化」担当部局をデジタル庁のもとに統合することを中軸にして――一挙に進めているのだ。「危機に迅速に対応できる強靱なデジタルガバメントをつくる」と叫ぶこの政権は、全人民の「個人情報」を首相・NSCが一元的に掌握=管理する体制の構築にふみだしたのである。これはまさしく、日本型ネオ・ファシズム支配体制を飛躍的に強化する一大攻撃にほかならない。
 コロナ・パンデミックのもとで、中国・韓国・台湾などの政府がデジタル監視網をフルに機能させて人民をコントロールしたことに垂涎しているのが菅政権だ。彼らはいま、全人民の動態をリアルタイムに掌握し管理するデジタル人民監視システムをつくりだすことに血道をあげている。
 こうした人民監視システムの構築と行政諸機構の再編とを促進するテコとして菅政権は、マイナンバーカードの普及を位置づけている。二二年度末までに「全国民に行き渡らせる」と宣言しているのがこの政権だ。彼らはマイナンバーカードの携行を全国民に義務化することを企んでいるのである。
 マイナンバーカードを全国民に持たせるために政府は、あらゆる策を弄している。健康保険証機能の付加(二一年三月に本格開始)、「銀行口座とのひも付け」の義務化(関連法案を政府・与党が決定、年内成立を企んでいる)、運転免許証機能の付加などに着手している。さらに「利便性の向上」をおしだして、あらゆる「個人情報」――全国民の資産・所得・納税・就労・購買歴・犯歴・健康状態など――をマイナンバーカードに記録させ、もって全人民の行動を全面的に掌握することを企んでいるのである。
 さらには、このカードと、スマホをはじめとする諸々のネット端末、監視カメラ、GPSなどでかき集めたビッグデータを一元的に集中・集積し、それをAIを使って解析する人民監視システムをつくりだすことを狙っているのだ。
 そして、いま菅政権は、「日本学術会議」の新会員候補のうち、戦争法や秘密保護法などに反対してきた六人の学者の任命を選別的に拒否するという挙にでた。このかん軍事研究などに異議を唱えてきた「日本学術会議」を屈服させ、「軍学共同」に反対する学者たちをパージするために、菅は、こうした行為にあえてでたのだ。この策動こそは、「日本学術会議」を戦争協力団体として編みこみ、もって日本型ネオ・ファシズム支配体制の<鉄の六角錐(政・官・財・労・学・マスコミ)>を一挙的に強化する、という反動攻撃にほかならない。
 さらに菅政権は、日米共同の「敵基地」先制攻撃体制の構築や、憲法第九条の改定(自衛隊と交戦権の明記)と緊急事態条項の新設を二本柱とする憲法改悪の策動に拍車をかけている。こうしていま、菅政権は、米・中冷戦の激化のもとで日本をアメリカとともに戦争をやれる国≠ヨと飛躍させるためにこそ、NSC専制体制の強化に突き進んでいるのだ。日本型ネオ・ファシズム支配体制の飛躍的強化を許すな!

「自助」を叫ぶ菅ネオ・ファシスト政権の棄民政策

 菅政権は、「雇用維持の支援」を建前とする雇用調整助成金の特例措置(中小企業には、休業中の賃金の一〇〇%・日額上限一万五〇〇〇円の賃金補償を政府が助成するというもの)を今年末で打ち切るという方針をうちだしている。もしもこれが強行されるならば、中小・零細企業の経営者がいっせいに解雇を強行し、数多の労働者が厳寒期の十二月に路頭に放りだされることは明らかなのだ。こんにちこのときに「自助・共助・公助」をくりかえし叫びたて、国家に頼らず自分で生きろ、次に家族や地域が助けろ≠ネどと言い放っているのが首相・菅なのだ。これぞ職を失った労働者にたいして野たれ死にせよ≠ニ宣言するいがいのなにものでもない。
 すでにいわゆる「コロナ解雇」は厚労省の統計でさえ六万人を超え(九月末)、その数は日々加速度的に増大している。非正規雇用労働者の数は昨年に比べて一三〇万人も減少したのであって、それだけの労働者が「コロナ不況」を理由にして解雇・雇い止めにされたのだ。そしていま、航空各社や三菱自動車などの大企業が、「希望退職募集」や「遠隔地配転」というかたちをとって正社員にたいする大量首切りを次々に開始している。このようなときに、かの特例措置をやめるというのだ。まさに首切り促進≠「がいのなんであるのか!
 雇調金の打ち切りという反動的諸施策の実施を菅政権が急いでいるのは、米・欧・中・韓などの諸企業との競争にかちぬくために生産性向上に血道をあげている独占資本家どもの利害を体現しているからなのだ。「生産性の低い企業を雇調金で支援することは日本全体の生産性向上の足を引っ張るから反対だ」と傲然と叫んでいる経団連会長の中西など。この独占資本家どもに応えて、「生産性が低い」とみなした中小企業を淘汰するために――新型コロナウイルスの蔓延と不況の深刻化という事態の真っ最中に――「雇用維持支援」策打ち切りをうちだしたのが、菅政権なのだ。
 こうして菅政権は、中小企業の選別淘汰――菅の経済ブレーンは「日本の中小企業の数を三分の一に減らせ」と喚いている!――と労働者の大量首切りを、「産業の新陳代謝とそれにともなう労働移動」と称して奨励し促進しようとしている。もとより彼らの言う「労働移動」なるものは、首を切られた労働者が自力で新たな技術を身につけて人手不足の他産業に再就職せよ、というものである。それは、正規雇用労働者を激減させたうえで、低賃金の非正規雇用労働者やスポット契約の個人請負労働者(いわゆるギグワーカー)をこれまで以上に増大させるものにほかならない。
 そしていまこの政権は、「産業・企業のデジタル化」なるものを促進する諸施策――デジタル化促進減税、政府系金融機関の投融資拡大、官民連携のプロジェクト等々――に湯水のように国家資金を投入しようとしている。
 こうした諸施策を菅政権が策定しているのは、「ピンチをチャンスに」「いまこそ経済のデジタル化で日本全体の生産性向上を」と叫びたてる独占資本家階級の要求に応えるためにほかならない。
 独占資本家どもは、アメリカや中国のICT巨大企業が席巻しているグローバルな市場で生き残るために、日本発≠フ新たなデジタル技術・製品・サービスの開発に官民あげてとりくむことを政府に求めている。それと同時に彼らは、日本の産業・企業の「労働生産性」(「先進国中で低水準にある」と彼らが喧伝しているそれ)を飛躍的に引き上げるために、――だから労働者をより徹底的に搾り取るために――生産過程・業務過程・流通機構にAIやロボットなどの革新的なデジタル技術諸形態を急速に導入しようとしている。これをつうじて大量の労働者たちを「余剰人員」とみなして路頭に放りだそうとしているのだ。こうした独占資本家どもによるICTを活用しての生産性向上・産業再編の追求、これを全面的に支援しているのが、菅政権なのだ。
 独占資本家階級とその政治委員会たる菅自民党政府は、「日本経済のコロナ不況からの脱出」をスローガンにして、日本企業の国際競争における敗勢を挽回し、大企業・独占体をさらに肥え太らせるためのデジタル技術革新と産業構造・事業構造の転換を、労働者・人民を貧窮のどん底に突き落としながら、いま無慈悲に貫徹しているのである。
 菅政権は、独占体・大企業支援のための巨大な財政支出と・アメリカ製兵器の爆買い≠中心とする国防費の激増、これらの財源を捻出するために国債を乱発している。それによる債務の増大(対GDP比で世界最大の一二〇〇兆円を超えるそれ)を緩和することを狙って、――法人税の軽減措置や富裕層優遇税制はあくまでも維持しつつ――苦境に立つ人民から広くむしりとる消費税の大増税を策している。経済同友会の代表幹事・櫻田は、消費税税率の一七%以上への早急な引き上げを要求しているのであるが、こうした独占資本家の要求に応えて一〇%に上げたばかりの消費税の再増税を近々に狙っているのだ。そして「社会保障制度改革」と称して、政府と企業の社会保障費負担を圧縮し抑制するために、生活保護費の支給額削減を強行し、年金支給開始年齢のさらなる引き上げや高齢者医療費の自己負担率引き上げを画策している。また、コロナ感染症蔓延のもとで全国各地の病院が経営難を強いられながら感染拡大に備えているただなかで、かねてから計画してきた公立・公的病院の統廃合をあくまでも強行しようとしているのだ。
 これらの菅政権の経済政策・労働政策・社会保障政策をつらぬいているのは、生産性が低い企業や個人はどんどん淘汰して社会の新陳代謝をはかれ≠ニいう選別淘汰の思想にほかならない。まさしくこれこそは、ネオファシズム・イデオロギーたる社会ダーウィニズムそのものなのだ。
 「自助・共助」をふりかざした貧窮人民切り捨て=棄民政策をうちくだけ!

既成指導部の腐敗をのりこえ反戦反ファシズムの闘いを!

 菅政権はいま、NSC専制の強権的=軍事的支配体制を強化するための人民総監視=総管理体制の構築、「自助」をふりかざしての貧窮人民への犠牲強制・社会的弱者の切り捨て、敵基地先制攻撃体制構築と憲法改悪などの攻撃を、一挙に同時にふりおろそうとしている。これらのウルトラ反動諸攻撃を、われわれは粉砕するのでなければならない。
 うちつづく<パンデミック恐慌>のもとで、「連合」指導部をはじめとする労働貴族は、資本家どもによる労働者の大量解雇・雇い止めと賃下げの攻撃を「失業なき労働移動」の名のもとに全的に是認し、路頭に放りだされた数多の労働者たちを見殺しにしているのだ。独占資本家どもの完全な下僕と化したJCメタルなどの労働貴族は、資本家どもと一体となって、「デジタル化促進」や「失業なき労働移動」や「税と社会保障の一体改革」(=消費税増税)を菅政権に求めている。
 また、「合流新党」=新・立憲民主党の「原発ゼロ」方針に猛然と反発した電力・電機・UAゼンセンなどの右派労働貴族どもは、いまや憲法改定や原発再稼働をめぐって「是々非々の態度をとる」とほざき菅政権に協力する姿勢をちらつかせているのだ。これらの右派労働貴族が過半を制している「連合」指導部は、いま、菅政権と独占資本家どもと協力して「コロナ不況からの脱出」を掲げたネオ産業報国運動に邁進しているのである。
 他方、反動諸攻撃を次々にしかける菅政権にたいして、「コロナ危機をのりこえ」「コロナ後により良い社会をつくる」と称した代案を対置することに明け暮れているのが、日本共産党の不破=志位指導部である。
 志位は、菅政権がおしすすめようとしている「行政のデジタル化」なるものにたいする一片の危機感もなく、「国民の暮らしに役立つデジタル化は大いにやるべし」などと――デジタル技術を超階級化し――脳天気にほざいているほどなのだ。
 彼らは、「野党連合政権」を樹立するための「市民と野党の共闘」なるものを拡げることを自己目的化し、これに菅政権の反動攻撃に反対するいっさいの闘いの方針を従属させている。立憲民主党が「新自由主義反対」を言いだしたことに欣喜雀躍した不破=志位指導部は、「新自由主義からの転換」を旗印にして野党間の「政権合意・政策合意・選挙協力」をとりつけることに狂奔し、そのためにみずからの諸代案をよりいっそう右翼的に緻密化することに腐心している。
 「野党連合政権では日本有事には安保条約第五条で対応する」と、米軍の出動を認め日米共同作戦を遂行することを彼らは公然と肯定している。菅政権が、「ミサイル阻止」の名で「敵基地」への日米共同の先制攻撃体制構築に突進しているいまこのときに、このような代案を提唱するのは、まさに労働者・人民を敵権力者の攻撃のまえに武装解除する犯罪いがいのなにものでもない。
 菅政権のネオ・ファシズム的反動諸攻撃にたいして、日共官僚は、野党間の「選挙共闘」づくりに汲々とし、労働組合を中心として労働者・人民の大衆的決起をうながすことをいっさい放棄している。それどころか、「全労連」傘下労働組合の活動家にたいして、「野党共闘を支える敷布団中の敷布団たれ」などと、労組は市民団体(市民運動)の下働きに徹しろ、と号令しているのが、志位なのだ。まさにそれは、労組を「野党統一候補」への票集めの道具におとしめ労働組合を主体とした闘いの組織化と労働組合の階級的団結強化を投げ捨てる反階級的なシロモノ以外のなにものでもない。菅政権の反動諸攻撃にたいする闘いを、議会主義的・選挙第一主義的に歪める日共中央を弾劾せよ!
 わが革命的左翼は、こうした既成指導部の腐敗を徹底的に暴きだしつつ、菅日本型ネオ・ファシズム政権によるあらゆる反動諸攻撃に反対する闘争を、労・学両戦線からただちに創造しなければならない。
 「自助」をふりかざした貧窮人民の見殺し=棄民政策粉砕! 消費税増税阻止! 社会保障削減・切り捨てを許すな! 独占資本家どもによる大量解雇・賃下げ攻撃を許すな! デジタル技術を駆使した人民総監視=総管理体制づくりをうち砕け! 日本型ネオ・ファシズム支配体制の飛躍的強化を許すな! 憲法改悪阻止! 日米共同の敵基地先制攻撃体制の構築を阻止せよ!――これらの革命的スローガンのもとに、菅政権の反動諸攻撃を打ち砕く一大闘争を、全国・全戦線で力強く創出しよう! 菅政権の打倒をめざして、わが革マル派とともにたたかおう!
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「日本学術会議」から戦争法反対の学者を強権的に排除

ネオ・ファシストの本性をむきだしにする菅政権を弾劾せよ!

 「日本学術会議」が新会員として推薦した候補者一〇五人のうち六人の任命を、首相・菅が拒否した(十月一日)。菅は「法にもとづいて適切に対応した」と言い放ち、官房長官・加藤は、任命拒否を「変えることはない」と切って捨てた。
 見よ!「首相の任命権」をタテにして、安倍政権下の安保法や共謀罪法の制定に反対した学者の排除にうってでた菅政権の強権ぶりを。政権発足時にわれわれが間髪をいれずに暴露したとおり、菅を首班とするこの政権はネオ・ファシスト的本性をむきだしにしているのだ。
 二日に開かれた「学術会議」総会では、政府への批判と抗議の声がわきあがった。梶田隆章新会長が「学術会議は政府から独立している」と抗議を述べ、総会として「政府に六人の任命を求める」要望書を採択した。
 今回、任命を拒否された六人は、安倍政権の方針にたいして「共謀罪法案は戦後最悪の治安立法だ」「安保法制は憲法違反だ」と国会の場で反対意見を表明した学者、辺野古米軍新基地建設への抗議声明を発した学者たちであった。政府に異論を唱える者をみせしめ的に排除し、反対意見を表明する人物・団体を恫喝と脅迫で萎縮させ封殺するというネオ・ファシズム的強権をふるって統制強化にふみだしたのが、菅政権なのだ。
 菅が「日本学術会議」を目の敵(かたき)にするのは、次のような背景がある。
 日本の軍事大国化に狂奔した安倍政権は、「軍・産・学の力の結集」を呼号し、科学技術の軍事利用や兵器の研究開発に血道をあげた。二〇一五年に安倍政権・防衛省が開始した「安全保障技術研究推進制度」に協力する大学・研究機関に多額の助成金を提供し、札束をエサに科学者・研究者をからめとってきた。日本の科学者の総本山である「日本学術会議」に軍事研究を主導するように政府は圧力をかけた。当時の右派反動の「学術会議」会長がこれを積極的に受けいれ、一六年に「学術会議」はいったんは「軍事研究容認」に傾いた。日本軍国主義のアジア侵略・太平洋戦争に協力した科学者の反省を掲げた設立時の理念も、過去に発表した「軍事研究を禁じる」声明も、かなぐり捨てる寸前にまで右傾化しつつあったのが「学術会議」だったのだ。
 これにたいして、安保法制撤廃や憲法改悪阻止の闘いの高揚をわが革命的左翼を先頭としてきりひらいてきた、このただなかで、「学術会議」内で安倍政権の軍事政策に協力しないという反対意見が巻きかえした。一七年三月には、「軍学共同研究」に反対し「助成金」を使った「政府による研究への介入」を批判する声明を「学術会議」は発表し、制度への参加に釘を刺した。これによって防衛省の委託研究への大学の応募は激減した。こうした「学術会議」の抵抗≠ノ、安倍政権の中枢にいた菅は憎悪を燃やしているのだ。

NSC専制体制の強化を許すな

 「首相のもとの行政機関である学術会議について、政府が人事をおこなうのは当然」と開きなおっているのが菅政権だ。しかも官房長官・加藤は、「首相の任命」を定めた「日本学術会議法第七条」について一八年に内閣府と内閣法制局が「首相の任命拒否が認められる」と解釈がえしたと明言した。「日本学術会議」が安倍政権の戦争政策に協力しないという姿勢を明らかにした翌年に、政府は「日本学術会議」人事への介入を正当化する解釈がえをおこなったのだ。
 日本をアメリカとともに「戦争をやれる国」として強化する策動に突進する首相・菅は、政府に批判的な団体・人物を有無を言わせず排除・抹殺するという強権的攻撃をふりおろしている。「日本学術会議」を戦争翼賛組織としてくみしくためにネオ・ファシストの毒牙をむいて襲いかかっているのだ。
 まさに、戦前の滝川事件を彷彿させるではないか。自由主義思想をもつ京大教授を軍部および政府・文部省が攻撃し辞職に追いこんだ思想弾圧。これが、その後の日本が中国・アジア侵略戦争に突入していく一里塚となる事件であった。
 菅は、諸省庁の官僚にたいしても「政府の方針に反対なら異動してもらう」と恫喝してはばからない。政権の意向に沿う子飼いの人間を登用し・気にいらない人間は放逐する、この脅し≠ヌおりにすでに何人もの官僚が「左遷」され飛ばされている。かの東京高検検事長・黒川の定年延長を閣議決定し検事総長につける人事を企んだのも菅だ。内閣人事局による官僚人事権の掌握をテコとして、首相=内閣官房を頭とするNSC(国家安全保障会議)による国家行政機構の統制・支配を一段と強化しているのが、菅なのだ。
 また、首相・菅の補佐官に共同通信の現役の編集委員(元論説副委員長)を引き抜きジャーナリストを政権にとりこむ異例≠フ人事をおこなったのだ。会見で質問を浴びせる記者を徹底的に干す一方で、首相番記者をオフレコを条件としたパンケーキ朝食会≠ノ呼びマスコミを手なずける術策を弄してもいる。
 菅は、政・官・財・労・学・マスコミの<鉄の六角錐>を柱とする日本型ネオ・ファシズム支配体制を飛躍的に強化する策動に、就任早々なりふりかまわず狂奔している。政権への反対運動を弾圧することに執念を燃やし、NSC専制の強権的支配体制の強化に突進しているのが、ネオ・ファシスト菅なのだ。この輩の極反動攻撃を絶対に許すな!
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資本主義の永続的発展≠説く転向スターリニスト

 不破「恐慌の運動論」の犯罪性

 <パンデミック恐慌>の進行のもとで、資本家どもはみずからの生き残りをかけ、労働者たちを解雇・雇い止めにしたり、休業手当さえ支払わずに「自宅待機」を強制したりしている。労働者たちは怒りに燃え、解雇撤回や休業手当獲得の闘いに起ちあがっている。労働者階級にとって、いまほど闘いの思想的=理論的武器が必要とされているときはない。
 このようなときに、日本共産党の老党首&s破哲三は、マルクスは『資本論』を執筆していた一八六五年に「恐慌の運動論」を発見した。それ以後、恐慌を資本主義の必然的没落と結びつける見方を否定し、『共産党宣言』に書いた「恐慌=革命」テーゼを撤回、「強力革命論」も否定した≠ニいう主張をことあらためて吹聴している(『前衛』二〇二〇年五月号など)。マルクスは恐慌を正常な景気循環の一環≠ニ見ていたと強調することは、失業と貧困にあえぐ労働者に、貧窮からの脱却は政府の経済政策によって資本主義経済を回復させることをつうじて実現できる。「革命」など考えるな≠ニ説教するに等しいではないか。転向スターリニストの反労働者的犯罪をこれ以上許すな!
 本稿では、不破が開陳した「恐慌の運動論」なるものの批判をおこなう。

マルクスの「恐慌=革命」説≠ネる通説の右翼的否定

 マルクスは恐慌を資本主義の必然的没落と結びつける見方を否定し、『共産党宣言』に書いた「恐慌=革命」説を撤回した≠ニ不破はいう。だが、そもそも『共産党宣言』に「恐慌=革命」説なるものが書かれているのか。恐慌の勃発―→諸階級の蜂起―→労働者階級の勝利―→社会主義≠ニいうような歴史の流れ≠ェ、すなわち「恐慌=革命」説が『共産党宣言』に書かれているとみなすのがスターリン主義者の「通説」であるが、それをうのみにしてきた者たちのアタマこそが歪んでいるのである。
 『共産党宣言』においてマルクスは、恐慌とその原因とみなした「近代的生産力」を「ブルジョアジー自身に向けられている武器」と記したうえで、「この武器をとるべきはプロレタリアである」と宣言している。恐慌という客観的諸条件の認識にふまえて、共産主義者は、プロレタリアを階級として組織し・組織されたプロレタリアートを支配階級に高めよと主体的=実践論的に提起しているのである。このマルクスの実践的立場と哲学を完全に足蹴にしているのが、歴史の流れ≠ノ棹さすことをみずからの「たたかい」と考えるスターリン主義者なのである。
 〔修正資本主義に転向した日共指導部を含むすべてのスターリン主義者は、党の方針や政策を、情勢分析で描いた歴史の流れ≠ノ棹さし促進するものとして提起している。その根底にあるのは、創造も廃棄もできない社会経済法則を作用範囲を拡げたり狭めたりして利用するというスターリンの法則利用論である。〕
 不破は、そういうスターリン主義者の「通説」を受けつぎ『共産党宣言』を書いたマルクスを「恐慌=革命」説の提唱者と歪曲したうえで、マルクスはその後にその説を否定したなどと称しているのである。それは実践的には、恐慌が勃発しているもとにおいてプロレタリア革命実現のためにたたかうことを全否定するものである。これは二重の犯罪だといわなければならない。
 さらに不破は恐慌=資本主義の必然的没落説をマルクス自身が否定した≠ニ語っている。だが、不破のいう恐慌=資本主義の必然的没落説≠ニは、実のところスターリン主義者の伝統的な「マルクス恐慌論」解釈なのである。『資本論』を資本主義の生成・発展・没落の歴史≠反映したものとみなし、そのあちこちに触れられている「恐慌の可能性」とか「恐慌の一般的条件」とかについての論述を、それが「総資本=総労働」という理論的レベルにおいて書かれたものであることを無視し、マルクスの「経済学批判体系プラン」でいう「世界市場恐慌」にまで連続化する解釈をおこなったのが、かつてのスターリン主義者であった。〔さらにそれを、帝国主義の時代における世界恐慌に、そして「社会主義への移行」にまで連続させる理論化もなされた。〕
 マルクスは『資本論』において「恐慌の可能性」や恐慌勃発の「一般的条件」について論述したとはいえ、「現実的恐慌」の具体的分析は「全商業世界を一国とみなす」という経済学本質論としての『資本論』の理論的レベルにおいてはできないことを示唆していた。そして「世界市場恐慌」は国家や外国貿易などを措定した「後半の体系」の末尾において、すなわち本質論としての『資本論』とは異なる理論的レベルにおいて〔すなわち「産業資本主義段階論」にあたるものとして〕解明すべきことを明示していたのである。革命家マルクスにとって、革命運動や労働運動を前進させるためには彼がおかれた場所の政治経済分析をいわば「現状分析」としておこなう必要を認識していたといえる。
 こうしたマルクスの追求を完全に無視したのが伝統的スターリン主義者の「マルクス恐慌論」解釈であり、その錯誤をそっくり引き継いだうえでマルクスは恐慌をくりかえしながら資本主義は発展しつづけるという見方に変わった≠ネどとマルクスを資本主義美化論者にまで貶めているのが不破なのである。このマルクスにたいする冒涜を絶対に許してはならない。

(以下、見出し)

恐慌=「市場経済の調整作用の一時的撹乱」説の錯誤

「商品過剰生産恐慌」論の焼き直し

マルクス『資本論』のガイストの破壊

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「菅政権の馬毛島基地建設阻止!」
鹿大生 労組員・市民と共に起つ
9・19鹿児島
  九月十九日、JR鹿児島中央駅前広場において「戦争法強行採決五年 憲法壊すな! 9・19かごしま行動」と題した集会が開催された(主催は「憲法壊すな・戦争法廃止! かごしまの会」)。菅新政権発足から三日後のこの日、危機感に燃えた二七〇名の労働者・市民が集会に結集した。鹿児島大学のたたかう学生たちは、「反安保・反ファシズム」の闘いへの決起を参加者に熱烈に訴えたのである。
<反戦・反ファシズム>を呼びかける鹿大生
(9・19、鹿児島中央駅前広場)
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