第2878号(2025年7月28日)の内容
<1面>
改憲・大軍拡を打ち砕け!
自公の大惨敗――今こそ石破ネオ・ファシズム政権を倒せ
今こそ反戦の闘いの一大高揚をかちとれ!
<4面>
「不適切点呼」問題で行政処分
日本郵便経営陣による労働者への犠牲転嫁を許すな!
労働者を「副業・兼業」で酷使
<5面>
労働現場は今…〈5〉
労働時間縮減=賃金カットを許さない!――私たちの闘い
Topics 「周期的運賃値上げ」を掲げた私鉄総連2025年度運動方針
<2面>
「暗号通貨」の法制化に走るトランプ政権
<3面>
「ウクライナ全土はわれわれのもの」とわめくプーチン
泊原発3号機の再稼働審査合格の最終決定を許すな!
<6面>
万華鏡2025――情勢の断層を読む
トランプ関税「大歓迎」
トランプが救援しても…
「第1列島線」の攻防
水没した水爆
「解放」最新号
改憲・大軍拡を打ち砕け! 自公の大惨敗――今こそ石破ネオ・ファシズム政権を倒せ 七月二十日に投開票がおこなわれた第二十七回参議院選挙において、首相・石破を頭に戴く自民党は三十九議席(改選議席五十二)しか獲得できず、改選まえの一一四から一〇一議席へと議席を大幅に減らし大惨敗を喫した。そして、この自民党と連立を組んできた公明党もまた、二十七議席から二十一議席へと激減した。自民・公明の連立与党は参院の過半数一二五議席を下回り、参議院においても二党だけではいかなる法案も成立させることができない少数与党へと転落したのだ。 昨年十月の衆議院総選挙、今年六月の都議会選挙、これにつづく今回の参院選における大敗北――政権発足直後からの三連敗を喫した石破と自民党幹部たちはいま、顔面蒼白となりながら、「比較第一党としての責任がある」などと称して続投≠表明してはいる。だが、ブルジョア政治委員会としての自民党政権そのものの崩落が開始されたことはいまや明らかなのだ。 この石破自民党に惨めな敗北を強いたものこそは、食料品・エネルギーをはじめとする生活必需品価格の高騰によって生活苦に突き落とされた労働者・人民の怒りの噴出にほかならない。価格が二倍にはね上がった米をはじめとする食料品など生活必需品価格が急騰しているなかで、節約に次ぐ節約と残業・ダブルワークによる長時間労働に耐えている労働者・人民が、貧窮を強制する石破自民党政権への怒りを爆発させたのだ。 それだけではない。第二次安倍政権いらいのアベノミクス政策の貫徹のもとで、株価つり上げ・円安誘導によって独占資本家や富裕層のみが莫大な富を蓄積し、労働者・人民は低賃金と大増税・社会保障費削減と狂乱的な物価高騰に苦しめられてきた。いまや労働者・人民の自民党にたいする憤怒の渦は全国に拡大している。 開始された政治支配体制の大地殻変動 「自民党一強」体制のもとで強化されてきた日本型ネオ・ファシズム支配体制は、いまや一大地殻変動に見舞われている。自民敗北の対極において「手取りを増やす」(国民民主)とか「日本人を豊かにする」(参政)とかのキャッチフレーズを喧伝した国民民主党と参政党が、それぞれ二十二議席と十五議席を獲得した(非改選を含む)。これらの諸党は、SNSにおいて「給料・年金を増やす」とか「まず減税」とかというメッセージをショート動画で垂れ流し、生活苦にあえぐ労働者・人民から支持票をかすめとったのだ。 選挙戦において日本のトランプ°C取りで「日本人ファースト」を叫びたててきた参政党の神谷は、「日本の核武装」を公言し、「天皇を元首」とする「日本の國體」の護持、「教育勅語の復活」などを明記した改憲案を吹聴するような真正ファシスト分子にほかならない。 「連合」および日共中央などの既成指導部による反戦・反ファシズムの闘いの抑圧・放棄のもとでもたらされている日本階級闘争の衰滅、このゆえに少なからぬ人民がSNSで流布されるフェイク情報を現実≠サのものででもあるかのように錯覚する電脳的疎外におちいっている。これにつけこんで外国人による犯罪や福祉・医療制度の悪用によって日本人の生活が脅かされている≠ニいうようなフェイク=デマをSNSなどで洪水のごとく垂れ流し、労働者・人民を欺瞞して投票行動に駆りたてたのが参政党のファシスト分子なのだ。 これらの徒輩は、核武装する北朝鮮、これを軍事的に支援するロシア、そして戦術・戦略核兵器の増産のピッチをあげている中国、これらと対峙する最前線に立つ日本国家が、核武装したネオ・ファシズム国家として、国際政治場裏に躍り出ることを扇動しているのだ。こうした極右ファシストの跳梁を断じて許すな! いま、全世界において核武装国家の権力者どもが、自国の国家エゴイズムを他国に貫徹するという蛮行にうってでている。みずからに刃向かう他国を、圧倒的優位に立つ核戦力を振りかざして屈服させ隷属させるという国家テロルが横行しているのだ。ロシアのウクライナ侵略を見よ! イスラエルのガザ人民ジェノサイドを見よ! アメリカのイラン爆撃を見よ! <プーチンの戦争>を転回点として、現代世界は、「今ヒトラー」を戴く「帝国」が、「武力による平和」をふりかざして軍事的に弱い国に襲いかかる弱肉強食の時代に突入した。かかる「暗黒の二十一世紀」の危機を突き破る革命的反戦闘争の奔流を創造することが、そして日本の軍事強国化を阻止する闘いを推進することがすべての労働者・学生・人民の急務となっているのだ。 <反ファシズム>の戦線を構築せよ! 昨秋の総選挙における自民党の大敗北によって、二〇一二年いこう十二年にわたる「自民一強体制」は大崩落を遂げた。にもかかわらず、労働運動・平和運動の既成指導部のすべてが石破ガタガタ政権による大軍拡・安保強化・改憲にむけた総攻撃を阻止する闘いの組織化を抑圧し放棄するという犯罪的対応をこととしてきた。 「連合」芳野指導部は、この参院選にむけて立民・国民にたいして「日米同盟の維持強化」と「防衛力強化」を、そして「国会での憲法論議への積極参加」と称して改憲論議をすすめることを強力に迫ってきた。彼ら「連合」指導部が、この「政策合意」をも盾として平和フォーラム系諸労組が平和運動にとりくむことにたいする締めつけを強めてきたのだ。日共の志位=田村指導部は、参院選をまえにして、反戦平和問題も安保問題も改憲問題も限りなく後景におしやり、もっぱら物価高対策の「抜本的対案」と称する代案を他党と競いあうことに腐心してきたのだ。 まさに既成指導部によるこうした腐敗のゆえに、自民党に票を投じることを拒絶した若年層や就職氷河期世代≠フ労働者・人民の少なからぬ部分が、ファシスト分子のもとにからめとられてしまっているのだ。 すべての諸君! こんにち日本において生起している事態は、ロシアのウクライナ侵略いこうに露わとなり、自称「キング」トランプの再登場によって決定的となった「自国ファースト」を掲げる「今ヒトラー」や「ミニヒトラー」どもの全世界各国における台頭・跳梁、これと軌を一にする事態にほかならない。 すべての「古い政党」が敗北し、「日本人ファースト」=「外国人排斥」を叫ぶファシスト突撃隊が台頭した今次参院選挙こそは、自民党をはじめとする既存政党の大再編をひきおこし、日本型ネオ・ファシズム支配体制の新たなかたちでの再編強化への転回点となるにちがいない。 すべての労働者・学生・人民は、いまこそ反戦反安保・改憲阻止・反ファシズムの闘いを強力かつ広範に創造するために奮闘しようではないか。 (七月二十一日) |
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今こそ反戦の闘いの一大高揚をかちとれ! 石破政権の大軍拡・日米安保強化の攻撃を粉砕せよ 衆参両院ともに少数与党に転落し、まさに気息奄々の状態に追いこまれた首相・石破は、三白眼を泳がせながらなおも「政治の停滞は許されない」などとほざいて、政権居座りを模索しはじめた。そのために石破は、トランプ関税をめぐる日米交渉や米中激突下での東アジアで激動する情勢などへの対応、そして減税や給付金などの方策をめぐる政策協議に、改憲・安保強化を呼号する国民民主・維新や核兵器の日米共同運用をも公言する参政などの右翼野党どもを巻きこみ、少数与党の自公政権への協力をなんとかとりつけることを追求しはじめたのだ。まさにみずからの政権危機を、国家存亡の危機・「国難」と煽りたて、大政翼賛会のごとき体制を構築する方向でのりきろうと願望しているのが石破日本型ネオ・ファシズム政権にほかならない。 選挙戦のさなか、街頭演説において「日本の防衛力を強化する必要がある」などと叫びつづけたのが石破である。まさに、アメリカの「属国」として、対中国・対北朝鮮の戦争遂行体制を飛躍的に強化することをおのれの使命としているのが石破にほかならない。 ここ東アジアにおいては、習近平の中国が台湾併呑の野望をむき出しにして対米・対日の核戦力の一大増強の道を邁進している。習近平政権は、台湾併呑の軍事行動に際して米本土から出撃した米空母打撃群が(小笠原諸島からグアムを結ぶ)「第二列島線」以西に進出することを阻止するための海空の軍事訓練を恒常化させている。この訓練では、中国海軍の空母「山東」「遼寧」の両機動部隊が敵味方に分かれて作戦行動を展開した。そして、こうした中国の軍事行動にたいする偵察飛行に発進した自衛隊機にたいして中国軍機が三十メートルの至近距離にまで接近するという一触即発の威嚇行動にうってでたのだ(六月〜七月)。 この中国および、核戦力強化の道を驀進している金正恩の北朝鮮。そして、中国との軍事的・政治的連携を強めるプーチンのロシア。これらの核保有国と最前線で対峙している日本帝国主義の石破政権は、今夏にも開催が予定されている日米外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)において日米核軍事同盟の強化をトランプ政権とのあいだで確認しようとしている。 すでに政府・防衛省は、核兵器搭載可能な米空軍のB52戦略爆撃機やF35Aと空自機との共同訓練を東シナ海・九州・沖縄周辺海域において恒常化させている。 まさにそれは、中国などの敵国≠フ領域を先制攻撃する体制を構築するための軍事訓練である。そして、こうした日米共同訓練と軌を一にして石破政権は、長射程のスタンドオフ・ミサイルを搭載することが可能なF15戦闘機の改修を急ピッチですすめているのである。 それだけではない。米空軍が史上最大規模で実施した多国間共同演習「レゾリュート・フォース・パシフィック」(七月九日〜八月四日)に空自部隊三一〇〇人、五十機を史上初めて参加させた。それは、在日米軍基地が中国軍からのミサイル攻撃を受ける事態を想定し、米日両空軍が自衛隊基地や民間空港に部隊を分散させ移動しながら反撃するというきわめて実戦的な訓練である。 トランプ政権はいま、日本の石破政権にたいしてインド・太平洋地域における日本の軍事的役割の増大を求めるとともに、日本の軍事費をGDP比三・五%(二一兆円)にまで増額することを強力に迫っている。 NATOが加盟国の軍事費をGDP比五%に引き上げるという目標を決めたその直後に(六月二十六日)、トランプ政権は石破政権にたいして、「アジア太平洋地域の同盟国がヨーロッパの水準に追いつくべきなのは当然だ」(米国防総省報道官パーネル)、「NATOの同盟国にできるなら、アジア太平洋地域の同盟国、友好国にもできるはずだ」(大統領報道官レビット)などと猛烈な圧力をくわえた。これに唯々諾々と応えているのが「属国」日本の石破政権だ。すでに八・七兆円(米軍再編費も含む)にまで増額した二〇二五年度の軍事予算をさらに一挙に拡大することを――関税率割引のためのディールの手段としても――トランプ政権に誓約しようとしているのだ。まさにそれは、飼い主たるアメリカにたいして忠犬たる日本が軍事費や米軍駐留経費の支出と引き替えに安保の鎖にみずからしがみつくという姿にほかならない。政権崩壊の危機に陥っているがゆえに、よりいっそうトランプにしがみつき、日米軍事同盟を運命共同体的に強化する道をひた走ろうとしているのが石破ガタガタ政権なのだ。 しかもこうした軍事支出増大を確保するために石破政権は、労働者・人民にいっさいの犠牲を転嫁しようとしている。労働者・人民はいま、公共料金や生活必需品価格の引き上げによる空前の物価上昇に見舞われている。同時に資本家どもによる賃金抑制策と「連合」労働貴族のそれへの全面協力とによって、人民の生活苦はますます深まっている。これに追い打ちをかけるように、医療費負担の増大や年金給付額の削減など社会保障費大削減、さらには軍拡大増税を強行し、窮乏化に苦しむ労働者・人民をさらなる奈落に突き落としているのが、石破政権なのだ。 以下 見出し 反戦・政治経済闘争に起て ガザ・ジェノサイドを許すな! ウクライナ侵略を打ち砕け! |
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「不適切点呼」問題を理由に国土交通省が行政処分 日本郵便経営陣による労働者への犠牲転嫁を許すな! 六月二十五日、石破政権・国土交通省は、日本郵便にたいし法定点呼が「適切」におこなわれていないことを理由に、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す行政処分をおこなった。これにより、日本郵便は一トン以上のバン・トラックなど約二五〇〇台が五年間使用できなくなる。 日本郵政経営陣は、「不適切」な点呼をおこなってきたみずからの責任を減給処分でお茶を濁し、あたかも労働者の責任ででもあるかのように、一挙に労務管理を強化している。「不適切点呼」の事態こそは、日本郵便が会社の利益確保を最優先にして、集配労働者の健康や安全を顧みず・ないがしろにして、日々集配業務に駆りたててきたその悪辣な実態を、満天下に曝けだしたもの以外のなにものでもない。 ところがJP労組本部は、経営陣への責任追及どころか彼らを免罪し、逆に労働者に向かって「襟を正せ」「当事者意識を持ってみずからの改善につなげろ」などと説教をたれ、労働者個々人の問題にしているのだ。絶対に許せない! われわれたたかう郵政労働者は、労働者に犠牲転嫁する会社経営陣と、この彼らを免罪する本部を怒りをこめて弾劾する。それとともに、会社当局による一トン車以上の「認可取消処分」ののりきりのための強制配転や雇用替えなど労働者への犠牲強要を断固としてうち砕くためにたたかうのでなければならない。 集配職場での「不適切点呼」の実態 二〇二二年いらい日本郵便の「不適切点呼」が『朝日新聞』などのマスコミによってたびたび報道されてきた。今年の一月に兵庫県の郵便局で点呼未実施であったことが報道されるにおよんで、対応せざるをえなくなった日本郵便経営陣は押っ取り刀で、みずから部内調査にのりだした。その調査結果を四月二十三日に彼らは苦々しく発表した。全国三一八八の郵便局のうち七五%にあたる二三九一局で、点呼の執行が不適切だった、と。この発表を受けるかたちで国土交通省は、四月二十五日から高輪郵便局(東京)をはじめ特別監査を実施し、関東運輸局管内の二十六の郵便局で「点呼の未実施」・「不適切な点呼」・「点呼記録簿の不実記載」などの違反を確認したとしている。その累積違反点数が一九七にものぼり、国土交通省が示す一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す基準である八十一を超えたとして、同省は今回の行政処分を発令したとされている。 マスコミなどの報道によって、あたかも労働者が酒を飲んで運転し、なおかつ点呼をやっていなかったかのようなキャンペーンがなされているが、断じてそうではない。会社当局が利益優先をつらぬき法定点呼を適切にやってこなかったことこそが問題なのだ。会社当局がおこなってきた点呼は、点呼執行者が免許証の表と裏を読みあげて確認すべきことをしていないとか、アルコールチェッカーの数値を目視していないとか、睡眠不足や眠くなる薬を飲んでいるか否かの未確認などの、「不適切」とみなされるものであったのだ。さらに集配職場の管理者は、二輪車の乗務前に点呼をおこなうことはあったにしても、帰局後の点呼を指導することなど一切なかったのだ(だから集配労働者は点呼することじたい知らなかったのだ)。しかも支社から派遣されている「交通安全推進」を担当する指導員でさえ、帰局後の点呼実施の有無をチェックすることなく、さっさと支社に帰っていたのだ。 また、そもそも集配センターなどの少人数の職場や、集配局(単独マネジメント局)でも土日の夜勤勤務時では、点呼しようにも点呼執行できる他の労働者や管理者が不在で、点呼ができる体制を会社がまともにつくってこなかったのだ。まさに今回の「不適切」な点呼の問題は、労働者個人の安全意識の欠如といった問題ではなく、労働者を指導する会社当局・管理者たちが、あまりにも杜撰な点呼しかやってこなかったことが余すところなく暴露されたものでしかない。 しかし、会社当局はこの事態をのりきるための「改善策」と称して、集配職場において点呼は必ず証拠が残るように監視カメラの前でおこなえとか、〇・〇一_cでもアルコールチェックで検知されたら「懲戒解雇」だとかとわめき恫喝しながら、集配労働者への点呼執行を徹底的に強化している。人員を増やさずにだ。この点呼執行の厳密化によって、集配労働者は配達の出発時間が十五分から二十分以上も遅れ、労働時間の延長・労働強化にたたきこまれている。それだけではない。 経営陣は、一トン以上のバンやトラックで業務をおこなっていた労働者の労働条件を次のように提示している。@正社員の場合には軽四輪車が不足する局へ(集荷・配達要員として)配転、A期間雇用社員の場合には、「担務変更」または他の局への「雇用替え」。しかも期間雇用社員が「担務変更」や「雇用替え」をした場合の基本賃金は二〇二八年九月末までの三年間のみ保証(五年間の業務停止期間まえに保証停止だ)。このように会社当局は労務管理を強化するだけでなく、これまで一トン以上の車両を運転していた労働者を強制的に配転したり、担務変更(集荷業務から配達業務への従事など)、雇い止めといった攻撃をふりおろし、犠牲転嫁を強制しているのだ。ふざけるな! 「不適切点呼」問題の本質は何か 今回の「不適切な点呼」問題は、会社当局が点呼などは利益を生みださないものとみなして徹底的におろそかにしてきたことの集約的な事態であり、一にも二にも彼らがひきおこした問題なのだ。 いま全国の集配労働者は、深刻な人員不足のもとで業務に駆りたてられている。経営陣による約三万五〇〇〇人もの人員削減の結果もたらされたものだ。この人員不足のもとで集配労働者は、勤務時間内に配達を終わらせるように管理者に尻を叩かれながら集配労働をさせられている。だが郵便物の減少∴ネ上にそれを配る労働者が減っているのである。本社・支社の指示を受けた現場管理者は、「コスト・コントロール」(経費削減)の名のもとに、経営が厳しいのだから無駄に残業代を出さない≠ニばかりに日々「超勤抑制」を指示する。とくに朝は「一分一秒でも早く出発するように!」と焦らすのだ。その一方で新規の荷物を獲得しないと未来はない!≠ニ恫喝しながら、配達途中でゆうパックの「奪還営業」やお中元のカタログ販売などの営業をやってこい、と無理難題を強いている。現場管理者たちの多くは、タテマエ上は「点呼をちゃんとするように」と口では指示しても、点呼を厳密に執行することよりも、コスト削減・収益拡大に力を注いでいたのだ。労働者の安全よりも労働者を搾るだけ搾り取ってきたのが郵政経営陣なのだ。 そもそも車両の運転をおこなう労働者にたいする法定点呼は、労働者を業務に安全に従事させられる健康状態にあるかを確認するために事業者にたいして課せられたものである。あたかも一部の報道によって郵便労働者のあいだで飲酒運転が蔓延しているかのような印象がつくられているが、断じて個々の労働者の法令違反や不道徳≠フ問題ではありえない。この事態こそは会社当局が、口先では「法令順守(コンプライアンス)」などと言いながら、労働者の健康や安全を二の次にして顧みず、利益確保のために集配労働者を集配業務に駆りたててきた、その悪辣な実態こそが問題であり、その露呈なのだ。 今回の問題が発覚してもなお依然として会社当局は、全国各地で何十万`bも走行したオンボロバイクで集配業務をさせている。彼らは、労働者の命や「安全」を無視し、コスト削減を優先する姿勢をまったく変えていない。労働者の命をなんだと思っているのだ! 以下 見出し 会社当局を免罪するJP労組本部を弾劾し労働者への犠牲転嫁をうち砕こう! |
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シリーズ 労働現場は今…… 燃えあがる怒り 5 労働時間縮減=賃金カットを許さない!――私たちの闘い 私の働く食品加工会社は、最低賃金の改定にともない、非正規雇用労働者の時間賃金をわずかばかり引き上げた。ところが会社経営者は悪らつにも、「年収一〇六万円の壁」を口実として、短時間のパートタイマーで働く労働者全員にたいして出勤時間を遅らせるかたちをとって、一労働日の労働時間の短縮=賃金総額(月収・年収)の削減を一方的に通告してきた。対象になった労働者たちは、激怒し一丸となって抗議行動に起ちあがった。 私は、彼女らと同部署でライン作業に従事しているが、今回の会社の措置の対象者から外れていた。それでも私は、彼女たちと怒りを共有し、激励しつつ闘いを支え、共にたたかってきた。彼女らは、労働時間短縮と出勤時間の変更にたいして抗議のとりくみを一糸乱れず一ヵ月間続け、ついに出勤時間の変更を打ち砕いたのである。 労働時間の一方的変更に怒り爆発 闘いのはじまり 月末のある日、私はいつものように作業部署の所定の位置に着き、同僚の非正規雇用労働者たちとライン作業を始めた。午前十時をすぎた頃、トイレ休憩に出ていた一人の同僚Bさんが「大変! 大変!」と大声で叫んで部署に戻ってきた。生産ラインの流れに負けじと必死に手を動かしていた私たち労働者は「何だ!」と手動でラインを止め、声のする方へ一人、二人と向かっていった。息せき切って戻ったBさんは、一気に報告した。「来月の(勤務)シフト表が張り出されている。一日四時間勤務の人、全員(十六名)が三十分の遅出出勤に変えられ、一日に働く時間が三十分も減らされている!」それを耳にした労働者たちは口々に叫んだ。「そんなこと監督から聞いてない!」「ハア! 困る!!」「ひどい!」…… もう仕事どころではない≠ニ判断したAさん(女性非正規雇用労働者でリーダー的存在)が「監督を呼んで聞いてみよう」と監督に連絡した。私たちの前にあらわれた監督にたいして、Aさんが口火を切った。 「これまで何度も早出出勤させられたりしてきて、こんどは遅出出勤なんて本当に困ります。他の部署では本人と相談して決めていますよ。」私もヒートアップし、「この物価高で、三十分も一日に働く時間を減らすなんて、みんな生活するのに困ります」と抗議。他の労働者からも「勤務時間を減らすより休日を増やして!」「三十分減らしても今までと同じだけの仕事やれっていうのか! 今でも大変なのにだめですよ!」と抗議の声がつづく。それでも監督は黙して語らず、憮然としたまま工場からたち去っていった。許せない! 労働者たちは「(監督に)言ってやった!」と、抗議し反対の声をあげたことに高揚感を抱いていた。 帰りのバスの中で私は、「彼女たち(遅出出勤を指示された)明日どうするんだろう、どうなるんだろう」と気が気でなかった。その夜はなかなか寝つけなかった。 一ヵ月間の抗議行動で会社を追いつめる 私は、翌日いつもより早めに工場に入り、彼女たちの出勤を待った。午前八時前、彼女たちがいつもの時間に連れ立って工場に入ってくる。私は、やったー!≠ニ体が震えた。Aさんのところに小走りで向かった。 私:やったんだね! Aさん:昨日帰りに「どうしようか? いつもどおりに出勤する?」と聞いたら、「当たり前です」「みんながやるんだったら私も」「悔しいけど、決められた時間働けば文句ないでしょう」とみんななったわけ。 私:やったね、さすがだね、みんなすごいよ! Aさんは「いやー、別にー」と応えていたが、その目は自信にあふれ、笑っていた。私は、経営者が何らかの動きをすれば、彼女らとともに行動しようと腹をくくった。 Aさんたち十六名の抗議行動≠ヘ翌日以降も続く。彼女たちはいつもの時間に出勤し、削られた一日の労働時間である三・五時間働いた。そして月末に翌月の勤務シフト表が貼りだされた。彼女ら全員の出勤時間はこれまでの時間に戻された。私は、思わず「あんたたちやるじゃない! すごいよ!」と声をあげた。十六名の労働者たちも、「もうこれからは勝手に出勤時間の変更はしないはずよ」「ほんと! 人をばかにして!」とあくどい経営者に一矢報いたことに喝采の声をあげた。 この一ヵ月間経営者は、彼女たちの一糸乱れぬ抗議行動≠ノなすすべがなかった。経営者の卑劣な労働時間の削減=賃金カットは覆せなかったとはいえ、彼女たち非正規雇用労働者が団結の力を発揮し、一ヵ月間の抗議の闘いによって「出勤時間の変更」をはね返したのである。私は労働者の怒りと団結の力に胸がいっぱいになった。 以下 見出し 賃金カットに狂奔する経営者 この闘いをバネに労働者の団結を強化し前進しよう! |
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「暗号通貨」ステイブルコインの法制化に走るトランプ政権 ドル基軸通貨体制の「再構築」を夢想 アメリカのトランプ政権が、「暗号通貨」の一種である「ステイブルコイン」の法制化を急いでいる。 七月十八日にアメリカ議会下院は、暗号通貨の包括的な規制の枠組みにかんする三つの法案を、トランプみずからが共和党内の反対派を強引に説き伏せて可決し、このうちステイブルコインの発行事業者にドルまたはアメリカ国債による裏付けを義務づけるGENIUS(ジニアス)法が、トランプの署名を経て成立した。他の二法案は今後上院の可決を待って成立することとなった。 以下 見出し ドルの地位を侵食する「人民元決済圏」の拡大 米国債を裏付けにしたステイブルコイン 二十一世紀の通貨覇権≠めぐる争闘 |
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「ウクライナ全土はわれわれのもの」! 領土強奪の野望を剥きだしにしたプーチン ロシア大統領プーチンは、六月二十日に次のように傲然と言い放った。――「われわれは何度も、『ロシア人とウクライナ人は同じ民族だ』と言ってきた。この意味においてウクライナ全土はわれわれのものだ」「われわれには『ロシア兵が足を踏み入れた場所はすべてロシアのもの』という格言もある。これは古くからの鉄則だ」、と(サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで)。 ウクライナ北東部のスムイ州にまでロシア軍が侵攻していることについて質問者から「占領が目的か」と訊ねられたのにたいして、プーチンは「スムイを占領する意図はないが、原則として排除しない」と答え、そのうえで右のように言い放ったのだ。 これこそは、ウクライナの領土を強奪し、ウクライナという国家と民族そのものをこの地球上から消滅させる――そのようなみずからのドス黒い野望を、世界に向かってあからさまに披瀝したものにほかならない。 もちろん「ロシア人とウクライナ人は同じ民族である」という主張じたいは、現代のピョートル大帝≠気どるプーチンのかねてからの持論である。彼は、侵略開始半年前の二〇二一年七月に、そのような説を唱えるウソと錯乱に満ちた長大論文を発表したほどである(「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」――『新世紀』第三二二号「プーチンの大ロシア主義」参照)。そこにおいてこのデマゴーグは、ロシア人とウクライナ人は同じ起源をもち、何世紀にもわたって精神的・人間的・文明的結びつきを深め、世代から世代へと受け継がれてきた血族的関係のなかにあるのであって、要するに「われわれは一つの民族なのだ」と、滔々と述べたてたのであった。 だが、二〇二二年二月の「特別軍事作戦」という名の大規模侵略の開始いこう、プーチンは、この作戦をもっぱら「ウクライナ領内のロシア人をウクライナ政府の迫害から守り、彼らのロシアへの帰属要求に応えるための作戦」であるとおしだし、また開戦後には「ロシアを崩壊させるためにウクライナ政府を使嗾し軍事介入するNATOにたいする防衛の戦いだ」と強弁してきた。 いまここにおいて、またぞろこうした暴論をこの男が露骨に主張しだしたのは、アメリカ大統領となったトランプがロシアの占領を容認する(つまりウクライナに被占領地のロシアへの割譲を迫る)かたちでの「停戦」なるものを提案してきたこと、これを一つの条件としている。ロシア軍とウクライナ軍が対峙する前線を境界にして現状を固定するというのが、アメリカ特使ウィトコフが唱えてきた「停戦」案であって、これは、ロシア軍の制圧地域を事実上のロシア領と認めるものにほかならない。 このようなロシアに圧倒的に有利な「停戦」案を提示してきたトランプの姿勢を見透かしたプーチンは、「交渉には応じるが、紛争の根本要因を除去することがロシアの譲れない立場である」などとほざいて「和平交渉」を蹴とばし引き延ばしてきた。そのあいだに、東・南部四州(二〇二二年九月に「併合」を宣言した、ルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン)の未制圧地域の攻略に狂奔するだけでなく、スムイ州やドニプロペトロウシク州にまで地上軍を侵攻させてきたのだ。 プーチンはいま、ウクライナの大半をロシア帝国≠フ属領として組みこむためにこそ、軍事占領地域を押しひろげることに躍起となっているのだ。プーチンによるウクライナの領土強奪を許すな! 「継戦能力」の危機と戦時経済の破綻 だがいまやこうした言葉とは裏腹に、侵略ロシア軍は、東部や南部の最前線でウクライナ軍のドローンなどでの反撃に直面して前進を阻まれ、立ち往生している。大量の戦車や装甲車が破壊されたまま、もっぱら歩兵部隊だけで肉を弾丸にして%ヒ撃させる人海戦術によって、毎日夥しい戦死者の山を築いているのだ。〔イギリス国防省は六月に、侵略開始以降のロシア軍の戦死戦傷者が一〇〇万人を超え、死者・行方不明者はそのうち二五万人に上る、と発表した。〕 しかも、このかんプーチンの号令一下フル稼働してきた兵器産業は、石油収入に頼ってきた国防費財源の欠乏のゆえに、また西側の制裁による部品不足のゆえに、前線に最新の兵器を供給することはおろか、損傷した戦車や軍艦の修理さえできなくなっている。〔この不足分を穴埋めしているのが、兵士と弾薬と労働力を送っている北朝鮮であり、そして「民生品輸出」の衣でくるんで重要部品(半導体や工作機械)を輸出している中国なのだ。〕 こんにち莫大な戦費と軍需産業への放漫な投資を支えてきた石油・ガスの輸出収入――制裁下での唯一の外貨収入といってもよい――は大幅に減退し、ついにプーチンは「国防費の削減」を言わざるをえなくなった(六月末)。また軍需産業へのバラマキや兵士への高給などによって政策的につくりだされてきた大都市部を中心とする経済・消費の「活況」は、現下のインフレ昂進や、それを抑えるための政策金利の高止まり(現在は二〇%)、これに規定された設備投資の停滞や消費者向けローン(住宅や自動車)の高金利などのゆえに急速に収縮しつつある。さらにこうした「活況」を基礎にして政府が意図的に醸成してきた「ロシアは安泰」といった虚構のムードも、ウクライナ軍によるかの「蜘蛛の巣作戦」の炸裂によって吹き飛びつつある。 このようなロシア戦時経済の破綻的事態とロシア軍の苦境をおしかくし、ロシア国民のなかに広がる厭戦気分を抑えこむためにもプーチンは、先のようなロシア皇帝然たる傲岸な言辞を弄しているのである。 しかもいま愚帝トランプは、プーチンに手玉にとられ面子を潰されたことに腹をたて、ウクライナへのパトリオットなどの兵器供与の再開と、五十日以内に停戦に応じなかった場合のロシアへの制裁強化(一〇〇%関税)およびロシア産原油を輸入した第三国への「二次制裁」(一〇〇%、現在上院で審議中の超党派法案では「最低五〇〇%」の関税)などの新たな政策をうちだした(七月十四日)。「プーチンは昼には美しい言葉を語るが、夜にはミサイルを撃ちこんでいる」と恨み言を吐きながら。騙しすかしでトランプを籠絡し制裁を解除させようとしてきたプーチンの悪だくみは、いまや裏目に出つつあるのだ。 追いつめられた小皇帝プーチンのあがきを断て! ウクライナ人民と連帯し、<プーチンの戦争>を打ち砕こう! |
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