第2871号2025年6月9日)の内容

<1面〜2面>
労基法大改悪を阻止せよ!
石破政権による労働条件の最低基準の撤廃を許すな!
柏崎刈羽 デタラメな「避難対策案」
「核のゴミ」処分場建設を許すな!
<4面>
経営危機に喘ぐボーイング
◆VW35000人削減を受け入れたIGメタル指導部
<5面>
25春闘超低額妥結承認を許すな
JP労組本部のリストラ全面協力弾劾!
Topics トランプ関税に戦々恐々―
高炉休止に走る鉄鋼資本
<6面>
若原さんのウクライナ・レフトとの交流に学ぶ
「データワーカー」の悲惨
<3面>
万華鏡2025――情勢の断層を読む
ゴールの先は戦場
殺人兵器見本市
習近平の無人化軍隊
ドローンで守る台湾
 「解放」最新号













  


労基法大改悪を阻止せよ!

石破政権による労働条件の最低基準の撤廃を許すな!

 石破政権・独占資本家どもは今、トランプ政権の高関税発動に周章狼狽しながら日本企業の生き残りをかけて、産業構造・事業構造をデジタル化(DX)や脱炭素化(GX)に対応したものに再編する策動を、一挙に強めている――一切の犠牲を労働者・人民に容赦なく転嫁しながら。
 コメをはじめとする物価の高騰に苦しむ労働者・人民の怒りに包囲された石破自民党政権は、ダッチロールに陥りながらも「国難突破」を声高に叫びたて、政策協議をエサに立民・国民・維新をからめとりつつある。また、このかん「賃上げ」問題にかんする政労使協議をつうじて政府・自民党に臆面もなくにじり寄ってきた「連合」芳野指導部を、「トランプ関税への対応」という「新たな国難」をふりかざすことによっていよいよ深ぶかと抱きこみつつある。
 こうした野党の「総翼賛化」と労働運動指導部の「産業報国会化」にたすけられて、日本型ネオ・ファシズム=石破政権は今――大軍拡・安保強化などと同時に――労働条件の最低基準規制の完全撤廃という一大攻撃の挙に出たのだ。
 労働者を月最大一〇〇時間も働かせることを合法とした現行の時間外労働の上限規制ならぬ上限規制のもとで、多くの労働者がいわゆる過労死ライン≠越えるほどの長時間労働を強いられている。そのうえ、こうした法的規制さえ適用除外にするフリーハンドを経営者どもに与えようとしているのが、石破政権なのだ。労働者階級が血と汗を流してたたかいとってきた「八時間労働制」などの階級的権利をなきものにするこの労働基準法の大改悪を、われわれは断じて許してはならない!
 だが見よ! この歴史を画する一大反動攻撃をまえにして、みずからもその委員である労働政策審議会における公労使協議≠ノ埋没し、この労基法改悪に加担しようとしているのが、「連合」芳野指導部なのだ。
 すべての革命的・戦闘的労働者は、「連合」労働貴族どものこの大裏切りを許さず、各労組・職場において直ちに反撃の闘いを組織せよ! そして、労働条件の最低基準を撤廃することをもくろむ政府・独占資本家階級による労基法大改悪の攻撃を木っ端微塵にうち砕く闘いを、断固としておしすすめようではないか!

労基法の骨抜き化をもくろむ政府・独占資本家階級

 このかん独占資本家どもは、産業構造・事業構造の再編のために、政府の「三位一体(リスキリング・日本型職務給の導入・労働移動の円滑化)の労働市場改革」策にも支えられて、不採算部門の閉鎖・売却とそれにともなう大量解雇の大攻撃を労働者に仕掛けてきている。それとともに、「日本型職務給」(いわゆる「仕事・役割・貢献度賃金」)を導入するとともに新卒一括採用から職種・職務別採用や経験者採用に切り替えるなど、人事雇用制度をジョブ型につくりかえることを労働貴族の協力のもとにすすめてきた。そして、労働者に「成長分野」に必要な技術・技能を身につけるようにリスキリングを迫り、それができないとみなした多くの労働者を配転・解雇=転職に追いこんでいる。
 さらに独占資本家どもは、それぞれの職種・職務にふさわしい働き方≠フ名のもとに、多くの労働者を法的規制に縛られることなくこき使うことを画策している。いわゆる「高度人材」などには時間にとらわれずに成果をあげる≠アとを課して労働時間規制の適用対象から除外する。人手不足の製造現場、交通運輸、建設、宿泊・飲食サービス、医療・介護・福祉など現業職の労働者には必要な時に長時間労働を強いることができるようにする。そのために、労働貴族が支配する企業内労組指導部を第二労務部≠ニして抱きこんできたことを基礎として、「労使自治」の名のもとに、企業労使の合意≠もって労働時間の上限規制などの労働条件の法的最低基準にかんする適用除外の要件を企業労使で自由に決められるようにすることを政府に求めているのが、独占資本家どもなのだ。それは、労働者にさらなる長時間労働と労働強度の非合理的な増進を強いる許しがたいものなのだ。
 こうした労働条件の法的規制の撤廃≠正当化するために独占資本家どもは、「現行の労働基準法は、工場労働を前提とした画一的な規制」であって「〔技術者や営業職の労働者など〕労働時間と成果が乖離している仕事を担う労働者にはそぐわない」から「柔軟な働き方を可能にする労働時間法制が必要だ」などとがなりたてている。あろうことか「労働者の働きたいという希望やキャリア形成を支えるべきだ」などというお為ごかしをも弄して。
 どこまでも労働者に長時間労働と労働強化を強いるために独占資本家どもは同時に、多くの労働者を、労基法や最低賃金法が適用されない「業務委託(請負)契約」で働かせている。いわゆる「専門業務」は業務委託契約で働く労働者(いわゆる「フリーランス」)に担わせ、宅配業務などにはスマートフォンのアプリで仕事の指示を受ける労働者――「ギグ・ワーカー」とか「プラットフォーム労働者」とかと呼ばれる偽装「個人請負」労働者――を活用しているのだ。その数、三四〇万人とも六〇〇万人とも言われている。彼らを労働基準関係法の適用外とされる「個人事業主(個人請負)」として活用しつづけるために、彼らを労基法における「労働者」と認めること(認定基準の見直し)に猛反対しているのが、独占資本家どもなのだ。

以下見出し

法的最低基準の撤廃と労組破壊を狙う政府・支配階級

既成労組指導部の闘争歪曲を許すな!

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経営危機に喘ぐボーイング

救済≠ノのりだしたトランプ


 アメリカ大統領トランプが「製造業を取り戻す!」と叫びたてて発動した「相互関税」の攻勢は、いまやアメリカ自身の希有にして最大の輸出製品である航空機の製造会社ボーイングをもろに直撃し、その経営に壊滅的な打撃を与えている。
 なぜならボーイング社は、部品・部材を徹底的な外注化で海外から安く輸入し、最終製品である航空機を高値で海外に売りつける国際分業≠ナ稼いでいた企業だからだ。部品・部材の価格が高関税で跳ね上がれば、とたんに利益がでなくなる。しかも一時は、愚帝トランプがボーイングの大口輸出先でもある中国を相手に一四五%もの高関税を課したことへの報復として、中国の航空各社が輸入したボーイングの旅客機を返納するという事態さえうみだされた。
 こうしてトランプが火を付けた関税戦争は、相次ぐ重大事故を引き起こし経営危機にあえいでいるボーイングを、いっそう窮地に追いつめる結果を招いているのだ。そこには同時に、かつては「優良企業」とされてきたボーイング社の、今日における製造業企業としての荒廃が深く陰を落としている。

以下、見出し

大統領専用機納入遅れに激怒

墜落事故続発で窮地に

株価至上主義経営の末路

「F47」発注で救済?!

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25春闘超低額妥結の承認を許すな


経営陣の大リストラに全面協力するJP労組本部弾劾!

<プーチンの戦争>粉砕! ウクライナの労働者と連帯して闘おう!

◇郵政経営陣による人事給与制度の改悪反対!
◇郵便集中処理拡大・区分局再編による首切り・配転・労働強化を許すな!
◇「窓口事業改革」「配達区域の拡大」にもとづく人員削減反対!
◇「将来ビジョン・事業ビジョン」を掲げ生産性向上に組合員を駆りたてる本部弾劾!
◇今大会で闘う方針を確立し、賃金抑制・大リストラを労働者の団結ではねかえそう!

郵政労働者委員会

 JP労組本部は、六月十一日から十二日に第十八回全国大会を高崎において開催する。
 すべての郵政労働者は怒っている! 郵政労働者は経営陣がおしすすめる一大リストラによって、首切り・配転・労働強化に苦しめられ、そればかりか狂乱的な物価つり上げのもとで低賃金に抑えこまれ生活苦を強いられているからだ。しかし、本部の運動方針案には、怒れる郵政労働者の姿はどこにもないではないか。ふざけるな!
 JP労組本部の労働貴族どもは、経営陣によるさらなるリストラ攻撃を容認し、各種手当のはく奪をみずから進言しているのだ。そのうえ本部は、われわれ郵政労働者にたいして、低賃金に甘んじて身を粉にして働けばバラ色の未来が待っているなどと寝言をたれているのだ。いい加減にしろ!
 郵政労働者の皆さん! 飽くなき利潤追求のために労働者を血の一滴まで搾取する資本家どもにたいして、われわれ労働者は労働組合のもとに階級的に団結してたたかうことでのみ、みずからの未来を切り拓くことができるのだ。われわれたたかう郵政労働者は、いまこそ職場深部から怒りを結集して全国大会において本部弾劾の嵐をまきおこし、本部方針案の否決を突きつけようではないか!

二五春闘の超低額妥結弾劾! 労使協議に埋没する本部を許すな

 経営陣によって過去四年間で三万人超の人員削減が強行され、いま郵政職場はどこもかしこも人員不足だ。郵政労働者はかつてない労働強化を強いられ、以前の何倍も働かされて心身ともにくたくただ。
 にもかかわらず、経営陣による二五春闘の回答はいったい何だ! 一人当たり一万円を財源にして初任賃金などに厚く配分し、大多数の労働者のベースアップがたったの五〇〇〇円だ。非正規雇用労働者にいたってはゼロだ。そのうえ「社員持ち株会に入って株を買い会社を支えろ」だと!! ふざけるのもいい加減にしろ!
 コメの価格は五キロ五〇〇〇円(四人家族で一週間から十日分)。われわれ労働者はスーパーで財布と値札のにらめっこの日々なのだ! 資本家どもによる製品価格のつり上げによって、労働者は日に日に貧窮のどん底に突き落とされている。実質賃金の大幅な切り下げだ! 郵政労働者は怒り心頭なのだ。
 だがしかしJP労組本部は、経営陣となんらたたかうことなく早ばやと妥結した。本部は労組として掲げた一万五〇〇〇円要求をはるかに下回るこの妥結結果を、「定期昇給とあわせ、合計で五%の改善」などとおしだしている。ごまかすな! 定期昇給はベースアップとはなんら関係ない! しかも本部は「民営化後最高額となるベア回答」などと経営陣を褒めちぎり、みずからの闘争放棄を居直っているのだ。これこそは民営化以降、本部が経営陣の賃金抑制に協力し、郵政労働者を裏切りつづけてきたことの自己暴露以外の何ものでもない。
 そのうえ本部は、「一般職と地域基幹職等の賃金カーブを現行制度におけるほぼ限界まで近づけることができた」などとほざいている。このような言辞は一般職と地域基幹職との統合が生涯低賃金を強いるものであることを示しているではないか。春闘を「将来ビジョンの実現」のための労使協議にゆがめてきた本部を怒りをこめて弾劾せよ!
 それだけではない! 許し難いことに本部は、大多数の労働者が五〇〇〇円ぽっちにすぎない経営陣のベア回答を「それにより人件費負担が増大する」などと賃上げはすべきではなかった≠ニばかりに言いなしている。そして経営危機をあおりたて、二六春闘では「連合と連携して最低賃金の引き上げに向けて取り組み、その成果をベースに正社員の賃金改善を行う」などとほざいている。賃金闘争そのものを完全に投げ捨てようとしているのだ! そもそも賃上げは、労働者が大幅一律賃上げ獲得を掲げてたたかいとるべきものなのだ。しかも本部は、組合員の生活苦に追いうちをかけるように組合費値上げに黙って応じろと強制している。組合員の怒りは頂点に達しているのだ。組合員を裏切った本部の二五春闘妥結の承認を許すわけにはいかない!
 経営陣は、徹底した人員削減をおこなったうえで、労働者をさらに搾りあげるために、会社・局・部署などの垣根を超えた労働の複務化を強要することを追求している。経営陣は、各種業務関連手当がこのための足かせとなっていると観念し、また退職手当や調整手当などの生活関連手当は業務にはなんら関係ないとみなして、これらの諸手当をすべてはく奪しようともくろんでいる。経営陣は徹底した賃金抑制を貫徹するために、定期昇給の廃止も含め人事給与制度を抜本的につくりかえることをねらっているのだ。
 労使協議において本部労働貴族どもはこれを丸ごと受け入れる腹を固めた。本部は、今全国大会において「将来ビジョンの実現」などと称して人事給与制度の改悪を甘んじて受け入れることを組合員にせまり、本部一任をとりつけようとたくらんでいるのだ。われわれはこれを絶対に許すわけにはいかない。本部案を否決せよ!

首切り・配転・労働強化の攻撃を労働者の団結で粉砕せよ!

 経営陣は、最終年度となる中期経営計画「二〇二五プラス」をふりかざして、「事業改革」のためのリストラ・合理化施策をおしすすめている。JP労組本部は、これに双手を挙げて賛同し、積極的に協力している。それゆえに、すべての職場の郵政労働者に、人員削減と飛躍的な労働強化の攻撃が歯止めなくふりおろされているのだ。経営陣は、人員削減による欠員を放置したままで、労働者に休日労働や超勤などの長時間労働を強制しつづけている。いわゆる「点呼未実施問題」や「非公開金融情報の流用問題」でも、その責任を労働者に転嫁し、労務管理の飛躍的強化や営業活動のさらなる尻たたきでのりきりをはかっているのが経営陣だ。まったくもって許しがたいではないか!
 郵便内務の労働者はいま、経営陣によって首切り・雇い止め・広域配転・労働強化の攻撃にさらされている。経営陣は、地域区分局などの郵便集中処理局を北海道・東海・関西と次々に再編・統合し、集中処理を拡大させることで、とりわけ時給制契約社員の大量雇い止めを強行している。郵便減少の一切の犠牲を郵便内務の労働者に転嫁しているのだ。
 集配労働者も、人員不足で配達区が埋まらず一人あたりの配達区域を極限まで拡大されたり、日勤で通常配達の終了後に夕方・夜間の配達希望郵便の配達まで担わされるなど、朝から晩までヘトヘトになるまで働かされている。増大するゆうパケットや定形外郵便物の配達にたいしても、人員を増やさず二輪・三輪・四輪を活用した相互応援で処理せよと労働者を駆りたてているのが経営陣なのだ。
 窓口職場の労働者も、退職や離職の後補充が一切ないなかで極限的な労働強化にたたきこまれている。経営陣は、「一斉昼休止」や「半日営業」、「隔日営業」などを導入し、近隣の集配局への応援を担わせるなど、さらに労働者を隙間なく働かせ、より一層の人員削減を強行しているのだ。
 だがいったい本部は何をやっているのか! 大会議案では、組合員がおかれている職場の現実はどこにもない。彼らは言う、「残念ながら今後も郵便物の減少傾向は続く。人員削減などのコスト削減により利益を確保してきたが、もはや限界だ」だの、「運用収益は好調であるが、先行き不透明。保有契約件数の減少」だのと。本部は徹頭徹尾事業経営に心を砕いているだけで組合員が過酷な労働と生活苦を強いられていることなどまったく見ようともしないのだ。郵政経営陣がおしすすめる中期経営計画にもとづいた「事業改革」(=事業再編・大リストラ攻撃だ!)に全面協力する本部を断じて許すな!「事業ビジョン」を叫びたてながら「新たな働き方にチャレンジ」などとお説教をたれ、組合員を生産性向上に駆りたてる本部を弾劾せよ!
 この本部が経営陣にたいして、「日本郵便の事業構造の改革が進んでいるとは言えない」などと語り、「改革」のスピードを上げろと要求している。労働組合の側からすすんでリストラ・合理化推進の必要性を叫びたてているのだ。組合員にたいしては、「見直すべきは見直さなければならない」と、リストラ・合理化諸施策を積極的に受け入れろと、上から恫喝しているのだ。労使運命共同体思想に骨の髄まで冒されているのがJP労組本部にほかならない。本部労働貴族どもは労使協議の場で経営陣の懐深く抱きこまれ、経営陣の狗と化し、われわれ労働者の眼前にその反労働者性をむきだしにしているのだ。
 もはや明らかではないか。本部の労使協議路線では、郵政労働者の未来を切り拓くことはできない。経営陣による一大リストラを粉砕せよ! 人事給与制度の大改悪阻止! 職場深部から本部弾劾の嵐をまきおこそう! 組合組織の戦闘的強化をかちとろう! われわれたたかう郵政労働者は、郵政労働者の未来を、われわれ自身の階級的団結で切り拓こう!

石破政権の大軍拡・安保強化・憲法改悪を打ち砕け!

 すべての郵政労働者のみなさん! 戦後八十年、現代の戦争的危機を突き破る反戦闘争を断固職場から創造しようではないか!
 石破政権は、米大統領トランプの「相互関税」の発動にたいして「国難」を叫びつつも、この機に乗じて反動政策を一気におしすすめようとしている。軍事費の引き上げやアメリカ製兵器の購入拡大、在日米軍基地の駐留経費負担増額などトランプ政権の対日要求に応えつつ、日米軍事同盟の対中攻守同盟としての強化や<軍国日本>の再興に突き進んでいるのが石破政権なのだ。「戦争をやれる国」への飛躍をかけて大軍拡と憲法第九条改悪に狂奔しているのだ。
 だがしかし、これに反対する闘いを何ひとつ組織していないのがJP労組本部ではないか。本部は、「平和の理念を次世代へと継承する」と語るのみで、具体的な運動は「連合の平和行動への参加」としているのみなのだ。本部の闘争放棄を弾劾し、石破政権による憲法改悪反対! 日本の軍事強国化を阻止する闘いを職場から創造しよう!
 ウクライナ侵略を今なお続けるロシアのプーチン政権は、許しがたいことにウクライナ全土の集合住宅地やエネルギー施設に過去最大規模の爆撃ドローンやミサイルを撃ちこみ労働者・人民と多くの子供たちを虐殺している。これに抗して三年余ものあいだ、ウクライナ人民はロシア侵略軍とたたかいつづけている。この偉大な抵抗闘争をウクライナの労働組合が支えているのだ。
 イスラエルのネタニヤフ政権もまた、パレスチナ人民にたいする大量虐殺を強行している。ガザ地区では侵略いらい五万人以上が殺害され、飢餓も強制されている。ヨルダン川西岸においてもイスラエル軍と入植者はパレスチナ人民を襲撃し公然と土地を略奪している。
 いまこそわれわれは全世界の労働者人民とともに、プーチンによるウクライナ侵略粉砕! シオニスト・ネタニヤフ政権によるパレスチナ人民ジェノサイド弾劾! の闘いに起ちあがろうではないか!
 (五月二十八日)

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若原さんのウクライナ・レフトとの交流に学ぶ

逸見晴世

(1)
ウクライナのマルクス主義者たちに内在するということ
 私は、ある学習会で若原里菜論文「海を越えた階級的連帯 ウクライナの同志たちと語り合っていま思うこと」(『新世紀』第三三二号)を学習した。この学習会で私が考えたこと、感じたことを書いていきたい。
 若原さんは、ウクライナ左翼について「『反スターリン』主義の筋金のはいったレフトの人たち」と表現している。私は若原論文を読んで、ウクライナ左翼の人たちが言っている「反スターリン」の中身は、われわれとは違うのだと考えた。黒田さんから「反スターリン主義」を学んだ私たち。しかし黒田さんのいないウクライナにおいて、彼らは彼らの体験に根ざした「反スターリン」の意識をもっている。何百万人が餓死に追いやられたホロドモール。スターリンの犯罪的な政策によって死に追いやられたという怒りがウクライナの人びとの歴史的体験として身体にしみついている。直接的に暴力の被害にあってきた体験をともなった「反スターリン」主義なのだ。そして、マルクス主義との出会いによって、ウクライナ左翼の人たちは、マルクス主義や左翼であることが「親ソ」を意味しないことに気づき、スターリン主義でもない資本主義でもない未来をめざそうと考えている。
 ウクライナの人びとの体験してきた壮絶な歴史、身体に刻まれた感覚、ここに若原さんは思いを馳せ、理解し共感している。私が最初にこの論文を読んだ時には、心が通じあってうれしいというところに気をとられてあまりよく考えなかったが、今回の学習をつうじて、若原さんのウクライナの人びとへの共感の深さを感じた。
 そして、彼らのうちの一人は「『疎外』の概念は大切」と言う。若原さんは「『私たちと完全に響き合うじゃない』と、ワクワクした」と書いているが、私もこれに驚いたしすごく嬉しいと感じた。しかし、ここから先が若原さんの思索のすごいところだ。若原さんは、「ウクライナには黒田さんはいない。にもかかわらず、彼らもまた『疎外』や『変革的実践』に着目している。これはなぜなのだろう」と考えている。この「なぜ」こそが、相手に内在するということだ。そして若原さんは「ウクライナのマルクス主義者たちにとって『疎外』はたんなる理論問題ではない、まさしく実践の問題なのだ」と気づいた。彼らはウクライナにおいてロシアの侵略と戦うばかりではなく、プロレタリアの自己疎外からの解放をめざして階級闘争をくりひろげている。このような闘いのなかから、「疎外」も「変革」もわが身のこととしてとらえられるマルクス主義者として彼らは頑張っている。
 若原さんは黒田さんの「疎外とは私」という言葉を省察し、KK思想というのは「『そんじょそこらのヒューマニズムではない』プロレタリア・ヒューマニズムなのだ」「だからこそKK思想は、戦火のもとで、貧困や飢餓のなかで、どん底のなかで呻吟する労働者人民の心と交わることができるのだ」と書いている。ウクライナの人びとと私たちは経験してきたものが違う。「疎外」の実体験も違う。しかし共感し語りあい連帯することができる。これは、KK思想のなかに、虐げられ困難に直面している労働者人民がどん底からはい上がりみずからを解放していく深いヒューマニズムがあるからなのだ。私は、ウクライナの人たちとともに労働者の自己解放をめざしてたたかいたいと感じ、そのためには、もっと黒田さんに学ばなければならないと思った。

以下、見出し

(2)
マルクス主義の土着化について

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「データワーカー」の悲惨

AI開発で使い捨てにされるグローバルサウスの労働者

「九九・九九九%が不快なデータ」

数多の労働者を奈落に突き落とすAI社会

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 マラソン・ゴールの先は戦場
ロボット兵士の製造に突進する北京官僚

 四月十九日、北京で奇妙なハーフマラソン大会が開かれた。奇妙というのは、坂道や急カーブのある約二一`bの市街地を走るのが、二本足をもった人型ロボット(=ヒューマノイド)だったからだ。この大会には二十一体の人型ロボットがエントリーし、六体が完走した。優勝したのは中国のロボット企業大手UBTECH(優必選科技)の「天工ウルトラ」で、二時間四十分四十二秒でゴールテープを切った。過程でバッテリーは三回交換したが、転倒は一回だけだったという。この優勝により一定の信頼性や耐久性が証明できたとして、同社は新型の「天工二・〇」の量産開始を表明した。すでに他の中国企業も人型ロボットを量産し販売を開始している。
 これまでも二本足で走ったり、宙返りをしたりする人型ロボットは存在したが、それらは短時間かつ特定の環境下でプログラム通りに動いていたにすぎず、実用性のない高価なオモチャ≠フ域を出なかった。だが生成AI技術の発展を基礎として、いま人型ロボットの性能が飛躍的に向上しつつある〔註〕。人間向けに作られた道具や設備を使える人型ロボットはきわめて汎用性が高い。すでに何種類かの人型ロボットは自動車工場で部品を工作機械にセットしたり、倉庫で棚から商品を選別して箱詰めするなどの「作業」をおこなっている。なおその動作は遅くぎこちないが、「学習」によりスピード・精度は向上しつつあるという。
 
 エヌビディアやマイクロソフトなどの巨大IT独占体は多額の資金を、人型ロボットを開発するスタートアップ企業(アメリカのフィギュアAIやノルウェーの1Xテクノロジーズなど)に投じている。またテスラやトヨタも独自に人型ロボットの開発をすすめている。
 このような米欧日の諸独占体の動向にたいし、「新質生産力」というスローガンを掲げる中国の習近平政権は二〇二三年十一月、工業情報化部(日本の経産省に相当)が「人型ロボットのイノベーション発展に関する指導意見」を通達した。三年計画・五年展望で人型ロボットを構成する諸々の技術(AIや機械四肢など)の飛躍的発展を実現し、二〇二五年までに人型ロボットの量産を開始して危険作業や製造現場、医療現場や家庭など様ざまな場面に投入する、というのだ。かのハーフマラソン大会は、このような追求の一環として開催されたものだ。(人型ロボットを量産して様ざまな現場に投入することは、AIに現実世界を「学習」させることにほかならない。)
 需要があろうとなかろうと、国家的指導方針のもとに様ざまな企業に競争させ、技術開発の加速とサプライチェーンの確立、そして低価格化を実現するという手法は、電気自動車製造でも用いられたものであり、ネオ・スターリン主義国家たる中国のお手のものではある。だが北京官僚の目論見は、経済的利益や技術的覇権の獲得にとどまらない。北京官僚どもは人型ロボットの軍事利用=ロボット兵士の製造と戦場投入を視野に入れて、ロボット兵士をどのように戦場で活用するのかの研究をすでに開始しているのだ。
 「ドローンのように戦場に大量に投入すれば、個々のロボット兵士の戦闘力が弱くても大きな戦力となる」とある研究者が言えば、「AIの信頼性が保証されない限り、ロボット兵士に殺傷能力をもたせるのは危険だ。自軍を攻撃する反逆兵≠ニなりかねないからだ」と別の研究者が反論する。ある専門家が「『兵站対応の速さ』が戦争の帰趨を決する現代においては、ロボット兵士に輸送や修理などの兵站任務を担わせることこそが最も有効だ」と述べれば、さらに別の専門家が「台湾上陸後の市街戦において、ロボット兵士を『囮(おとり)』として敵の火力を集中させるのに使うべきだ」と論じる等々。なんとも恐ろしく、おぞましい議論ではないか。
 ロボット兵士が完成し、自軍の兵士の生命を失うことなく戦争することが可能になれば、国家権力者はより安易に開戦を決断するであろう。世界を戦火に叩きこみかねないAIやロボットの軍事利用に反対せよ!

 〔註〕ChatGPTのような生成AIは、人間の要求にたいして文字列や画像、音声などを出力=生成する。これにたいし、人型ロボット用のAIは「動作」を出力=生成する。このようなAIは「エンボディードAI」(「身体」を持ったAI、「具現化AI」とも訳される)と呼ばれる。
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