第2890号2025年10月20日)の内容

<1面>
<反戦・反ファシズム>に起て
 安保強化・大軍拡・スパイ防止法の制定を許すな!
 10・19-26労学統一行動に決起せよ
<2面>
盟友ボルソナロの有罪判決に激怒した愚帝トランプ
メディア攻撃に狂奔する暴君トランプ
<3面>
21世紀型ハイブリッド戦に向けた大軍拡
 攻撃型ドローンの大量配備に突き進む日本政府・防衛省
 攻撃用ドローン量産で中露結託
 電子戦部隊の南西諸島配備
<4面>
私鉄総連第92回定期大会
 今春闘の低額妥結を居直る総連本部への批判が続出!
<5面>
Topics 教育労働者の労働時間は日本が最長
被災地・能登で生活保護の打ち切り激増
年金制度改悪を許すな
<6面>
戦前の日共はなぜ日本軍国主義に敗北したか
砲撃の中で郵便・年金を届けるウクライナの郵便労働者
 「解放」最新号



























  


<反戦・反ファシズム>に起て


安保強化・大軍拡・スパイ防止法の制定を許すな!

10・19-26労学統一行動に決起せよ


 高市を新総裁に選出したその矢先、自民党は公明党から「連立離脱」をつきつけられた。いまや一九九九年十月いらい二十六年間にわたって継続してきた自公連立政権じたいが大崩壊にたちいたった。これによって、日本型ネオ・ファシズム支配体制の中枢に居座ってきたブルジョア階級政党たる自民党はより深刻なダッチロールに突入したのだ。
 他方、この自公連立崩壊を政権交代のチャンス≠ニみなし浮き足だっているのが立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの野党である。立民と国民の連携・合流を策している「連合」芳野指導部の後押しをうけた国民の玉木執行部は、立民の野田執行部にたいして、安保法制を全面的に認めなければ連立は組めない≠ニ強力に迫っている。これに応じる姿勢をしめしはじめたのが野田なのだ。
 いまこそわれわれは、労学両戦線から<反戦・反ファシズム>の炎を噴きあげなければならない。歴代自民党政権のもとで貧窮と圧制と大軍拡を強制され、憤激を募らせている数多の労働者・人民を組織化し、ネオ・ファシズム国家権力と対峙する広範な戦線を構築するために奮闘しようではないか!

公明党の連立離脱とダッチロール化する高市自民党

 十月十日の自民・公明両党首会談において、公明党代表の斉藤は、高市にたいして「企業・団体献金を党本部と都道府県組織に限定する」という規制強化案を呑むように要求した。その場において「持ち帰って協議し対応したい。三日待っていただきたい」と回答を留保した高市にたいして、斉藤はあくまでも即答を迫った末に「改革が実現不可能であれば、〔首相指名選挙で〕とても『高市早苗』と書くわけにいかない」と通告した。
 茫然自失となった高市は、直後の記者会見で「一方的に連立政権からの離脱を伝えられた」と憤懣やるかたない表情で吐きだしたのであった。
 総裁選のさなかに「裏金問題はけじめがついた」などとほざきつづけてきた極右ナショナリストの高市にたいして、新総裁就任直後から公明党の斉藤は、「政治とカネ」「歴史認識と靖国参拝」「外国人との共生」の三点を「懸念」として伝えてきた。この斉藤が要請してきた企業・団体献金規制強化案を高市ははねつけてきた。それどころか、新たな執行部人事において、かつての「安倍派五人衆」の中心人物たる萩生田を幹事長代行にすえたのである。この萩生田は、パーティー券購入代金のキックバックによって黒いカネ=i二七〇〇万円の不記載)を懐に溜めこみ、政策秘書が政治資金規正法違反罪で八月に略式起訴され罰金三〇万円の命令をうけた。この萩生田を党執行部の一角に配し、「傷ものが一人」などと軽口を叩いてはしゃぎ回っていたのが高市である。
 「裏金問題」などどこ吹く風とばかりの高市の立ち振る舞いを目の当たりにして公明党執行部は、昨年十月の衆院選と今年七月の参院選での大敗という辛酸をなめさせられたことへの怨念を膨らませ「支持者への説明は限界だ」とついに自民党を見限ったのである。
 五年間で総額五億円超にのぼる大企業・独占資本家からの政治献金を隠蔽してきたのが、旧安倍派をはじめとする自民党だ。この党は、「政界浄化」の名のもとに労働者・人民の血税を原資とした政党助成金を一五五億円も受け取ったうえで、大独占体の資本家や業界団体からの莫大なヤミ献金≠手中にしてきた。
 こうした自民党の腐敗ぶりに、公明党の支持母体でありその大部分が都市部の低所得者層である創価学会の内部から怒りと不満が噴出しているのである。
 そもそも、「企業・団体献金」という贈収賄は、日本帝国主義の政治経済構造たる国家独占資本主義に深くビルトインされたものにほかならない。ブルジョア階級の利害を体現する政治委員会たる政府およびそれを担う自民党と財界(独占ブルジョア階級)との政治献金の授受と特定の企業・業界団体への優遇政策の実施、こうした国家独占資本主義特有の政・官・財の構造的癒着の現在的あらわれこそが、「政治とカネ」問題なるものなのである。あくまでもこうした癒着構造を温存するために、この一大疑獄の幕引きをはかろうとしているのが高市なのだ。
 それだけではない。自民党内で唯一の派閥を形成しキングメーカー≠自任する麻生の指南のもとに、高市が麻生派に露骨に偏重する執行部人事をおこなった。高市は、公明党とのあいだで人脈を形成してきた元首相・菅を党副総裁の座から引きずりおろし、これに替えて、安保三文書の策定(二二年)にさいして消極的姿勢をしめした公明党を「ほとんど動かなかった癌だった」と罵倒した麻生を副総裁に迎えた。くわえて高市は、党幹事長には麻生の義弟である鈴木俊一を、総務会長には同派所属の有村治子を据えた。
 しかも公明党との連立を合意するまえの総裁選翌日(五日夜)に高市は、国民民主党代表の玉木と極秘の連立協議をおこなった〔六日には麻生が国民の幹事長・榛葉と会談〕。
 「どうせ公明党は下駄の雪≠セからどこまでもついてくる」と言わんばかりの高市の傲慢な言動をまえにして、ついにブチ切れたのが公明党執行部なのだ。「平和の党」を自称しながらも連立維持のために安保法制も安保三文書策定も容認してきた公明党にたいして、創価学会からも不満があがってきた。このことに自己保身を募らせた斉藤執行部は、極右・高市を総裁に選出した自民党との関係を切ることに踏みきった。
 こうしていま現出している公明党の政権離脱=自公連立政権の歴史的な崩落によって、日本型ネオ・ファシズム支配体制は新たな局面に突入したのである。

立民に政策転換を迫る国民民主と「連合」芳野指導部

 超少数与党への転落が決定づけられた自民党は、衆院の過半数議席二三三に遠くおよばないなかで(自民党一九六議席)、二十日以降に予定されている首班指名選挙を目前に控え、国民民主党や日本維新の会に与党入りの誘いをかけている。しかし、両党はともに、公明が離脱したがゆえに自党が加わっても少数与党になることが歴然となった今、みずからが掲げる政策を実現できる保証がないことを理由に、当面は自民党と連立を組もうとしていない。
 他方、公明党が自民党との連立政権から離脱した今が「十数年に一度の政権交代のチャンスだ」などと色めきたっているのが、立憲民主党の野田=安住執行部だ。彼らは、首班指名選挙で自民党を超える票数を獲得するために、国民民主党と日本維新の会に統一候補への投票を――「野田にこだわらない。玉木氏も有力候補だ」などと言いながら――呼びかけている。しかも野田は、「首班指名選挙で『高市早苗』とは書けない。いきなり野党候補の名前も書けない」と明言している斉藤の公明党にたいしても、「われわれは中道まっしぐら。公明党も『中道改革』と言っている。立ち位置に共通点がある」などと秋波を送っている。これに応えて決選投票で野党候補に投票する可能性を口にしはじめたのが公明党幹事長・西田なのだ(衆議院では立・国・維の三党で二一〇票、公明が加われば過半数を超える二三四票となる)。
 これにたいして国民民主党代表の玉木は、「総理になる覚悟はある」と言いはじめ――再び女性スキャンダルを暴露されることを恐れつつ――立憲民主党にたいして「基本政策が異なる。数合わせで一緒に政権をつくることはできない。憲法・安全保障・エネルギーの基本政策を(国民民主と一致できるように)機関決定せよ」と迫っている。とりわけ「安保法制の容認」=「違憲部分の廃止」論からの転換と「原発ゼロ政策の転換=新増設の容認」を迫っているのだ。〔こうした動きにたいして日本維新の会の共同代表・吉村は「立民と国民とが合意すれば、連立協議に真剣に応じる」と呼応している。〕
 この玉木にたいして立民の野田は、今夏の参議院選挙前に「国民民主党とは連合とともに基本政策で合意(日米安保の維持・強化、防衛力の強化、憲法論議への積極的参加)したのだから一緒にやれるではないか」などとあからさまに抱きついている。しかも、「協議する以上、のりしろをもって交渉が妥結するようにしたい」などと、その三者合意じたいを「不十分だ」と主張している玉木の要求に応える可能性をにおわせはじめているのだ。
 このような国民民主党と立憲民主党との駆け引きをまえにして、これを両党に連携・合流を促す千載一遇のチャンスとみて、立憲民主党に国民民主党の基本政策を丸呑みするように圧力をかけているのが、「連合」の芳野指導部だ。彼らは、これまでも、「連合」の支持政党が与野党に分裂する事態を恐れて、国民民主党にたいして「与党入りはありえない」と釘を刺す他方で、立憲民主党にたいして基本政策について国民民主党に譲歩することを迫ってきた。その彼らが今、立憲民主党と国民民主党と日本維新の会による政権樹立への期待も募らせながら、立憲民主党に基本政策の転換を求める圧力を強めているのだ。芳野指導部は同時に、立憲民主党を支えている平和フォーラム系諸産別指導部にたいして「連合」および各産別の「政策制度要求」を実現するのに必要な「ひとつの塊をつくる」ことを口実として立民の基本政策の転換を認めるように迫るとともに、立民と国民との連携・合流の阻害となるから共産党との共闘をやめろ≠ネどと圧力をさらに強めているのだ。こうした「連合」芳野指導部の圧力に屈服し、すでに産別組織の財政危機を口実として「戦争法廃止」を一致点とした「19行動」への不参加を決めたのが、自治労・日教組などの一部指導部だ!

以下、見出し

日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化を許すな

<反ファシズム>の戦線を構築せよ!


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私鉄総連第九十二回定期大会 



今春闘の低額妥結を居直る総連本部への批判が続出!

 私鉄総連は七月三十〜三十一日に熊本県熊本市で第九十二回定期大会を開催した。総連指導部は、本大会を今次参院選(比例区)に組織内候補として立候補した前参議院議員・森屋隆(西東京バス出身・立憲民主党)の再選を祝う場として、またそれを「交通政策要求実現」運動の成果としてアピールする腹づもりで投開票日の直後に設定したのであった。だが必勝を期して「(私鉄総連の)全組織をあげてとりくむ」と臨んできたにもかかわらず、森屋は前回の六年前より約三万票も得票数を減らして落選(「連合」組織内候補六人のうちただひとり落選)。総連指導部の目論見は、一挙に吹き飛んでしまった。
 こうして迎えた大会では職場深部で奮闘する革命的・戦闘的労働者に支えられた多くの代議員が発言に立ち、参院選の敗北に茫然自失≠フ私鉄総連本部ダラ幹どもを追及しつつ、春闘や「護憲・平和」などの諸闘争をめぐって私鉄総連としてのたたかう方針を確立するために、活発な論議をつくりだしたのである。

以下、見出し

「足元を見つめ直す」と居直りをはかる総連本部

「大幅賃上げ要求を!」次々とあがる代議員の声

反戦・反安保・改憲阻止の闘いを創造しよう!
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戦前の日本共産党はなぜ日本軍国主義に敗北したか

 真正ファシスト党・参政党が参議院選挙で「日本核武装」「左翼撲滅」など、ありとあらゆる極右的暴言を吹きまくって議席を増やした。このファシスト突撃隊と極右・高市の自民党を先頭にして、「スパイ防止法」=今日版治安維持法の制定攻撃がいままさにかけられている。「大東亜戦争」とこれを遂行するために戦前の天皇制権力がおこなった一切の左翼・自由主義者への大弾圧、これを真っ正面から肯定しているのが参政党だ。彼らや自民党極右分子どもを突撃隊とするネオ・ファシズム権力の刃は、日本のたたかうすべての労働者・人民に向けられている。
 日本共産党はようやくにして「反動ブロックの危険との対決」を口にしはじめた。だが彼らはこの期におよんでもなお、反ファシズムの闘いを呼びかけようともしていない。日本共産党よ、「いつか来た道」をくりかえすのか!
 われわれはここで、いま反対運動にかけられてきている治安維持法型弾圧をはね返す闘いの一助として、戦前の共産党が治安維持法による弾圧にいかに敗北したのか、それは何故なのかをふりかえらなければならない。

闘いの敗北のうえに戦争が遂行された

 『きけわだつみのこえ』を読むと、心ならずも戦争に動員された学生たちの良心の呻き声が聞こえる。この本を読んでいつも思うことは、学生たちが苦悶していたときに共産党は何をしていたのか、ということである。
 出征を前にして、「こんな戦争で死ぬくらいなら、なぜ命を懸けてたたかわなかったのか」、と言いのこした人もいた。この人は、もしも呼びかけられていたなら闘いを迷うことはなかったにちがいない。ナチス支配下のフランスなどでなされたようなレジスタンスの記録さえもが残されていないのが、日本の戦前・戦中の左翼の姿なのだ。
 軍国主義日本が十五年戦争に突入した一九三一年いご最初の五年間のあいだに、治安維持法によって、共産党は党中央から下部党員まで根こそぎに壊滅させられた。小林多喜二の虐殺にしめされるような天皇制権力の暴虐はすさまじいものであり、闘いには命がけの覚悟が要せられた。
 しかし何故、日本の共産党はツアーリの暴虐に抗したたかったボルシェビキのように、軍隊や御用労働組合の内部で反戦・反権力を呼びかける非合法・非公然の闘いをねばり強く続けることができなかったのか。

以下、見出し

「獄中非転向」への安住

日本ナショナリズムへの敗北
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