第2671号(2021年6月7日)の内容

<1〜2面>
6・13-20労学統一行動に起て

 反改憲・反戦反安保の奔流を!
<3面>
五輪開催に狂奔し「ワクチン接種加速」を叫ぶ菅政権

「日米仏合同演習阻止!」
 鹿大生がえびの現地闘争 5・15
<4面>
JAM
機械金属資本家の賃下げ・首切り攻撃を許すな
<5面>
春闘破壊に頬被りする「連合」指導部を弾劾せよ
Topics 郵政・新中期経営計画――
3万5000人の人員削減を許すな
◎仲間のために≠スたかいたい
<6面>
万華鏡2021――情勢の断層を読む
◆第2の南シナ海=H
◆仮想通貨をめぐる狂騒
■『新世紀』最新号(第313号)紹介
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号





























  

6・13-20労学統一行動に起て

日共の反安保の放棄を弾劾し反改憲・反戦反安保の奔流を!

 すべてのたたかう労働者・全学連の学生諸君! わが同盟は呼びかける。来る六月十三日と二十日、首都・東京をはじめとする全国各地における労働者・学生統一行動に、すべての職場・学園から総決起せよ! 菅政権による憲法改悪・日米軍事同盟強化の攻撃を打ち砕け! 政府・独占資本による労働者・人民への犠牲強制に反対する闘いに起て! 菅政権を打倒することをめざしてたたかおう!
 五月二十八日、首相・菅は東京・大阪をはじめとする九都道府県を対象に発していた緊急事態宣言の実施期間を六月二十日まで再延長することを発表した。
 この再延長によって、これまでにも増して夥(おびただ)しい労働者・人民が困窮のどん底に突き落とされている。だが菅政権は、職や住処(すみか)を失い日々の生活を送ることができない労働者・人民にたいして、そして休業・廃業を余儀なくされる店舗にたいして、なんら補償をおこなっていない。菅の頭には、みずからの政権の延命をかけて東京五輪を実現することしかないのであって、困窮のどん底にある労働者・学生にたいしては貧しき者はのたれ死ね≠ニ棄民政策をとりつづけているのだ。反人民性をむきだしにする菅政権を断じて許すな!
 すべての労働者・学生諸君! 困窮人民を切り捨て見殺しにする菅政権に弾劾の嵐を浴びせかけよ!「コロナ不況」を口実とした独占資本による首切り・賃下げを断じて許すな!
 そしてわれわれは訴える! 菅政権は六月十六日の今国会会期末までに国民投票法改定案を参院において採決することを企んでいる。「戦争放棄・戦力不保持」を謳った日本国憲法第九条の破棄と首相に非常大権を与える「緊急事態条項」の創設とを柱とする憲法大改悪に道をひらこうとしているのだ。そればかりではない。菅政権は、反基地運動や原発反対運動の破壊のために土地利用規制法なる弾圧法をも制定しようとしている。これらの反動立法を絶対に阻止するために、すべての労働者・学生はただちに起ちあがれ! 空前の規模で実施されている日米共同の大軍事演習に断固反対せよ!「日米攻守同盟反対」の反戦反安保の闘いの大爆発をかちとれ!
 総選挙に向けての立憲民主党との「野党共闘」にうつつをぬかす日本共産党・不破=志位指導部の議会主義的闘争歪曲をのりこえ、反戦反安保・反改憲の闘い、政府・独占資本の労働者・人民への犠牲強制を打ち砕く闘いの全国的な高揚をかちとれ! 労働者階級・学生の実力で菅日本型ネオ・ファシズム政権の打倒をめざしてたたかおう!
 すべてのたたかう労働者・学生は、6・13―20労働者・学生統一行動に総決起せよ!

困窮人民に「自助」を迫る菅政権の打倒をめざして決起せよ!

 緊急事態宣言の期限の再延長に追いこまれた首相・菅は、「これからの三週間で感染防止とワクチン接種の二正面作戦で成果をだす」などといってのけた。だがこの「二正面作戦」なるものは、七月二十三日に予定されている「東京五輪の開幕」にこぎつけるというみずからの「成果」を手にせんがためのもの以外のなにものでもない。
 感染対策を放棄し困窮人民に「自助」を迫る菅政権にたいする労働者・人民の怒りが噴出し、政権支持率は急落している(『毎日新聞』の調査では三一%)。こうした労働者・人民の怒りにつつまれている菅政権は、「オリンピックが始まれば雰囲気はガラリと変わる」(自民党幹部)などとほざきながら、みずからの延命、ただそれだけのために東京五輪の「開催」に向けての準備を遮二無二おしすすめているのだ。
 菅は、感染爆発に見舞われている沖縄・北海道をはじめ変異ウイルスの感染が全国的に拡大しているこのときに、そして医療が逼迫しているこのときに、東京五輪に参加する実に九万人もの選手・関係者を全世界各地から日本に招きいれるだけでなく、五輪会場に観客を入れようとさえしている。さらには、パブリック・ビューイング会場を各地の公園のみならず「対面」での授業やサークル活動が制限されている大学キャンパスにも設置しようとしている。そして、医療労働者から囂々(ごうごう)たる非難・反対の声が巻き起こっているにもかかわらずこれをふみにじって、「医療現場から毎日五〇〇人の医師・看護師を出せ」などと号令している。突如として菅が発した「七月末までの高齢者への接種完了」という号令によって、政府からワクチンの運搬・接種の体制づくりを丸投げされている医療機関・自治体は大混乱にたたきこまれている。そのうえ五輪のために医療従事者を供出せよなどというのは、まさに狂気の沙汰ではないか! 政権を延命させるというみずからの利害のために、感染爆発と全国的な医療崩壊をもたらす「東京五輪開催」を許すな!
 そしてわれわれは訴える! 貧窮人民を見殺しにする菅政権を断じて許してはならない!
 いま夥しい労働者やアルバイト学生が、資本家どもによって解雇されたり・出勤時間や回数を極端に減らされたりしている。解雇と同時に住処を奪われた労働者、日々の食事に事欠いてフードバンクに毎日のように並んで食糧の配給を受け飢えをしのいでいる労働者や学生が数知れない。
 困窮を極めている人民にたいして、菅政権は、政府として生活補償をすることを頑として拒否している。「自助」を叫びたてながら、貧困に苦しむ人民を徹底的に切り捨てているのだ。まさに棄民政策以外のなにものでもないではないか。
 新型コロナ・パンデミックのもとで需要が落ちこんだ観光・飲食・宿泊・交通などの資本家どもは、みずからの生き残りをかけて、労働者に首切り・一時帰休・賃金カットを無慈悲に強いている。そして、製造業やIT産業の独占資本家どもは、現下のパンデミックを奇貨として、「脱炭素化」「デジタル化」に向けての事業構造の再編を一挙におしすすめている。非正規雇用労働者をはじめとする数多の労働者の首を切り、業績回復期≠ノおいても決して雇用を増やすことなく「生産性の向上」をがなりたてながら労働者に長時間・超強度の過酷な労働を強いている。資本の生き残りのために、一切の犠牲を労働者に強制しているのだ。
 そして菅政権は、「ポスト・コロナ」時代に向けて日本の産業構造を一挙に再編してゆくために、「日本の成長の新たな源泉はグリーンとデジタル」と叫びたてながら、「脱炭素」の技術開発やデジタル技術開発をおこなう諸企業を支援し、「生産性が低い」とみなした中小企業を一挙に淘汰しようとしているのだ。
 まさにこのような菅政権の支援に支えられた大独占体の資本家どもによる大量の首切り攻撃と、中小・零細企業の倒産・廃業によっていま、多くの労働者が路頭に投げ出されているのだ。そして労働者に犠牲を転嫁した資本家どもは、パンデミックのなかで膨大な富を蓄えているのだ。
 コロナ・パンデミックのなかで、貧しき者はますます貧窮化し富める者どもはますます富んでいる。いまむきだしとなっているのは、「古典的階級分裂」「古典的貧困」なのだ。今こそすべての労働者・学生は怒りに燃えて、労働者に犠牲を強制する資本家どもとそれを支える菅政権にたいする断固たる闘いに起ちあがるのでなければならない。
 すべての労働者・学生諸君! 新型コロナウイルスの第四波の感染拡大をもたらし、労働者・人民を困窮のどん底に突き落としている張本人である菅政権にたいして、怒りに燃えて決起せよ! 労働者・人民をふみつけにしながら、憲法改悪への道をひらき・さらには日米合同の大軍事演習に狂奔している菅政権。デジタル庁の創設や反対運動破壊をも狙っての土地利用規制法の制定など強権的=軍事的支配体制の強化に突き進む菅政権。この菅日本型ネオ・ファシズム政権を打倒することをめざして、いまこそ職場・学園から総決起しようではないか!

以下、見出し

憲法改悪・対中攻守同盟強化に突き進む菅政権

台湾・南シナ海・朝鮮半島を焦点とする米・日―中の角逐

菅日本型ネオ・ファシズム政権打倒めざして闘おう!

<米中冷戦>下の戦乱勃発の危機を突き破れ!


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五輪開催に狂奔し「ワクチン接種加速」を叫ぶ菅政権

医療・自治体労働者への犠牲強制を許すな

東京五輪開催に盲進
 菅政権は五月二十八日に、東京・大阪などに発出してきた第三回の緊急事態宣言をふたたび延長した。
 当日の記者会見において菅は、「安全安心の大会」なるフレーズをくりかえし、東京オリンピックを何がなんでも開催する意思を傲然と表明した。そのために菅は、「感染防止とワクチン接種の二正面作戦」と言いながらも、いっさいを「ワクチン接種の拡大」に賭けて、各省庁・自治体にその「加速」を大号令している。労働者・人民の怒りに包まれ政権支持率の急落に見舞われているこの政権は、みずからの延命=今秋の総理・総裁再選を賭けて東京五輪開催強行に突進し、これに感染対策のいっさいを従属させているのだ。
 感染爆発のこのときに、全世界から大選手団やその関係者、報道陣などを、さらにバッハなど五輪に多大の利権をもつIOC関係者を呼び寄せてオリンピックを強行する、まさに狂気の沙汰だ! オリンピックを開催しさえすれば支持率は浮揚し・再選を果たせるのではないかという願望にしがみつく菅は、そのためにも「有観客試合」にこだわり、「パブリックビューイング」(広場やホールなどに大画面をしつらえ、何千人もの観衆を動員する)という「三密」を創出しようとさえしている。IOCの権威≠笠に着て、選手のみならずすべての関係者にワクチンの優先接種をおこない、毎日のPCR検査を――検査を受けられない人民がいまも大量に存在しているのを余所(よそ)に――施そうとしている。これに要する医療関係者は、公称の「一万人」を大きく上回るにちがいない!
 東京五輪開催をただちに中止せよ! 反人民性をむきだしにする菅ネオ・ファシスト政権を労働者・人民の総力を結集し打倒しよう!

混乱を倍加する大規模接種の開始
 首都圏も京阪神圏も感染者数は高止まりし、医療体制は極度に逼迫している。変異株の蔓延にも規定されて、感染拡大は北海道・沖縄・愛知・福岡など全国各地で深刻化している。
 この事態に直面させられて菅は、ただ五輪開催を保障するという動機のもとに、遅れに遅れてきた「ワクチン接種」の促進をガナリたてているのだ。
 六十五歳以上の高齢者のうち、これまでに二回のワクチン接種を完了した人はわずか〇・六%でしかなく、OECD(経済協力開発機構)諸国では最下位だ(五月二十六日現在)。これこそは、ワクチン開発を国家として主導することを放棄し国産ワクチン開発を頓挫させたばかりか、先進諸国間で「ワクチン争奪戦」が激化することを予測することもなく・この争奪戦に完全敗北した結果だ。
 この愚策には頬被りを決めこみながら菅政権は、政府が先頭にたって接種拡大に努めているかのようにおしだすために、急きょ自衛隊を実行部隊として東京と大阪に「大規模接種センター」をたちあげた(接種開始は五月二十四日)。いざという時に頼りになる自衛隊≠アピールし、現行憲法「第九条」への自衛隊明記の機運を高めることをも意図しながら。政府につつかれて各都道府県当局もまた、それぞれに「大規模接種所」の開設を急いでいる。
 だが、政府・都道府県・市区町村と接種=予約体制が三とおりになることによって、「二重予約」などが頻発している。ただでさえ激務を強いられてきた各自治体の現場は、いたるところで大混乱がうみだされている。自衛隊の大規模センターで先に接種を済ませてしまったので、市区町村での予約当日に会場に現われない予約者が続出している。それゆえに、各市区町村会場では、ワクチンが余ってしまい・その対応のために自治体労働者が忙殺されているのだ。このような大混乱は、みずからが接種体制づくりを丸投げしてきた各市区町村が接種手続きを開始した以降になって、急きょ「大規模センター」開設をうちだし強行した、菅政権の泥縄的対応によってこそうみだされたものなのだ。各自治体では混乱を回避するために、「二重予約」を摘出し・それを取り消すなどの新たな激務を、自治体労働者らが強いられているのだ。

各自治体への「七月末完了」のゴリ押し
 菅は四月二十三日に「高齢者接種七月末完了」、五月七日には「一日一〇〇万回接種」という数値目標(オリンピックまでに高齢者の接種を終わらせるという、菅にとっての必要≠ゥら逆算したものだ! 五月末になっても接種数は一日五〇〜六〇万回)をぶちあげ、各省庁・自治体・医療機関に下達した。この無理難題を押しつけられて、ワクチン配布の遅れのゆえに接種体制とスケジュールの変更につぐ変更を強いられたあげくに、ようやく高齢者接種を八〜九月までにおこなう体制をつくり募集を開始していた自治体などから、「とてもムリだ」と不満・反発が噴出した。
 自治体当局者の抵抗≠ノたいして菅政権は、各市区町村の首長らから「七月完了」の誓約≠とりつけるために強権をふりかざした。担当省庁の厚労省だけでなく自治体を統括する総務省の役職者らが、「地方交付税交付金」削減の脅しをチラつかせて電話での要請=恫喝をくり返したのだ。
 こうした菅政権・総務省に強圧をかけられた自治体当局者によって、各自治体の労働者に業務の押しつけが熾烈を極めているのだ。

医療関係者のワクチン接種への総動員
 菅は傲然と言い放った。「インフルエンザでも一日六〇万回打っている」のだから「一日一〇〇万回接種」は十分可能だ、と。こうした権力者然とした命令のもとに、自治体や医療機関の当局者にいっさいの責任をおっかぶせ、傘下の医療従事者らをワクチン接種に駆りたてているのが、菅政権なのだ。
 ファイザー社製にせよ・モデルナ社製にせよ、未知の副反応に対処するために、事前の問診や接種後の経過観察(最低十五分)が欠かせない。またインフルエンザの皮下注射より接種がむずかしい筋肉注射である。これらのゆえに、コロナウイルス・ワクチンの接種には、より多くの人員と高い技術性・技能を要する。一年以上にわたって極限的な長時間労働と感染の危険のもとでの重労働を強制されてきた医療従事者らに、さらなる激務を強要しているのだ。医療体制を拡充することも・その待遇を改善することもいっさい無視してきた菅政権、この連中がいま、オリンピックに大量の医療従事者を駆りだすとともに、「ワクチン接種の加速」の名のもとに医療労働者にさらなる犠牲を強制しようとしているのだ。
 ワクチン接種体制づくりをネグレクトしてきた菅政権は、接種にあたる医師や看護師の絶対的不足をつきつけられるや、これをのりきるために、泥縄的に歯科医師や彼らのいう「潜在看護師」(現在は医療に従事していない看護師有資格者)、研修医を動員せよと号令している。さらに、救急救命士や臨床検査技師、理学療法士、薬剤師をもわずかな期間の研修を施しただけで動員しようとしている。全国的な感染爆発のもとでのこれらの職種の労働者の現状などとは無関係に、ただただ上から動員指令を発しているのが菅政権なのだ。それは、医療労働者たちにいっそう苛酷な労働を強いる以外のなにものでもない。

改憲、ネオ・ファシズム支配体制強化への突進を許すな!
 「経済優先」と「オリンピック第一」をむきだしにして感染対策を放棄し、飲食や宿泊などの中小業者には補償なき休業や時間短縮を強制し、困窮する労働者・人民には生活補償を何ひとつおこなうことなく貧窮の淵に叩きこんできた菅政権。この極反動政権にたいしていま、労働者・人民の怒りが――わが革命的左翼のあらゆる戦線での闘いに支えられて――沸騰している。(菅政権の政権支持率は日増しに急落している。)
 この政権と自民党の反動分子どもはいま、医療体制の拡充が進まないのは、また欧・米諸国のようにロックダウンなどの強い措置≠とれないのは、「政府に権限がないからだ」などと言い放ち・居直っている。これに乗じて、憲法に「緊急事態条項」を新設する必要性をここぞとばかりに叫びたてているのだ。菅政権・自民党は、野党をまきこんで今国会で国民投票法改定を強行し(すでに衆院を通過)、憲法改悪に一挙に突き進もうとしているのだ。
 菅政権は、この新型コロナ・パンデミックをみずからの支配体制の強権的強化に活用することに腐心してきた。新型コロナ感染爆発のなかで劇的に露わになった日本の政府および大企業の「デジタル化」の決定的後れ、これを逆手にとって彼らは「デジタル改革関連法」制定を強行し、「行政のデジタル化」(国民総監視=総管理体制を飛躍的に強化するものだ)と「経済・社会のデジタル化」(GAFAやBATHが跳梁するアメリカや中国のようなICT産業中心の産業構造の創出)を一挙にすすめようとしている。感染症法への罰則規定の新設、入管法の改悪など、治安弾圧体制強化をこの機に乗じて強行しようとしてきた。このネオ・ファシスト政権の暴虐を絶対に許すな!

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春闘破壊に頬被りする「連合」指導部を弾劾せよ

「中小組合の賃上げの流れは継続」なる春闘総括の欺瞞

 二一春闘は、わが戦闘的・革命的労働者の奮闘にもかかわらず、「連合」指導部および大手組合労働貴族どもの裏切りによって、またしても各社において超低額の賃上げ回答で妥結・終結させられようとしている。
 ところが、この二一春闘の妥結結果について「連合」指導部は、「コロナ禍においても中小組合の賃上げの流れは継続」などと意義づけ宣伝している。「連合」本部は、四月六日に「第三回の回答集計結果」について記者会見を開き、「第三回集計で中小組合の賃上げ率が全体を上回るのは、二〇〇〇年闘争以降では初めて!」などと発表したのだ。記者からその要因を質問された会長・神津は、「手前味噌になるが、私どもが分配構造の転換をこれだけ力を込めて言っているからだ」と、あけすけに自画自賛したのである。
 しかし、この日、公表された「連合」の賃上げ交渉の妥結集計結果においては、定期昇給相当分込みの賃上げ額は、「連合」全体で五四六三円(昨年比二九八円減)、賃上げ率は、一・八二%(昨年比〇・一二%減)。これにたいして三〇〇人未満の中小組合は、賃上げ額が四六三九円(昨年比一六九円減)、賃上げ率一・八四%(昨年比〇・〇九%減)という結果であった。全体も中小もいずれも賃上げ額・率ともに二年連続の低下であり、二〇一四春闘以降では最低の水準となっているのだ。それにもかかわらず、「連合」指導部は、全体と中小組合の賃上げ率だけをとりだして中小の方がわずかに上回っていることに飛びつき、企業規模間の「格差是正」の取り組みの大成果のようにおしだしたのである。
 ところが、四月十五日付の第四回集計結果および五月十日付の第五回集計結果においては、中小組合の賃上げ率が全体よりも低下したのだ。「格差是正」の根拠が破綻した「連合」指導部は、そのことには口をつぐみ「中小組合の賃上げの流れは継続」などとなお強弁しつづけたのである。
 そもそも第三回集計結果にしても、中小組合の賃上げ率が全体を上回ったのは、一〇〇〇人以上の大手組合の賃上げ率が一・八一%(昨年比一・一二%減)と極めて低かったことによるものだ。これは、大手組合がベースアップ要求を放棄したり、超低額回答で早々に妥結したりしたことによるものであり、本来はその責任をこそ総括すべきなのだ。これを棚上げにして「格差是正の成果」などとおしだすなどというのは厚顔無恥もはなはだしい。しかも、定昇分込みで二%にも満たない超低率の中小組合の「賃上げ回答」を「分配構造の転換」が進んだかのように言いなすのは、低賃金に苦しむ労働者を馬鹿にするものでしかない。

賃金格差拡大と労働者分断を加速させる二一春闘方針

 「連合」指導部が「中小組合の賃上げ継続」などと強弁するのは、大手組合労働貴族どもがベースアップ要求を放棄し、そうすることによって、春闘を敗北に導いたことを隠蔽するためなのだ。彼らが二一春闘方針において重点的にとりくむとした「格差是正」のための「分配構造の転換につながりうる賃上げ」という方針は、賃金調査による平均所定内賃金額をもとに目標とすべき賃金水準(三十歳二五万六〇〇〇円など)を定め、それを基準に賃上げ要求とするというものである。これは賃金水準が相対的に高く平均値以上を示す大手組合のベースアップ要求については放棄することを大前提とし正当化するものでしかない。これをもって「連合」指導部は「賃金水準闘争」などといいなしているのだ。しかし、この「連合」の方針に従って要求方式を転換した中小組合は極めて少なく、大半がその受け入れを拒んだのだ。
 しかも「連合」指導部は、中小企業労働者や非正規雇用労働者の賃金水準を一律に引き上げることを求めているわけではなく、「めざすべき賃金水準」を「一人ひとりの働きの価値に見合った賃金」と位置づけ、その実現を求めているにすぎない。それは、人事考課にもとづいて「仕事・役割・貢献度」に応じて賃金を決定する、という経団連が提唱する人事・賃金制度の導入に呼応するものであり、より一層の労務管理の強化を労働組合の側から要求するものでしかなく、賃金格差の拡大とそれによる労働者の分断とをより加速させるものなのだ。
 そもそも「連合」指導部は、二一春闘方針において、わずかばかりのベースアップ要求すらも事実上投げ捨て、むしろ「コロナ禍という国難に労使が協調して立ち向かう」などと政府・独占資本家に媚びを売ってきたのだ。実際、トヨタ労組をはじめとする大手組合労働貴族は、賃上げ要求を放棄して春闘を企業の生産性向上・競争力強化に向けた労使協議に解消したのであった。労働貴族どもがこうした春闘破壊に手を染めたことにより、中小組合の多くは、例年以上に厳しい賃上げ闘争を強いられている。逆風に抗して粘り強くたたかう中小組合の労働者の奮闘を上から抑圧しつづけているのが「連合」指導部にほかならない。
 われわれは、「連合」指導部による春闘破壊を許さず、各職場から大幅一律賃上げ獲得をめざして二一春闘をたたかいぬかなければならない。そのただなかで、労働貴族どもが牛耳る「連合」の脱構築を目指して傘下労働組合の戦闘的強化のために全力で奮闘するのでなければならない。

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最新号紹介

新世紀


The Communist
第313号
2021年7月
 

<パンデミック>下の解雇・賃下げ攻撃を打ち砕け!


日米の対中攻守同盟強化反対の指針を鮮明に提起

 政権延命のために「東京五輪」開催にしがみつきコロナ感染拡大と医療崩壊を促進している菅政権。この反人民性をむきだしにする末期のネオ・ファシスト政権を打ち倒すためにたたかっているすべての労働者・学生・人民諸君に本号をおくる。
 ◆巻頭の「日米首脳会談―対中攻守同盟強化の宣言」(無署名)は、四月のバイデン・菅会談の歴史的意味を鮮明にしている。日米両権力者は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認し「日米同盟を新たにする」と共同声明に明記した。まさしく両権力者は、日米軍事同盟を対中攻守同盟として強化することを公然と宣言したのである、と。
 「<米中角逐>下で高まる戦争勃発の危機を突き破れ!」(中央学生組織委員会)は、日米の対中攻守同盟強化と中国の軍事力増強に反対する革命的反戦闘争を創造せよと呼びかけている。いま台湾海峡、東シナ海、南シナ海を焦点にして米・日と中国の一触即発の危機が高まっているもとで、本論文は力強く訴える。いまこそ「反安保」「反ファシズム」も投げ捨てた日共中央をのりこえ、反戦反安保・改憲阻止の闘いの大爆発をかちとろう。同時に、全国のキャンパスから、パンデミック下で困窮する学生を見捨て切り捨てる菅政権に反撃する闘いをまきおこそう、と。
 ◆本号は「<パンデミック>下の解雇・賃下げ攻撃に抗して」と題する一大特集を組んだ。わが革命的・戦闘的労働者が、大幅一律賃上げ獲得をめざし、日本労働者階級の反転攻勢をかちとる決意をみなぎらせてたたかいぬいた今春闘の指針ならびに教訓をうち固める諸論文を掲載した。
 「国難突破≠フ労使協議への春闘の解消を許すな」(無署名)は、賃上げゼロ・低額妥結への怒りに燃え、「国難突破と産業・企業の持続的成長のための労使協議≠ノ春闘を歪曲する」労働貴族を弾劾せよと呼びかけている。経団連が語る「サステイナブルな資本主義」への幻想を煽り、資本家に「内部留保」の「社会的還元」を懇願する「全労連」ダラ幹の犯罪性を暴き批判しているのが、「『日本経済の再生』を叫ぶ『全労連』中央」(磐田龍二)である。「全労連」傘下組合の良心的組合員や下部日共党員にたいして、日共系ダラ幹と決別し、わが革命的左翼の戦列に結集しともにたたかおうと本論文は熱く訴える。
 NTT、JCM、電機、私鉄、出版、郵政の各戦線にガッチリと根をはり奮闘している労働者たちが執筆した春闘の指針と低額妥結を弾劾する論文を掲載した。労働者に重犠牲を強いるトヨタ新「職能給」と日本製鉄の一万人削減に反対する二つの論文をあわせて検討されたい。
 ◆「多くの労働者・人民をどん底の生活に突き落としつつ、一握りの資本家・『富裕層』が金融資産のコロナ太り≠ノ沸きたっている」。この世界経済の現実を怒りをこめて分析しているのが、「<パンデミック恐慌>下で腐朽を極める現代世界経済」(茨戸薫)である。米・中の激突を基軸として北米・EU・アジアの三極を中心としつつ米・中・独・日が入り乱れての<半ば開かれたブロック化>の攻防が激化している世界経済の構造を明らかにしている。
 ◆菅政権・独占資本家による原発再稼働拡大と原発新増設を阻止することを呼びかけるとともに、菅政権の「福島復興」策の反人民性を弾劾する四本の論文を同時に掲載した。
 闘いの武器として本号を大いに活用されたい。

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「霧島での日米仏合同演習阻止!

5・15  鹿大生えびの現地闘争 
 五月十五日、鹿児島大学のたたかう学生たちは、宮崎県えびの市の陸自霧島演習場ゲート前において日米仏合同演習「アーク21」に反対する現地闘争に起ちあがった。
「国内初の日米仏合同演習反対!」降りしきる雨を衝いて鹿大生が霧島演習場ゲート前に決起(5月15日、正午すぎ)
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