第2693号(2021年11月8日)の内容

<1面>
日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化に反撃せよ!
那覇
 辺野古新基地建設を阻止せよ!
 対中臨戦態勢強化に反撃
 10・17沖縄労学統一行動
<4面>
ネオ・ファシズム政権を支える労働運動への転換
 「連合」2022〜23年度運動方針
<5面>
Topics 労働者の苦境から乖離した「連合」の「未来づくり春闘」方針
熱海土石流災害は人災だ!
 「乱開発」と残土投棄を放置した政府
<6面>
岸田政権の汚染土「再利用」・原発推進を許すな!
□破綻を重ねる核燃料サイクル政策
<3面>
各地で10・17労学統一行動
 大阪に<反安保>の火柱
 九州防衛局に怒りの拳 福岡
<2面>
国際短信
 アルゼンチン・トヨタの「労働改革」を打ち砕け
 「解放」最新号




























  


日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化に反撃せよ!


 十月三十一日におこなわれた衆議院選挙において、日本人民は、岸田自民党による「絶対安定多数」(二六一議席)の確保を許してしまった。「自由と民主主義の政権か、共産主義が入った政権かの体制選択選挙だ」などとがなりたてた自民党にたいして、「限定的な閣外協力だけだ」とか「根も葉もないデマだ」とかの防衛的対応をくりかえしてきた立憲民主党と日本共産党は、それぞれに議席を減らして惨敗した。
 コロナ感染者減少の間隙をついて人民の反発が高まらぬうちに総選挙をしかける、というあくどい賭けにうってでた岸田は、この野党の犯罪的な対応に助けられて、「勝利」を宣することができた。そしてなによりも、総選挙直前に組織内候補を引きおろして自民党に手をさしのべたトヨタ労組の労働貴族、彼らに象徴される「連合」内右派労働貴族の自民党への公然・隠然たる協力によって、この結果はもたらされたのだ。
 この結果に岸田は、「政権選択選挙で国民の審判を得た」などとほざいている。日共の腐敗と労働貴族の反労働者的立ちふるまいによってもたらされたこの事態は、日本型ネオ・ファシズム支配体制のさらなる強化を意味する。
 すべてのたたかう労働者・学生は、この事態にたいする憤激をバネとして、岸田自民党政権のネオ・ファシズム的反動攻撃にたいする断固たる反撃の闘いをただちにつくりだそうではないか! 日共をはじめとするすべての野党と「連合」指導部の反労働者性はいまや赤裸々に露わとなった。いまこそ、すべての労働者・学生・人民は、わが革共同革マル派とともに、岸田政権の打倒をめざして前進しよう!

自民党と大同小異の政策宣伝に終始した立民・日共

 自民・公明の与党は、小選挙区制のしくみを活用して二九三議席を奪いとった。これにたいして立民は十三も議席を減らし(九十六議席)、日共も二議席を減らした(十議席)。他方で真正ネオ・ファシスト党たる維新が議席を四倍増した。
 この事態は、安倍・菅いらいの自・公政権にたいする人民の不満の多くが、立民・日共への幻滅のゆえに、維新への投票として吸収≠ウれたことを意味する。とりわけ比例区において、このことは端的にしめされた。
 このような立民と日共の敗北は、いわゆる「野党共闘」を前面におしだした両党が、岸田自民党のしかけた「体制選択選挙」の罠にはまりこんで、「政権担当能力」なるものを空語的に叫びたて、岸田政権と大同小異≠フ政策の宣伝に終始したことの帰結にほかならない。
 選挙期間中に惹起した中・露の艦隊による日本一周≠フ軍事的威嚇行動や北朝鮮の新型ミサイルの連続的発射――このような事態を眼前にして、「日米同盟の強化」と・それを基礎にしての「ミサイル防衛」や「防衛費倍増」を叫びたてたのが、自民党であった。これにたいして、「日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障」を前提としての「専守防衛」の代案≠対置したのが枝野の立民であり、この立民からソデにされないように、「安保反対」を徹底して封印したのが、日共志位指導部であった。
 経済政策をめぐっても、岸田が敷いた「成長と分配の好循環」という土俵のうえで、自民党と五十歩百歩の「分配重視」を空叫びしたにすぎないのが立民なのだ。
 コロナ・パンデミック下で資本家によって数多の労働者が解雇され路頭に放りだされている。生活する糧を失い、食料配布の列に並んで飢えをしのがざるをえない人民が激増している。このような労働者・人民がたぎらせている自民党政権への憤懣とは無縁なところで、「政権担当は可能だ」などと宣伝していた立民・日共の指導部は、怒れる労働者・人民から完全に見放されたのだ。

自民党の過半数維持に加担した「連合」労働貴族弾劾!

 岸田自民党の過半数維持という事態は、同時に、選挙過程での「連合」やJCの労働貴族の犯罪的な立ちふるまいによってもたらされたものにほかならない。
 自動車総連の最大労組たる全トヨタ労連は、総選挙直前に組織内議員に不出馬を表明させ、もって選挙区での自民党候補の当選を助けるという挙にでた。このトヨタ労働貴族を先頭にして、JCメタルや電力総連などの右派労働貴族は、日共との協定で「野党統一候補」となった立民の候補にたいしての支援を拒否し、選挙区によっては自民党候補を半ば公然と応援したのだ。「連合」会長・芳野は、選挙結果について、「立民の共産党との共闘で、連合組合員の票が行き場を失った」などとうそぶき、立民執行部に「しっかり総括せよ」と迫っている。
 この芳野は、岸田が創設した「新しい資本主義実現会議」という政府会議に、岸田の招請に応じて参加した。そのことによって「連合」指導部は、首相・NSCの専制的支配体制――日本型ネオ・ファシズム支配体制の今日的姿態としてのそれ――の機構のなかにがっちりと組みこまれた。その彼らは、今次総選挙において立民・共産連合の敗北=自民党政権の存続≠フためにこそ狂奔したのだ。
 いまや日本型ネオ・ファシズム政権を支える労働運動≠ヨの道に公然と踏みだしたのが、「連合」指導部とその傘下の民間大産別労働貴族なのだ。労働組合員をネオ・ファシズム政権の尻押し部隊として売り渡した労働貴族を徹底的に弾劾せよ!

岸田政権による大軍拡と憲法改悪の攻撃を打ち砕け

 「総選挙で国民の信任を得た」とうそぶく岸田は、獲得した「絶対安定多数」の議席を盾にして、いま一大軍拡と憲法改悪にうってでようとしている。
 今回の総選挙は、台湾を焦点とするアメリカ・日本と中国との軍事的角逐がこれまでにないかたちで熾烈化するただなかにおいておこなわれた。中国軍の威嚇的な軍事行動や北朝鮮のミサイル発射を奇貨≠ニして、岸田自民党は、新たな国家安全保障戦略・防衛計画の大綱・中期防の策定、軍事費の対GDP比二%=一〇兆円規模への大増額、「相手領域内での弾道ミサイル阻止」=敵基地攻撃体制の構築、AI兵器の開発などを列挙した「選挙公約」を極右の高市につくらせ、それを大宣伝した。いまやこの「公約」を実現するときだ、と叫んで、一大軍拡にうってでようとしているのが、岸田政権なのだ。
 コロナ・パンデミックをも契機として熾烈化した米・中の冷戦的激突のもとで、この政権は、台湾の「完全統一」にむけて攻勢をしかける習近平の中国を封じこめるために、バイデン政権の要求に応えて日米共同の対中国戦争遂行体制を一気に強化しようとしている。
 岸田は、選挙中に「日本が価値観の対立の最前線にある」と叫んだ。この男は、中国を軍事的に包囲するために「専制主義にたいする民主主義の戦い」の名において日米軍事同盟と米英豪軍事同盟(AUKUS)とをリンクすることを策しているバイデン政権にあくまでもつき従うという意思を表明した、というだけではない。「アフガン撤退」にしめされたバイデン式のアメリカ第一主義≠ノ、「台湾有事」に際してアメリカから日本が見捨てられるのではないか、という底知れぬ不安に岸田は襲われているのだ。まさにそれゆえに彼は、安倍=高市が強力に主張する「敵基地攻撃能力保持」や「防衛費倍増」を、みずからの政権の使命≠ニして強行しようとしているのである。
 それとともに岸田政権は、憲法第九条の破棄と緊急事態条項の創設を柱とする憲法大改悪にいよいよのりだそうとしている。自民党タカ派の別働隊である維新の議席拡大によって、衆議院内の改憲賛成派は改憲発議が可能な三分の二を超えた。「連合」内右派労働貴族にコントロールされた国民民主党もまた、「改憲論議」に加わる姿勢をおしだしている。今が正念場だ。
 憲法改悪を絶対に許すな! 敵基地先制攻撃体制の構築・軍事費大増額を断固として阻止せよ!「台湾有事」に備えての日米共同の対中国臨戦態勢の構築を許すな! 日米軍事同盟の対中国グローバル同盟としての強化に反対しよう!

 すべての労働者・学生・人民諸君! 日共中央と「連合」労働貴族の腐敗を弾劾し、反戦反安保・改憲阻止の闘い、そしてコロナ不況≠口実とした独占資本家によるデジタル合理化≠ニ首切り・賃下げ攻撃を打ち砕く政治経済闘争に日本全国で起ちあがれ! 安倍・高市ら真正ファシストに羽交い締めにされた岸田日本型ネオ・ファシズム政権の打倒をめざしてたたかおう!
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ネオ・ファシズム政権を支える労働運動への転換

「連合」二〇二二〜二三年度運動方針


 「連合」第十七回大会(十月六日)で選出された新会長・芳野友子は、首相・岸田の招請に応えて、首相直轄の「新しい資本主義実現会議」に、その「有識者」メンバーとして参加した(十月二十六日第一回開催)。首相を議長とし、主要閣僚と経営者三団体の代表などで構成されるトップ・レベルの政府会議。それに「連合」代表が正式参加したというこの事態は、「連合」芳野指導部が、首相・NSCを頂点とする専制的支配体制――日本型ネオ・ファシズム支配体制の今日的姿態としてのそれ――の機構の中にがっちりと組みこまれたことを意味する。かくしていまや「連合」は、ネオ産業報国会としての本性を赤裸々にして日本型ネオ・ファシズム政権を支える労働組合ナショナルセンター≠ニして変質させられようとしているのだ。
 すべてのたたかう労働者は、政府・自民党に公然と抱きついた「連合」指導部のこの歴史的大犯罪を弾劾し、「連合」の脱構築をめざして奮闘しようではないか!

一、自民党政権に抱きついた芳野新指導部

 第十七回大会は、「連合」指導部の新たな腐敗を画する大会となった。そのことはまず、新執行部の人事において現われた。
 今大会において「連合」は、神津の後継会長にJAM副会長の芳野友子を、事務局長には日教組委員長の清水秀行を選出した。この会長・事務局長の人事をめぐっては大会直前まで人選が進まず、立候補締切りを延長せざるをえないという異例のドタバタ劇が演じられた。この役員人事の難航は、直接には、「連合」指導部内の支持政党をめぐっての抜きさしならない対立に根差したものである。
 昨年の神津指導部が主導して進めた立憲民主党と国民民主党の合併工作は、旧同盟系のUAゼンセンや自動車総連、電力総連(および電機連合)などの反発と抵抗によって頓挫した。しかし、それでもなお会長・神津が「立憲を主軸に支援する」とうちだしたことによって、旧同盟系やJCメタルの労働貴族が反発し、「連合」指導部内の対立が激化してきたのだ。それゆえに神津の任期切れをまえにして新会長への就任を打診された自動車総連やUAゼンセンそして運輸労連など大手産別の幹部は、これを軒並み拒否したのである。前事務局長・相原は、新会長就任に色気を見せていたものの、トヨタ経営陣の意をうけた出身単組のトヨタ労組から反対されて断念した。彼ら右派労働貴族は、立憲民主党が日共とのあいだで小選挙区の候補者調整や市民連合を介した政策協定を結ぶなど連携を強化していることに危機感を燃やして、旧来の「政治方針」にしばられる会長職を引きうけることをそろって拒否したのだ。
 今回の会長・芳野と事務局長・清水の就任は、旧同盟系労働貴族と旧総評系ダラ幹との政治方針の対立に蓋(ふた)をしたまま当面の妥協をはかったものでしかない。それゆえに、採択された「政治方針」においては、目前に迫った総選挙や来年の参議院選挙に向けた支持政党については具体的に触れることができず、「左右の全体主義を排し、健全な議会制民主主義が機能する政党政治の確立を求める」「政権交代可能な二大政党的体制をめざす」という従来の「連合の基本的立場」を確認しているにすぎないのだ。ここで「左右の全体主義を排し」と強調しているのは、日共との「共闘」を強める立憲民主党の動きを牽制するためなのだ。
 神津前指導部が推進してきた支持政党の一本化に反発する右派労働貴族どもは、いまや全トヨタ労連が自民党愛知県連との政策協議をおこなったことに示されるように、むしろ自民党との関係強化をはかる動きをしめしている。
 JC系や旧同盟系の大手単産の労働貴族どもは、政策制度要求、とりわけ経営者と連携してうちだしている「脱炭素化」「デジタル化」に向けた産業構造再編などの産業政策要求を実現するためには、野党をつうじてではなく、直接的に政府や自民党と交渉して取り引きする道を選びとりつつある。そのためにも、みずからの産別出身議員が所属する国民民主党そのものの自民党との連携強化を、さらには合流をも模索させているのである。
 このような支持政党をめぐる対立をかかえながらも、それらの妥協のうえに登場した芳野新執行部は、政府権力者や独占資本家との「国難」突破のための政労使協議に「連合」としてのすべてのとりくみを解消しようとしている。いや芳野が首相直轄の政府会議の正式メンバーとなることによって、彼らは、岸田政権がうちだす政策の「審議」過程にとりこまれ、その反人民的政策の貫徹の先兵と化しつつあるのだ。
 〔しかも、櫻井よしこらの『産経新聞』『正論』などに集まるネオ・ファシストグループは、この数年、UAゼンセンをはじめJC系・旧同盟系単産をほめたたえる他方で、官公労系の労組との決別を彼らによびかけ、官公労系をはじめ旧総評系主要単産が、なおそれなりの力を保持しているとみなして現在の「連合」からの離脱を煽りたてている。このようなネオ・ファシストどもの煽動に応えて動きだしているのが、電力総連・UAゼンセン・基幹労連などの右派労働貴族なのだ。〕

以下見出し

二、「デジタル化」「脱炭素」政策の尻押し

三、「新しい運動スタイルの構築」なるもの

四、「労働者代表制」の反労働者性

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辺野古新基地建設を阻止せよ!
 対中臨戦態勢強化に反撃
 10・17沖縄労学統一行動

 十月十七日、沖縄県反戦・県学連のたたかう労働者・学生は、那覇市内において「辺野古新基地建設阻止! 日米グローバル同盟反対!」を掲げて労学統一行動に勇躍決起した。
 米中激突の最前線である沖縄から反戦反安保・改憲阻止闘争の火柱を高だかとうちあげたのである。
労働者・人民の共感をまきおこし国際通りを進撃する沖縄の闘う労学
(10月17日、那覇市)

   「岸田政権の反動攻撃粉砕!」決起集会をかちとる沖縄の労学
(10月17日、那覇市・松山公園)
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大阪に<反安保>の火柱
 10・17全関西労学統一行動

 十月十七日、全学連関西共闘会議と反戦青年委員会は、大阪市において「日米の対中国グローバル同盟の強化反対! 岸田政権の反動攻撃粉砕! 憲法改悪阻止!」を掲げて労学統一行動に起ちあがった。<米中冷戦>下の戦乱勃発の危機を突破する決意に燃えた関西の革命的・戦闘的な労働者・学生は、立憲民主党との選挙協力にうつつをぬかす日共・不破=志位指導部の闘争放棄を弾劾し、自民党大阪府連、大阪市役所に巣食う「維新」、アメリカ総領事館にたいする戦闘的なデモンストレーションを敢行したのだ。
自民党府連に怒りのシュプレヒコール
(10月17日)

  関西のたたかう労学が大阪市中心街を戦闘的にデモ
(10月17日)
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九州防衛局に怒りの拳
 10・17全九州労学統一行動 福

 九州のたたかう労働者・学生は、十月十七日、福岡市において、全九州労学統一行動を断固として実現した。同日決起した全国の仲間と連帯して、<米中冷戦>下の戦争勃発の危機を突き破るべく、九州の地から革命的反戦闘争の火柱を燃えあがらせたのだ。
「陸自大演習反対!」「新田原へのF35B配備阻止!」のシュプレヒコールをあげながら博多駅周辺をデモする九共闘と反戦の闘う労学
(10月17日、福岡市)
  九州防衛局(合同庁舎内)に怒り爆発
(10月17日、福岡市博多区)
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