第2665号2021年4月26日)の内容

<1面>
日米首脳会談反対の火柱 4・16

対中攻守同盟の強化反対!

 全学連 対首相官邸・アメリカ大使館闘争に勇躍決起
<3〜4面>
「日本経済の再生」を掲げての独占資本家への哀訴
 「全労連」中央の21春闘方針の反労働者性
大阪「維新」当局の「広域行政一元化条例」制定を弾劾せよ
Topics 「フリーランス」使い捨てのための政府ガイドライン
<5面>
出版21春闘の高揚を!
最後まで粘り強く闘おう

<2面>
一触即発の台湾海峡・南シナ海――米・中が軍事演習の応酬
□史上最大の陸自演習
パレスチナ人民絶滅を狙うネタニヤフ政権を許すな!
◎燃料アンモニア産業
<6面>
<パンデミック恐慌>下で腐朽を極める現代世界経済 〈下〉
 「解放」最新号



























  

日米首脳会談反対の火柱 4・16

対中攻守同盟の強化反対!


全学連 対首相官邸・アメリカ大使館闘争に勇躍決起

 
 「対中国の戦争体制構築を許すな!」バイデン政権に怒りを叩きつける
(4月16日、東京・米大使館前)
 四月十六日、首相・菅が訪米しアメリカ大統領バイデンとの初の首脳会談に臨もうとしていたそのときに、全学連のたたかう学生たちは、「日米首脳会談反対」「対中攻守同盟の強化反対」を掲げ、首相官邸とアメリカ大使館にたいする闘争に決起した。
 台湾海峡近辺に米・中が相互対抗的に軍用機や空母を送りこみ、まさに一触即発の危機が切迫しているまっただなかで開催された日米首脳会談。この会談においてバイデンと菅とは、「台湾海峡の平和と安定の重要性」(「日米共同声明」)を正面から掲げ、そうすることによって中国の台湾軍事侵攻を阻止する米日共同の軍事態勢を構築することを宣言した。これこそ、対中国攻守同盟の構築を米日両最高権力者間の合意として公然と宣言したという意味をもつ。そればかりではない。バイデンと菅とは、軍事のみならず、半導体などの戦略物資の供給網の確立、新型コロナワクチンの供給と製造など、政治・経済をも含めたあらゆる部面において日米両国家が連携し中国に対抗することをうたいあげた。まさにこの日米首脳会談こそは、バイデン政権が中国を抑えこむために世界的に構築しようとしている対中国の政治的・軍事的・経済的包囲網の中軸をなすものとして米・日の帝国主義同盟を位置づけ、「属国」日本を総動員すること を告知するものであったのだ。
 この日米首脳会談の開催に断固反対して、全学連のたたかう学生たちは、闘争放棄を決めこんだ日共系反対運動をのりこえ、唯一、闘いに決起した。全国各地で起ちあがった闘う学生たちとともに、首都圏でたたかう全学連の学生たちは、首都中枢に敵国家権力がしきつめた厳戒体制を突き破り、<日米軍事同盟の対中攻守同盟としての強化反対>の旗高く、闘いを断固としてまきおこしたのだ。

敵基地攻撃体制の構築阻止!
首相官邸に向け怒りの拳
 
 「菅政権打倒!」の鬨の声を轟かせる全学連の学生たち
(4月16日、首相官邸前)

 午前十一時すぎ、全学連の学生たちは首相官邸前に登場した。彼らは、「日米首脳会談反対! 対中攻守同盟反対! 敵基地先制攻撃体制の構築阻止!」と大書した横断幕と真紅の全学連旗を掲げ、闘争を開始した。
 「南西諸島へのミサイル配備阻止!」「日米合同の大軍事演習反対!」赤ハチマキとゼッケンをつけた全学連の闘士たちが、首相官邸にたいする怒りの拳を叩きつける。
 有木全学連委員長が発言に立ち、熱烈に訴えた。「今回の日米首脳会談は、バイデン政権が『属国』日本を従えて対中国の戦争遂行体制を飛躍的に強化することをうたいあげる場としてもたれようとしている。日・米の対中国攻守同盟の強化に反対せよ! 米・中の角逐がかつてないほどに激化し高まっている戦争勃発の危機を突き破り、今こそ反戦の闘いを雄々しく巻きおこそうではないか!」と。
 「よし!」たたかう学生たちは闘志をいっそうみなぎらせ、さらに拳を振りあげた。「辺野古新基地建設阻止!」「憲法改悪阻止!」「<基地撤去・安保破棄>めざしてたたかうぞ!」
 たたかう学生たちはまた、対中国の戦争遂行体制構築に突き進む菅政権が、首相・NSCを頂点とする強権的な支配体制をよりいっそう強化することを策して、「デジタル庁」関連法の制定に突き進んでいることにたいしても断固として反対した。
 さらに彼らは、菅政権が福島の労働者や漁民らをはじめとする全国の労働者・人民の反対を踏みにじって、トリチウム・放射能汚染水の海洋放出を決定したことを満腔の怒りを込めて弾劾した。
 「戦争・貧困・圧政を労働者・人民に強制する菅日本型ネオ・ファシズム政権を打倒するぞ!」全学連のたたかう学生たちは、菅政権の反動諸攻撃にたいする怒りを燃やしている全国の労働者・学生・人民と連帯し、菅政権打倒の鬨の声を首都中枢に轟かせたのだ。

米中激突下の戦争勃発の危機を突き破れ! 米大使館前
 つづいて全学連の学生たちは、アメリカ大使館にたいする闘争にうってでた。
 十二時三十分、赤坂のアメリカ大使館前に登場した闘う学生たちは、真紅の全学連旗と横断幕を翻し、闘争を開始した。「中距離ミサイルの日本配備阻止!」「アメリカの核攻撃体制の強化反対!」「日米核軍事同盟の強化反対!」たたかう学生たちのシュプレヒコールが轟きわたった。
 たたかう学生たちは次々と発言に立ち、「属国」日本の菅政権を従えて対中攻守同盟の強化に突き進むバイデン政権にたいする怒りを叩きつけた。
 「台湾や南シナ海を焦点として、米・中両権力者が相互に軍事挑発をくりかえし、一触即発の危機を高めていることを許してはならない! 日本を核攻撃をも含む対中国軍事攻撃の最前線拠点たらしめることを絶対に阻止せよ!」「何が『民主主義と専制主義との闘い』だ! 黒人差別やヘイトクライムが横行する社会の恥部をさらけだし、またイラクやアフガニスタンにおいて数多のムスリム人民を殺害してきたアメリカの権力者が言う『自由と民主主義』なるものは野蛮と専横の別名でしかないではないか!」
 同時に、たたかう学生たちは、尖閣諸島の「領有」策動や香港・ウイグル人民への大弾圧、ミャンマー軍政のバックアップなどの反人民的な策動に手を染めるネオ・スターリン主義中国の習近平政権を満腔の怒りを込めて弾劾した。
 たたかう学生たちは、さらにアメリカ大使館にたいするシュプレヒコールを叩きつけた。「<米中冷戦>下の戦争勃発の危機を突き破るぞ!」「米―中・露の核戦力強化競争反対!」
 こうして全学連の学生たちは、日米首脳会談に反対する闘いを、既成反対運動の闘争放棄をのりこえるかたちで、唯一、革命的にたたかいぬいた。バイデンのアメリカ帝国主義と習近平のネオ・スターリン主義中国との<米中冷戦>というべき角逐のもとで、ここ東アジアを発火点とした熱核戦争勃発の危機が急速に高まっている。まさにこの危機を突破する革命的反戦闘争の火柱を、日本と世界の労働者・人民の先頭に立って赤々と燃えあがらせたのが全学連のたたかう学生たちなのだ。
 すべての学生諸君! 労働戦線でたたかう労働者と連帯し、<米中角逐>下で高まる戦争勃発の危機を突き破る反戦の闘いに決起せよ! 敵基地先制攻撃体制の構築反対! 対中攻守同盟反対! 4・30対国会・首相官邸・米大使館闘争に決意も固く総決起せよ!
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「日本経済の再生」を掲げての独占資本家への哀訴

「全労連」中央の21春闘方針の反労働者性

T 「連合」労働貴族による春闘破壊の免罪

 「全労連国民春闘」の自画自賛

 三月十七日に自動車・電機・情報通信などの独占体経営者は、「賃上げゼロ」もしくは賃上げともいえぬ超低額の回答を、また年間一時金の大幅切り下げを傲然と提示した。許しがたいことに、「連合」傘下大企業労組の執行部を牛耳る労働貴族どもは、この実質上の賃下げ回答を唯々諾々と受け入れた。
 新型コロナ・パンデミックのもとで、夥(おびただ)しい数の労働者が資本家どもによって職を奪われ、ネオ・ファシスト菅政権の棄民政策のゆえに貧窮のドン底に叩きこまれている。菅政権と独占ブルジョアどもはいま、熾烈化する諸国家間・企業間の技術覇権・市場争奪戦に勝ちぬくために、「デジタル化と脱炭素」を叫んで日本の産業構造・各企業の事業構造の大転換に突進し、首切り・転籍・配転、賃下げ、労働強化の一大攻撃を振りおろしている。このときに労働貴族どもはこれらをことごとく受け入れ、身を挺して忠誠を尽くすことを御主人様たる独占資本家に固く誓ったのだ。彼らは今春闘を文字どおりの「国難突破・企業発展のための労使協議」にねじ曲げ破壊したのである。
 この労働貴族どもの春闘破壊のゆえに、いまも賃上げを要求してたたかいつづけている中小企業諸労組、「全労連」では民間組織の大半をなすこれらの労組は困難な闘いを強いられている。だが、この傘下労組の労働者たちのおいてある現実とはおよそ無縁に、みずからの「二一国民春闘」のとりくみをひたすら自画自賛しているのが、「全労連」中央の日共系指導部だ。
 彼らは三月十九日に提出した「二一国民春闘 後半期のたたかいに向けて」なる文書において語っている。「前半期」のとりくみにおいて「昨年並みの回答を社会的に示させた」、「全労連」の「社会的な影響力を高めてきた」のだ、と。
 「全労連」傘下の一部労組は良心的な組合員たちの奮闘によって一定程度の賃上げをかちとった。このことをあたかもみずからの指導の成果≠ナでもあるかのように誇っているのが「全労連」指導部だ。大企業の労使によって「賃上げゼロ」の相場≠ェつくりだされるなかで、「全労連」傘下の大多数の組合も低額妥結を強いられ・「ゼロ回答」を突きつけられ・回答をひきだすことさえできないでいる。このこととまったく関係なく、恣意的な評価を吹いているのだ。
 「全労連」指導部は春闘開始時には、トヨタ労組などの賃上げ要求放棄や「非開示」を「春闘の意義を否定するもの」と批判していた。だがいま、実質上の賃下げ回答を労働貴族どもが受け入れたことを批判も弾劾もしない。「連合」労働貴族の春闘破壊を免罪する以外のなにものでもない!

自民党議員らに依拠した「全国一律最賃制」のとりくみ

U 独占資本家と政府へのお願いと尻押し

 「大企業の内部留保の社会的還元」の提唱

 「サステイナブルな資本主義」への幻想の煽りたて

 「中小企業経営者との共同」の倒錯と犯罪性


 組合員を「一票」に貶める日共系指導部を許すな!

 「全労連」指導部は、もろもろの要求を実現するには「政権交代が一番の早道」と言いくるめて、組合員を日共中央がたくらむ「野党連合政権樹立」のために動員している。
 志位ら代々木の官僚どもは、労組活動家に「市民と野党の共闘」を支える「敷き布団中の敷き布団たれ」と指令してきた。「野党連合政権樹立」の主要な担い手は党執行部・国会議員団・もろもろの市民団体であって、労働組合は労組としての独自性などだすことなく下支えに徹しろというのだ。これにつき従い、傘下の役員らを選挙の下働きに駆りたてているのが「全労連」指導部だ。これこそは組合員を、日共議員候補や「野党統一」候補に支持を与えるだけのたんなる「選挙の一票」におとしめるものにほかならない。
 日共・不破=志位指導部は昨年秋に「総選挙で野党連合政権を樹立する」と大号令を発し、枝野の立民に「政権合意」に応じてもらうために、「共通政策」となるべきものを止めどなく右翼的に緻密化してきた。だが、「連合」の神津執行部が「共産党との政権協力などありえない」と喚きちらし立民・枝野執行部に猛然と圧力を加えていることにも規定されて、「政権合意」も「政策合意」も進展していない。焦りに駆られた日共中央は、いっそう立民執行部にすがりつくとともに、いっさいの大衆運動を放棄し「党勢拡大」を絶叫して、下部党員に考える間を与えることもなくひきまわしている。彼らは、菅政権の反動攻撃にたいする闘いを、ますます議会主義的・選挙第一主義的に歪めているのだ。
 わが革命的左翼は、日共中央による「連合政権」づくりの自己目的化と、それゆえの反戦反安保闘争や政治経済闘争の歪曲と放棄を弾劾し、それらの闘いを「全労連」傘下の組合深部から創造するために奮闘してきた。「全労連」指導部の歪曲をのりこえ、二一春闘を戦闘的に高揚させるために奮闘してきた。このわが闘いに触発され鼓舞されて、いま「全労連」各組合の中から良心的な組合活動家・下部党員が、指導部の羈絆を突き破って続々と造反を開始しているのだ。
 二一春闘を、「連合」労働貴族を弾劾し「全労連」指導部をのりこえて戦闘的に高揚させるために最後まで奮闘しよう。そのただなかでわれわれは、犯罪に犯罪を積み重ねてきた日本労働者階級の敵=日共ネオ・スターリニスト党の反プロレタリア性を、断固として暴きだすのでなければならない。いまこそ「全労連」傘下労組で苦闘する心ある組合員・日共党員諸君は、日共指導部・「全労連」日共系ダラ幹から決別し、わが反スターリン主義運動の戦列に結集しようではないか。
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出版二一春闘の高揚を!

最後まで粘り強く闘おう


 二〇二一春闘において、教科書共闘などの出版労連の中心的な労組は、三月十日の統一回答指定日に定昇込みわずか二%程度の前年並み回答を「評価」して妥結に踏みきった。またしてもくりかえされたこの許しがたい現実は、出版労連本部とりわけ共産党系ダラ幹による賃上げ闘争の放棄というべき方針と指導によってもたらされている。
 しかしこの既成指導部の裏切りに抗して中小労組の労働者はいまなおたたかいつづけている。「コロナ禍」とデジタル化による産業縮小≠口実とした解雇・賃下げ攻撃を許さず、大幅一律賃上げ獲得のために最後まで粘り強くたたかおうではないか。

(以下、見出し)

出版産業縮小を口実とした解雇・賃下げ攻撃

産業防衛主義にもとづく出版労連本部の闘争歪曲

賃上げ闘争を放棄し在宅勤務ルール化を押しだす本部


 賃上げ闘争の放棄

 トーハンの首切りを許したことの隠蔽と弥縫

 感染拡大下での在宅勤務ルール化の提唱

大幅一律賃上げ獲得! 菅政権打倒めざして闘おう!
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<パンデミック恐慌>下で腐朽を極める現代世界経済 〈下〉

4 財政ファイナンス突入による金融バブルの過熱

5 習近平・中国の<ドル体制>への挑戦


 IMF体制崩壊から五十年 <ドル体制>の最後的崩壊へ

 一九七一年のアメリカ帝国主義権力者による「金とドルとの交換停止」の一方的宣言にもとづくIMF体制の崩壊から五十年。金から解き放たれたドルは、変動為替相場制のもとで、事実上の国際基軸通貨として居すわりつづけてきた。一九八五年からは世界最大の借金国に転落しながらも、この没落帝国主義アメリカは、各国に「金融自由化」を迫って金融のグローバル化をおしすすめ、金の裏づけの無くなったドルを撒き散らしつづけてきた。こうすることによって、貿易赤字拡大にもとづくアメリカの消費偏重経済≠維持するとともに、実態経済から乖離した金融投機を横行させ、<貧富の差>を拡大しつつ、世界を金融的に支配してきたのである。――金の裏づけを無くしたドルおよび各国通貨を、各国金融当局は「弾力性を増した」とみなして増発し、世界の独占資本家どもは通貨それ自体を投機的取引の対象にしてきたのであり、いまや外国為替市場における通貨の取引は貿易などの実需の百倍を超えるまでに膨らんでいる。
 とりわけ一九八九〜九一年のソ連圏崩壊以後のアメリカは、<一超>軍国主義帝国として、ユーゴ空爆やアフガニスタン・イラク侵略戦争に突進すると同時に、「IT革命」を基礎にして経済のグローバル化・「金融自由化」を全世界におしつけ、ITバブルとその崩壊(二〇〇一年)、住宅バブルとその崩壊=リーマン・ショック(二〇〇八年)を間歇的にひきおこし、そのたびに金融機関や独占体諸企業への救済融資や公的資金の投入によって問題の先送りをはかってきたのであり、労働者・人民に失業と貧困を強制しつつ、金融資産バブルをますます膨張させてきたのである。
 しかもアメリカは、ドルを事実上の国際基軸通貨として維持していることを振りかざして、イランやロシアなどへの「経済制裁」を濫発し、凋落を露わにしつつもアメリカの世界支配をおし通してもきた。
 まさに、<ドル体制>にもとづく没落帝国主義アメリカのこうした金融支配をにらみつつ、中国経済がこの金融支配に組みこまれることを回避するために、「改革・開放」を急ぎながらも、種々の金融規制の緩和については慎重におしすすめてきたのが中国ネオ・スターリン主義官僚であった。けれども習近平指導部は、このかんは、アメリカの対中デカップリング策動に抗して高度技術を取りこむことを急ぎ、外資の投資規制の緩和を速めてきた。しかも国内にはこのかんの「高速成長」の裏面をなす、不動産バブルとも連動した過剰債務がいよいよ累増し、金融破綻の危機を深めている。こうしていまや習近平指導部は、中国経済にたいするアメリカの金融的影響力の増大と金融破綻の切迫に、焦りをつのらせているのであり、まさにこのゆえに、<人民元の国際化>と<デジタル人民元>の導入をテコにして、<ドル体制>を突き崩すことに突進しはじめているのだ。
 (エネルギー政策の大転換をはかる「脱炭素化」の追求もまた、<ドル体制>の基礎を揺るがすことにつながっている。「金とドルとの交換停止」によって金から解き放たれたドルは、石油取引とのリンクに支えられて国際基軸通貨の地位に居すわりつづけてきたのであって、石油から自然再生エネルギーなどへの世界的なエネルギー戦略の転換の流れは、こうしたドル基軸通貨の基礎を掘り崩すことを意味する。中国が脱石油のエネルギー戦略を世界に広めようとしているのは、<ドル体制>に風穴を開けるためでもあるといえよう。)
 習近平・中国のこうした<ドル体制>への挑戦、その加速は、没落帝国主義アメリカとの軍事的・政治的・経済的対立をさらに激化させ、世界の労働者・人民に圧政と貧困を強制するとともに、いよいよ世界金融恐慌を手繰りよせるものにほかならない。

 「社会主義」ソ連邦の自己崩壊から三十年。<パンデミック恐慌>下において露わとなったのは、まさしく<階級分裂>にもとづく<貧富の差>の拡大であり、社会的分断の深まりにほかならない。こうした事態こそは、ソ連邦崩壊に凱歌をあげた帝国主義諸国権力者・独占資本家どもが、市場経済万能主義にもとづく経済のグローバル化に突進してきたことの帰結いがいのなにものでもない。ブルジョア権力者は、「社会主義」に対抗して労働者階級の「体制内化」をはかるための社会保障政策や労働政策をもはや不要とみなして次々と切り捨て、独占資本家どもは安価な労働力を求めて海外進出を進め、国内では首切り・賃金切り下げ・非正規雇用への切り替えなどありとあらゆる攻撃を労働者の頭上にふりおろし、強搾取に狂奔してきたのだ。
 しかもいま、コロナ・パンデミック下でのデジタル化の加速によって、多くの労働者が労働現場からますます放逐され、残った労働者たちは超低賃金でAIに酷使される存在へと突き落とされつつある。あまりにも数多の労働者・人民を失業と困窮に突き落としているがゆえに、搾取欲にとりつかれた独占資本家どものなかからさえも、「持続可能な資本主義への転換」が言いだされはじめているほどである。この腐蝕にまみれた末期資本主義の現実を根底から覆すために、いまこそスターリン主義の反マルクス主義的本質をあばきだして真のマルクス思想を甦らせ、労働者階級の階級的団結をインターナショナルにつくりだすのでなければならない。

《目次》
1 <貧富の差>のさらなる拡大
2 実態経済の危機の跛行的深まり
 (第二六六二号)
3 米中激突を基軸とする<経済の半ば開かれたブロック化>の攻防
 (第二六六三号)
4 財政ファイナンス突入による金融バブルの過熱
5 習近平・中国の<ドル体制>への挑戦
  
IMF体制崩壊から五十年 <ドル体制>の最後的崩壊へ
 (本号)

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