第2815号2024年4月22日)の内容

<1面>
春闘・反戦闘争の高揚を!
大軍拡・改憲と貧窮の強制に加担する「連合」指導部弾劾!

<2面>
日米首脳会談反対の炎
 全学連 首相官邸に怒りの拳 4・10
 県学連 米総領事館に抗議 4・11 沖縄
◆空港・港湾の軍事利用
<4面>
ネタニヤフ政権のラファ総攻撃・飢餓強制を許すな
<5面>
水道の広域化・民間委託拡大による能登地震被害の甚大化
Topics 「スト」を「アピール行動」に解消する「全労連」
<6面>
崩壊の瀬戸際に立たされたミャンマー軍政権力
アフリカ鉱物資源をめぐる米中角逐
<3面>
万華鏡2024――情勢の断層を読む
「民間」ロケット大爆発
「俺はクールな独裁者」
外務省公電漏洩のリーク
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号


























  

春闘・反戦闘争の高揚を!

大軍拡・改憲と貧窮の強制に加担する「連合」指導部弾劾!


 
 「辺野古新基地建設阻止!」――4・14沖縄県民大集会が高揚
琉大・沖国大生が「日米グローバル同盟粉砕!」を掲げ奮闘(名護市・瀬嵩の浜)
 四月十日の日米首脳会談において首相・岸田は、アメリカ大統領バイデンとのあいだで「グローバルなパートナーシップの構築」をうたいあげた。岸田は対中国・対ロシアのアジア太平洋版NATOづくりの最先頭に立つことを改めて宣言したのだ。岸田日本型ネオ・ファシズム政権による、日本をアメリカとともに戦争をする国≠ヨと飛躍させるための一大攻撃を断固としてうち砕け!
 今二〇二四春闘において独占資本家どもは、労働者の賃上げを超低額・低率におさえこみながら、にもかかわらず「歴史的高水準だ」「賃金と物価の好循環の第一歩だ」などと騒ぎたてている。しかも彼らは、賃上げのためと称して食品・生活必需品を中心とした商品・サービス価格のさらなるつり上げに狂奔しているのだ。この悪辣な資本家どもによる賃上げ抑制と物価引き上げに反対しよう! 労働者への貧窮の強制を許すな!「デジタル化・脱炭素化」の産業構造再編・事業再編にともなう労働者への解雇・配転攻撃をうち砕こう!
 すべての労働者諸君!
 岸田政権による大軍拡と憲法改悪、軍拡大増税を阻止せよ! 日米軍事同盟の対中国グローバル同盟としての飛躍的強化を断じて許すな!「反安保」の旗を投げすて、反戦・反安保闘争の組織化を完全に放棄する日本共産党・志位=田村指導部をのりこえたたかおう!
 「連合」芳野指導部による物価値上げ促進運動≠ヨの二四春闘のねじ曲げを許さず、中小企業労働者・非正規雇用労働者の大幅かつ一律の賃上げ獲得をめざしてたたかおう!
 裏献金問題にたいする労働者・人民の怒りに追いつめられガタガタになりつつも、極反動攻撃をふり下ろす岸田ネオ・ファシズム政権を労働者・人民の実力で打倒せよ!
 第九十五回メーデーを、労働者階級の総決起集会としてかちとろう!

日米グローバル同盟の強化を打ち砕け!

 バイデンのアメリカと習近平の中国が今、軍事的・政治的にも経済的にも激しく対立し、ここ東アジアにおいても軍事的衝突の危機が一挙に高まっている。この真っ只中において開催した日米首脳会談において、アメリカのバイデン政権と日本の岸田政権は、中国を名指しして、「東シナ海における現状変更の試み」を許さないこと、中国に抗して「日米のグローバルパートナーシップ」を強化することを宣言した。アメリカを凌駕する「社会主義現代化強国」への飛躍という国家戦略にもとづき台湾併呑と東・南シナ海の領有権拡大にむけ威嚇的軍事行動を激化させている習近平の中国。日米両帝国主義権力者は、この中国を敵国≠ニする日米グローバル同盟の一大飛躍を、ここに画したのである。
 バイデンに呼びつけられ、「外交の岸田」を宣伝する好機≠ニばかりに嬉々としてワシントンにはせ参じたのが岸田である。彼は、日本は「控えめな同盟国」から「(国際秩序形成に)コミット(関与)する同盟国」に変わった≠ネどと、米議会において演説した。たとえアメリカの政権がトランプ政権に代わろうとも、アメリカにつき従いつづけることを、満場の米議員連中を前に宣明したのである。
 もはや独力では中国やロシアを軍事的・経済的に封じこめることができなくなった没落帝国主義アメリカのバイデン政権は、「統合抑止」戦略にもとづいて同盟国の力をフル動員することに狂奔している。このバイデン政権にたいして、岸田政権は、軍事上は、自衛隊の新たな「統合作戦司令部」をアメリカのインド太平洋軍・在日米軍の指揮統制のもとに組みこむことや、米海軍の大型艦船を日本において補修することなどを約束した。経済安保上は、日本もアメリカに同調して、AIや半導体の開発・生産にかかわる重要物資のサプライチェーンから中国を排除することを誓ったのである。
 この岸田政権は、辺野古新基地建設、中国本土を射程に入れる長射程ミサイルの沖縄・南西諸島への大量配備、殺傷能力のある兵器輸出などを、労働者・人民の反対運動を強権的に弾圧しつつおしすすめようとしている。
 さらに彼らは、「戦争放棄・戦力不保持」を謳う第九条の破棄と「緊急事態条項」新設を核心とする憲法改悪=戦争する国にふさわしいネオ・ファシズム憲法$ァ定を、いま一挙にすすめようとしているのだ。岸田は「いま重要なのは、安全保障と憲法だ」と叫びたて、今年中の改憲発議をめざして、憲法審査会において野党を抱きこんで「緊急事態条項の条文案」作成の協議を開始しようとしているのだ。
 岸田政権は、兵器や軍民両用技術の日米共同開発・共同生産をすすめるために最先端技術に携わる民間人とその家族の身辺調査をおこなう権限を公安当局に付与する経済安保秘密保護法の制定(=日本版セキュリティ・クリアランス制度創設)を強行しようとしている。「アメリカとともに戦争する国」へ日本を飛躍させるために、ネオ・ファシズム支配体制を強化しようとしているのが、岸田反動政権なのだ。
 いま日本国家権力は、反戦反安保・改憲阻止闘争を推進する革命的左翼やたたかう労働組合・学生自治会・市民団体などを弾圧することをねらって、治安弾圧体制の強化を急ピッチですすめているのだ。
 そして、大軍拡に必要な軍事費の大増額をすすめるために、貧窮にあえぐ労働者・人民にたいする大増税・社会保障切り捨てなどの大衆収奪の強化に血道をあげているのが岸田政権なのだ。
 すべての労働者諸君!
 今こそわれわれは、岸田政権の大軍拡・改憲と大増税を阻止する闘いに、総決起しようではないか!

低額妥結弾劾! 24春闘を最後まで戦闘的に闘おう!

 大軍拡・憲法改悪に突き進み、労働者・人民に耐えがたい貧窮を強制している張本人であるこの首相・岸田を、「連合」芳野指導部は今年もまたメーデー中央集会に来賓として招こうとしている。これが許せるか!
 芳野は、今春闘において政労使一体≠ナ「デフレ脱却=賃金も物価も経済も持続的に上昇する経済社会へのステージ転換」を達成したとおしだすための儀式として、本メーデーを実現することをもくろんでいる。
 政府・独占資本家どもと「連合」指導部が唱和し喧伝している今春闘における「過去最高の賃上げ」なるもの。それは、好業績の・あるいは「成長産業」として政府から多大の便宜供与を受けている一部大企業にかぎったものでしかなく、その他の企業の経営者どもは大企業であっても数千円、率にして一%内外の極低額に抑えこんでいる。ましてや中小企業の大多数、とりわけ低賃金で労働者をこき使ってきた医療・介護や飲食業、小売業、交通運輸などの資本家どもは、今年も傲然と「ゼロ回答」や超低額回答を振りおろしている。労働力確保のためにわずかばかり賃金を引き上げたとしても、依然として多くの労働者に最低賃金ギリギリの低賃金を強制しているのだ。
 大企業の経営者どもは、「構造的賃上げ」と称してIT技術者などのいわゆる「付加価値増大」に貢献するとみずからがみなす一部の労働者にかぎってその賃金を相対的に高く引き上げている。これらの労働者をめぐって、世界的に獲得競争が激化しており、高給≠もって彼らの引き抜きをはかるアメリカや中国などの企業に、日本の諸独占体は相次いで敗北してきたのだからである。その反面において、その他大多数の労働者とりわけ中高年の労働者や非正規雇用労働者にはさらなる低賃金を強いているのが、強欲な独占ブルジョアどもなのだ。
 欺瞞的な数字を並べた政府統計でさえ、二〇〇八年のリーマンショック時とならぶ過去最長の二十三ヵ月(今年二月現在)にもおよんで実質賃金の低下がつづいており、大多数の労働者は貧窮のどん底に叩きこまれている。こうした今春闘の結果を「最も高い水準だ」とか「ステージ転換だ」とかと自画自賛する「連合」労働貴族を絶対に許すな!
 しかも、「統一回答日」であった三月十三日の「政労使会議」において「賃金と物価の好循環」「中小企業の賃上げのための労務費の価格転嫁促進」を謳いあげたのを跳躍台として、独占資本家どもはいっそう居丈高に製品・サービス価格のつり上げを加速している。四月には食料品だけをとっても二八〇〇品目、平均二三%もの大幅な値上げを強行した。鉄道・バス運賃が相次いで引き上げられ、五月以降も電気・ガス料金や宅配運送料、郵便料金と、生活に直結する製品・サービス価格の引き上げが強行されようとしている。
 プーチンのウクライナ侵略を決定的契機として急加速したエネルギー・原材料費の高騰や円安のもとでの輸入物価の上昇を口実として価格をつり上げ、史上最高益をあげてきたのが自動車や石油・商社・加工食品・飲食チェーンなどの独占資本家どもだ。この連中が、「労務費の価格転嫁」などと称して大幅に価格をつり上げ、すべての労働者・人民をいっそうの貧窮の淵に追いやっているのだ。
 このような資本家どもの暴虐が許されているのは、「連合」指導部が今二四春闘を「デフレ脱却」「好循環実現」「ステージ転換」の名のもとに政労使一体の物価値上げ促進運動≠ニいうべきものにねじ曲げたからだ。断じて許せない!
 中小企業の労働者・労働組合は、今も資本家どもの「ゼロ回答」や極低額回答を拒否して、賃上げ要求をかちとるために粘りづよくたたかっている。
 この彼らにむかって「連合」芳野指導部は言う。「中小企業の賃上げのカギは価格転嫁だ」と。これこそは、「ゼロ回答」を押しこんでくる中小企業経営者にたいして組合の団結を打ち固めてたたかうのではなく、彼ら経営者に取引先企業との価格交渉にとりくむように要請し、これを尻押しすることに中小企業における賃金闘争を歪めるものだ。
 そもそも「価格転嫁」がなされさえすれば賃金が上がるというのか? そのような考えは、資本家どもが振りまいてきた「企業の支払い能力」論に搦(から)めとられたものでしかない。資本が収益をあげたとしても、労働組合の組織的闘いなくしては賃上げをかちとることなどはありえない。これは、苦闘するすべての労働者が体でつかみとってきていることではないか。「連合」指導部の中小企業の賃上げ闘争にかんする言動こそは、中小企業労働者が労働組合のもとに団結して自企業経営者と対峙し賃上げをたたかいとることを、彼らが企業の枠をこえ大企業の労働者とも連帯してたたかうことを否定する以外のなにものでもないのだ。
 そればかりではない。独占ブルジョアどもは、産業構造再編・事業再編にともなって自企業の事業所の閉鎖や統廃合を強行するとともに、系列下の中小企業の選別淘汰をすすめ、大量の労働者に首切り・雇い止めを強制しようとしている。経済同友会の独占資本家どもは「人手不足時代の中堅・中小企業政策」と称して喚きたてている(四月五日付の「提言」)。「成長意欲のある中堅・中小企業が、生産性向上のために規模の拡大や事業の多角化をしやすい環境づくり」を政府はすすめよ、と。「企業保護による過当競争」を排し「新陳代謝を促進する政策へと転換」せよ、と。
 現にいま、コロナ感染拡大下の「ゼロゼロ融資」の返済期限に追われて中小企業の倒産が激増している。産業構造の再編下で下請け企業群の大規模な整理=選別淘汰が開始されているのだ。これをいっそう加速する政策を政府は採れと喚いているのが独占ブルジョアどもであり、これに応えて岸田政権も「構造的賃上げ」と称して「労働移動促進」、そのためのリスキリング支援策をうちだし貫徹しつつある。このときに「連合」指導部は、政労使一体≠ナの「価格転嫁促進」を叫ぶのみで、日々強行されますます激烈化している首切り・雇い止めの嵐に反撃ひとつしようとしていないのだ。まさに資本家どもの狗≠ナはないか!
 政府・独占資本家どもの中小企業再編策と中小企業労働者への低賃金強要に協力加担する「連合」指導部を許さず、中小企業労働者の大幅一律賃上げをめざして、二四春闘を最後まで戦闘的にたたかいぬこう。

以下見出し

岸田日本型ネオ・ファシズム政権打倒へ突き進め!

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ネタニヤフ政権のラファ総攻撃・飢餓強制を許すな

 イスラエルのネタニヤフ政権は、パレスチナのガザ全域から逃れてきた避難民たちがひしめく国境の街ラファにたいして、いまにも大規模な地上部隊を突入させようとしている。ガザ最南端のラファには一五〇万人もの避難民が着の身着のままでテントの中に身を寄せあいながら飢えに苦しんでいる。すでに地獄のような生活を強いられているこのラファの人民にむかって、ネタニヤフとその軍隊は、大戦車部隊で襲いかかろうとしているのだ。われわれは、この新たな大殺戮を絶対に許してはならない!
 イスラエル軍はいま、ガザ全域であらゆる食料と生活物資の補給・搬入ルートを遮断し、数多の人民に凄まじい飢餓を強制している。今このときにも子供や嬰児は栄養失調で次々と死に追いやられているのだ。
 イスラエルが凶暴なガザ侵攻を開始してから半年のあいだに、すでに三万数千人を超えるパレスチナ人民が虐殺された。これこそは、パレスチナそのものをなきものにすることを狙ったシオニストどもの世紀のジェノサイドいがいのなにものでもない。
 血に飢えたシオニスト権力者によるガザ・パレスチナ人民へのジェノサイドを許すな! ラファ総攻撃を絶対に阻止せよ!
 〔四月一日にイスラエル軍が強行した在シリア・イラン大使館への空爆・革命防衛隊幹部の爆殺――この暴挙にたいしてイラン革命防衛隊は、四月十三日夜から十四日未明にかけて、イスラエル各地およびゴラン高原(イスラエル軍が占拠中)の軍事施設にたいして、多数のドローンとミサイルによる「報復」攻撃をおこなった。これにたいしてアメリカ・バイデン政権は、ただちに「イスラエルの安全保障にたいするわれわれの支持は揺るがない。アメリカはイスラエルと共にある」と声明を発し、アメリカ中央軍にイスラエル軍と連携しての迎撃行動を命じた。すでに対イランの臨戦態勢に入っていたネタニヤフ政権は、このアメリカやイギリスの軍事的支援を受けて、イランにたいする再度の攻撃を狙っている。イスラエルによる対イラン攻撃―中東全域への戦争拡大を許すな!(四月十四日)〕

極悪非道のガザ食料封鎖・病院攻撃を弾劾せよ!

 四月一日にイスラエル軍は、キプロスから海路で運ばれた食料を搬送していた米欧のNGOの三台の車両をドローンで狙い撃ち、英・豪・ポーランドなどの国籍からなる七人の職員全員を虐殺した。
 ネタニヤフとイスラエル軍は、外国の民間団体によるこうした支援活動をみずからの食料封鎖に風穴を開けるものとみなして憎悪し、それを潰すための見せしめ≠ニして、意図的にこの攻撃を強行したのだ。この空爆によって、多くの民間ボランティア支援団体は食料・物資の支援活動の中止に追いこまれた。この攻撃を「誤爆だ」(ネタニヤフ)などと強弁するのは、米・欧権力者の非難をかわすための見え透いた方便にほかならない。
 このかんネタニヤフ政権は、パレスチナ人民への食料・物資の支援を中心で担ってきたUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を機能停止に追いこむためのあくどいキャンペーンを展開するとともに、国連や民間の支援団体の施設を破壊し職員を虐殺するなどの蛮行をくりかえし、もって食料・物資の支援を徹底的に封殺してきた。この残忍な食料封鎖によって、いまやガザの人民は凄絶な飢餓状態に叩きこまれている。
 食料封鎖だけではない。イスラエル軍は、各地の病院が「ハマスの出撃拠点になっている」と喧伝してなんども攻撃をしかけて破壊し、医師や医療従事者や患者たち、家屋を壊されて病院に避難している住民たちまで皆殺しにしている。ガザ地区の半分以上の病院が破壊され、残された病院も電気や水を止められ薬品も払底して治療ができなくなっている。三月末にガザ地区最大のシファ病院に再度の総攻撃をしかけたイスラエル軍は、殺人鬼の素顔を剥きだしにして、「病院で二〇〇人のテロリストを殺害し、五〇〇人を拘束した」などというおぞましい戦果≠発表した。シオニストどもは、医療拠点を徹底的に破壊しつくすことによって、空爆で負傷し病気や栄養失調で衰弱した人々に死を強制しているのだ。
 この狂信的シオニストどもは、パレスチナ自治区そのものを、とりわけハマスの拠点でありパレスチナ解放闘争の拠点であるガザ地区そのものを、この地上から抹殺するために、こうした絶滅″U撃に狂奔しているのである。シオニスト国家によるこの極悪非道の大殺戮を絶対に許すな!

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ネタニヤフによる対イランの戦争拡大を許すな

ハマス壊滅の代替案≠おしだすバイデン政権

民族絶滅≠フためのラファ総攻撃を阻止せよ


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水道の広域化・民間委託拡大による能登地震被害の甚大化

 能登半島一帯に甚大な被害をもたらした大震災から三ヵ月余。岸田政権の「北陸応援割」や北陸新幹線延伸の喧騒とは裏腹に、能登地方はいまだに断水が続き、被災者たちは耐え難い生活苦にさらされている。強制的に「二次避難」させられた被災者は、水道が復旧しないがゆえに帰るに帰れず、避難先をたらいまわしにされている。

困難を極める水道・下水道の復旧作業

 最大震度七の地震によって能登半島一帯の道路は寸断され、電気・ガス・水道・通信などの社会的インフラは破壊された。特に上下水道網は壊滅的被害をこうむり、十六市町一一万戸が断水した。東京都・横浜市・名古屋市など全国の各都市から迅速に駆けつけた上下水道労働者が現地の自治体労働者と力をあわせて復旧活動をつづけ、石川県では二月初めまでに九市町で断水が解消された。
 しかし懸命の復旧作業にもかかわらず上下水道設備の破損があまりにも甚大であるがゆえに、三月二十日時点で輪島市では三八七〇戸、能登町一五〇〇戸、七尾市一五〇〇戸、珠洲市にいたっては全戸の九割四四三〇戸が断水状態のままなのだ。珠洲市で仮復旧が終わるのは五月末といわれている。熊本大震災、東日本大震災に比しても異常な被害の大きさといわなければならない。
 これほどまでに被害が拡大したのは、石川県当局が水道管の耐震化率を全国平均の四一・二%をはるかに下回る三割程度に押しとどめ、「法定耐用年数」をはるかに超える老朽管を放置してきたからなのだ。各市内には漏水した箇所を耐震管や耐震型バルブに取り替えただけの老朽管(半世紀以上も昔のものもある!)が大量に残されている。これらの耐震化されていない水道管は、震度七の衝撃を受けて接合部分が抜け・破断して使用不能になっている。珠洲市では浄水場内の配管が大量に被災した。
 また政府・石川県当局が用水供給事業を広域化したことが設備の甚大な破損をもたらしたのだ。たとえば七尾市では、金沢市南方の手取川ダムで取水した用水を市西部まで送水している約一四〇`bもの長大な配水管が中能登の山中で十数ヵ所も破損し、この修復だけで一ヵ月間も要したのだ。
 県当局は手取川ダムを建設した際に、莫大な建設費や維持管理費を回収するために、流域自治体にダムの余剰となっている用水の供給契約を促し、県内自治体の用水供給事業を石川県水道用水供給事業のもとに統廃合した。七尾市にたいしては和倉温泉観光開発を名目にして県水の給水を押しつけた。七尾市当局は県水を一四〇`bも離れた手取川ダムから取水・送水することと引き替えに、自己水源を放棄し、自前の浄水関連施設も廃止し水道関連職員を大幅削減したのだ。このような「広域化」のゆえに地元の被災者は、市内に「安価で良質な自己水」が豊富にありながら、三ヵ月たっても生活に不可欠な水を得られないのだ。
 復旧が遅れている原因はまだある。上水道以上に下水道管が破損し、この修理作業は大きく遅れているのだ。熊本地震や東日本大震災で被害を受けた下水関連施設は三割程度だったが、今回の大地震によって珠洲市などでは下水管の九四%が破損していると言われている。七尾市では下水はほぼ不通である。
 水道管の耐震化を怠ってきた石川県当局は、ましてや下水の耐震化には二の足を踏んできた。地下水位が高い能登地方では、多くの場所で液状化現象が発生した。その結果、耐震管に更新していない水道管や下水道管はひとたまりもなく大きな被害を受けている。下水のマンホールも浮き上がったり沈下したりし、多くの場所で四〇`cもあるマンホールの蓋が飛んだりもしている。たとえ水道の断水が解消されても、これと同時に下水道管の修繕がともなわなければ下水管に排水した汚水があふれることになるので、通常通りに水道水を使うことはできない。被災者は極力節水を強いられているのだ。
 また、道路に亀裂や段差ができて寸断されているだけでなく、二万を超える家屋が倒壊し、多くが道路にかぶさっている。通行不能になり、残された道路に車が集中し長時間の渋滞が発生している。現場到着が遅れて作業時間が確保できず、復旧活動も困難になっているのだ。

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復旧作業に奮闘する水道労働者

政府・県当局によってつくられた「現場力の喪失」

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崩壊の瀬戸際に立たされたミャンマー軍政権力

 ミャンマー軍事政権は、四月から月六万人の規模での徴兵を強行しはじめた。彼らはこの二月に突如として徴兵制の施行を宣言した。人口約五五〇〇万人のうち一四〇〇万人、男女問わずに十八歳から四十五歳の人民を対象とするというのだ。
 ミャンマー国軍は今、少数民族武装勢力やビルマ族主体の武装グループ「人民防衛隊(PDF)」など反軍政勢力の攻勢を受けて多数の兵士が戦死、戦意を喪失した兵士の逃亡が続出している。この状況をのりきるために、最高権力者の国軍総司令官ミンアウンフラインは、徴兵の強行に踏みきったのだ。
 だが、これに怒る人民は、なだれをうって国外へ逃れている。そして多くの青年たちが、反国軍の武装勢力のもとへ駆けつけてたたかっているのだ。勢いを増した反軍政勢力は、ドローンを使用するなど新たな戦闘形態も駆使しつつ、軍政権力の施設への攻撃を強化している。かくして国軍は弱体化し崩壊状況にまで追いつめられている。軍事政権は、徴兵制施行によって墓穴を掘ったのだ。
 ミンアウンフラインは、みずからの権力の「崩壊」への危機意識を昂じさせ、これを阻止するために人民にたいしてさらなる凶暴な弾圧の刃をふりおろそうとしている。断じて許すな!

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少数民族と反政府勢力が共闘して反軍政決起

国軍権力と反軍政勢力を天秤にかける中国

凶暴な人民弾圧を許すな


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 日米首脳会談反対の炎

  
「日米グローバル同盟の強化粉砕!」

全学連首相官邸に怒りの拳

4・10

 四月十日、首相・岸田が訪米しバイデンとの首脳会談に臨もうとしていたときに、全学連のたたかう学生たちは、日米首脳会談に反対する首相官邸前闘争に起ちあがった。
 この日の前日に岸田政権は、経済安保秘密保護法案の衆院本会議での採決を強行した。これをもバイデンへの手土産にして首脳会談に臨もうとしていたのが岸田にほかならない。そしてこの会談の場で岸田は、バイデンの要求に全面的に応えるかたちで、米・日両軍の司令部の連携強化=一体化や、米軍兵器の日本での生産・整備の推進、日本とフィリピン・韓国・オーストラリアなどとの軍事協力の強化、日本の軍事技術のAUKUSへの提供などを確約しようとしていた。まさにそれは、同盟諸国を総動員して対中国・対北朝鮮・対ロシアの軍事包囲網を構築することを策すバイデン政権に呼応し、日本の兵もカネも技術もすべてさしだすかたちで、日米軍事同盟を飛躍的に強化する策動にほかならない。
 これにたいして全学連のたたかう学生たちは、「反安保」を放棄した日共系の運動をのりこえるかたちで、<日米グローバル同盟粉砕! アジア太平洋版NATO構築反対!>の旗高くこの日の闘争に起ちあがった。
 午前十時すぎ、全学連のたたかう学生たちは、首相官邸前に登場した。赤はちまきを締めた全学連の学生たちは、「日米首脳会談反対! 日米グローバル同盟の強化反対! 南西諸島の軍事要塞化を許すな!」と大書した横断幕と真紅の全学連旗を翻し、眼前の首相官邸にたいして怒りの拳を叩きつけた。
 「日米軍事同盟の飛躍的強化を許さないぞ!」「対中国グローバル同盟の強化反対!」「辺野古新基地建設阻止!」「陸自ミサイル部隊の沖縄配備反対!」「空前の大軍拡を打ち砕くぞ!」たたかう学生たちの怒りの声が首相官邸前に轟きわたった。
 有木全学連委員長が発言に立ち、熱烈に訴える。「今回の日米首脳会談は、『属国』日本の宰相・岸田が主人たるバイデンに貢物を献上するかたちで、対中国・対北朝鮮の日米グローバル同盟の飛躍的強化をうたう儀式にほかならない。これにつづいて米日両権力者は、フィリピン大統領マルコスをも交えての三国首脳会談をもおこなおうとしている。アジア太平洋版NATO構築の策動を断じて許すな! 米―中・露激突下の戦争的危機を突き破る反戦の闘いをいまこそ巻きおこそう!」
 「よし!」たたかう学生たちが力強く呼応する。
 つづけて、たたかう学生たちが次々と発言に立った。「経済安保秘密保護法案の衆院採決を断じて許さない! 日米共同での先端軍事技術開発や対中国の『経済安保』政策をおしすすめるための『セキュリティ・クリアランス制度』の構築に断固反対しよう!」「辺野古新基地建設や陸自ミサイル部隊の沖縄配備を許すな! 沖縄のたたかう労学と連帯し、反戦反基地・反安保の闘いをいまこそ巻きおこそうではないか!」
 たたかう学生たちは、さらに首相官邸にたいしてシュプレヒコールを叩きつけた。
 「日本国軍の米軍への一体化反対!」「経済安保秘密保護法の制定を阻止するぞ!」「<基地撤去・安保破棄>めざしてたたかうぞ!」「岸田日本型ネオ・ファシズム政権を打ち倒すぞ!」
 こうして全学連のたたかう学生たちは、日米首脳会談に反対し、この日の闘争を戦闘的にたたかいぬいたのだ。
全学連が首相官邸にむけて「日米首脳会談反対! 日米グローバル同盟の強化反対!」のシュプレヒコールを叩きつける
(4月10日・東京)
  首相官邸に肉迫し怒りの拳を突きつける全学連の学生たち
(4月10日)
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「南西諸島の軍事要塞化阻止!」

県学連が米総領事館に抗議

4・11 沖縄
 四月十日から十一日にかけて、米大統領バイデンと首相・岸田はワシントンにおいて日米首脳会談を開催し、「グローバル・パートナーシップ」の名のもとに日米軍事同盟の飛躍的な強化をうたいあげた。
 沖縄県学連のたたかう学生たちは、日米両権力者への怒りに燃えて在沖米総領事館への緊急抗議闘争に断固として起ちあがった。
 四月十一日午前十時すぎ、赤はちまきとゼッケンに身を固め総領事館前に登場した学生たちは、「日米首脳会談反対! 日米グローバル同盟粉砕!」と大書した横断幕を掲げ、怒りのシュプレヒコールをたたきつける。「日米首脳会談反対! 南西諸島の軍事要塞化反対! グローバル同盟の強化を許すな!」
 学生たちの気迫に、警備の機動隊員は右往左往するばかりだ。
 県学連委員長がマイクを握る。
 「バイデン政権は『主敵』中国の攻勢を抑えこむために、日米両軍の司令部の一体的強化をはじめ、軍事・経済・技術のあらゆる部面での協力を岸田政権に要求した。岸田政権はこれに全面的に応えたのだ。まさに今回の日米首脳会談こそは、日米グローバル同盟の飛躍的強化を画するものにほかならない。断じて許してはならない! さらに米日両権力者は米日比首脳会談を開催し、フィリピンを対中国の軍事的包囲網に抱きこもうとしている。われわれはアジア太平洋版NATO構築に断固として反対する!」
 上空では普天間基地を飛びたった米軍特殊作戦機や、嘉手納基地に飛来している戦闘機が爆音をまき散らしながら飛行している。まさしく在日・在沖米軍さらに自衛隊は対中国の準臨戦態勢に突入しているのだ。たたかう学生たちの怒りはますます燃えあがり、さらにシュプレヒコールをあげる。「日米両軍の一体化反対! 日本全土のミサイル基地化反対! 辺野古新基地建設阻止!」
 つづいて琉球大の学生が発言に立つ。「辺野古新基地建設の強行と陸自ミサイル部隊の配備を手土産に、バイデンとの首脳会談に臨んだ首相・岸田を断じて許さない! 南西諸島の軍事要塞化をうち砕くためにたたかおう!」
 さらにたたかう学生たちは、「ガザ人民虐殺に狂奔するネタニヤフ政権を支えるバイデン政権弾劾!」のシュプレヒコールを米総領事館にたたきつけた。
 こうして県学連の学生たちは、日米軍事同盟の飛躍的強化が画されたこの局面において闘争放棄を決めこむ既成反対運動指導部を弾劾しつつ、日米首脳会談反対の闘いを戦闘的に貫徹したのだ。
在沖米総領事館前で「日米首脳会談反対!」の拳
(4・11、浦添市)
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