第2683号2021年8月30日)の内容

<1面>
カーブル陥落――アメリカ軍国主義帝国の敗走
 
米中冷戦下の戦争的危機を突き破れ
8・10沖縄
「辺野古新基地建設阻止!」
 県学連が連続闘争に決起
<4面>
「中華民族の偉大な復興」を叫び対米対抗に突進
 中国共産党創立百周年習近平演説
<2〜3面>
国際反戦集会を全国で実現
 沖縄集会東海集会関西集会 8・1
<5面>
日本製紙釧路工場が製紙事業から撤退 大リストラ攻撃弾劾!
◎中期防の前倒し改定
Topics 経済同友会の「経済安全保障」提言
<6面>
第59回国際反戦集会
 海外からのメッセージ B
 ロッタ・コムニスタ(イタリア)
 ボリビア国際主義労働者社会主義同盟―FLTI(ボリビア)
 ラスエラス争議被告労働者と家族・友人の会/政治犯解放国際ネットワーク(アルゼンチン)
 「解放」最新号






























  

カーブル陥落――アメリカ軍国主義帝国の敗走

米中冷戦下の戦争的危機を突き破れ


 アフガニスタンのイスラム武装勢力タリバンが、アメリカ傀儡のガニ政権軍を駆逐しつつ、わずか九日間で全国の三十四州都と首都カーブルを制圧した(日本時間、八月十六日)。タリバンはただちに、イスラム法にもとづくタリバン主導政権の樹立に着手している。
 二〇〇一年十月のアフガン空爆の開始いらい実に二十年、この「対テロ戦争」という名のアメリカ軍国主義帝国のアフガニスタン侵略戦争とカルザイおよびガニの傀儡政権をおしたてての占領支配は、アメリカ帝国主義の敗北=タリバンの勝利をもってここに終結の時を迎えた。
 殺到した群衆を振り落とし蹴散らして敗走する米軍輸送機が強引に飛び立つさまは、一九七五年にベトナム戦争で敗北した米軍が南ベトナム政府軍を見捨ててサイゴン(現ホーチミン)から逃走したあの姿の再来でなくてなんであろう。また、ムスリムの怒りに脅えて米大使館員やCIAの連中が書類を処分して逃げだしたさまは、一九七九年のイラン・イスラム革命とテヘラン米大使館占拠事件にさいしてのヤンキーどものうろたえぶりの再現にほかならない。
 タリバン軍は米軍の完全撤退に向けて用意周到に準備しながらカーブル制圧に突き進んだ。全三十四州の農村部での支配をうち固め、国境地帯の交易ルートをおさえた。もってガニ政府を兵糧攻め≠ノし、みずからは税金を取りたてるなどして資金を獲得したのだ。しかもタリバンは、地方の軍閥=各部族の長を次つぎとみずからの陣営に獲得してきた。これを基礎にして、八月に入るや三十四州都を次つぎに制圧し、ついには首都カーブルの無血開城≠勝ちとったのだ。
 タリバンがカーブルを制圧するまでには三ヵ月はかかるだろうなどとタカをくくっていたバイデンの「予想」に反して、タリバンはわずか九日間で全土を制圧した。このタリバンの猛攻に周章狼狽したバイデンは、八月十六日の第一声で、「アフガン政府軍は戦わずして崩れ落ちた。われわれは必要な装備品を提供し、給料も払ってきた。彼ら自身が戦う意思のない戦争を米軍は戦うべきでない」などと、この無惨な敗北をすべてアフガン政府軍のせいにして開き直った。そのうえこの男は、「米軍撤退の判断を後悔していない。われわれの目的は国づくりではなかった」などと強弁した。米軍占領下でカルザイやガニを首班とした傀儡政権をおしたて、ヤンキー式の「民主主義国家」なるものをアフガニスタン民衆に押しつけてきた徒輩のなんたる鉄面皮!
 このバイデン政権の惨状をあざ笑っているのが、中国ネオ・スターリン主義権力者とロシア権力者にほかならない。カーブル陥落を確認した中国・習近平指導部は、公然と「米国の覇権凋落の弔鐘が鳴る」と勝ち誇ってみせた(八月十六日の「新華社国際時評」)。
 まさにタリバンによる権力奪取こそは、――わが同盟がすでに明らかにしてきたように(本紙第二六八一―八二号)――中・露両権力者の政治的・経済的支援にささえられて可能となったものにほかならない。アフガニスタンから早期に撤収し、中国の台湾武力侵攻に備えて東アジア地域に兵力を集中するというバイデン政権の目論み、これを打ち砕きバイデン政権が東アジア地域にのみ注力することができないようにするために、中国・ロシアの両権力者は相呼応しながら、西アジア=アフガニスタンにおいてタリバンの猛進撃をバックアップしたのだ。
 アメリカ権力者がおしたててきたアフガン傀儡政権のあっけない倒壊をまえにして、中国外相・王毅は言い放った。「外国のモデルを歴史文化も事情も違う国に無理矢理あてはめてもうまくいかない。アフガン情勢はそのことを改めて証明した」と。ロシア外相ラブロフも「米国の最大の失敗は、数百年にわたる地域の伝統を無視し、民主主義と呼ぶ自分たちの規範をアフガン人にも押しつけたことだ」と、中国と同様に、アメリカ的価値・諸制度の上からの押しつけこそアフガンの「失敗」の根源だと嘲笑したのであった。
 アメリカ帝国主義のこの惨めな敗走は、老いぼれ大統領バイデンの度しがたい無能を全世界に曝けだしただけでなく、アメリカ権力者が企んできた対中国での「同盟再興」の追求を根底から揺るがし、もって米・中(露)の冷戦的激突を一気に激烈化させるにちがいない。
 「カーブル陥落」に象徴される米軍の完全敗北。これこそは、アメリカ帝国主義の二十年におよぶアフガニスタン・イラク・そしてシリアでの「対テロ戦争」なるものの全面的破綻を、それだけでなく、すでに露わになっていたソ連邦の自己崩壊以後の「一超」世界支配の歴史的崩落を、まさに全世界に告げ知らせるものにほかならない。
 アメリカ帝国主義の金融的・軍事的中枢を射抜いた二〇〇一年の9・11ジハード自爆攻撃。このムスリムの挑戦に逆上したアメリカ権力者は、同年十月にアフガン空爆を開始していらい、「テロとの戦争」の名のもとに、大量破壊兵器のデイジーカッターやMOAB、バンカーバスターなどを雨あられのごとくに撃ちこみ、ムスリム人民にたいするジェノサイドを強行した。このアメリカ帝国主義のジェノサイドにたいするアフガン民衆の怒りは、世代を超えて充満している。まさに空爆と占領支配によって蹂躙され荒廃させられたアフガニスタンの大地は、いまやアメリカ軍国主義帝国の墓場となったのである。

タリバン主導政権樹立をバックアップする中・露

二十一世紀の覇権をかけた米中の激突―今こそ反戦の闘いに起て!
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 8・10沖縄

「辺野古新基地建設阻止!」

 
県学連が連続闘争に決起

 
在沖米軍司令部のあるキャンプ瑞慶覧の石平ゲート前で抗議闘争に
決起する沖縄県学連の闘う学生たち(8月10日)
 
  自民党県連に抗議する沖縄県学連(8月10日、那覇市)
 八月十日、沖縄県学連のたたかう学生たちは、米軍石平(いしんだ)司令部と、自民党沖縄県連にたいする抗議闘争に勇躍決起した。グローバルな対中国の包囲網形成に必死となるバイデン政権は、対中国の最前線に位置する在日・在沖米軍の強化に狂奔してい るのだ。このバイデン政権に安保の鎖で締めあげられている菅政権は、辺野古新基地建設の埋め立て工事を加速させている。同時に菅政権は、みずから招いた感染爆発のただなかで東京五輪開催を強行し労働者・学生・人民にさらなる犠牲を強制している。いまこそ極反動の菅政権をうちたおせ! たたかう学生たちは日・米両政府への怒りを燃やしてたちあがったのだ。
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「中華民族の偉大な復興」を叫び対米対抗に突進する習近平

――中国共産党 創立一〇〇周年演説


「民族復興」への献身と「党のもとへの結束」の呼号

 こんにち新型コロナ・パンデミックのもとで、アメリカから二十一世紀世界の「覇者の座」を奪取せんとしているネオ・スターリン主義国家中国の習近平政権と、日本や欧州の同盟諸国にすがりながら対中国の包囲網形成に躍起になっている没落帝国主義アメリカのバイデン政権とが、軍事・政治・経済などのあらゆる部面で激突している。その焦点が台湾であり、米・中両国は相互対抗的に核戦力の強化に突進し、軍事行動を展開しているのだ。
 アメリカ・バイデン政権との熾烈な角逐をくりひろげている中国・習近平政権のその足もとでは、経済危機が深刻化し、貧窮に苦しむ労働者・人民の不満が爆発寸前にまで膨れあがっている。こうした<内憂外患>に直面している習近平指導部が、アメリカとの激突に備えて全党員・全人民を党中央のもとに結束させるために開催したのが、「中国共産党創立一〇〇周年祝賀大会」(七月一日、天安門広場)であった。
 この大会の演壇から習近平は呼号した。二〇四九年までにアメリカを凌駕する「社会主義現代化強国」にのしあがるという国家戦略の実現のために全党員・全人民は奮闘せよ、と。この演説において習近平は、第一に「中華民族の偉大な復興」をシンボルとする中華ナショナリズムを煽りたてた。第二には「台湾問題の解決は党の歴史的任務」であると称して、みずからの手で台湾併呑をやりとげる意志を公言したのだ。そして第三には、対外・対内の諸困難をのりきる「カギ」は「党にある」と強調して、「党の全面的指導の堅持・強化」をがなりたてたのである。

中華ナショナリズムの煽りたて

 習近平は言った。「『教師面』をした居丈高な〔人権・民主主義の〕お説教は断じて受け入れない」、「もしも外部勢力が中国をいじめ、奴隷にしようとするならば、一四億余の中国人民が血と肉で築いた鋼の長城に打ち砕かれる」と。
 習近平は一八四〇年のアヘン戦争後に中国を侵略した帝国主義列強と今日のバイデンのアメリカとを二重うつしにして民族主義的な怒りをかきたて、アメリカへの断固たる対抗を宣言したのだ。同時に、かつての抗日戦争や国共内戦を戦った中国共産党の先人に倣い、アメリカにうち勝つために全人民・全党員は血と肉をすすんで捧げよ≠ニ呼号したのである。
 こうして帝国主義列強の支配・抑圧とたたかった過去≠人民に想起させただけではない。習近平は「強国」となった今日の中国および「五〇〇〇年の文明の歴史をもつ中華民族」の偉大さを誇示してみせた。「偉大な中国(中華民族)」を復興し世界の中華たらしめる=\―このような内実の中華ナショナリズムを煽りたてたのである。ウイグル・チベット人民の「中華民族」=漢族への同化、台湾の併呑、そして南シナ海全体の領有を狙う膨張主義的策動。これらに人民を動員するためにこそ習近平は、「民族の復興」をシンボルとする中華ナショナリズムを煽りたてているのである。

台湾併呑の宣言

 演説の締めくくりにおいて習近平は、「台湾問題の解決」=台湾併呑が「中国共産党の歴史的任務」であると強調した。アメリカから「世界の覇者」の座を奪うために、西太平洋に面し対米の軍事的攻防の焦点の位置にある台湾を、そして世界一の半導体生産拠点でもある台湾をみずからのもとに併呑するという野望を、習近平は「党の歴史的任務」として明らかにしたのだ。これを権威づけるために習近平は、台湾の「解放」=併呑をもって「祖国の完全統一」を達成すると宣言した建国時の毛沢東の遺訓をみずからが成就するかのように語っているのである。
 もとより台湾直近の福建省と浙江省の党指導部を歴任し台湾の親中派を抱きこんだり「海上民兵」を組織したりしてきた習近平は、中国では台湾併呑工作の第一人者と目されている。この男が「台湾問題の解決」を「党の歴史的任務」と公言したことは、この任務の完遂まで党総書記=国家主席に居すわる意志の表示であり、みずからの任期中に台湾併呑をなしとげることの宣言でもある。
 蔡英文政権が独立を企てたりアメリカが独立を使嗾したりしたとみなしたならば「祖国分裂阻止」の名において躊躇なく武力侵攻する、と習近平はあらためて公言した。バイデン政権による台湾への軍事的・政治的の援助を「核心的利益の侵害」と声高に非難し、台湾にたいする軍事的威嚇行動をくりかえしている北京官僚政府は、同時に台湾軍事侵攻にそなえて対米・対日の核軍事力も増強している。これこそ、みずからの国家的利害を貫徹するためには東アジアを核戦争の劫火で焼きつくすこともいとわない中共ネオ・スターリニスト官僚の反人民性と言わずしてなんと言うべきか。

「党の全面的指導」の強調

 演説の全編にわたって習近平は「党の全面的指導の堅持」をがなりたてた。全国・全地方、全企業・諸団体に張りめぐらせた党組織の末端までが党中央の指導に応えて動け、すべての人民はこの党の指導に忠実に従え、と絶叫したのだ。
 「党の指導」への感謝と献身を習近平は人民にむかって説教した。列強の侵略を終わらせたのも、人民の生活を「衣食足りない状態」から小康(ややゆとりある)に向上させたのも、中国をGDP世界第二位の大国に成長させたのも、すべて党の指導の成果であり「中国共産党がなければ新中国もなく、民族の復興もなかった」のだと。
 さらに習近平は毛沢東の再来≠ニしてみずからを権威づけることに腐心した。一九四九年十月一日に毛沢東が建国を宣言したのと同じ場所にひとり中山服を身にまとって立つという見え透いた演出を凝らしたり、みずからを毛沢東の直接的後継者と描く党史を開陳したりというように。
 こうして毛沢東の後光でみずからと党中央の権威を高めることに腐心し、「党の全面的指導の堅持」をがなりたてたのが習近平であった。<外>には中国を「戦略的競争相手」とみなして挑むバイデンのアメリカとの激突。<内>には新型コロナ感染爆発とアメリカの制裁とのゆえの経済危機によって窮乏を強いられている労働者・人民の政府=党にたいする怒りの蓄積と、上から下まで拝金主義に犯された党=政府の腐敗と荒廃。こうした<内憂外患>をのりきるためにこそ習近平は、「党の全面的指導」の名による官僚専制支配体制の強権的強化に躍起になっているのである。

以下、見出し

アメリカとの激突に備えての国内支配体制の強化

 貧窮にあえぐ労働者人民にたいする監視・弾圧の強化

中国ネオ・スターリニスト党の犯罪を暴きだせ!
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国際反戦集会を全国で実現 8・1

 沖縄集会
 八月一日に、沖縄のたたかう労働者・学生たちは、国際反戦沖縄集会を実現した。今春夏の反戦闘争や労働運動を創意的に展開してきた闘う労働者・学生たちは、<パンデミック恐慌>と戦乱勃発の危機を断固として突き破るために、米中激突の最前線・沖縄から反戦反安保の火柱を赤あかと燃えあがらせる決意をうち固めたのだ。
「辺野古新基地建設阻止! 改憲阻止!」闘う決意を固める沖縄の労・学
(8月1日、那覇市)
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 東海集会
 東海地方のたたかう労働者・学生は、八月一日に、名古屋市の東別院ホールにおいて国際反戦東海集会を断固としてかちとった。会場には、パンデミック下の歴史的激動のただなかで職場・学園から新たな闘いを切り拓いてきた仲間たちが意気軒昂として結集した。すべての労働者・学生が、プロレタリアの新たな時代を切り拓く使命感を燃えたぎらせて、革命的反戦闘争の大爆発を誓ったのだ。
東海のたたかう労働者・学生は春期闘争の教訓をうち固め闘いのさらなる前進を決意
(8月1日、名古屋市)
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 関西集会
 八月一日、関西地方のたたかう労働者・学生は、大阪市中央公会堂において、第五十九回国際反戦関西集会を成功的に実現した。<米中冷戦>下の戦争的危機を突き破り、新たな時代を切り拓く決意を燃えたたせたのだ。
新たな時代を切り拓く決意に燃え拳をあげる関西のたたかう労働者・学生
(8月1日、大阪市)
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