第2684号2021年9月6日)の内容

<1面>
断末魔の菅政権を打倒せよ!
 新型コロナ感染爆発下での労働者人民切り捨てを許すな
<4面>
DX推進と一体の能力主義教育の再編強化を許すな
<2面>
アメリカ中距離ミサイルの日本全土への配備阻止!
◎マクロンのタヒチ訪問
<3面>
対中国の「電子戦」体制づくりを急ぐ菅政権
◎中・露が善隣友好協力条約を延長
F35Aの小松基地配備を阻止せよ!
<5面>
医療崩壊を招いた菅政権による自宅療養の強制
Topics 金属独占体への全面協力を宣言するJCM労働貴族
<6面>
第59回国際反戦集会
 海外からのメッセージ C
 <フランス>
 第4インター書記局/青年連絡委/第4インター再建組織委員会
 「解放」最新号


























  

断末魔の菅政権を打倒せよ!


 新型コロナ感染爆発下での労働者人民切り捨てを許すな

感染拡大と医療崩壊をひきおこした菅政権の大罪

 菅政権による新型コロナウイルス感染対策の放棄と東京五輪の開催強行のゆえに、いま日本中が感染拡大の「第五波」に叩きこまれている。新規感染者が全国で連日二万数千人超、東京都では五〇〇〇人にのぼっている。重症者は二〇〇〇人を超え十七日連続で過去最多を更新した。自宅療養者は一一万人を超え、病院にも搬送されずに死亡する人が続出している(八月二十九日現在)。この感染爆発・医療崩壊をひきおこした張本人は、首相・菅とその政権にほかならない。
 東京五輪を開催すれば感染爆発と医療体制の崩壊は必至だという専門家の制止と多くの人民の反対とをふみにじって、菅政権はみずからの政治的延命のためにのみ、この巨大イベントを強行したのだ。
 この政権は、「五輪と感染拡大の因果関係はない」と強弁し、今またパラリンピックの開催に突入している(八月二十四日から)。しかも、政府と東京都・小池当局は、パラリンピック観戦に小・中学生を大量に動員し、クラスターを発生させている。
 菅政権が医療機関・労働者への支援をまったく放棄したことによって、いまや医療崩壊は一挙に進行し、このゆえに数知れぬコロナ感染者が入院もできず自宅療養を強いられ命の危機にさらされているのだ。医療従事者・労働者はみずからが感染しかねない危険と緊張がはりつめる過酷な労働現場で日夜、患者の治療・看護を担い苦闘している。保健所などの自治体労働者はワクチン接種の手配、自宅療養者の安否確認などの業務に忙殺されている。また飲食店などは、緊急事態宣言のもとで次々と閉店・休業に追いこまれ、解雇やシフト削減を強いられた労働者は貧窮と生活苦に呻吟している。
 ところが、なんとあろうことか、「明かりははっきりと見えはじめている」「他国と死者の数を比べると明らかだ」(二十五日の記者会見)などと、みずからが招きよせた爆発的な感染拡大と医療崩壊の犯罪を傲然と居直ったのが首相・菅なのだ。なんという鉄面皮な言い草か!
 政府は、八月二十七日から緊急事態宣言を八道県に、まん延防止等重点措置を四県に、追加実施した(期間は九月十二日まで)。じつに三十三都道府県に緊急事態宣言・重点措置が発令された。この全国的な感染爆発をひきおこした最大の元凶が、菅政権の反人民的で犯罪的なコロナ対策であることは歴然としている。
 医療現場の深刻な危機は、専門家の警告や医療労働者の訴えを政府が傲岸にはねつけ、物資補給・財政援助・人員確保の手立てを何ひとつ講じなかったことのゆえにうみだされた。
 ある自治体では当局が人員補充をしないがゆえに保健所・自治体労働者が十数人で一〇〇〇人を超える自宅療養者に毎日電話で安否確認を担当せざるをえない事態に追いこまれている。労働者じしんが過労死ラインを超える長時間の過重労働を強いられている。これは政府が感染対策を地方自治体に丸投げしてきたことのゆえだ。
 にもかかわらず、菅政権は全国の病院にたいして「コロナ患者を受けいれろ」などと上から命令を発し、コロナ病床を拡大しない病院名を公表すると脅しをかけているのだ。医療崩壊がもたらされているのは患者を受けいれない医療機関のせいだとでもいうのか! まさにそれは、みずからが招きよせた病床不足・医療体制の崩壊をのりきるために「重症者にかぎる」という入院治療の方針転換をうちだした政府にたいする人民の怒りの矛先をかわすための狡猾な術策にほかならない。中等症患者は入院させず自宅療養とするというこの政府の方針にたいして、「酸素吸入が必要な中等症患者を家で看るのはありえない」という労働者・人民や専門家の非難が澎湃とまきおこり、政府はなしくずし的にこの方針を修正≠オた。
 菅は口を開けば「ワクチンが切り札」とくりかえし、接種加速を号令してきた。だが、「一日一〇〇万回の接種にむけたワクチンを確保」などという政府の宣伝とは裏腹に、早々に「ワクチン確保」の失敗は露呈し、全国の自治体・医療施設、地域・職域接種の会場が受付中止を余儀なくされる大混乱をひきおこした。これを「自治体が在庫をためている」などとウソ八百を並べたて責任転嫁したのが菅政権だ。
 全国的感染爆発をみずから惹起しておきながら、菅は「若者が外出自粛を守らない」だの「飲食店が時短に応じない」だのと若年層や一部の事業者を悪者≠ノしたてあげている。飲食店には、「時短営業」「酒類の提供禁止」を強制し、要請に従わない業者にたいして店名を公表し金融機関に取引停止を働きかけると恫喝したのが菅政権だ。
 菅は今ごろになって感染力が強いデルタ型変異ウイルスの出現のゆえに感染爆発がもたらされたかのようにほざいているが、そもそもインド由来の変異ウイルス・デルタ株の出現については専門家が今年初めから再三再四にわたってくりかえし警鐘を乱打していたではないか。これを傲然と蹴飛ばして、オリンピックや聖火リレーを強行し、首都東京をはじめ全国に変異ウイルスをまん延させたのはいったい誰なのだ! 日本全土を感染爆発の嵐に叩きこんだのは、菅よ、お前ではないか!

(以下、見出し)

「自助」をふりかざし休業・生活補償を拒否する反動政権

「台湾有事」に備えた対中臨戦態勢構築を許すな!
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DX推進と一体の能力主義教育の再編強化を許すな

中教審答申「個別最適な学びと協働的な学び」なるもの

 二〇二一年一月、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的学びの実現〜」と題する「答申」を発表した。
 初等・中等教育にかんするこの中教審答申は、「一斉授業方式中心」のこれまでの学校教育を抜本的に改め、個々の子どもの「資質・能力」に応じた成長をうながす「個別最適な学び」と「社会を形成していく上で不可欠」な「人間同士のリアルな関係づくり」を身につけさせる「協働的な学び」とを統一的に実現するべきだ、とおしだしている。その核心は、従来の日本の教育をば、「みんなで同じことを、同じように」を「過度に要求してきた」ものととらえ、子ども一人ひとりの特性や学習進度の違いにもとづく「個に応じた指導」(=「指導の個別化」「学習の個別化」)を基軸としたものにICTの活用を基礎として抜本的に切り替えていく、とうちだしているところにある。
 これは、従来の画一的な偏差値教育は「正確に早く」という効率重視の「工業社会」にみあったものだったが、いま求められるのは「自ら関心を広げ自発的に学ぶ、多様性を重視した自律的な学び」であるとする、独占資本家どもの要求に応えようとしたものである。日本の政府・支配階級は、いわゆる第四次産業革命における米・中・独などへの立ち後れを挽回せんとして、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を叫び立てている。彼らは、このDXを推進するために、ICT技術を身につけ新たな産業・技術・サービス・商品を創造することができる人材――「愛国心」をもった「STEAM人材」――を育成する教育の推進を渇望している。この独占資本家階級の教育要求に応えて、「Society5.0」時代にふさわしいものへと教育制度・内容の大再編をなしとげるために提起されたのが今回の中教審答申である。(この「答申」においては、アメリカとともに「戦争をやれる」国ニッポンにふさわしい「愛国心」を涵養する道徳教育=国家主義教育は、すでに進められているものとして大前提にされている。)
 「答申」をうけて文科省は、教育ビッグデータやAIなどのICT技術を最大限に活用するこの教育改革を実現するために、小中高生への一人一台の端末の提供や小中高全校の情報通信基盤を整備する「GIGAスクール構想」をうちだし、それを急ピッチで現実化しつつある。(文科省は、児童生徒と教員の個人データを自動的・継続的に収集している。これは菅日本型ネオ・ファシズム政権によるデジタル国民監視網づくりの一環をもなしている。)
 そうすることによって、文科省・中教審は、教育労働者を「ICT活用指導力」の習得・向上に駆り立て、さらなる長時間労働といっそうの労働強化を強制しているのだ。革命的・戦闘的教育労働者は、「子どものためのICT教育」の代案を文科省に対置するにすぎない既成教組指導部をのりこえ、教育労働者にさらなる負担を強制する教育のICT化に反対する闘いを創造しよう。そして教育のネオ・ファシズム的再編に反対する闘いを構築しよう。

(以下、見出し)

1 「個別最適な学び」とは何か

2 「新学習指導要領の着実な実施」の強調

3 教育労働者への高強度・長時間労働の強制

4 「ICTの有効な活用」を対置する既成指導部をのりこえ闘おう!
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アメリカ中距離ミサイルの日本全土への配備阻止!

 東アジアとりわけ台湾をめぐる習近平中国との軍事的角逐が熾烈化するなかで、アメリカのバイデン政権は、核弾頭も搭載可能な中距離弾道ミサイルの日本全土への配備にのりだそうとしている。
 このかん中国は、南シナ海の領海化≠おしすすめるとともに、中距離弾道ミサイルを中国の内陸部や沿岸部の各基地に大量に配備して、在日米軍基地などの米軍基地群や接近する米空母を撃破しうる軍事態勢をつくりだしてきた。
 この中国に対抗してアメリカのバイデン政権は、台湾周辺海域や南シナ海に空母打撃群を展開させるとともに、新型中距離ミサイルの開発をおしすすめ・これをフィリピンから日本の南西諸島にかけての「第一列島線」上に、さらに日本全土に配備する準備を進めているのだ。そしてこれと一体的に、自衛隊ミサイル部隊の強化をおしすすめているのが日本の菅政権だ。
 バイデン政権による新型中距離ミサイルの日本全土への配備を阻止せよ! 日米の対中攻守同盟強化を許すな!

(以下、見出し)

MDTFを中軸とした対中ミサイル網の構築

「空母キラー」配備を進める中国軍への対抗

日本列島・南西諸島の対中最前線拠点化を許すな
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対中国の「電子戦」体制づくりを急ぐ菅政権

日本列島への「電子戦部隊」の配備

 防衛大臣・岸は、「電子戦」(電磁波を使った戦い)の専門部隊を二〇二三年度をめどに陸上自衛隊与那国駐屯地(沖縄県)に新たに配備することを正式に表明した(八月三日)。菅政権・防衛省は、東京の陸自朝霞駐屯地に「電子作戦隊」なる司令部を設置し(二〇二一年度末まで)、中国・ロシアを包囲する形で北海道から南西諸島にいたる十ヵ所以上に「電子戦部隊」を配備する計画を発表し、すでに部隊配備を開始している(三月)。すなわち、――
 @中・露両軍司令部の通信状況を常時傍受・掌握するために、中・露全土を大きく覆う形で北海道の留萌から九州の健軍(熊本県)までに「列島の弧」と呼ぶ遠距離対応の電子戦部隊(短波を使用)を配備する(健軍駐屯地には今年三月配備済み)。A同時に「台湾有事」における戦闘にそなえて中国軍の戦闘機や艦船、部隊の通信を掌握するために、対馬から沖縄本島―与那国までを対中国の最前線と位置づけて「南西の弧」と呼ぶ近距離対応の電子戦部隊(超短波・マイクロ波などを使用)を配備する。
 この「南西の弧」には、来年三月までに沖縄本島の陸自知念分屯地に二十名の司令部を置き、那覇駐屯地に数十名規模の「第三〇一電子戦中隊」を配備する。また二〇二三年度末までには与那国駐屯地にも電子戦部隊を配備する、としている。彼らは、今年三月熊本健軍駐屯地に導入した最新の「車載式ネットワーク電子戦システム(NEWS・一機八七億円)」を南西諸島の陸自基地にも次々と配備しようと目論んでいるのだ。
 中国が「台湾有事」にそなえてサイバー戦・電子戦を任務とする「戦略支援部隊」をいっそう強化していることに危機感を抱くアメリカ・バイデン政権は、中国による「電子戦とサイバー戦」を組みこんだ「ハイブリッド戦闘」に対抗する体制を構築しようと狂奔している。その一環に日本国軍の「電子戦部隊」を深ぶかと組み入れることを策している。菅政権は、これに全面的に応えて日本全国に、とりわけ対中国の最前線の南西諸島に電子戦部隊を配備しようとしているのだ。われわれは、これを断じて許してはならない。

(以下、見出し)

日米共同の「マルチドメイン作戦」の体制づくり
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医療崩壊を招いた菅政権による自宅療養の強制

 菅政権によるオリンピック開催強行のゆえに、新型コロナウイルス感染症の患者は増加しつづけ、いま東京をはじめ全国各地で、感染爆発と医療崩壊の危機に見舞われている。菅政権は、みずからの責任に頬被りしたまま「災害級の事態」であり「自分で身を守る段階」などと称して、労働者・人民にたいしてさらなる病苦と困窮の犠牲を強いようとしている。われわれは、これを断じて許すわけにはいかない。
 いま、新型コロナウイルスはインド由来の変異ウイルス・デルタ株にほぼ置き換わり、東京都の感染モニタリング指標である新規感染者数、入院患者数、重症患者数、PCR検査件数および陽性率、「救急搬送困難事例」(東京独自の指標)の件数は、日々増加の一途をたどっている。「入院・療養等調整中」を含め、自宅療養を余儀なくされている都内の患者は三万五〇〇〇人(一都三県では八万人)を超え、「救急搬送困難事例」(総務省消防庁のまとめ)は昨年同期の二・二倍にのぼっている。
 呼吸困難のため入院を必要とする患者でさえほとんどが入院できず、一部の人は酸素濃縮器による酸素吸入を受けながら、自宅での療養を余儀なくされている。しかも、死の危険を感じ救急車を呼んでも搬送先が見つからず、自宅での療養のまま亡くなる患者が相次いでいる。患者が呼吸困難のために意識が薄れがちになりながら救急車を呼んだものの、救急隊が六時間にわたって一〇〇以上の医療機関に問い合わせても搬送先が見つからず、自宅での入院待機(=自宅療養)を余儀なくされたこともあったと報じられている。都内では、八月はじめの一週間だけで十名以上の患者が自宅で急変し、治療を受けられないまま命を落としている。
 このように自宅療養患者が増えつづけている状況において、政府・厚労省は、新型コロナウイルス感染者の入院を制限することをうちだした(八月二日)。これまでは肺炎をともなう「中等症」以上に加えて、「軽症」であっても重症化リスクをもつ患者の一部も入院対象としていたのであった。この入院の適用を「重症患者と重症化リスクの高い患者に限る」と変更することを、首相・菅が突如発表したのだ。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身にたいしてさえもまったく相談もなくなされたこの「入院制限」の発表にたいして、現場の医療従事者、自治体関係者、野党のみならず与党の一部からもいっせいに「撤回すべき」との声が吹きあがった。当初菅は、仏頂面をして撤回に応じようとしなかったが、「入院制限反対」の声が高まり内閣支持率も低下するのを目の当たりにして、この方針のなしくずし的修正に走った。菅は、「入院制限」策の撤回も謝罪もいっさい表明することなく、「酸素投与が必要な者」は入院対象となることを認め、「〔入院適用は〕最終的には医師の判断」などと称して、幕引きを図ったのである。

八万人を上回る首都圏の自宅療養者
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