第2705号(2022年2月14日)の内容

<1面>
改憲阻止・反安保の闘いに決起
    
 白ヘル部隊 札幌市街を席巻
 1・30 全道労学統一行動
 1・27 自民大阪府連に怒りの拳
<4面>
岸田政権に「九条を生かした平和外交」を懇願する日共
<3面>
日米2プラス2合意
 「台湾有事」に備えての対中戦争計画の策定
<2面>
アメリカ高速炉開発に官民一体で協力する岸田政権
米中の量子コンピュータ・暗号開発をめぐる争い
<5面>
Topics 参院選にむけ自民党候補者支援に踏みだした「連合」指導部
パナソニック工場で労働者の過労自殺が連続
<6面>
大型放射性廃棄物の海外処分に突進する岸田政権
泊3号機の再稼働を許すな!
 「解放」最新号

























  

ロシアのウクライナ軍事侵攻阻止!
      

アメリカ・NATOの軍事介入反対!


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改憲阻止・反安保の闘いに決起

白ヘル部隊 札幌市街を席巻

――1・30全道労学統一行動

 
 闘う労働者・学生が積雪の中を力強く進撃
(1月30日、札幌市)
 一月三十日、全学連北海道地方共闘会議のたたかう学生と全道から結集した反戦青年委員会の戦闘的・革命的労働者は、日米安保協議委員会(「2+2」)の合意にもとづいて軍事強国化・憲法改悪に狂奔する岸田政権の一大攻撃を打ち砕くために、自民党道連への抗議闘争に勇躍決起した。

自民党道連へ戦闘的デモ

 午後二時三十分、たたかう労働者・学生の白ヘル部隊は、北海道庁赤れんが庁舎前の広場から怒りのデモンストレーションにうってでた。「ウクライナ軍事侵攻阻止!」「憲法改悪阻止!」「日米グローバル同盟反対!」などの色とりどりのプラカードやメッセージボード、そして幟旗をはためかせ、「憲法改悪絶対阻止! <米中冷戦>を突き破ろう!」と大書した横断幕を先頭に、デモ隊は力強く進撃する。「安保粉砕!」「改憲阻止!」のかけ声とシュプレヒコールが、雪が降り積もったマイナス六度の札幌中心街にこだまする。信号待ちの市民はわが隊列の幟やプラカードに注目し、共感して頷いている。西五丁目通りを南進し、さらに大通公園の北大通りを東進し、白ヘルの隊列は駅前通りを北上した。前方に自民党道連が迫ってきた。シュプレヒコールを呼びかける学生が「われわれの怒りの声を岸田政権にたたきつけよう」と声を張りあげる。たたかう労学はいっそう闘志をふるいたたせ、怒りのシュプレヒコールをたたきつける。「先制攻撃体制の構築を許さないぞ!」「軍事費の大増額反対!」「岸田ネオ・ファシズム政権打倒めざしてたたかうぞ!」わが労学の気迫ある声に市民も呼応し、辺りは戦闘的な雰囲気に一変する。こうして、全道のたたかう労学は札幌市街を席巻する戦闘的デモンストレーションを断固貫徹したのだ。

ロシアのウクライナ軍事侵攻阻止!――総決起集会

 デモにさきだって、たたかう労学は、総決起集会を開催した。司会の開会宣言にひき続き、学生が基調提起にたつ。彼は開口一番、ウクライナの危機的な情勢を訴え、「今こそプーチンのロシアによるウクライナ軍事侵攻を阻止しよう。米欧諸国権力者の軍事介入に反対しよう!」と檄をとばす。「NATOの東方拡大」への怨念に燃えるプーチンが米欧諸国権力者との駆け引きをくりひろげ、ウクライナ軍事侵攻にうってでようとしている。「われわれは不退転の決意で、戦争勃発の危機を突き破る革命的反戦闘争を創造しよう」と力強く訴えた。
 彼は第一に、「日米グローバル同盟の強化反対!」の旗幟を鮮明にしてたたかおう、と呼びかけた。彼は、一月七日の日米安保協議委員会(「2+2」)において、日米両権力者が両国の「戦略を完全に整合させ」、南西諸島などでの「自衛隊の態勢強化」と「日米の施設の共同使用の増加」をうたいあげたことを怒りを込めて暴きだした。これは「多国間軍事同盟を形成し中国を包囲していくという軍事戦略をもつアメリカに、日本国家が『完全』に従属することを誓ったということだ」「日米安保条約の条文にはいっさい手をつけることなく、日米軍事同盟を文字どおりの対中攻守同盟として飛躍的に強化することを、全世界に向けて宣明したという重大な意味をもつ」と喝破した。彼は「日米グローバル同盟の強化にふさわしく、岸田政権は日本を『一流の軍事強国』に飛躍させていくために、『交戦権』を手にする改憲策動にうってでているのだ」と、改憲の狙いを暴きだし、「改憲反対の壮大な運動を<いま・ここ>から創造しよう」と熱烈に訴えた。
 第二に、彼は「<新東西冷戦>のもとで、高まる戦争的危機を突き破る革命的反戦闘争を創造しよう」と熱烈に呼びかけた。そして「日本の地からロシアのウクライナ軍事侵攻阻止! アメリカ主導のNATOによる軍事介入反対の闘いをおしすすめよう!」と訴えた。「ロシアの労働者・人民よ! 政府権力者による大ロシア主義の鼓吹を許さず、自国政府のウクライナ軍事侵攻を打ち砕く闘いに決然と起ちあがれ! ウクライナの労働者人民よ! ゼレンスキー政権があおりたてる反ロシアのウクライナ愛国主義のまやかしを暴きだし、彼らの支配を打ち破り、ロシアのウクライナ軍事侵攻を打ち砕く闘いを創造せよ!」と、彼は鮮明に提起した。
 また彼は、中国が威嚇的軍事行動をくりひろげることに反対する反戦の闘いを反スターリン主義革命的左翼の矜持にかけて巻き起こそう、と訴えた。
 最後に彼は、日共中央の呼びかける「草の根からの大運動」なるものは、「日米両権力者が安保同盟の強化に突進しているときに反安保を完全に放棄し、きたる参院選に向けての外交政策の代案を宣伝することでしかない。あまりに無力で犯罪的ではないか」「反安保を放棄した日本共産党翼下の反対運動をのりこえたたかおう」と訴え、会場の労学は拍手でこれに応えた。
 次に、反戦青年委員会の労働者が登壇した。彼は、日教組本部が昨年十二月に全組合員に配布した憲法問題にかんする職場討議資料の犯罪性を暴露した。「そこには、戦争勃発の危機にある国際情勢の記述も、岸田政権の憲法改悪の策動や日米軍事同盟強化の攻撃も一切ない。『戦争責任の反省』に立った憲法第九条制定の歴史的意味も、『教え子を再び戦場に送るな』の日教組組合員にとっての不滅のスローガンの記述もない!」と怒りを込めて弾劾する。さらにこの討議資料には「憲法改正案の紹介があるが、『憲法第九条への自衛隊の明記、緊急事態条項の創設』については、怒りも危機感もまったくなく、『懸念』を表明してすませている代物なのだ。教育の国家統制を狙った『教育条項改悪』にいたっては『教育無償化』として容認する始末である」と、怒りを込めて弾劾した。彼は、かつての教育基本法改悪反対闘争や戦争法反対闘争を上回る一大闘争を創造するために奮闘する決意を表明した。最後に彼は、自治体労働者、医療・介護労働者、民間労働者、郵政労働者のすべての仲間が、職場生産点で職場の課題を掲げつつ論議し闘いを創造していることを生き生きと、かつ熱烈に報告した。たたかう労学は圧倒的な拍手でこたえ、闘いの熱気は最高潮に達した。
 発言の最後に、北大農学部学生自治会のたたかう学生が登壇した。彼女は、北海道の学生運動の拠点である北大農学部自治会選挙闘争に総力でとりくみ、たたかう執行部を再確立したことを自信に満ちた声で力強く報告した。会場から大きな拍手があがる。たたかう学生はコロナ下での二年間の闘いの意義について、自治会員と膝詰めの論議をした。大学当局に課外活動への規制緩和を求めるとりくみをとおして、たたかう学生は多くの自治会員の共感と信頼をかちとってきたこと、その意義を総集約して自治会の強化をかちとってきたことを自信をみなぎらせて報告した。会場からは万雷の拍手が巻き起こった。こうして闘いの意志をうち固めた労学は、意気軒昂にデモンストレーションにうってでたのだ。
 本闘争をたたかいぬいた北海道の労働者・学生は今、日米グローバル同盟強化粉砕・改憲阻止の火柱をぶちあげるために、熱い闘志をみなぎらせている。

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1・27
「改憲案の国会提示を許すな!」


自民大阪府連に怒りの拳

 
 自民党大阪府連に「改憲阻止」の意志を叩きつける
(1月27日、大阪)
 関西のたたかう学生は、一月二十七日に、岸田政権・自民党による憲法改悪を断固阻止するために、自民党大阪府連にたいする抗議闘争に勇躍決起した。
 岸田政権・自民党は、毎週定例で憲法審査会を開催することを日本維新の会と国民民主党とのあいだで一致した(一月二十五日)。安倍らネオ・ファシストどもに尻をたたかれている岸田政権は、維新の会や国民民主党を抱きこみ、今国会中になにがなんでも改憲案の国会提示を成し遂げようと猛突進を開始している。暗黒の戦争への道をひらく憲法改悪を絶対に阻止するぞ!――神戸大と奈良女子大のたたかう学生たちは、岸田政権への怒りに燃えて闘いに起ちあがった。
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岸田政権に「九条を生かした平和外交」を懇願する日共

「反安保」を放棄する不破=志位指導部を弾劾し闘おう!


日共式「九条改憲反対」方針の超右翼的内実

 現代世界はいま、ウクライナおよび台湾を焦点とする米―中・露の激突のゆえに、戦乱勃発の危機に覆われている。ウクライナをロシア勢力圏に奪回するため、ロシア南部とベラルーシ領内そしてクリミア半島・黒海上に総勢十数万の大軍を戦闘態勢につかせ侵攻の機を窺っているプーチンのロシア。このプーチン政権の「NATOの東方拡大停止」要求を拒否し、東欧地域に米軍・NATO同盟軍を派遣してロシア軍と対峙する態勢をつくりだそうとしているバイデンのアメリカ。そして東アジアにおいては、「台湾併呑」のための軍事的攻勢をいっそう強めている習近平の中国と、同盟諸国を束ねてこの攻勢を抑えこもうと血眼になっているアメリカ帝国主義のバイデン政権との激突が熾烈をきわめている。
 こうした米―中・露激突のまっただなかにおいて、アメリカの「属国」にふさわしく、対中グローバル同盟の飛躍的強化に突進しているのが日本の岸田政権なのだ。現にこの政権は、一月七日の「日米2プラス2」や二十一日の「オンライン首脳会談」において、台湾有事≠ノは日本国軍が米軍の指揮下で南西諸島を軍事要塞とし日本全土を出撃拠点として米軍と「共同対処」をおこなうことをバイデン政権に誓約し、現にこの作戦計画にのっとって共同演習を相次いで強行している。対中国のグローバル同盟を担うにふさわしい軍事強国へと日本国家をおしあげるためにこそ、軍事費の「GDP比二%超」への拡大や憲法改悪の一大攻撃に突進しているのだ。
 ユーラシア大陸の東と西で戦争が勃発し、日本および全世界の人民がまたしても戦争の劫火(ごうか)で焼き尽くされかねない危機が高まるまっただなかで、今こそわが日本労働者階級・人民は決意あらたに起ちあがるのでなければならない。
 だがこのときに反戦反安保や改憲阻止の大衆的闘いを何ひとつ組織化していないのが日共の不破=志位指導部ではないか。昨秋総選挙で惨敗を喫した彼らは、こんにちにいたって七月の参議院選挙にむけた票田開拓のために「憲法改悪を許さない全国署名」などの改憲反対♂^動の組織化にのりだしている。だが、日共中央が語る「九条改憲反対」なるものの内実は極めて犯罪的なしろものにほかならない。
 第一の問題は、日共中央がみずからの「改憲反対」方針から、日米両帝国主義権力者によるアジア太平洋地域における対中国の多国間軍事同盟の強化に反対することも、その中軸として飛躍的に強化されつつある日米軍事同盟に反対することも、すっぽりと抜きさっていることにある。
 実際、日共中央は平然と語っている。現在問題なのは「安保廃棄」ではなく「安保法制の廃止」や「沖縄米軍新基地建設の中止」であって、これらには「安保条約の是非を脇において」とりくむのだ、と(この一月に発行した「あなたの『?』におこたえします」と題する党宣伝リーフ)。たとえ「当面」の名を冠したとしても「安保の是非を脇におく」などと主張することじたいが、安保条約を法的根拠とする在日米軍の駐留や日米の共同作戦を是認することをしか意味しないではないか。現に「野党連合政権」の政策として日共は、「安保法制以前に戻す」という名において、日米安保条約はもちろんのこと、二〇一五年以前の有事法制も日米ガイドラインもすべて是認してきた。その象徴が「急迫不正の主権侵害には安保条約第五条(日米共同作戦)で対処する」という政策だ。これこそは、日本国軍の存在のみならず安保条約とこれにもとづく米軍の駐留や日米共同作戦の実施を「日本の防衛に役立つ」ものとして認めるものにほかならない。
 こんにち、習近平中国の東・南シナ海さらに西太平洋への進出を阻止するためにアメリカ帝国主義のバイデン政権は、米英豪の核軍事同盟(AUKUS)とリンクして日米軍事同盟を強化しつつある。このバイデン政権に応えて安保同盟を強化し・対中国の軍事包囲網を構築強化することに躍起となっているのが岸田政権であって、この政権がしかけている憲法第九条破棄の策動こそは、日本国家をアメリカと共同しての対中戦争を遂行するにふさわしい一流の軍事強国≠ヨと飛躍させるための攻撃にほかならない。
 まさにこの歴史を画する攻撃がしかけられているこんにちこのときに、この安保強化の階級性・反人民性を暴き、労働者・人民にこれを破棄する自覚をつくりだすことなくして、岸田政権の改憲攻撃を打ち破ることはけっしてできない。「反安保」を蒸発させた「九条改憲反対」方針なるものは、岸田政権の安保強化・軍拡と憲法改悪のまえにまったく無力なのだ。
 第二に、「反安保」を完全に投げ捨てた「改憲反対」方針とワンセットで掲げられている「九条を生かした平和外交」なる代案の犯罪性である。
 一月二十日の衆議院本会議で代表質問に立った志位は岸田にむかって次のように提案した。「米中対立がさまざまな分野で強まるもと」で、「ASEAN諸国と手を携え、東アジアサミット(EAS)という、すでにつくられている平和の枠組みを活用・発展させていくための、憲法九条を生かした平和外交」を推進すべきだ、と。EASの会議で、米・日・中の政府も「紛争の平和的解決」などのASEAN諸国が掲げる原則≠認めているのだから、これを活用すればゆくゆくは「東アジアを平和と協力の地域に」していくことができる、と。これに岸田が「EASは重要な会議だ、今後もしっかり活用していく」と答えたことを志位は、みずからの提案を認めさせたかのように大宣伝しているのだ。
 「九条を生かした平和外交」などという提案は、アメリカ帝国主義と軍事同盟をとり結んでいる現存の日本帝国主義国家(自民党政府)のもとでも採用しうるものとされている。アメリカをはじめとする帝国主義諸国やネオ・スターリン主義国家中国がそれぞれに敵国を撃滅することのできる核軍事力の強化にしのぎを削り、利害をともにする諸国と軍事同盟をとり結び、相互に敵国軍に打ち勝つための作戦計画を練りあげ・これにのっとって軍事演習という名の威嚇的軍事行動を展開している。この現状を前提としたうえで、日本政府に「平和外交」の採用をお願いすることが「九条を生かす」ことになるというのだ。こうした日共中央の主張は、軍事力を持って対峙する諸国家が相互に自国の利害を他国に貫徹するために、軍事政策と統一された「平和外交」政策をとっているという現状を肯定するものである。こうした「九条を生かした外交」なるものを岸田政権にお願いすることによって、現に敵基地攻撃体制の構築に突き進んでいる政府の攻撃を打ち砕くことができるというのか。それは日共式の「九条改憲反対」ないし「九条守れ」のイデオロギー的内実が、保守リベラルと同断のものにまで変質していることの紋章なのである。

以下見出し

「中国讃美」を頬被り

「強い経済」の提唱――独占資本の「競争力強化」を熱願

「野党共闘」にしがみつき基本政策を右翼的に緻密化


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日米2プラス2合意

「台湾有事」に備えての対中戦争計画の策定


 一月七日、日米両政府は日米安全保障協議委員会(2プラス2)をオンラインで開催し、対中国の新たな共同軍事計画を合意した。この協議後にうちだした「共同発表」において、外務相・林、防衛相・岸、国務長官ブリンケン、国防長官オースティンらの日米両権力者は、「変化する安全保障上の課題に、パートナーと共に、国力のあらゆる手段、領域、あらゆる状況の事態を横断して、未だかつてなく統合された形で対応する」ことをうたいあげた。台湾および南シナ海、尖閣諸島周辺における軍事行動をエスカレートさせている中国に対抗して、「あらゆる手段」を総動員しての日米統合作戦にうってでる意志を公言したのが日米両権力者どもなのだ。
 このようなものとして今回の2プラス2合意は、「祖国の完全統一」を呼号し台湾への威嚇的軍事行動をとる習近平中国との激突に備えての・日米共同戦争計画の策定という意味をもつのだ。

「戦略の整合」の名による日米両軍一体での作戦構想
 今回の「共同発表」の第一の特徴は、台湾近海や南シナ海において中国がとっている軍事行動を「地域の安定を損う行動」と声高に非難し、これにたいして「必要に応じて対処するために協力する」と2プラス2文書としては史上初めて明記したことである。それは、「台湾有事」にさいしては日米両国家が完全に一体となって中国の軍事行動に「対処」することを、習近平政権に突きつけるものにほかならない。二〇二一年四月の日米首脳会談において、日米両政府は、「台湾海峡の平和と安定の重要性」をうたい、中国の「挑戦」に対抗して「日米同盟を新たにする」と宣言した。これにもとづいて、中国の軍事的強硬策にたいしては日米両国家の「共同対処」=共同作戦行動をもって応えるという意志を今回改めて鮮明にしたのである。
 第二の特徴は、日米両国家の「戦略を完全に整合させる」と明記したことである。
 彼ら日米両権力者は、「今後作成されるそれぞれの安全保障戦略に関する主要な文書を通じて、同盟としてのビジョンや優先事項の整合性を確保する」ことを確認した。アメリカの「国家安全保障戦略」および日本の「国家安全保障戦略」・「防衛計画の大綱」・「中期防衛力整備計画」などの戦略文書に今回の2プラス2で確認した項目を盛りこむことを企んでいるのが日米両権力者なのだ。
 今回の2プラス2合意においては、東アジアにおける中国の軍事的攻勢に対抗するために、「自由で開かれたインド太平洋地域へのコミットメント」の名のもとに米主導の多国間軍事同盟を構築することを柱とするアメリカ帝国主義の軍事戦略・世界戦略に日本の軍事戦略をいっそう深ぶかと「整合」=従属させることが鮮明に示された。まさにそれは、NATO軍のように共通の軍事戦略と統一司令部(=米軍司令部)のもとに、日米両軍の部隊が対中国軍事作戦を遂行する体制を飛躍的に強化することの宣言にほかならない。
 そして、日米両政府は、「同盟の役割・任務・能力の進化及び緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展」を確認しあった。
 現に日米両権力者は、対中国戦争の共同計画をねりあげ、それにもとづいて昨年来、陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の多次元領域における一連の日米合同軍事演習を連続的に強行してきた。これらの軍事演習において日米両政府は、「日米共同陸上戦術調整所」を初めて設置した。日米両軍の指揮・命令系統を統一し、この統合司令部のもとに両軍部隊を一体的に運用することを主眼として、陸自と在沖米海兵隊による初の日米合同EABO演習「レゾリュート・ドラゴン21」(昨年十二月四〜十七日)や、日米統合指揮所演習「ヤマサクラ81」(十二月一〜十三日)を実施したのが日米両権力者なのだ。昨年十一月に自衛隊統合幕僚長・山崎と米インド太平洋軍司令官アキリーノが台湾直近の与那国島を訪れ、「共同訓練などの取り組みを重ね、あらゆる事態に即応する」などと決意表明≠おこなったことは、「台湾有事」に備えて日米統一司令部のもとで日米共同の対中軍事作戦態勢を一段と強化することの全世界にむけての宣言という意味をもつのである。

以下見出し

敵基地先制攻撃体制の構築

宇宙・サイバー・AI・量子技術分野での共同研究・開発

「同盟強靱化」と称する在日米軍駐留経費の大増額


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